燃えるような「赤色」を自ら選択したショールは人生における強い決心の瞬間の象徴、不登校・離婚・事業継続の課題と対峙する1家族が織りなした絆【1376】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

よく新聞やネットでご紹介された本を読んでみることがあります。

豊富にご紹介されているのですが、「図書館派」は、図書館にその紹介の本が存在している場合というところに絞り、借りる本を決めております。

できるだけ多分野から、多角的に様々なことを考えるために、事業のファッション関係に絞り過ぎず、関係のない分野の本も見つけることも。。

このたびは小説です。

きっかけは、「ホームスパン」というキーワード、繊維分野の事業が背景ということで手にすることにした本ですので、あながち関連付かないわけでもありません。

「雲を紡ぐ:伊吹有喜 著」を拝読。

主人公の祖父が営む、羊(ひつじ)の毛を有難くいただいて、ウールのショールに織りなす製造の「小規模事業」が背景です。

主人公から見た目線・両親一人一人から見た目線・祖父から見た目線など、小説の語り手が時々変わるところも本の構造としてはユニークでした。

現代社会が抱える問題「不登校」「離婚」「事業継続」が、まるで紡がれた糸からなる羊毛製品のように織り重なった姿で、その一家独自のショールに完成された

「親の跡を継ぐ」ということが昔ながらにして自営業では必ず直面すること。

ミュージシャン様の子供が、反発して長い間音楽には手を付けなかったのに、最終的には親と同じ音楽の道を行くことにした例。

お寺さんが跡を継ぐことに反発して若い頃家出をし、長いこと経った後帰ってきて、新しいお寺さんの形を作り継承していった例。

そういったことを後から振り返ると不思議であり、何か別の力が働いていたかのようです。

「輪廻:りんね」という仏教用語があると思うのですが、なぜかこの言葉が浮かびました。

この小説の中では跡を継がなかった主人公の父と反対に、主人公は自ら惹かれるように東京から東北まで出ていったのです。

出ていった娘を心配し、父や母も後を追います。

そうして、離れ離れの一族が集まる機会が出来ました。

その惹かれた何か見えないパワーのようなことがきっかけでこのストーリーが展開。

母がミシンを使い洋服を作っていた、刺繍の機械でワンポイント刺繍のロット生産の受注をしていたファッションに関わる分野の仕事をしているのを見ていました。

また、小学生の頃に自宅に鉄の足踏みミシン(「Singer」製の鉄素材)があり、学校のぞうきんを縫う機会、運動会のハチマキを作る機会、家庭科の作業などをきっかけに縫製に触れる瞬間がありました。

それ以外でもふと思い立って勝手にロックミシンを触ったり、変な使い方でしたが、ロックの縫いの固定でそれとなく生地をつなげてポーチを作ったりなどしました。

特に、引き継ぐようにとかそんなことは全く無かったのですが、振り返ってみれば同じ業種で仕事をする今があることも事実。

10代というのは、すごく影響を受けやすい年齢。

まだ何も方向性が決まらずとも、1つの事に対する印象や感動が思いの他根強いもの。

大きくなってからもそのきっかけを覚えているくらいの衝撃的な場面であることも多いと思うのです。

自宅にあった足踏みの鉄のミシンは、リズムに乗らなければ糸が切れてしまう感覚的な難しさがありました。

現在のコンピューターミシンとは違うのです。

そのコツを何となく、ぞうきんを作る中で得ていったという記憶です。

その時、横には祖母がいました。

あとがき

バラバラだった家族が、自然に引き寄せられるように集まって、そして新しい形の再出発をしていく姿。

複数の糸が織りなされて1つのストールが出来上がっていく動きと1家族を含む人間の集結が重なります(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

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