出来上がると内部に隠れてしまう隠れた「当て芯」こそが良質なバッグを作るのではないか【753】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作歴15年が経過、最初は2007年からのスタートでした。

製作にも発展があり、「良質さ」を高めようと見えない部分にも気を配るようになります。

この目に見えない部分も随分あり、商品に完成した姿を眺めるよりも、バッグはもう少しパーツが実際には多いのではないかと思います。

宙に吊り下げて持つものであることから、強度の面での工夫は非常に重要です。

バッグが意外と単純な構造に感じるのは、表に出る部分だけを見る機会しかないからで、内部には複数の秘密があるのです。

このたびは、製作途中のシーンでしか見ることができない、補強用の当て芯の場所と使われ方にスポットを当ててみました。

「餅巾着」デザインを現在製作中のリアルな場面ですので、後の投稿記事【755】の完成の内部の姿がこうなっているのだという見方でご覧いただけます。

ハード厚芯とハード薄芯の使い分けの理由が分かります

ハード厚芯:上2つの8角形は取っ手の付け根カバー、下の6角形は、Dカンタブの付け根カバーです。

ハード厚芯(あつじん)というのは、暑さが1mmほどある硬いものです。

最初からぎりぎりのサイズにすると縫い目のゆがみや位置のずれに影響するので、型紙としては正方形や長方形の粗裁ちで縫い付け、最後に余分をカット。

次に、ハード薄芯の方ですが、こちらは、取っ手など重い力がかかる場所よりは比較的軽い、内側のポケットの入り口周りに使っています。

わざわざハード厚芯を使うと、バッグ全体が重くなる要因になるので、必要な軽さの薄い方の芯地で良いとの判断です。

それでも、ポケットをそのまま縫い付けるよりも、本体生地への負担が少なく、長い目で見てバッグが長持ち。

隠しポケット用当て芯(ハード薄芯):紳士服のポケットの片玉縁(かたたまぶち)に類似。

完全に隠れてしまう部分ですが、実は、隠しポケットが綺麗に出来上がるための立役者的な存在でもあるので、このハード薄芯を使うか使わないかの違いはあります。

こういったパーツも、専用に型紙を作っています。

なぜかというと、適当では設置の際に歪みの原因になるからです。

斜めのものを当ててしまうと、目の錯覚で、斜めにつられて縫ってしまうということを防ぐ為です。

その後、芯地だけの為の長方形のまっすぐの型紙をすべての当て芯パーツにも作っておくことを徹底したのです。

大きい方の当て芯(ハード薄芯):パッチポケットの袋の縫い付けに使っていました。

その後は、パッチポケットは粗いイメージであることと、生地が伸びがちで正方形に縫い付けにくい事で廃止。

隠しポケットの入り口をフラップで覆うという混合タイプで統一するように変わっていきました↓。

バッグの内ポケット:通常はフラップが閉じています。
フラップの内部:隠しポケットが顔を出します。

ポケットデザインが、「フラップ+隠しポケット」の混合型に改良されたことで、当て芯の面積が減りました。

隠しポケットの枠の周りの細長パーツとフラップのてっぺんの縫い付け部分の細長パーツというコンパクトな面積の当て芯で事足りるようになりました。

それでも、以前のべたっと貼り付けるパッチポケットよりも隠しポケットの袋が内側に隠れることで、容量にもゆとりができましたし、セキュリティー性の高いポケットが実現できたのです。

