<経理>ハンドメイド品製作者向けの棚卸の仕方-仕訳編-【851】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

すぐ1つ前の記事の【850】の続きの記事が今回の【851】です。

前回は、棚卸作業において、ハンドメイドバッグ製作事業の私の場合で、生地や附属を数えていく上でのイメージとか分量とか風景が分かりやすいのかな。。ということでご紹介致しました。

今回は、いよいよ、そのカウントした材料や製品を仕訳の形で計上していくような、経理事務作業の場面です。

今回で、決算の作業における棚卸のゴールに到達できます。

実際にpicturesqueが使っている棚卸資産表のご紹介と使い方

製品(ハンドメイドバッグ)の在庫をリストアップした棚卸資産表:エクセルでこんな風に作りました。仕訳の時に昨年度の金額も情報として必要なので、あえて、昨年のリストも右から左へスライドして掲載しています。

黄色いマーカーの部分が、主役である、今期のハンドメイドバッグの在庫の明細部分です。

一番左の細かい数字は、明細の番号だけなので、1から順番です。

製品番号という部分は、製作時に原価表を作ったり、ヤフオクやクリーマで販売の時にタイトル内に謳うシリアル番号みたいなもので、この製品を表すものです。

左から製作年月日とその年に製作した採番で成り立つ、10ケタの番号です。

名称というのは、そのハンドメイドバッグの名前です。餅巾着とか切餅とかのネーミングです。

その次は写真を掲載。やはり、昨年度写真無しでやってみましたが、写真がないと私も何だか、もやっとしましたので、今年度改めて写真わくを復活させました。

そして、前期末の在庫のお部屋、今期末の在庫のお部屋と大きく分かれています。

前期末は、昨年度の表をそのままコピーしたものを左にスライドさせることで出来上がります。

今期内処理というところには、計上したことに関連する文言を入れまして、日にちも入れます。

例えば、今期内に、前期に在庫だったバッグを廃棄処分した場合には、<製品廃棄損-材料仕入>という仕訳をこの作業より数日前に12月31日付でまとめて合計して計上済なんです。

よって、廃棄:3/31などと廃棄し日付を伴う処理を記載。

ということは、事前に、廃棄処分した場合には、その日付をメモしておいたという下準備があったわけですね。

今期内処理には、もちろん売上もありまして、前期在庫だったものが今期ご購入されたものは、売上:9/30などと記載。

引き続き今年度も在庫にしていく場合は、仕訳処理としては何もないので、空欄。

今年度に製作して今年度内に売上たものは、この在庫リストには載らないことになります。

また、今年度に製作して今期末で在庫のものは、このリストには新規として追加されます。

ここで、この中で一番重要な事項のお話になります↓。

前期も、今期も、在庫額という欄が一番右にありますね。

この在庫額という金額がどんなものの集まりなのか。。。

これは、製品1点ずつの原価表の値から引っ張ってきています。

ということで、製品を製作するたびに実は、原価表を作ってきていたのです。

そのことが、この作業にはとても便利です。

ただ、原価表の合計をここへ掲載すればよいのですから。

ところで、原価表というのは、正味の証憑やエビデンスの集まりと考えますので、製作における加工賃などは、たとえ、利益には入れていても、この場合は、自分で製作しているので¥0なんです。

ここを間違えないように。

このバッグは、非常に手間がかかっているので、¥10,000を盛り込みたいといって高額なバッグにして販売していたとしても、原価としては、加工賃は¥0です。

ただし、外注で、よその人にお願いしてバッグ製作を頼んで請求書があがり、支払いが行われたなどの場合は、もちろん原価に入ります。

この違い、他者(他社)さんが作ったものか、自分が作ったものかで大きく変わりますので、その違いを十分に区別する必要がありますね。

材料(生地・附属)のをリストアップした棚卸資産表:上の製品のものと全く同じ表で良いです。ただ、材料に関しては非常に多いので、困難な作業になるからと、写真の掲載は省いています。

上の製品と同じ要領なので、後は省略しますね。

では、次に、いよいよ、この棚卸資産表の合計の値をもとに、決算仕訳を経理ソフトへ入力して計上を終えるというクライマックスの場面へ移りますね。

事業主開始時に、税務署さんへ仕訳説明会の際に相談したところ、製品と材料とは仕訳計上は、分けた方が分かりやすいということになり、私もその通りだと思いまして、こうして、2種(●が2つありますね)分けて計上しています。実際のe-taxでは、合算を求められてはいますが、棚卸資産表としては分かれている方が作りやすいです。

