まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
ハンドメイドバッグを長い間製作し続けてきて、共に歩んできた材料として、「糸」があります。
どんなにミニマムなデザインでも、バッグには必ず「縫い」が入りますので、糸という材料がどの製作にも入ってくるのです。
当たり前なのだけれどその当たり前こそが一番重要だとも言えるのです。
この糸を最大限の美しさで見せていくことも、バッグ製作の完成品の見どころです。
今回は、その大切な1つ1つの美しいステッチを飾っていくにあたり、どの生地でも同じような調子ではいかない難しい局面のお話をさせていただきます。
糸調子が特別な素材というのがあり、それが、デニム、帆布、カツラギ等の厚地と呼ばれるもの。
時々薄手のナイロン/100%も何重にも重なれば、その弾力性のすごさやパワーが相まって厚地級の密度の高い糸調子にとっては特別な素材になることがあります。
今回は、11号帆布で、帆布(キャンパス地とも呼びます)専用の投稿とさせていただき、実際に縫ってみて失敗した糸調子がどんな条件であったからなのかを紐解き、美しい糸目になるような糸調子の合わせ方へとお導き致しますね。
糸調子が非常に汚い「失敗」の時
糸調子が綺麗に出た「成功」の時
では、今度は、成功した糸目になった時の条件をお伝えします。
さて、これらの段階の中で、どこが悪かったのでしょうか。
この後、失敗した糸目との違いで同じように2箇所を調整しながら再びトライ。
11号帆布を取り扱う時の糸調子の条件のまとめ
ということで、11号帆布に関して、望ましい糸調子の条件は、
①糸案内にフルに通す(スタートは下からくぐらせて)。
②糸調子ダイヤルを2.5程に設定(強くする/引き締める)。
でした。
11号帆布は8号帆布などのごわついたタイプよりはるかに柔らかくて柔軟性があるように見えますが、実際には、帆布らしい目の詰まりや硬さがあったのですね。
号数が上がる(数字が小さくなる)につれて、②を3.0程度まで上げていくことがあるかもしれません。
以前にセルヴィッチデニムのヘビーオンスと呼ばれる25ozで三つ折りをした時の②は3.0強でした。
それでも4までは、行きませんでした。かえって糸が切れてしまいがちになるかと。。
それよりも、①の糸案内にフルに通すことをした方が効果的なのです。
あとがき
量産品が5mm程の大幅な糸調子でどんどん短い時間で多くの製造がされているバッグを多く見ますが、その出来上がりというのは、長く持っているほどその価値がそのステッチに残るものです。
その一瞬の製作のスムーズさを選ぶのか、美しい糸目で適度な緻密さで縫われたバッグが何年もの間飽きずに、時々眺めてうっとりするようなものであり続けることができるのかという戦いを常に連想しています。
一瞬の楽やメリットを重視してそれが積み重なった結果と、手間をかけるべきところにきちんとかけていったことが積み重なった結果の開きは大きいです。
時間軸の構造からみると、人は過去には戻ることができません。
その一瞬一瞬をどう製作していったかの結果が何年も後に分かることもあるわけです。