その他の見えない部分の材料は、「伸び止めテープ」、三つ折りステッチがある隠しポケットの「比翼」に使用

芯地のみご紹介させていただいたのですが、実は、伸び止めテープも隠れた裏側で使っていますので、最後にこれをご紹介致します。

伸び止めテープは少し芯地に役割が似ていまして、補強とハリコシを出すということです。

その名の通り、伸びがちな生地の横向き(引っ張ると織物でもわずかに伸びます)を固定してくれる役割があります。

よって貼る向きが横向きが多いのがピクチャレスクの製作の特徴。

ポケットの入り口ラインなどが、伸び止めテープによってうねりが解消され、びしっとなり迫力が出るのです。

この貼る/貼らないの違いもなかなか大きなものなのです。

隠しポケットの例:この隠しポケットの入り口の比翼みたいな部分に伸び止めテープ(9mm巾)を貼っています。

あとがき

随分隠れた部分の内蔵ヶ所が多いことをお伝えできたと思います。

これをどうご理解いただくかというのが、もう、今はこういった発信しかありません。

出来上がってしまえば、何ら他のバッグに紛れてしまいますので、この細かい部分が分かることは無いのです。

今後の製作の発展や努力があるとすれば、一目見てもキラリと光るようなお仕立てを写真で見ただけでも「何か違うな。。」と感じてもらえるようにすることです(^-^)。

バッグ製作の小さな型紙の7.5cmx5cm、2種類の全く別のバッグのパーツになる「折り方」の違い【751】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

リュックを製作中でございます。

複数のパーツから成り立つリュックなのですが、面白いことに、全く同じ縦7.5cmx横5cmの型紙が別々のパーツとして2種存在しているのです。

元は同じなのに、その違いを生むのは「折り方」です。

最終的に出来上がる姿は幅も縦の長さも違う別物。

このたびは、出来上がりの形状が違うことでの強度の違いや目的の違いなどをお話致します。

単純な長方形の型紙でも随分奥行きある製作ができるヒントとして見ていただければと思います。

作りが違う別物になった2種のタブは元が同じ型紙である、折り方で違うデザインになると同時に違う機能を目的としている

それぞれの出来上がりパーツの横に置いてあるのが型紙。2種が縦7.5cmx横5cmの全く同じ型紙。

1つは、入り口の留め具のDカン、ナスカンにそれぞれ1枚ずつ使う縦7.5cmx横5cmの型紙です。

三つ折りで真ん中に2列ステッチが走ります。

もう1つは、リボン紐の先カンとして使用するタブのようなもの。

こちらは、二つ折りを均等にしていった結果紐先をくるみ込む役割のパーツに出来上がります。

指にひっかかることで使いやすかったり、デザインも兼ねています。

こちらは、ステッチはボックス型の二度縫いです。

元の型紙は、こちらも縦7.5cmx横5cmなのです。

全く同じ型紙ですが、用途によって2種の別の型紙に分けております。

Dカンやナスカンタブに使う方は真ん中まで三つ折り(二度折ります)なので、ややしっかりしています。

それに比べてひも先のタブは、ひも先に縫い付けるミシンステッチのかけやすさも必要であり、ゆったりと平たい二つ折り(一度だけ折ります)の繰り返しで出来上がるもの。

バッグ自体の重みをすべて背負うほどの圧力がかかる方のDカンやナスカンタブには生地が多く重なる方の強度が強い方のタブということ。

反対に、ひも先の凸凹に対応できる柔軟さのための平たさは圧力はかからないけれども着実に美しく縫い付ける飾りも兼ね、ステッチのかけやすさを重視することになるのです。

こうして、目的に応じて同じパーツでも折り方が違うことで、「美しさと機能の両方の充実」を目指しているのです。

あとがき

ニュースでたまたま拝見した「売れたバッグ」というのがありました。

その取っ手はなんと、この度で言うDカンやナスカンのタブと同じ作り方でした。

picturesque(ピクチャレスク)では、取っ手は四つ折り観音開きで4重にしますので違う折り方です。

ただ、その製造者様の考え方を想像しますと、四つ折り観音開きはアシンメトリーであり、片方が「わ」で片方が「ハギ合わせ」というがたつきがあります。

そのちぐはぐが無い均等な折り方である両端から真ん中へ向かう三つ折りのやり方を選択され、ショルダーの出来上がりの左右の幅のバランスを重視されたのだと思います。

細かい所を見ると、そっくりでも実は製造者の重視する点によって作り方が随分違うものなのです。

柄の可愛さや表面の様子で隠れている場所ですが、じっくりと研究している方だと見る場所なのではないかと思います。

個性はデザインだけじゃない、サイズに特徴を入れていくビッグセルヴィッチデニムリュックの姿が見せてくれるもの【750】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、とても大きなリュックのオーダーを近所の方から賜りました。

