<マチ>トートバッグのマチの計算、型紙作成の際にマチだけ縫い代を含めないのが正解な理由を、赤線を使いながら図解しました【769】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

以前に、トートバッグの型紙を作る際の寸法の中で、縫い代をどう含めていくのかを解説した、【137】と【138】の記事がございます。

このたびの【769】はその2記事とも大いに関連し、重複する部分もありますが、この理解こそが今後胸を張ってトートバッグを製作して行けることにつながると考え、まとめのような形で再アップをさせていただいたものです。

マチ付きトートバッグを今後作っていきたい、それを販売もしていきたいなどの前進を目指されるのであれば、是非この時点で根本的な構造のカラクリを知っておかれることをお勧めしたいと思います。

ただ、「こういうものだ」と公式に当てはめるよりも、はるかに「哲学的」なバッグを作ることへの発展の基盤となると思います(^-^)。

型紙を作る直前の計算式

慣れてしまえば、暗算をして型紙もすらすらと作れるようになるかと思います。

最初はじっくり時間をかけて理解して、一度は腑に落ちていただきたいと思います。

ということで、マチ付きのトートバッグの型紙寸法の計算の場面を例としてご紹介します。

赤いマジックは出来上がりの寸法。黒いマジックは、そう出来上がるための型紙の寸法の積み算です。

まずとにかく手順から解説を始めてまいります。

縦から行きます。まずはそのまま実寸を置きます。

次に、上下の縫い代を同じ寸法の1.5cmずつ上下の分を足します。

上が大きく縫い代をとるようなことはしておりませんので、上下が同じです。

そして、最後に、マチの出来上がりの半分だけを加えます。

半分であることの理由は、バッグの構造が前面と後ろ面の2つのパーツを合体させるものなので、型紙としては半分になるのです。

これを間違えてマチそのままの寸法にしてしまった経験がありましたが、出来上がりが40cmというおそろしく大きなマチが出来上がってしまいますので間違いですからね。

次に横です。

横も同じように、出来上がりの35cmをまず置きます。

そして、次に、両サイドに縫い代が必要なので、1.5cmを2度足します。

最後にマチですが、横の場合は縦と違ってマチが両サイドに存在しますので、2度足す必要があります。

ただ、あくまでも、半分の構造の分だけなので、2度足すとはいっても、半分の10cmずつを2度足すというものです。

そして、底の左右のマチを型紙から切り抜きます。

マチは、長方形で描いた縦横の値の、38cmx58cmの型紙の端っこの下側をこちらも、半分である10cmで正方形にくり抜きます。

マチには、なぜ縫い代を含めていないのが正解なのかの証明

型紙:出来上がりの20cmの半分の10cmという単純な半分で正解。

ここで疑問が1つあるのではないでしょうか。

マチには縫い代を足さなくてよいの?ということです。

こう思ってしまう理由は、マチが立体的に出来上がる構造の物理的な不思議が1つあるからなんです。

実際の製作の場面でマチをつまむと、ぺこんとマチが台形のような形に変わります。

実際にステッチをかけるのは、その台形のトップではなくて、縫い代1.5cmの内陸部です、

そうすると、台形は、底辺が横に余分に突き出していますよね。

この突き出しの分量が、縫い代の1.5cmに等しいのです。

この「等しい」という事実は、過去の【138】の記事で検証記録を綴らせていただきました。

これは物理的な法則とでもいう現象なのか、縫い代が1cmの場合であれば、1cm突き出します。

この台形は、「等脚台形:とうきゃくだいけい」と呼ばれる台形のようで、もしかして物理的な関係があるかもしれなく一応このワードを載せておきます。

また、実際にマチを折る時に真垂直に折っているところも物理的なヒントだと思いますが、まだその見方からは解説出来ておりません。

ただ、あくまで実験でマジックで紙に書いてやってみたことですので、この先もっと「なぜ縫い代の分が垂直に折ると横に高さの1.5cm分ちょうどがはみ出すのか」の論理が深く分かれば追記したいと思います<m(__)m>。

