目立たないキルトステッチには意味がある、グレンチェックの柄を主役にボックスキルトを織り糸になじませたカラーで配したやり方【1414】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「キルトの役割って何だろう」、このことを自分なりに解釈した結果、2つの答えを出しています。

①装飾性:美しい配列の整然さは壮大な柄となりエレガントさの表現にもなると考えます。

②機能:直線を使用したステッチの意味がここにあります。生地に付加価値を高めるような頑強さをキルトが作ってくれると考えます。生地のサッカーやリップルと同じでキルトによる凹凸感は接触面を減らし傷みから逃れます。

このたびは、ナップサックの新しい寸法での第一回目の製作であり、表地にはダイヤキルト、裏地にはボックスキルトをかけるという両面キルト仕様で作っていきます。

その準備段階のキルトがけが完了したところで、6cmダイヤキルトと変形ボックスキルトのそれぞれの役割をお伝えできればと思います。

キルトにも種類がある、グレンチェックの柄の素敵さを引き立てるため、織り糸に馴染む固定の機能のみを有した変形ボックスキルト

表地は、一見デニムみたいな生地。

経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の混率が違っていて、味わい深い生地です。

こちらには、6cmのダイヤキルトをかけました↓。

6cmダイヤキルト:表地(黒)-綿麻ネップ、経糸-綿/100%、緯糸-麻/100%、日本製。

黒ですが、白糸が見える割合もあり濃グレーとも言えます。

まるで色落ちした素敵なブラックデニムのよう。

生地購入においては、セルヴィッチデニム自体もレアですが、セルヴィッチタイプは原反では、ノンウォッシュの濃い色ばかり。

色を落とす加工まではされていないことがほとんどです。

この味わい深さは、デニムとは言えない「デニムライク」ならではです。

麻による節が味わい深く表面に出ていることが、ウォッシュしたみたいな白っぽさに類似しているのです。

6cmダイヤキルトの裏面の様子:作図したその線をこちらの面を上糸側にしてまっすぐに1本ずつステッチ。

決してでエレガントなサラサラな表面ではなくカジュアルさがありますので、この歩調と非常に相性が良い麻/100%が裏地です↓。

変形ボックスキルト:裏地(黒)-先染リネン、麻/100%、日本製。

「え?キルトなんてかかっているの?」という疑問にお答えします。

「はい、間違いなくかかっております」と↓。

変形ボックスキルトの裏面の様子:変形ですので統一間隔ではないですが、交互には整っています。

これは、実は、表面から、作図をせずに柄の織り糸に沿ってかけたキルトなのです。

キルトの種類の使い分け:無地には装飾性も入れたダイヤキルトを、柄には遮らないよう余白の部分にステッチ。

グレンチェックの表面からかけたキルトステッチは、柄を俯瞰して眺めた時の白い線に沿って縦も横もなぞっています。

そうすることで、裏面には、作図に等しいステッチが自然に出来上がっているので作図は無しで行えました。

その代わり、内部分にも面のすべての箇所に均等に待ち針を打ちながら行うという慎重かつきめ細やかさが必要、油断するとタックやしわが簡単に寄ってしまうので気を付けたいものです。

このようなキルトは、冒頭の②の「機能」中心の役割であり、あくまでも主役はグレンチェックの柄、柄を邪魔しないようにひっそりと目立たない馴染むカラーの糸で固定だけに徹するのです。

キルトは飾り立てるものというだけでは決してないのだということが、これでお伝えできたのではないでしょうか。

あとがき

キルト1つとっても「理由や意味を込めたもの」というところを追求できるということです。

このたびの生地選びは、過去のストックがずっと残っていたグレンチェックの麻/100%を使うために探した表地でした。

同じ麻がどちらにも入っていて相性が良いです。

グレンチェックは、元はきっちりしたスーツのイメージで、毛/100%のイメージが一番にあります。

ただ、これもその時の生地との出会い、レアな麻/100%のグレンチェックを発見していたのでした。

スーツとなるとどこか砕けたような抜け感を感じるのが麻の性質の1つでしょう。

そうなるといくらクラシックなイメージのグレンチェックとは言え、テイストが変わっていきます。

このように、どんな伝統的な柄も本来のイメージとのギャップを拾い上げて、新しい形で演出していくことが出来るのです(^-^)。

 書き手:ピクチャレスク

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