まず、そもそも、この棚卸した製品とか、材料というのは、資産にあたりますので、簿記のルール上、資産の発生(+)が左側(借方)、減少や取消(-)が右側(貸方)に位置するということをイメージしてくださいね。

この仕訳の時に昨年度の情報が必要になるから、上の資産表の合計金額の昨年度も関係してくるわけなのです。

ですから、あえて、表に昨年度を掲載したのです。

これを、今年度だけの表にしてもかまわないですが、結局、仕訳の時に、どうだったっけ?と昨年の書類の中をあさったり、昨年の会計ソフトにもどって値を確認したりする作業を必ずするに決まっています。

それも、最終的なチェックには少し見るかもしれませんが、こうして資産表に最初から、コピーしたものを左側にスライドしておくのは、この時のスムーズさを目指したものになります。

私は、製造しているので、あえて、製品という言葉使いをしていて、経理ソフトの科目も自分で作ってデフォルトから変えていますが、結局は、e-taxなども商品という欄へ入っていきますので、ただの自分の拘りだけです。

さて、この棚卸仕訳について少し解説しますね↓。

今一度上の仕訳を再び。。。

まず、上の段が、製品であるハンドメイドバッグの棚卸仕訳。

昨年度の製品の10,000が今年度で20,000に変わりますので、資産が発生している左側にあった、つまり計上の状態にあった繰越商品に値する、私では、製品という科目のをいったん右側に移動して取り消します。

その代わりに、今期ならではの決算書用の科目である、1年に1度しか出てこない期首製品棚卸高という科目を発生させます。

そして、2行目として、今年度の新たなる在庫表示として、20,000の製品という資産を発生させます。その右側というのが、ペアの相手のようなもので、期末製品棚卸高です。

期末と付くから末尾の位置に配置などと覚えたらよいです。

材料の方も全く同じ考え方なので省略しますね。

あとがき

棚卸に関する記事は、過去にも書いています。【199】という記事ですが、毎回多く読んでいただいている記事になります。

数学の式などの横並びの形ではないので、何か、左右という表現がなじみにくいですが、そういうものということで位置などを覚えてしまったらよいかと思います。

突然変わることなど無く、数字が変化するだけでいつも同じ配置に同じ科目が来るのですからね(^-^)。

当記事【851】も、他と同じように、YOUTUBE、インスタグラムと同時進行で並行してアップしています。

もし、ご質問などがございましたら、ご遠慮なく、どのSNSからでも、当HPのお問合せからでもお気軽にどうぞ。

何かお力になれることがあれば、お返事させていただきたいと思います(^-^)。

<経理>二度の計上が行われる、○○金という科目は、間違いチェックのための「消込:けしこみ」が有効なわけ【696】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

