ハンドメイドバッグの美しいお仕立て、黒のマルチカラーの縫い糸は本当に黒糸で良いのか!?【757】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、餅巾着というデザインのリュックを製作中。

その製作の中で、黒ベースのマルチカラーの小花が登場。

この時に使う縫い糸が思わず黒を選びがち。

しかしながら、その出来栄えは。。。

ということで、今回は、縫い糸が本当に黒を安易にチョイスしてしまってよいのかということの結果の見栄えの検証です。

黒VSグレーの糸で実験してみました

実際には長い生地でこの2.5cm巾で作るのですが、実験なので、短めで雰囲気を見るために試作します。
左:黒糸で縫った場合、右:グレー糸で縫った場合。

黒とグレーって結構近い色だと思いがちですが、こういったマルチカラーの場合、地が黒であっても、その他の色の割合も高く、意外な結果になりました。

両方を見比べていただきたい。左側は柄を遮断するように主張が強く、右側は控え目でマイルドであることで、柄が引き立ちます。

このことが、過去の製作で、同じように黒ベースの鮮やかな原色カラーの花柄のプリント物の製作時に起こりました。

その時も、グレーですべての部分を縫いました。

もし、左のように黒糸ですべての部分を縫うことを考えると出来上がりのすっきり感の違いが歴然。

理論的には、黒ベースなのだから、黒糸をチョイスしがちですが、その後の見栄え/見映えというところが、大きく変わるようです。

黒のステッチを強調したいデザインの場合は左の方が有効的なこともあるのでしょうが、こういった柄物の場合、柄を活かしたいからかわいい柄を選択しているのであって、やはり柄優先にしたいところです。

黒だけに言えることではない、紺や焦げ茶も同様

黒は色の中で一番強い色だと言われるように、分かりやすいものでした。

同じように、焦げ茶や紺色も過去に経験がありますので、黒よりは負けますが、なかなか強い色で、こういったあたりの色までは今回の事が同じように当てはまるようです。

もし、黒、紺、茶ベースのマルチカラーなどの柄物を縫う際に糸を選ぶ時に一度このことを思い出してみてくださいませ(^-^)。

あとがき

さらに細かいことになると、糸の色の他には、「糸調子」も美しい見栄えに繋がるかと思います。

調子の悪い糸はどうしても良質に見えにくくなるので、糸調子の良し悪しも注視するようにしています。

細かなわずかな1つ1つの綺麗に仕上げる工夫の積み重ねが1つの商品の出来上がりの「わぁっ!」という印象になるのだと思っています。

ロックミシンを使わずに一重仕立ての巾着袋の縫い代を完全に隠す方法【744】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

縫い代の始末。。。これは常に意識することです。

奥ゆかしく、きちんと縫い代が隠されていることはハンドメイドバッグがすっきりと美しく仕上がる、間違いなく1つのポイントになるものであると考えています。

今回は、この縫い代を一重仕立ての巾着袋で完全に隠すというものを、製作途中のリュックの内側に設置の巾着部屋部分の縫製段階を例にご紹介したいと思います。

もともと二重仕立てで設置なのですが、ビンテージ生地であり、入手が不可能、一重仕立てでやらざるを得なくなった状況です。

先に三つ折りをしておくというやり方

二重仕立ての場合、2枚が重なるその中に互いの縫い代が都合よく隠れてくれます。

しかしながら、一重仕立ての場合はそうはいきません。

むしろ一重の方がそのあたりが悩む部分であり、難しい点だと言えます。

マチ以外のすべての縫い代をあらかじめ1枚ずつで三つ折りをします。7.5mmずつがやりやすくコンパクトです。

そうして、通常のように巾着袋を地縫いしていくのです。そうするとこんな感じに。。↓

これは、まだ裏側を写していますが、巾着袋が一重仕立てで縫い代がすっきり隠れたものになりました。

表から見てみますね。まだひもを通していないです。↓

マチ部分の縫い代はこのままで大丈夫です。本体と裏地のマチと一緒に挟み込みますので、この時点では隠さなくて良いのです。

以上のように、先に三つ折りをしておくと、可能なんです。

しかし、地縫いの時に凹凸があり縫いにくいので、ずれやすいのがデメリット。

待ち針でしっかり押さえ、目打ちなども使用して正確にぴったり重なり合う工夫は必要です。

あとがき

この裏地は今回分厚い生地だったので、一重仕立てでも可能でしたが、異例です。

実際、二重仕立てで、中に巾着がツンと立つように設置するもので、基本二重仕立てで今後も行きますが、たまたま生地が不足していた事態がこのような学びの機会をもたらしました。

