まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
遡ることバブル時代付近。
ハンドバッグの中で主役級的ポジションだったのではないかというほどの巾着型のバッグが流行の時代があったと思います。
最も伝統的な作りは「アイレットカン/片面ハトメ」というリングの穴パーツは全12セット。
そこに、細い共素材のひもが通されます。
そして、キューッとひもを引っ張ることでウェーブが出現、ストッパーなどで固定され、台形型のような全体フォルムが出来上がっていたのでした。
絞るという動きにより変形し形ががらりと変わる点が巾着バッグの不思議な魅力、おそらく伝統的な12個タイプは、口をしっかり閉じるための12個であったのでしょう。
ただ、12個タイプは、生地が3層くらいに折りたたまれ、引っ張る負担が大きくひもの擦れに表れることで1点に圧力が集中し過ぎるような感じです。
そこで、かつての12個穴を8個へ減らしたことがまずはこのたびの製作の大きな特徴になります。
絞る時の生地への負担などを和らげることに重点を置き、絞り切らないことでそのフォルムはスクエアライクに。
そのせいでセキュリティー性が弱まることを、内部に設置した「蓋」でフォローすることになります。
波打つような絞る巾着デザインに相性の良い花柄バッグの長持ち策、締める圧力を軽減したひもホール8個型
巾着型の柔らかな雰囲気には、丸い形の花柄がマッチするのではないかと花柄生地を選択。
そもそも「中表」の袋型デザインの「反り」による丸み、そして紐で引っ張って形がシェイプされたウエーブラインには、丸みのある柄は相性が良いです。



アイレットカン/片面ハトメは後から穴を開けるので、どうしてもミシンの縫い線とぶつかります。
小さめのバッグではなおさらで、このことはどうしても起こる悩みでした。

入口から中を覗き見るとすぐに見える風景、こんな風に重なってマジックテープで閉じる入り口の比翼のようなパーツが顔を出します。
巾着ひもホールが8個しかないことでルーズになる入り口、存分に絞り切れないデザインに対してのセキュリティ性のフォローなのです。
メリット・デメリット両方はあれど、全体としては効果を感じます。
12個の巾着ホールでは傷みやすく負担が大きかった巾着ひもの擦れや圧力に対しては、8個は「優しい作り」となったのでした。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.04.17からおよそ5年半後の2025.01.15に、ブログ記事の「手直し」の順番でタイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。
このアイレットカン付きの巾着バッグデザインにずっとあこがれていた長年。
ついにハンドメイドでも実現できた2019年の製作でしたが、その後は完全廃止。
理由は、元の生地に穴を開けることの「心地の悪さ」が払拭できなかったこと。
心地の良くない製作が良質な完成になるとは到底思えないのです。
ただ、「巾着」という引っ張ることで逆に絞られる物理的構造をファッションアイテムに引用した最初の発案者様には非常に敬意を持っています。

生地に穴を開けてまでかっこよさだけを追求することは、意味がないと考えます。
こうした考え方を持つようになったのも、2019年に主に製作したこのパーツを使ったポンチで穴をくり抜いてわざわざ生地を破って設置する数々の製作の過程があったからこそ。
やはり、記録としては貴重であり是非残したいと思ったのです。
「いやいや、結構スタイリッシュに仕上がっているじゃないですか?」という突っ込みに対しては、こう答えたいのです↓。
「製造者本人の気持ちがこれを良しとしませんでした、穴を開ける瞬間が非常につらいのです」と。
これも「サスティナブル」の1つ、製造する本人が気持ちよく製造できるということがそもそも大切なのです。