ほとんど勝手に詳細を進めてしまったのですが、そんな中でも忠実だった唯一の事が、「サイズ」でした。

ペットボトル2Lが横向きに5本くらい入る容量というのがかなり具体的でした。

そのようななリュックは山登りなどの特殊な分野のものしか見たことが無く、セルヴィッチデニムでビッグなサイズを作るところに希少価値が生まれました。

入れるものが決まっている場合は型紙を作りやすいのですが、ポケットにデザイン性も入れていったところがセルヴィッチデニムならではの製作になったのではないかと思います。

カジュアルなイメージのデニムなのに裏地を設置し、エレガントな解釈をしたところもご覧いただければと思います。

リュックでも取っ手を2個とも付けたことが使い方の可能性を広げた

ビッグリュック:サイズは縦57cmx横39.5cmxマチ17cm。パーツによってデニムのロットが違います。

背の部分のポケットはタオル入れなどにと設置。

フラップ付きで隠れながらも取り出しやすいです。

フラップは、セルヴィッチデニムの「赤耳」の部分をデザイン性を出してボーダー柄にパッチワークしたもの。

ロットが違うので生地の濃淡がありますことを味わいに。。

多くのパーツが残り生地をかき集め1つにまとめたものとなります。

そもそもデニムでリュックが珍しい中、思い切ったビッグサイズでさらに特徴を出します。

この写真の上の方の取っ手がリュックによくある1点ではなく2点である所に、ビッグリュックを手で持ち歩くシーンが持ちやすく引っ張る部分を均等な圧力にしてくれます。

大きなリュック程ちゃんとした2点の取っ手があることが良い効果となるようだと感じました。

裏地の素材は、同じ綿/100%でデニムと足並み揃えつつもエレガントさを忘れなかった先染めチェック

裏地はこのようなシックなチェック柄を使用しました。ジャケットやスラックスのイメージの柄です。

先染めは、高級感があります。

表地のカジュアルな綿の素材であるデニムに合わせて、綿/100%のチェックを選択。

なかなか厚みもあり、デニムとのバランスも良いです。

大人が持つデニムに相性の良いような無彩色なチェック柄、デニムだからとビビッドなカラーに走らない冷静さを「主張」したのです。

セルヴィッチデニム素材と共にいずれも日本製の生地です。

実はビジネス用のブリーフケースと同じモデルが基本

今までもずっとこのお仕立てでやってきていますが、こういったファスナーが付くタイプのバッグは、デザインすべてが、基本的には同じ作りです。

表地と裏地の縫い代をあらかじめ隠す「中表」でひっくり返し、プレートを「外表」で組み立てていく方法です。

レザーのブリーフケースに見られるような作りですが、布で作られることはほとんどないようです。

ブリーフケースを縦に伸ばしたのがこの度のリュックのデザイン。

反対に小さいものへもアレンジが可能ですし、マチを広げてボストンバッグにしても作りとしては全く同じです。

あとがき

セルヴィッチデニムリュックにはご使用の際の注意点があります。

ショルダー部分が、雨の降り始めや大雨の時であると、白いTシャツなどの洋服に色が移る場合があります。

天気の良くない日での利用を避けるか、ダークカラーの色のTシャツやお洋服をデニムと接するアウターに着ることをお勧めします。

天気の良い日は、白のTシャツなどにデニムが爽やかで◎。

ただ、場合によっては、汗で染色がにじむ可能性もあるので、いずれにしても白いお洋服にはお気を付けを。

これまでのアメカジ風なデニムの装い方の大きなくくりの流行がいったん終わったとうなことが囁かれました。

デニムにパンプスをはいたり、スラックスのような感覚でエレガントなトップスと合わせたりなど2015年くらいから、確かにエレガントなデニムのはき方を追求しています。

この度のリュックもどちらかというとエレガントにデニムを装いたい場合にはよくマッチするものになったのではないかと思います。

内部の裏地の選択は無限です。

花柄にしたり、別のチェックを選んだりなど可能性にあふれているところに楽しみがあります(^-^)。

メッシュパンプス用のごわついた素材で作った巾着リュック、本来の目的のアイテムではない物の製作にずらす新鮮さ【745】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

