まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
ハンドメイドバッグをコンスタントに製作しております。
これまでは、販売することを重点においての製作でしたが、現在はぐるりと方向転換。
ハンドメイドバッグを作る人との共有を目的とした、「共有型のハンドメイドバッグ」というコンセプトで製作しています。
今までの販売目的ではなかなか見えなかったこともこの共有型のスタイルにしてからは見えることも多く、良かったと思っています。
まだまだ十分に共有し切れていないですが、間違いなく一歩は踏み出したと思います。
今後も製作したものを、その原価から細かいワザまで、隅々まで引用のしがいがあるものとしてお届けできることが目標です。
さて、これまでいろんな生地でハンドメイドバッグを製作してきましたが、特にこの生地は本当に美しかったという生地が「凹凸感ある生地」です。
ジャガード、フクレ加工、風通加工などふくらんでいたり、でこぼこした様相が高級感や美しさを作ります。
その中で、「縮緬:ちりめん」もよく使わせていただいた生地です。
今回、ある1冊の本を手にしました。
それは、「丹後ちりめん物語 「うらにし」の風土と人間 :八木康敞 著」。
京都の北部の海岸寄りの地域です。
ここを、「うらにし」とざっくりと呼ばれていて、主に地方の呼び名のようなものです。
「弁当忘れても傘忘れるな」の海岸沿いの地方に言われのある昔からの言葉があります。
天候には非常に悩まされるのですが、それこそが、湿気の多い地域ならではのメリットとして「ちりめん」という収縮率のある素材が生み出されたのです。
ちりめんは、「湿気が多いと縮む」という特徴があり、湿気こそが製造に必要な環境だということです。
中央集権的な背景からその伝統産業を守ってきた歴史
ちりめんのライバルは、「西陣織」。
ちりめんは、「女工哀史」という記録にも書かれているようなよく映画になった蚕から織物を作っていく機織りの女性労働者達の低賃金での苦しい労働に重なります。
メイン職にはならないようで、副業的に女性が長時間労働をさせられ、へとへとになりながら頑張ってきた産業。
そんな時代に、「課税」が施行され、大きな農民一揆が起こっています。
今でいうブラック企業の分かりやすすぎる姿だと言えます。
一揆は反発です。そうして労働者達の権利や人権を勝ち取るべくみんなで一丸となった奮闘記。
今後のサステイナブルな時代のヒントになります。
無理強い、対等でない雇用関係というのはいずれ反発や崩壊が起きるのです。
華やかな中国から伝来の生地とちりめん生地との比較
ちりめんの製造も現在は衰退しほんのわずかしか残らない状況のよう。
私がやっと見つけた、この生地↓。
「丹後ちりめん」と名乗られた生地はこれしか今まで出会っていません。
元の丹後ちりめんは絹製ですので、現代風の服地になるものです。
ポリウレタンも入っていてニットみたいな弾力性があります。
ふくれ加工もしてあるので、元のちりめんの姿からすると複合型の生地ですね。
次は、ちりめんのイメージに一番ふさわしいもの↓。
まず、ちりめんと聞いてこのイメージが浮かびます。
複合型ではないシンプルなちりめんでもこのようにうねりが全体にあって美しいです。
糸の撚りが格段に多く、ハサミでカットしたその切り口の糸のほつれはめったに起こりません。
こちらは超複合型で、ちりめんに、ジャガードもプリントも両方組み合わさった豪華な素材です。
お出かけのブラウスやワンピースを思わず想像してしまう服地です。
ちりめんは、日本らしい和素材の1つですが、その他の和風な素材も元は中国から伝わってきたものです。
少し異国情緒あふれています。
・「蜀紅錦:しょうこうのにしき/しょっこうきん」・・・中国の蜀(しょく/四川省)で製作された錦(にしき)。仏壇の敷物みたいな装飾のイメージです。
・「繻珍:しゅちん」・・・繻子(しゅす)地に金銀やカラーの糸を模様で織った生地。上の蜀紅錦と同類。
・「緞子:どんす」・・繻子(しゅす)地に裏組織で模様を織った反転のようなジャガード。
・「綸子:りんず」・・・すぐ上の緞子に類似するが、もっとペタンコ(精練による)。
・「紗綾:さや」・・・上の綸子に同類。
呼び名は違いますが、それぞれ類似であったりするので、今のところはっきりした区別は私が出来ていません<m(__)m>。
ただ、これらと比較すると、「縮緬:ちりめん」はその見た目が明らかに違います。
上のキラキラした素材いくつかは金や銀などのカラーを豊富に使った装飾性がありますが、ちりめんだけは、シンプルな無地1色でもその凹凸感を表現してあり、最も素朴な織物と解釈します。
あとがき
この先、「丹後ちりめん」とはっきりと謳ってある生地にどれだけ出会うことができるのか。
おそらくわずかだと思います。
ちりめんも「ガチャマン時代」という1960年代の全盛期は過ぎた産業になってしまいました。
それでも、生地というもの自体がこの先も残っていくなら、是非この美しい特有のうねりのある粋な素材が残ってほしいと願っています。
「しなやかで強くて美しい」、そんな姿がとても素敵だからです(^-^)。