結局このデザインって、本来の裏地x2枚と巾着袋の裏地は4枚ということで、合計6枚のパーツというものすごい用尺です(^_^;)。

「餅巾着:もちきんちゃく」というデザインなのですが、はるかに表地より裏地の用尺が大きいケースです。

完成したらレビューとしてまた記事にアップしますので、この今回の一重仕立ての内側設置の巾着がどのような存在になるのか、是非お楽しみにどうぞ(^-^)。

同じ黒テイストの分野にも2つのテイストがさらにあるというテイストの絞り方-ハンドメイドバッグ製作編【720】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

いくつかの記事でお話させていただいておりました、2021年のハンドメイドバッグのテイストを「黒」にしていく件をもう少し深堀りしたお話になります。

もともと黒コーデが好みである私が実際に持つバッグで重宝している黒のバッグ。

しかも凹凸感のある立体的な素材がピンときていました。

それをいよいよ、お客様にもそのままご提供していくのが一番自然で実直な製作になると思い始めました。

そのスタートとして、「テリーヌ」というブリーフケースのナイロン素材の黒色を、そして、「切餅」というエコバッグ、サブバッグなるものを製作してきています。

更に、今回は、旅行などのリュック兼ハンドバッグとして使うコンパクトなサイズのラインである「餅巾着」を製作していきます。

そして、その後、同じコンパクトラインの「巻き寿司」とかバニティー型のハンドバッグ「卵焼き」も製作していきます。

とこんな5デザインのみに絞り切った少ない種類で挑みます。

黒バッグにも2つのテイストを同時に製作していく件

YOUTUBE動画の中でも一番最後にお話させていただいておりますが、黒いバッグという分野に絞ったその中でも、テイストが主に2つに分かれます。

「エレガントなテイスト」と「カジュアルなテイスト」です。

私としては両方とも好んでいます。

今回製作していくのは、後者の方です。

黒系なのだけれど親しみやすい粋なバッグにと思っています。

その生地はこちら。

左-<表地>グラデーションストライプチュール、ナイロン/100%、日本製。
右-<裏地>生地名不明(オックスフォード織)、混率不明(綿混)、原産国不明

左の生地はチャコールグレーです。まるで網戸のようにメッシュでごわごわしています。

とても洋服には使われるような素材ではなく、ポーチなどのアメニティー関連では見かけたことがあるかもしれません。

実はこの素材、パンプスに、メッシュパンプスなどとして使われる生地なのです。

その余り生地をいただきました(ヤフオクにて購入)。

右側は、一見キャンパス地かとも思ったのですが、オックスフォードでしょう。

このような分厚いオックスフォードは海外製の可能性があります。

日本製であるともっと織が繊細で細かいので、このダイナミックさは。。。と予想していますが本当のところが分かりません。

こちらもデッドストックのようなものだとのことで、ヤフオクにて購入させていただきました。

生地名不明のものをハンドメイドバッグにはあまりクリアでないので取り入れないのですが、今回は、こちら、自分用に作る予定だったけれども作る時間がなく購入したので、事業用へ使うことにした特別な生地です。