リュックが1点完成しましたのでご紹介したいと思います。

名前は「餅巾着」。

バッグにメッシュ素材は時々ありますが、大変ユニークで、元はパンプスに使われるごわついた素材、混率はナイロンです。

ごわついているからこその良さというものもありまして、なかなか面白いものになりました。

本来いかにもそれを作るための素材のイメージを良い意味で裏切るような意外なアイテムへの「ずらし」の面白さをどうぞこのたびの例から引用してみてくださいませ。

とても意外、メッシュ素材が縫い易かったことで綺麗に出来上がった喜び

メッシュ素材は、ごわついて一見縫いにくそうなイメージでしたが、これが意外に真逆の結果でした。

もしかしたらメッシュの厚みなども関係するのかもしれませんが、このたびのメッシュ素材の場合に関してはとても縫い易かったです。

折り目もきちんと付き、まっすぐに出来上がるのが特徴です。

生地の重なりもずれにくく、非常に作りやすかったのでした。

さすがに、ハード薄芯は必要ありませんでした。

十分にハリコシがもともとあるので、入れたところで変わらないのです。

接着芯はメッシュですので多少透けますが、この場合は黒色がマスト。

接着芯も思いのほか相性がよくピタッとくっついたのでした。

完成:「餅巾着:もちきんちゃく」。<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

右側にひょっこり出ているのは、入り口のリボン。

裏地の共布ひもの先に表地のタブで飾っています。

背の部分:ショルダーは調節可能。取り外してトートバッグオンリーでも使用可能。
中側の構造:巾着袋が丸ごと設置。空きの部分の多い巾着型のセキュリティー性の弱さをカバーします。

内袋の入り口の空きがやはり気になるところで、本来薄手の二重仕立てが良いのですが、生地の不足で一重仕立てで厚手を利用したことがここに表れました。

これも貴重な学びです。

ここで見えている幅広の共布ひもは、入り口用の巾着ひも。

内袋の巾着ひもとは別なのです。

内袋の巾着紐:こんな風にミシンで6mm巾の出来上がりの共布ひもへ作っていきました。
内袋の入り口:メイン口のリボンの中には、更に巾着の紐が現れます。6mm巾の既製品を使わない拘りです。

あとがき

すべての裏地パーツを共布で行うことによって、中の構造を一見分かりにくくし、セキュリティー性を高める効果もあります。

まるで昆虫が植物に擬態化して姿をくらますかのように。。

今回のメッシュ素材の類似素材があと2点ございます。

連続してメッシュ素材で同じモデルをお作りしていきますので、次はどんなメッシュの素材なのかをお楽しみにどうぞ(^-^)。

ロックミシンを使わず一重仕立ての巾着袋の縫い代を隠し込む最初の三つ折りステッチ【744】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作歴15年以上が経過。

随分いろいろなバッグを作ってきたものです。

ほとんどが表地と裏地を合体させる裏地付きタイプですが、むしろここ最近になって一重仕立ての製作もするように。。

初製作の2007年頃は一重仕立てからのスタートだったわけですが、その時の縫い代は、既製品のパイピングテープを生地の色に合ったカラーで選択してどのバッグにも縫い付けていました。

