しなやかなチェーンに対してこそ強度あるPT850が使われ、塊であるペンダントトップやリングには緩めのPT900が使われる逆説【558】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「彫金-手づくりジュエリー-の技法と知識:秋山勝義・飯野一朗 著」を拝読。

「刻印」を確かめることも多いジュエリーを扱う業者としては、見識を深める必要がありました。

同時に「地金についての率直な疑問の解決ができるのではないか。。」、とインスピレーションを感じ手に取った本。

ここ最近注目しているあっさりとしたカラーが非常にクールでスタイリッシュだと感じるプラチナ。

刻印がジュエリーのアイテムごとに主に「PT850」と「PT900」の2種に分かれている理由を知りたかったのです。

チェーン類には決まってPT850が刻印されていた事実、リングやペンダトトップの塊のアイテムにはPT900が刻印されていた事実から何か言えるのでしょうか。

この理由を探るための第一段階の扉を、このたび開けてみたのでした。

プラチナジュエリーの刻印は主に2種、動きの多いチェーン類には硬いPT850が装飾的な塊のトップやリングにはPT900が刻印

当ブログ記事は、最初の投稿の2021.05.12からおよそ5年後の2026.07.16に、ブログ記事の「手直し」の順番が来ました。

この5年間に随分プラチナジュエリーが集まり、刻印そのままを複数お写真でお伝えできることになりました。

では、実際のプラチナジュエリーの刻印を、①ネックレス②ペンダントチェーン③ブレスレット④ペンダントトップ⑤リングの順番でご紹介してまいります。

①ネックレス:ネックレスでPT850以外には拝見したことが無いほど決まって留め具の部分にこの刻印があります。
②ペンダントチェーン:①の2連ネックレスと同じ刻印スタイル。日の丸は日本製の事実と「造幣局」様公認の証。
③ブレスレット:パーツが分離できるカニカンに1つ、本体に溶接のキャップと両方にPT850の刻印があり丁寧。
④ペンダントトップ:PT900台のペンダントトップ裏面にダイヤモンドのカラット表記と隣り合わせで刻印あり。
⑤リング:PT900台の刻印は、リング内部に正面と半対面から少しずれて記されています。

某ブランドリングは、自社以外で手を加えにくいようちょうどリングサイズを変更する場所の背のど真ん中に刻印を打っているなどという噂も聞いたことがありました。

「囲い込み」という作戦ですが、本当にユーザー様の事を思えばサイズ直しをしやすいようにしておいてあげるという考え方もあっても良いはずです。

刻印の数値の違いの読み解き:チェーンは動きが多く引っ張ることもあるので割金が多く硬いPT850なのです。

一方、塊に主に記されるPT900は、PT850より柔らかく、デザイン性に富む豊かな表情のアイテムに付いていると感じました。

PT900からの延長上で、「PT950・PT999・PT1000」の刻印があるアイテムもたまに見つかることがあります。

さすがに破損し易い純プラチナはジュエリーとしては難しいと考え、許容範囲で「PT950」は当方で取り扱いがありました↓。

PT950のジュエリーアイテム:PT900同様塊のアイテムに使われている実態。右は映っていない輪の部分がPT950。

これまで素人目線では、しなやかなチェーンはむしろ柔らかい方の素材で作られているのかと思っていました。

ところが全く反対の考え方、切れにくく丈夫にと硬くしてあるという事情だったのでした。

あとがき

割金については、「<PT900>:パラジウムやイリジウムなどの白金族金属、<PT850>パラジウム・コバルト・銅・ルテニウムなど」。。という情報をいただきました<m(__)m>。

色にフォーカスしてみますと、PT900にはもともと白っぽい割金を使い全体的に黄色っぽさが入っていません。

一方でPT850の方には、赤味の銅が入っていることが不思議、赤味がかってしまわないかと不思議に思い、更に深掘り。。

銅には「硬さ・耐久性」があり、強度を高めるための割金には必要な素材なのだと納得したところです(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト

青金とホワイトゴールドが近い存在とは言えない。。ロジウムメッキで塗装仕上げされた銀色K18WG以外の金色K18YGの中の色展開【470】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