少しおかしいのが、ハンドメイドバッグ業者が、自分のバッグを作る時間がないために、既製品を購入するというおかしさww。

そんなものなのかもしれません。

事業で使うジュエリーケース入れとして使いたかったボストンバッグを製作ではなくて、既製品のゴブラン織りの薔薇の柄の素敵なバッグを購入致しました(^_^;)。

それはそれで、結果良かったです。

さて、今回の製作ですが、その靴のメッシュ素材というのが初めてで、芯地を貼るのか貼らないのか、透けてしまう対策として黒の芯地を選ばねばならないこと。

裏地に貼る芯地も黒でないと表側に透けてしまうので注意。。など現在浮かぶ注意点はありますが、ミシンの糸が綺麗な糸目に出るかどうか、これが一番のネックです。

スパンなのかテトロンなのか。

糸調子はどのような絞り方をしたらよいのか。

そんなあたりを、結果としてお伝えできたらと思いますので、今回のこの意外な靴素材のメッシュ風を取り入れた巾着リュックである「餅巾着」の完成をどうぞお楽しみに♪。

あとがき

カジュアルテイストの生地も面白いものです。

抜け感というか、肩ひじ張らずに気軽に持てるバッグになりそうです。

エレガントで近づきがたいバッグも高級感があって良いですが、その対極のテイストのバッグも同時に進行したいわけです。

女性は1つにお品を絞ることがなかなか無いです。

いくつかのバッグをいろんなシーンで使い分ける喜びや楽しみを味わう生き物のような気がします。

そういったことからも、2つの違うテイストを同じ絞った黒分野の中で作っていく楽しみを私にもいただくことになります(^-^)。

ビンテージバッグを長期にわたって持っていくことである越えなければいけない峠【665】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、私が実際にビンテージ物の20-30年のブランドバッグを集めてきたことの間に越えてきた、峠があったというお話です。

よく「このバッグ一生物だね」なんていう言葉がありますが、それは最初の新品の内の話です。

その後の経年で果たして本当に一生物に相応しい状態でいられるバッグがどれだけあるのか。

その実際の話になりますので、より現実的にビンテージ物の難しい部分も知っていただこうかと思います。

合皮部分の劣化などの問題に必ずぶち当たるブランドバッグ

私が集めてきたバッグの中で、何もお直しをする必要が無かったというのはほんの1-2点です。

それは、布製だったり、ALLレザーの本革で作られたりしているものです。

ほとんどが、どのような一流ブランドと呼ばれるバッグであっても、裏地に合皮が使われていたりして経年劣化が起こってくるのが10年超えてきた後からです。

私もこれまでいろんなリフォームをしてきました。

自分で行えるもの、リフォーム屋さんのプロにお願いしたものと混在します。

自分で行ったものとしては、合皮部分の内ポケットがねっちょりとべたついてきて、それをポケットのステッチを外してポケット無しの状態にして終わりという単純なリフォーム。

新たにポケットを付ける必要なんてないと思ったんです。

よってその程度は自分で可能です。

自分ではどうにもならなかったものとしては、内袋がまるまる合皮が劣化してまるごと布製へ変更してもらったリフォーム。

これは、もしかして自分でもできるかもしれませんが、綺麗にとなるとやはりプロの直し屋さんを頼るのが一番。

綺麗に黒色の内袋を、テクニックを使って、途中のハギ目からの接結で取り付けていただきました(¥22,000というようなお直し代だったという記憶です。何かバッグが1つ購入できますね)。

あとは、もともと購入時にショルダーが付いていない状態だったので、別のショルダーが無事な本体は劣化と型崩れで終了の中古品から移動して自分でミシンで縫い付けてショルダーにするというリフォームをここ最近しました。

その他は、もともとポーチなのだけれど、ポーチとしてはサイズが大きすぎるものをタブを利用して(タブを補強のためミシンで補強ステッチはしました)、そこへ丸い輪のパーツをはめ込み、その輪に革のショルダーを上述のように他の本体が使えないバッグからの移動でうまく色を合わせて縫い付けることは数点リフォームしました。

これ、あくまで自分使いですね。思いっきりブランドがミックスしてしまっていますので、写真とか具体的なブランド名もご紹介することがなかなかできません。

でも確実にポーチが使えるバッグになったという点で前より価値が出たものになったんです。

こういったビンテージ物のアレンジの仕方は自分にとっては1点物なので、素敵なコレクションになります。

今回のこのリフォームだらけのエピソードから言えることは、一度のリフォーム後は本当の意味で一生物になったということ。

その前までは、中途半端だったり、価値の不足した状態だったのを、「リフォームの峠」を越えて、ずっと今後も使えるものになったということです。

製造側の方も合皮を中途半端に一部使いするということを見直していただきたいと私は強く思います。

合皮なら合皮ならではの雨の日専用ということで、すべて合皮であればそれは納得のお品になれるんですね。

そういうこともなかなか難しい諸事情もあるのでしょうね。うーん。。。

あとがき

今回のこの「リフォームの峠」を超えてこそ本当のビンテージ物がコレクションの1つになっていくというものに対して、事前に何か対策できるとしたら、そもそもバッグを購入する時に表面だけでなく中もしっかりチェックすることでしょうね。