あれこそ難易度もあり、ややコスパが悪いと後になって思います。

実は裏地付きよりも一重仕立ての方が縫い代始末に悩むことが多いものです。

むき出しの縫い代をいかにスタイリッシュに隠していくのかがポイントになるのです。

このたびは、縫い代に更なる附属品を使わず、本体生地そのままを三つ折りする方法で仕上げるやり方をお伝えしたいと思います。

雑貨作り、カバー作りなどに大いに利用できる方法の1つだと思います。

先に三つ折りをしておくことで、早めに縫い代を解決してしまう

マチ以外のすべての縫い代をあらかじめ1枚ずつで三つ折りをします。7.5mmずつ折ることが作業しやすく丈夫。

その後は、通常のように巾着袋を地縫いしていくのです↓

内側の完成:巾着袋が一重仕立てで縫い代がすっきり隠れたものになりました。

表から見てみますね。まだひもを通していないです。↓

マチ部分の縫い代はこのままで大丈夫。本体と裏地のマチと一緒に挟み込みますので、隠さなくて良いのです。

以上のように、先に三つ折りをしておくと、見通しが早いです。

しかし、地縫いの時に凹凸があり縫いにくいので、ずれやすいのがデメリット。

待ち針でしっかり押さえ、目打ちなども使用してガクンとずれないように縫うことが注意点です。

あとがき

結局このデザインは、本来の裏地x2枚と巾着袋の裏地は4枚ということで、裏地だけで合計6枚のパーツというものすごいパーツ数です。

そこそこ厚い生地なので、二重仕立てで作るところを一重にアレンジ。

薔薇の生地が一重分しかなかったからでした。

このたびアレンジの機会があって、「一重仕立てならどんなもんだったのだろう」ということがそのとろんとした出来上がりで分かった気がします。

結果は、厚みのおかげでそれなりに存在感はありましたが、口にすき間が出来ていることが厚みある生地は本来望ましくないと言えます。

口がしっかり閉まりながら、ツンと立つには内袋の巾着袋自体が薄手で二重仕立てが望ましいということになります。

「餅巾着:もちきんちゃく」というデザインなのですが、はるかに表地より裏地の用尺が大きいバッグです。

「裏地は附属的なもの」という考え方への挑戦状なのです(^-^)。

バッグの取っ手の付け根タブの正八角形の向きが途中から分からなくなる、地の目の向きを裏側に印する方法で解決【742】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

織物の生地には、「地の目」というものがあります。

つまり縦の方向を指すものです。

生地の原反(げんたん)を見たことがある方はイメージが湧きやすいと思います。

生地屋様の店舗には原反ごと置いてありますので、ネット通販ではイメージしなかった現実を知ることができます。

両縁が「耳:みみ」と呼ばれ、人間をイメージした場合に天地の向きの縦に立つ人間の両端に耳が付いているイメージに重なります。

この縦向きというのは、実際に製作においても重要です。

というのも、生地によっては小さなパーツの地の目が違うことさえ、目に映る色の濃淡の違いが出来上がりが粗雑さに見えてしまうからです。

このたびは、裁断後にバラバラのパーツになった時に地の目の縦向きを把握し、縫い付け直前まで間違いのないまま続行できる対策をお伝えしたいと思います。

裁断直後に実行されることをお勧めします。

正方形・円形・多角形など向きが分かりにくいパーツの地の目の把握の対策は、裏面に書くチャコペンの矢印

「取っ手付け根カバー」というパーツ:正八角形でもないのですが、パッと見ただけでは向きを時々見失います。

この写真のような正八角形に近いパーツは縦と横の向きが混乱します。

そんな時手で横に引っ張ってみたり、縦に引っ張ってみたりして縦横の地の目を探ります。

硬い方が縦向きであることが9割型です。

例外が、カーテン地や外国産の生地です。

この話はさておき、硬めの縦向きと分かった時に、すぐに印を打ちます。その印がこちら。

周りの1cm縫い代線を邪魔しないよう、真ん中あたりにこのような縦向きを記した矢印を書きます。

アパレル業では型紙にこの矢印が使われまして、型紙における地の目の向きを表しています。

間違い防止とスムーズな作業への1つの貢献になると思います。

あとがき

待ち針を縦に打つことでも対策が出来るかもしれませんが、アイロンでの熱防止に外すことがあるかもしれないので(トップの部分が溶けます)、パーツに記載してしまうという発想です。

上述のように、生地にも意外に「向き」があることがあります。

プリント柄の柄の向きは当然ですが、無地であっても細かい毛並みが「並毛:なみげ」なのか「逆毛:さかげ」なのかという時に無視すると出来上がりに色の濃淡が目に映ることになるのです。

むしろ無地の生地こそこの知識を念頭にご注意下さいますと、せっかくの品物が美しく整然と出来上がることにつながると思います(^-^)。

ハンドメイドバッグの未完成品の収納、傷みや汚れ防止とむさくるしくないインテリア映えの大判スカーフの活用【735】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