以前、【676】の記事では、クレジットカードが引き落とされる日にする作業として仕訳なども一部ご紹介しました。

あの【676】の主な目的は、「金額」だけにスポットを当てて、普通預金の残高と帳簿が一致するものです。

けれども、実は、金額が合っていればすべてが合っているか、間違いが起こっていないのかというと実はそうではないんです。

あくまでも、金額が合うということはお金にまつわる科目、普通預金、現金などの資産の部類の科目が合致した時に果たせる成果なのです。

科目の中には、〇〇金と呼ばれるものが複数ありますね。

この〇〇金という、こちらもお金にまつわるような科目、この意味を簡単にまとめるならば、一時的な科目ということできます。

つまり、いずれ、最終的なストーリーでは、取消が行われてこその、一時的な仮の状態の科目となるわけなのです。

ここでは、「売掛金」、「買掛金」、「未払金」を主に例に挙げますが、この3科目は、3大消込科目と呼ぶような、件数の多くなる少し複雑な明細であることが多いものです。

注意の編み目をくぐり抜けるかのように存在している間違いの例

私が、実際に経験した、「うそでしょ!?」なんて思うような想像していなかったミスとか、気が付かない無意識の間違いをいくつかご紹介したいと思います。

複数回ずつミスした部分なので、きっと間違いやすかったり、そもそもここにその間違い易さの原因があるなどのお話をさせていただきますね。

主に、下記の3つが頻繁に起こっていたミスでした。

経理事務を15年近くやってきた私で1年の中で3-4件です。

①二重計上

②買掛金と未払金の科目間違い

③クレカ引落日に、事業用を事業外にしてしまった

この3つばかりだったのです。

1つ1つ具体的にご説明したいと思いますが、YOUTUBE動画の中でご紹介したいと思いますので、下記に貼りますね。

買掛金や未払金の残高が不一致の原因(筆者の体験の記録より):普通預金の残高は合っていても不一致でそのまま気づかないことが多いので対策の必要があるというお話です。

「消込:けしこみ」という手法について

こうした間違いが発生している事実を確かめて、本決算までの間に修正するという目的で、「消込:けしこみ」というものがあります。

消込は、〇〇金と呼ばれるものはすべて可能な作業です。

帳簿を印刷して、買掛金の発生時、消滅時の2つの仕訳を打ち消し合う作業です。必ず、貸方、借方の反対側ずつに位置しているので打ち消し合うことができることが前提。個人事業主では、シンプルなので、マーカーをひたすら引いて、トランプの神経衰弱のように数字だけ見て短い時間でチェックできるものです。

もう少し具体的には、買掛金の場合、発生時に、<1,000 材料仕入-買掛金 1,000>と仕訳していたものを、クレカ引落日に消滅の仕訳の、<1,000 買掛金-普通預金 1,000>の仕訳をすることで、買掛金が対角線状に打ち消し合うことになり、買掛金自体の金額が消滅していきます。

その残高こそが、現時点でいうところの、仕入れたけれどもまだ引落がされていない状態の金額と一致するのです。

それが、本当に合っている帳簿に出来上がっているのかで仕訳が正しく行われたことを導けます。

このチェックで変に前の物が残っていたりすることが、YOUTUBE動画でご説明の上の①②③であることが多い間違えをしているということになります。

紙を印刷せずに「消込:けしこみ」的なチェックをする方法-1項目ずつのバージョン

現代のペーパレスの時代に、この印刷してマーカーで消込をするという作業に、いかに用紙を多く使うのかということが無駄の多いものになります。

紙は馬鹿にならない重さになるので、コンパクトな方が良いものです。

消込は保管しておく必要はないかと思いますので、いずれチェック後捨てますね。

そうすると紙に印刷せずにできるチェック方法はないものかと考え付いたチェック方が1つあります。

それをご紹介したいと思います。

経理ソフトがあってのベースとなりますので、経理ソフトのお力をお借りします。

私は「マネーフォワードクラウド」さんにお世話になっています。

総勘定元帳などじゃなくて、仕訳の画面のまま、「摘要」という空欄に、買掛金の場合だと仕入れたお店の名前を検索します。

もちろんベース的には、当初の計上時に摘要欄に正確にお店の名前を入れてある必要がありますが。。

そうすると、何度かリピートするお店であっても、そのお店にまつわる、材料仕入-買掛金という買掛金発生時の仕訳と、クレカが引落される日の、買掛金-普通預金という仕訳の2つが必ず左右反対側に位置しながらペアで存在しています。

この時の相手科目がちゃんと同じになっているかで、②がチェックできます。

そして、そもそもここに載ってくるかで、発生時のソフトへの入力の漏れがないかのチェックもできます。

当然①の二重計上とか、③の事業用にちゃんと計上したかもわかるのです。

こういった摘要の検索の使い方は、ある意味ピンポイントであり、会社でいう経理部門の細かな何枚にもわたる帳簿の明細を見ていくよりも、個人事業主らしいシンプルなチェック方法だと私は思いました。

ただ、それでも、月末あたりには、残高の一致を調べることをするのは必要かと思いますので、その残高の一致の時に必ず合うように導ける作業だと言えますかね。

あとがき

人間というのは、間違う生き物です。何一つ正確にはできないものなのですねえ。

消込も、AIがとって代わってやっていくれる時代がいずれ来るだろうと思いますが、そうは言っても、基本的に、この消込自体の意味とか、なぜこれが必要なのかは、AIが軌道に乗って、無知なまま頼っていけてしまうよりも、今現在としては根本から理解するチャンスだと言えます。