そうすれば、リフォームさえしなくてよいですからね。

例えば、私が持つビンテージ物のバッグの中でリフォームをしなくてよかったものは、断然布製のお品なんです。

布製の表地に対して裏地に合皮レザーを使うことは全くとは言いませんが、あまりないですので、裏地も布であることが多いです。

そうすると表地が布製というのは、結局のところ、長い長い目で見たら、安全な劣化のない長持ちのお品になれるんです。

それは最初の時点では、どうしても本革レザーの表面に迫力が負けたりなどで、その価値が分かりにくいものですが、何十年と経過した時にその実態が分かったりするものです。

ということで、「購入時の慎重さ」というのもポイントになるかと思いました。

裏地も時には主役級の存在に、隠れた部分のその役割と機能について【657】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

私は、今までの過去、お仕事というのは9割型アパレル、ファッション関係の業種で来ました。

勤務時も部署は事務系ですが、業種がファッション関係。

そして、現在の個人事業主も分野としてはファッション関係になります。

不思議なもので、分野が違うと何をやっているのか、てんで分からなくなってしまうのです。

今回は、ファッション関係全般に関係してくる材料の1つ、「裏地」についてのお話になります。

裏という言葉通り、影の存在のようなイメージですし、主役というよりはサブ的な材料のようなイメージがしますね。

けれども実は裏地って結構な活躍をしているということが分かりました。

今回、【651】のベルトの起源の内容の記事と同じく学ばせていただいた本が、

「裏地と芯地:関西衣生活研究会 発行」

の、とても古い、1983年製の教科書のような本です。

専門学校とか大学などの服飾関係の科で使うような本ですが、昔の本でも裏地や芯地は姿や形が変わることが無く、とても典型的で本来の仕立てとかそんなところが学べる昔の本の良さというものを感じます。

裏地の役割とか機能の意外

今回、いつもより長くYOUTUBE内でお話させていただきましたので、YOUTUBE動画を貼らせていただこうかと思います。

あとがき

裏地があるおかげで、一重仕立てでは難しいバッグのデザインんなどが上手く出来上がっていくことがよくあります。

裏地は結構大切なアイテムなんだとハンドメイドバッグの製作でも実感します。

この2021年度の製作では、表地を黒にして裏地に柄を入れていくというバッグを作っていこうとしております。

ややずれて、2021年の半ばにすでになってしまいましたが、後半では、黒バッグを多く作ってお客様に新しいテイストのハンドメイドバッグをお届けしたいと思っております。

デニム生地のバッグを長く愛用してもらうためには、附随の裏地も末永い使用を見込んだ丁寧で丈夫な作りをするべき【97】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、デニムシリーズの最後となります。

①セルビッチデニム、②デニムライク、と進めてまいりまして、このたびの素材は、③7オンスデニムです。

7オンスということで、通常の12-14オンスのジーンズのイメージのあのごわごわした厚手のものの半分くらいのボリュームです。

主に、春夏向けのデニムとも言えまして、デニムのような感じがしないとさえ映りますが、歴としたデニムなのです。

織り方が綾になっていて、しっかりとした作りであることは間違いないです。

今回は、前2回と同じデザインの「丸底バッグ」のまま、アップリケをリボンで飾ったかわいらしさを秘めた+αを加えて、チャームポイントにしていきたいと思います。

水玉の上品な7オンスデニムとの出会い

今回、7オンスのブラックデニムなのですが、さらなる素敵なあしらいがある生地です。

なんと水玉ジャカード。よくあるプリントの水玉とは一線を画します。

水玉のジャカードは結構レアであると思いますし、お洒落で高級感を持ち備えます。

その原因は、やはり糸で柄を出してあることによる凹凸感です。

ネクタイにその良さを見ることが多々ありますね。

<表地>7オンスドットデニム(ブラック)、綿/100%、日本製
・・・ジャカードであることの裏面にも同じ柄が反転で出ることが多いという素敵なメリットを利用します。
反転の裏面でリボンアップリケを縫い付けました。柄が同じなので「なじみながら浮き立つ」素敵なバランス。
<裏地>ジャカード(ブルーグレー)、ポリエステル/100%、日本製
・・・今回裏地にもリボンアップリケを縫い付けました。今度は、裏地に対しては、表面使いが面白いです。
バッグを覗いた時、眺める時、いろいろ楽しめるよう、幾種類かの色合わせで装飾を楽しいものに工夫(^-^)。

