まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
このたび、大変有難いことに、YouTubeの過去の動画にご質問とコメントをいただきました。
少しやり取りさせていただき、おそらく、このことにお悩みであろうと思いました。
厚手のデニムを職業用ミシンで縫う場合、少し大胆なまでの糸調子の合わせ方をすると良いのです。
その大胆ということは、糸調子ダイヤルを「4」にするということでは決してありません。
良い糸調子になる時の糸調子ダイヤルと糸案内の糸の通り方の2つのポイントを確認しながら、デニムにはふさわしくない普通生地と同じ糸調子の条件と同じの状態から先に分かりやすくお伝えしてまいりたいと思います。
保存版、職業用ミシンでできる厚手デニムの糸調子の上手な合わせ方
今回は、思い切ってデニムの厚手の王者、25ozのヘビーオンスデニムを使います。
特に生地の地の目に対して、並行ではなく垂直に縫う時によく起こる下糸のループ現象などが分かりやすくご覧になれますように、横に縫う設定をします。
三つ折りにしてステッチをします。
こちら側の向き、上糸側はほとんど綺麗に糸目が出るものです。
問題は裏側の下糸側の面の糸目の出方です。
そもそも、前提として、下糸の糸調子が合っているというのはベースです。
よくご紹介されているような、クレーンのようにボビンケースに入れて吊り下げた時、鈍い感じで滑って下がっていく様子が正解です。
これが成された後は下糸はいじることはありません。
ほとんどは、上糸側で調整するやり方です。
まずは、通常の他の生地全般のそれほど糸調子をいじることなく使ってきた糸調子ダイヤルで縫ってみます↓。
こうして、とりあえず、まずは、通常の他の多くの生地と同じ条件で縫ってみました↓。
糸が絞められ切っていない緩んだ状態で余ってループみたいに飛び出してきていると見ます。
つまり、上糸側から出ている糸が緩んでいるので上糸が緩いのだと導けます。
表面は、何ら問題ないのですが、この縫った裏面が汚いのです。
これを下糸が原因だと思ってしまいがちですが、原因は上糸側の糸調子にあるのです。
下糸の糸調子に関しては、上述の通り、ボビンケースにボビンを入れて吊り下げた時の、スルスルとは行き過ぎない適度に支えられているような感覚の絞まり具合が目安。
マイナスドライバーの溝のあるネジで緩めたり絞めたりしますが、そこを適度な状態に調整してあれば後はいじることはありません。
すべてが上糸のせいでこうなるのです。
ということで、実際にデニムの厚手を縫う時に調整後の糸調子にいきます↓。
これでかなり引き締まる効果があるので有効。このことは取説には決して書かれていません。
糸調子ダイヤルは、押さえ金を下げ、糸を指して縫う状態と同じ状態で目盛りを見るのが大鉄則。
そして、同じように三つ折りステッチをしました。
左側の先ほどの失敗と比べて全く変わりました。
さらにもっと細かい微調整は都度、それぞれの生地の種類やデニムのオンスとの兼ね合いで試し縫いをしながらパーフェクトに合わせていったらよいのですが、大きくは、これで劇的に変化できます。
まとめますと、
①下糸はボビンケースごと吊り下げた時に鈍く下がっていく感じにボビンケースのネジを絞める調整をしておく。
②糸案内をスパン糸でも3つの穴にすべて通す。
③押さえ金を下ろし、糸を刺した状態にして(実際に縫う時と同じにする)、糸調子ダイヤルを3強あたりまで絞る
以上がポイントとしてお伝えしたいことでした。
あとがき
デニムは、こういったことからも特殊な生地だと言えます。
デニムがこれほどまでに特殊な理由は、「目の強固な詰まり具合」「織り密度の高さ」だと思います。
糸調子が良くなった右側の写真でもステッチがあっちこっち向いていますが、その理由も同じです。
仕方がないというデニムの性質もあるのですが、それでも許容範囲内の綺麗さまでは持っていくことができます。
今回のこの実験から言えること↓。
「厚手で針が通るのだろうか」という心配は誰でもするかと思いますが、たとえ、針が通ったとしても糸調子というものこそが結局綺麗に出来上がる大切な条件であるということです(^-^)。