百貨店で期間開催されていたイギリスジュエリー展に立ち寄った時のこと。

お店の方と偶然お電話をする機会があり、地金についてここぞとばかりにご質問させていただきました。

ちょうどこのタイミングで「K18WGの正体はK18YGなのではないか」という仮説を持っていて、何らかの方法で確かめたいと思っていた時期だったのです。

あっさりと付けやすいホワイトゴールドジュエリーは人気、更にここ近年の地金事情においてはかつての王者プラチナを数倍の価格で抜いたゴールド(「インゴット」)。

並行するように価格上昇の「パラジウム」「ロジウム」が必要なホワイトゴールドはK18YGよりも少し価値が高いという見積もり数値とされます。

ホワイトゴールドは「K18WG」と刻印されますが、「K18」のみで表示されるのは決まってイエローゴールドの方です。

昭和時代においては、18金(ゴールドの方)とプラチナの2種のみでした。

戦争などの事情でジュエリーとしてのプラチナが調達できない中、同じシルバー色の代替としてK18WGが後から生み出された新しい地金がホワイトゴールドです。

このたび、最初はK18WGなのではないかと疑った程の「K18」という刻印のペンダントトップの謎をひも解いていきました。

この出会いがあったからこそK18YGの色の展開が複数あるという実態を知ることができ、こうしてお伝えするところまでに至りました。

地金の知識を深堀り、18金をマクロ的に見ることがでるのではないかと思いますので、是非ご一緒にどうぞ。

K18WGの正体はK18YGであり白っぽい「青金:あおきん」の正体もK18YG、割金の分量の違いで展開される多種のイエローゴールド

K18の刻印のペンダントトップ:ダイヤモンドとオレンジストーンの花柄で半月型という個性的なデザイン。

裏面が特に地金がくっきりと出ていますので、こちらをじっくり見てみます。

黄色味のK18YGのイメージとは違ったあっさりとしたカラー、されどK18WGやPTなどと比較すると間違いなく黄色味をおびたゴールドなのです。

この曖昧なカラーはどう解釈すると良いのか。。刻印のK18からはK18YGのカラーの1種「青金:あおきん」であるというのが正解です。

「純金の75%(18金である以上ここは鉄則)の残りの割金の25%の中の大部分に「銀」を入れているイエローゴールド」が青金なのだということを知ります。

別の言い方で、「青割り:あおわり」とも呼ばれるようです。

装身具としてはあまり使われてこなかった地金の種類、主に飾り物などに使われてきたようです。

では、K18WGについてはどう解釈したらよいのかです。

もともと銀色寄りになる割金(銀・パラジウム)を混ぜK18YGがまず完成、この時点で青金に近いライトイエローなのか一般的な濃いイエローなのかはまだ知ることができていません。

結局はとどめの「ロジウムメッキ」で完全な銀色へ仕上げられるのです。

K18WGの刻印がある3種の地金チェーン:どれも生粋の銀色、先ほどの黄色味を残す青金とはやはり別物です。

ところで、もう1つ貴重なエピソードをお伝えしておきたいと思います。

「カルティエ」様の「トリニティーリング」という3色地金のリングがある時期一世を風靡したことがありました。

K18YG・K18WG・K18PGの3色は立派なマルチカラー、3連リングをより豊かに仕上げられていたのです。

ただ、カラーの区別にきめ細やかな日本人からあるクレームがあったと言われています、「ホワイトゴールドが黄色過ぎる」と。

このエピソードは、冒頭の宝石商の方からお聞きしたこと、実はこの不完全な銀色のホワイトゴールドの姿こそ、ロジウムメッキ無しのホワイトゴールドの姿に近いのです。

工業的に真っ白く銀色にしてしまわなかったブランド様の方針だったのではないかと。

ホワイトゴールドは、極めて白っぽい割金の調整で作られるもののロジウムメッキをしなければ黄色っぽさは必ず残るものだということです。

あとがき

イエローゴールドのカラー展開:同じ黄色でも昭和時代とここ近年で割金が変わっていますので濃淡の違いあり。

ちなみに、ピンクゴールドは地金の中の「銅」の割合が高いのであの赤味になるのです。

青金のエピソードをお伝えするにあたっては、ホワイトゴールドについても触れなければと思いましたのでかえって複雑に感じたかもしれません。

プラチナマニア様(プラチナを好んで特価して集める人)の中には、「ホワイトゴールドなど塗装の工業製品だ」と敬遠する方もいらっしゃるそう。

プラチナこそ、唯一の天然の銀色の高級地金であるという見方もできますね(^-^)。

書き手:ピクチャレスク