裏地だってバッグの顔である

今回のデザインは、なぜか、表地よりも裏地の方が作業が多いです。

以前、当ブログでもアップしています記事にありますが、結構な老舗ブランド様のバッグでも裏地に手を抜いたり、コストをかけまいと悪い素材を使用しているのが見受けられます。

表地は高級な本革で飾るのですが、裏地には長持ちしないと分かっている合皮とかPVCを使うのです。

これには大変疑問と憤りを感じます。

長く持てるお品物をと本気で思うなら、裏地も必ず長く持てるような作りや素材にしなければ、実際に途中で手放すものになることになるのが大変な矛盾です。

どんどん買い替えてもらうための計算なのか、それとも、費用の調整なのか。。。

このように、私自身もブランドバッグが好きでそういった裏地の点で苦戦したり、がっかりした教訓があるのです。

そうして、自分が製造するバッグの裏地は表地にともなってそれ相応の状態で使っていけるものにと考えています。

ということで、裏地という中側の見えない部分であっても1点1点のパーツに込めた丁寧さであったり、縫いであったりを意識しています。

バッグの中側の様子:裏地だからとレベルを落とす云々ではなく、
表地+裏地という対等な考え方で、丁寧に新調に素材を選びながら作って行きます。

まず、布製なので、経年劣化は起こり得ません。

その他、パーツを取り付ける時の返し縫いなどを惜しみなく施します。

Dカンのタブが外れたりなどのことが使っていく途中で起こらないように作っています。

ポケットに関しても、2度縫いをしているので、頑丈に取り付けられています。

2mm厚のベルポーレン製の底板も裏地の底の下に設置されて入れ込んであります。

もちろん、本革には本革の良さがありますが、布製も負けず劣らずの「持ち」がある程度可能であるところも作り方しだいだということをお伝えしたいです。

タブなどは、革製は、どうしても取り付けのミシンの通り具合を考えて、薄くすいたりすることで結局は弱いものとなりがちです。

以前、これもブランドバッグですが、タブが簡単にちぎれてしまいました。革が1枚仕立てですいてあったのです。

そうすると、布製の共布のタブは、4重の2枚重ねということである意味薄く漉かれてしまった本革よりもかえって丈夫だと言えるのです。

この辺りは、細かい部分で陽の当たらない部分ではあるのですが、後のお直しをできるだけ必要としない工夫の数々なのです。

完成品を見ながら、オンスの小さな薄手デニムの可能性を考える

完成した7オンスデニムのバッグ(黒):<サイズ>縦32cmx横35cmxマチ15cm。

取っ手は本革を使用しています。8mmのアイレットカンに通す8mm巾の取っ手です。

スリムなので、スタイリッシュな雰囲気です。この本革のベルト素材は既製品で、幅は8mm-10mm辺りがスタイリッシュに映る巾となります。

8mmより狭いのは、バッグのサイズから見ると、バランスが悪すぎるので、ミニマム8mmと考えます。

あとがき

購入者様も長年使ってデニムの色の変化を楽しみたいという気持ちもお持ちだと思います。

そうすると、表地の素材だけを重視するのではなく、それにともなった裏地の作りも長持ちするように工夫することが大切になっていきます。

一流ブランド様の数々の経年劣化の裏地のひどさは、そういった意味ではとてもバランスが悪い素材の組み合わせをされているかと思います。

また、バランスのことで言いますと、逆もあります。

メイン素材がナイロンで破れてきているのに、取っ手だけ本革で丈夫であるというのもこれも逆にバランスが悪いです。

そうすると、バッグ全体がいかに同じ程度で経年を迎えていくかということも作る時点でよく考えるべきでしょうね。

そこまで考えられることが、使い手のことを思いやった製作ということになります。

お品を見るとそんな目に見えない「気持ち」の部分が現れてしまっているということも驚きです。

やはり、製作する姿勢1つとっても、「実直」であるべきなのです。