じっくりと時間をかけるハンドメイドバッグの製作では、1日で完成することがありません。

非常にもどかしいところですが、途中で切り上げ後日再スタートとなります。

進捗度が高まりますと、バッグも立体的になっていきますので、保管の仕方を工夫するようになります。

そのような途中の「未完成品」を収納する方法として、品物を傷めずふんわりと包み込むような保管の仕方を考えました。

それは、風呂敷代わりに使う大判スカーフです。

大判スカーフは、生地をのストックにも利用しています。

このたびは、そのようなふんわり包み込むように収納した「風景」のような見方で、インテリアの一部としてご覧くださいませ。

大判ながら丈夫で薄手のスカーフが風呂敷よりもグッド

半完成品であるのに細かくたたむのはやはり望ましくありません。

できるだけ大きく広げたまま収納できるには、大きなスペースのとれる大判のスカーフがよいです。

90cm四方周辺は寸法があった方が良いかと思います。

素材がガサガサしたものはつぶれ気味なのでツルツルタイプのシルクやポリエステルがグッド。

そうしますと和風の風呂敷などはあまり向いていませんので、生地自体の畳んでストックの方へ回した方がよろしいかと。

ふんわりと包み込み、未完成品を一番上に置くのが良いです。

スカーフと聞くと、シルク/100%のイメージがありますが、収納の場合はむしろ、シルクよりもポリエステルの方がしわが寄りにくく、厚みがあり丈夫。

装いのアイテムではないので、機能性重視です。

それでも、好きな柄を選びインテリア映えに至り、私の場合であれば薔薇が心地が良いのです。

何気ないようで収納は意外とインテリアの一部だと

むさくるしくごちゃごちゃ置くよりも、整理整頓をびっしりとすることで、現在のストックの把握もしやすくなるのです。

あとがき

小花のカラフルなスカーフは、入手時の面白いエピソードがありまして、同じお品を同時期に別々で4点入手しています。

古着屋様、ネットなどでほぼ同時期に同じものを集めました。それくらい魅力的な柄と使い心地です。

「ジュン」ブランドのものでした。

これだけたくさんあったということは福袋向けだったものでしょうか。。

想像するのも面白いですが、とにかくマルチカラーが非常に感じが良く明るい気持ちになれることが確かです。

整然とした「風景」はその中で作業する製作や技術に幾分か影響するのではないかとさえ思えてくるのでした(^-^)。

人の心に響くような品物には必ず「真心」が入る、取っ手の4本ステッチの等間隔を「美しく並びますように」と願う心【732】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

世界中に知れ渡る伝統ある「ハイブランド」様、いかに数々の研究や技術を高める努力の日々の繰り返しであるかを知り、大変刺激を受けております。

そのレベルはともかく、表面的な「模倣」や「コピー」ではなく、そういった「姿勢」についてもっと学ぶべきなのではないかと。

その「名声」や「ブランド価値」のみに甘んじていては企業存続にかかわると、いつ座を奪われるかも分からない熾烈な他の伝統あるライバルとの競争の最中(さなか)にあるのが「ハイブランド」様の実態なのです。

そのこだわりの徹底ぶり、とことんというほどまでの研究が当たり前であるというような姿勢こそ真似をするべきではないのでしょうか。

このたびは、見る者を「あっ」と言わせるほどの美しい仕立ての根底にあるものは、「良い物をお届けしたい」という「気持ち」なのだということを綴りたいと思いました。

一目見て、「あっ」と言わせるような美しさのある部分を目指す箇所:4連ステッチに込める思い

バッグの取っ手や支柱に使う4連ステッチの技術:いかに等間隔に針目を美しく仕上げるかがポイント。

この4連ステッチの取っ手は、かなり初期のころから取り入れています。

一番最初の芯地も何も入れないペライチな袋物だったころからの発展として、まずは接着芯である薄芯を全面に貼り、中にもソフト厚芯などを入れて取っ手の貫禄や持ち心地を高めるものになっていきました。

そのステッチの綺麗さ1つとってみても、まずは幅が均等であることの美しさ、美しいためには適切な糸調子であるべきで、いくつかの細かな徹底した追求の末に技術が生まれると思います。

