まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
このたび、「木島櫻谷(このしまおうこく) 画三昧への道:実方葉子 著」を拝読。
本も、特に分野をしぼらずに、ピンと来た「読みたい」という直感で図書館で借りています。
この本は、今から1年前の出版の本であり比較的最近の新書になります。
こうして、目まぐるしい変化の現在は、新書が空いていればまずはそこから探していきます。
図書館の本も人気ですので、新書はほぼレンタル中ですが、時々タイミングよくこうして出会えることもありますし、1年後であると比較的借りやすくなります。
非常に整然とした画風の中の動物の目が「優し気」という特徴を感じました。
このたびは、一人の画家の「お仕事スタイルの人生」という見方でその感動を綴りたいと思います。
お手本にしたいような整然とした画家の一生、1つ決めたことを人生をかけて達成に向かうひたむきな姿の美しさはその画風に表れている
子供のころから、親の知り合いの師なる方の元で修行をしたところからのスタートです。
そして、その後先生の元を卒業して、今度はご本人が画家のコミュニティーの中では牽引役、みんなに教えていく立場に立たれました。
そんな中でもいろんな賞を受賞していき実力が評価されていきます。
そして、その名実と共に、財閥様からお屋敷の一角の美術品として屏風を描く専属の職業としての人生を送られていきます。
いわゆる御用達(ごようたし)なるお仕事です。
ヨーロッパの老舗のハイブランド様の創業当初からの変遷に似ています。
そこには、決して華やかではない、ひっそりとした日課がありました。
昼間はスケッチへ出向き、夜は執筆(漢文や詩のようなこと)もされており、淡々としているように見えて、実はひたすら画業への没頭をしたライフスタイルであったと言えます。
学業に関しては、商業科の学生時代にその内容に興味を持てず退学されていたようです。
広い分野の一般的な学業ではなく、1つのことに時間をかけていくことを選択されたのだと思います。
楽しくないことは決してやらない。。
これは、非常に強い意志であり、人生として一番無駄がないスタンスであると言えます。
私のような「団塊ジュニアの世代」の者くらいまでは、まだまだ昔の、「こうするべき」「こうしておくべき」ということで、学業はなんとなくそれなりに毎日学校へ通っていくのが当たり前だという感覚でした。
しかし、本当にその学びは自分の将来にとって必要な事なのかどうか。。そこまで突き詰めて考え納得した人生をどれだけの人が歩んでいるのでしょうか。
ところで、比較的若いころの作品に動物が多く登場しています。
これらの動物は、和風なタッチの絵の写実的で硬い印象のイメージとは裏腹に、ひときわ特徴が際立ちます。
どの動物も目が優しくかわいいのです。
実物以上にそのまなざしは表情があり、非常に豊かでまるで人間と何も変わらないくらいに思えました。
ひょっとしてその目に「人間味を注入したのではなかろうか」とそんな印象を持ったものです。
確かに実際の絵は壮大ですので、美術館へ出向くことの価値は大きいです。
しかし、こうした画集に加わるもう1つの楽しみは、美しい文章の解説、ここに画家以外の第3者である著者様の活躍が見られます。
文章が非常に美しく洗練され、1つキーワードなる言葉を見つけました。
この「木島櫻谷」様の絵のテイストを一言で表したような言葉、「瀟洒:しょうしゃ」です。
意味は「あかぬけしていて、すっきりしている」というもの、類似の言葉に「粋:いき」があります。
意味としては同じ「あかぬけしていて、すっきりしている」ということなのですが、少し違うのだと表現されています。
「粋:いき」「瀟洒:しょうしゃ」「洒脱:しゃだつ」という類似の表現が具体的にどの点でどう違うのかの証明などというものは、ファッションにも通じるところがあり、非常に興味深く注目した部分です。
あとがき
現在させていただいている事業は、ファッション分野のほんの一端です。
「これしか分からないから」「これしかできないんだ」ということでも、そのたった1つをとことん追求、ひたすら没頭していけば良いのだということを教えてくれるこのたびのある画家様のライフスタイルを見せていただきました。
その代わり、やるからには中途半端にはやらないのだということも忘れないことです。
他の人の為にも、自分の為にも人生を無駄なく過ごしていかれたところも素晴らしい、自暴自棄のハチャメチャ人生などというものは対極のしっとりと静謐な印象なのです。
その人生を作っていものの1つが、毎日の淡々としたルーティーンを続けてこられたことに垣間見えます。
画家様の本も、絵そのものだけではなくて、なぜその絵を描いたのかなどというところまで分かると「ある一人の人生の歩み方」という深みある発見できます。
そこには優れた解説が伴うものであり、著者様の功労であり本の価値です(^-^)。