まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
今回は、元のバッグの底に不満があり、安定したバッグ底にと希望する場合にも有効な後から設置可能なくるみ底板の作り方をご紹介したいと思います。
1つ前の番号の【139】の記事では、内蔵して製作の途中で「ベルポーレン」というプラスチック板をそのまま挟み込むやり方で、今回とは違う状況の場合でした。
いずれもバッグ製造者にとっては有効ですので、それぞれのメリットやバッグ構造との相性も考えながら使い分けがお勧めです。
もっとも、リフォームなどでは、今回の【140】の後付けタイプがよく活躍できるようですので、是非ご注目下さいませ。
後付けでしか作りようがないボストンバッグの構造の事情
底板の取り付け方法としては、大きく2種あります。
1)途中段階で底板を裸のまま挟み込んで縫い付ける
2)バッグ出来上がりの最終段階で生地でくるんで設置(リムーバブル)
1)の方法はすっきりとしていて、どのみち底板無しの使い方はしないわけですから一番望ましい取り付け方法かなと思っています。
ところが、バッグのデザインによっては、そうもいかないことがあるのです。
例えば、下の写真のようなファスナー入り口から底まで1パーツが一続きになったようなボストンバッグのようなデザイン。
こんなような形の場合、底部分がハギ合わせなので、底板を入れるタイミングがなかなかありません。
底板を入れなければ結構融通が利いてスムーズに出来上がります。
そうしますと、その作りやすさというメリットを活かし、底板の設置は諦めることを選択。
このことから、底板は後付けでリムーバブルなタイプになるということになりました。
後付けの底板は、リフォームではなく新規の製作でも必要なことがあるということですね。
生地の中に入れ込むことが不可能とは言いませんが、かなり底板の幅を狭くして縫い易く気を使わねばなりません。
さらに、ただでさえ縫う難易度があるカーブの多いデザインなので、底板に気をとられて綺麗に縫うことができないのです。
こういった場合、あっさりと中に入れ込む方法をあきらめ、リムーバブル式に生地でくるんだくるみ底板を作るのが良いという選択をします。
一番きれいに仕上がるデザインを3種の中から選出してみました
今回は、3種の底板のデザインを比較実験した製作をしてみました。
黒い生地にあえて白糸でそのステッチの出方やラインの綺麗さを比べてみたのです。
もう、迷うことはない分かりやすい結果でした(;'∀')。
今回のこの研究の前までは、ずっと長い間一番左の長方形で製作してきました。
一番左が最初に思いつくデザインですが、実際に角ばったトートバッグに設置しても、四つ角がくしゃっとつぶれるのが現実です。
狭い部分に厚みのボリュームが収まりきらないのです。
よって、その見かけの野暮ったさのあるくしゃっと変形する角部分を取り除いたものが今回一番きれいに出来上がった真ん中の8角形だったということです。
8角形は逆にひっくり返しはあまりよくありません。
ラインがここまで複雑だとひっくり返し方法では曖昧に出来上がってしまい、結果綺麗ではないのです。
リムーバルなくるみ底板に関しては、この8角形で行こうと決めた瞬間でした。
あとがき
ひっくり返しを採用しなかったこのたびの底板のくるみ生地の製作でしたが、逆にひっくり返しが綺麗なフォルムを形作ることもあるのです。
それは、マチ付きのバッグの底のラインなどに言えることです。
マチ付きのバッグの美しさは、ふんわりと少し膨らんだように佇むあのラインです。
時と場合によって、ひっくり返すのか、折り込みなのかを切り替えています。
まず言えることは、多角形のデザインは、ひっくり返しよりも折り込み式がラインがシャープに出るのだと確信しました。
目指すべきゴールは「美しいライン/フォルム」です。
そのために、製造者がその手法を使い分け、時には苦労もいとわないということです。
製造者の手間の省略や効率を重視することは、量産品の弱点であることも多いです。
そこへ良き勝負を挑む時に、このポイントを思い出してみてください(^-^)。