写真のようになったのはごく最近の事で、かつては、幅が不統一、縫い線も脱線してしまうこともありました。

縫う場面以前のアイロンがけの折り線付けの段階での徹底も綺麗な仕上げには大いに関連してきます。

そういった流れ作業ではあるけれども細かな作業の集まりが1つの技術となって結果美しくきらりと光る独自の特徴にまで行けるかと思います。

そして、4連である理由も、その幅では一番綺麗に映るのが4本であると感じたことからそうしています。

3本だと1本少ないので、作業が進むなど、そういった考えを横に置いてでも追求したい本数だったのが4本でした。

結局は、当方の都合だけでは考えなかったという点です。

徹底的とか、拘りとか口では言いますが、実際にどこまでの追求であるのかどうかは出来上がりがその答えを教えてくれるというとでも言いましょうか。

その辺りは、こちらの製造側以上に、お品を選ぶ購入者様側の目というのが鋭いもので、ちゃんと手間をかけてあるものかどうかは 結構見抜かれます。

とても厳しい目をお客様は持っていらっしゃるのです。

¥5,000以上のお品を販売しようとすると、すでにそういった点が物を言います。

¥3,000台は、格安の量産のお品でかわいいのが多くあるので、そこを超えていかねばなりません。

ステッチをするときに、心の中にその整然とした佇まいのステッチを見て、うっとりと眺め微笑むユーザー様の姿をイメージするのです。

あとがき

ということで、このたびは、技術を高める例として、長年お作りしてきました取っ手・支柱のステッチを例にとってみました。

とは言え、この4連もすべて線を引かずして等間隔にしていくわけなので、プロと呼ぶにはまだまだといったことを思う時があります。

偏って幅が均一でないこともしばしばあるのです。

難しい部分である箇所こそ技術の見せ所、そういう点を特に訓練と研究で磨いてゆくことに注視したいものです。

「やりにくいヶ所を綺麗にできる技術」を高める根底には、「良い物をお届けしたい」他者様へ与える「give」の気持ちが入っています(^-^)。

チェーンはUラインやサークルラインだけじゃない、PT850製Y字ネックレスのマニッシュなテイストへの一目惚れ【722】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ネックレスがカーブを描いたあのイメージだけだと思ったら、いやいやそんなことはありません。

このたびは、Y字と呼ばれる素敵なラインの多重ネックレスをプラチナ素材でご紹介したいと思います。

「タイ」みたいな存在に「マニッシュ」な装いをイメージしました。

当「本物志向のレンタルジュエリー」のラインナップに入っていきます。

Y字ネックレスをどのように解釈していくのか、是非美しい真っすぐラインを活かしたい

Y字ネックレスというのは、メンズ分野では一時期流行がありました。

天然石ブームの2010年代に、クロスチャームを先に吊り下げた小粒の天然石のY字ネックレス。

某「ミュージシャン」様にあこがれてメンズ分野で沸いている様子でした。

一時期メンズ向けにシルバー925ベースでハンドメイド製作し、2015年辺りに販売。

実際に音楽活動をしている方を含め、複数の方にご購入いただいたことがあります。

そのコメントの中で、ステージで利用するとおっしゃってくださいました。

ギターを弾きながら、リズムに合わせてネックレスがゆらゆら踊る姿を想像して「にんまり♪」とした記憶があります。

このマニッシュな感じのY字ネックレスをかっこよく、エレガントに装える本格派ジュエリーのPT850製でご紹介したいと思います↓。

Y字ネックレス:PT850製。まずは、Y字フォルムを見ていただきます。こんな風に遠目からは目に映ります。
チェーン1本は2mm厚。なかなかのボリューム。長さは先端で72cm。Y字路の地点までは60cmです。

この松の木の幹のようなチェーンが柄のように素敵な雰囲気を出してくれています。

3点セット(前案):真っすぐな線を3点でリンク。ブレスはPT850。リングはK18WG台にガーネットとヘマタイト。

↑これで前案です。前案は2022年の事、ここから2024年にはセットが二手へ別れていきました。

その後、ブレスとリングはペアで別のネックレスのところへ移動します↓。

この方がまとまりがより徹底されたと思っております。ネックレスはPT850。

では、当のY字ネックレスはどうなったのかです↓。

3点セット(新案):ネックレスの「二重」モチーフを3点共リンクを意識した3点セット。

あとがき

パンツルックだけに限らず、このY字のV部分との重なりを意識したV字の襟のお洋服にかっこよく馴染みます。

これほどに一目惚れのアイテムでしたが、無論、私がこれを付けて楽しむお出かけなどはございません。

レンタルのお客様が付けていただく専用のアイテムなのです。

それでもこうした組み合わせが完成しただけで、随分心が躍りました、事業者の役割とはそういったものです(^-^)。

一重仕立てで作るデニム・帆布・ゴブランに有効、ロックミシンの始末を袋の内側で視界から隠す方法【716】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

縫い代の始末は、裏返しの袋物にとってはいろいろ工夫する機会が多いものです。

かつて、某一流ブランドポーチの縫い代が何も始末をしていなくてそのままであったことに、とても納得できず、そのままひっくり返して、出来上がりのまま家庭用ロックミシンをかけたことがあります。

危うくて危うくて、使うにあたって安心できない不安定な心持ちになるようなお仕立てだったのでした。

それなのに「ロゴ」のかわいさ、いわゆる「ブランディング」の力がものすごいもので、手放さなかったのです。

量産品ということでああいった作りのお品を入れ込んでいるのか、それでも納得できるものではありませんでした。

それを手を加えてリフォームすることを拒むなどということをもし主張されたならば、本当に矛盾です。

そのポーチは仕事用のペンシルケースに使っていまして、毎日使っていますので、そのロックの効果は非常に大きいのです。

リフォームをしなければとっくにパンクしているところでした。

縫い代も5mm弱といった際どいもの、そのようなきわどい縫い代で作ることはありません。

ロックのおかげで購入後約20年程になるところですが、現在も良好でお気に入りのペンケースです。

そんな感じで、縫い代始末にはうるさい者が、そういった体験からの教訓を、ハンドメイド製作に反面教師で活かすということもしています。

今回は、ロック始末をするだけではなく、さらにそこから発展的に、視界に映る美しさを追求したお仕立てを「セルヴィッチデニム」の例でご紹介したいと思います。

セルヴィッチデニムは、一重仕立てで製作することも多く、その他帆布の厚みがある号数のものやゴブラン織り生地などにも同様に引用していただけます。

巾着袋が一重仕立ての場合のサイドの縫い代の始末のロックミシンの隠し方

一重仕立ての巾着袋を作る途中では必ず縫い代の始末の悩みが出てきます。

裏地付きというのがいかに製作しやすく、縫い代が隠しやすいものかを実感するのが一重仕立てで製作の時です。

こういった一重仕立ての分厚い生地で作る場合に縫い代が丸見えなのです。

そこで、あらかじめ最初から四角いパーツの四方にロックミシンをかけてあります。

それでも、袋の中をのぞいた時にロックミシンが丸見えでは、高級感が半減。

その先の、一歩も二歩も踏み出した積極的なお仕立てがございます。

両端部分の拡大写真:地縫いの後両割れ15mmの半分7.5mmをアイロンで半分に折り、真ん中にステッチ。

その真ん中がおよそロックミシンの幅の右端に当たるので見た目が綺麗。

この後再びアイロンで両割れのクセを付けると落ち着きます。

そして、袋の中をのぞいた時に下のような見かけになります。↓

整然とした縫い代始末:視界には、ロックミシンはめったに映りません。裏側に隠れているからです。

このロックミシン隠し効果は、摩擦によるほつれの防止という機能とデザイン性あるコントラスト効果の美しさの両方です。

あとがき

今回のようなこのロック始末の仕立て1つにしても、「美学」がそっと入れ込んであるのです。

こんな風にして様々なヶ所、様々な品物に、「技術」とか「哲学」を入れていこうと日々思案しながらの製作になります。

一度、そんな目で細かいヶ所を見ていただくと、「一流ブランド」として現在も君臨の「ハイブランド」様達がなぜあのような座をキープできているのか、なぜ継続して広く人々に注目されているのかということの裏にある驚くような研究と努力が理解できるかもしれません。

「ハイブランド」様から感じた良質なお仕立ての姿勢を参考にしながらの研究の成果です。

真似をしたり、コピーしたりということがいかに表面的で実りのないものかということ。

そこに目を向けるよりも、もっと本当の奥にある「精神」や「姿勢」の部分に注目して、「ハイブランド」様の優れたところから学ぶべきなのです。