つまり、実寸で計算しておけば、自然に縫い代が含まれているということも言えますし、そもそもマチ部分は、縫い代とは無関係な内側に出来上がるものであるから、すでに、縦横で含めてある縫い代で事足りるということなのです。

この台形の上辺は、型紙の10cmから見ると、継ぎ目の縫い代で1.5cmずつ前面後面のパーツともにとられ、短くなり、10-1.5=8.5cmずつの2パーツで合計17cmしかありません。

しかしです、縫う部分というのは実際は、その1.5cm縫い代をとった下辺(上図では赤い点線)。

そこは、物理的な構造上、縫い代を1.5cm足した長い辺の長さになっているではありませんか。

それが上の17cmに突き出した1.5cmずつを両面分の3cmを足した20cmであるということが事の解明です。

この垂直に折って形作るマチの場合、台形の底辺は縦の長さ1.5cm分上の辺より長くなるようなのです。

どうしても、頭で想像すると、台形の上辺を想像してしまうのですが、実際に縫う場所=実際のマチの出来上がりがその1.5cm下の辺であることがなかなか想像しにくいのです。

この図解で想像だけのイメージと実際の構造が随分違ったものであることに驚いたものです。

ただ、この解説でもまだまだ不足だと思っております。

もっとうまくご説明できるよう今後も考えていきます。

あとがき

このマチの件は奥が深過ぎたかもしれません。

大変多くの人が悩んでおられるようで、腑に落ちていないのだと思います。

どうか、この記事が少しでもヒントになればと思います。

多くの方が腑に落ちない点は、このマチの寸法のカラクリだと思います。

ご協力できる可能な限りを尽くしたいと思います(^-^)。

どこかで見たことのある身近な素材、スニーカーみたいなスポーツ生地で作った内部が意外に瀟洒な黒無地のリュック【767】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

1点リュックが完成しました。

最後の仕上げ直前に、留め具パーツの色をシルバー色からゴールド色に変更したことで、パーツ不足にて、購入に走る際にあることに気づきます。

エスカレーター内の前の女性二人の背中にはリュックが。。

数年前に想像していた、「今後はリュックだらけになっていく光景」がいよいよ現実のものになっていたのです。

健康志向もあり、リュックは均等に力が両肩に配分されてバランスが良いのです。

そして何より楽ちん。おそらくショルダーを上回る定番アイテムになると思います。

某有名ブランド様の量産品バッグでして、ナイロン製で一部本革レザーの切り替えがあり、なかなか高級感も出ているお品。

いつの間にかそのブランド様も、商品のモデルチェンジなどで、リュック型を大量に作っていると知りました。

たとえ、有名ブランド様でも負けてはいられません。

当方ならではの技術でもって今回1点のリュックを作り上げました。

では、完成をご覧いただきたいと思います。

素材がとにかくユニーク、スポーツシーンでよく見かけるパンチングメッシュ素材をエレガントに落とし込んだリュックの完成

「餅巾着」:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。黒無地がとりあえず一番使いやすい人気カラー。

素材がユニーク、スニーカーの一部・ユニフォーム・ブルゾンの内側に使われているのを見たことがありました。

主役に使うという思い切った案でしたが、裏地が花柄というのも意外。

メッシュのスポーティーなイメージを新しく解釈してみたのです↓。

<表地:黒>ストレッチメッシュ、ポリエステル/100%、日本製。裏地はナイロン撥水加工のシャカシャカ生地。

全体が黒ベースの所へ裏地の一部を柄で選択する案はいろいろ引用できそうです。

内部の機能に関しては、申し分のないものになってきたと思います。

ただ、入り口のフラップが小さく、この近辺の製作の「餅巾着」すべてのフラップを後に大きいパーツに取り換えるリフォームを行いましたその後の動きがあります↓。

隙間がめいっぱいおおわれるフラップへ取り換えたのがこちら。取っ手の間をくぐり抜ける可能な最大限の幅。

あとがき

こんなにいろんな種類のメッシュを取り扱えてとても有難いです。

もともとの趣味として、集める事がとっても好きで一括りにするということをよくしてまいりました。

そんな性質を今度は自らのアウトプットで活かしています。

「メッシュシリーズ」は次回の素材でラストです。

そのラストの製作も、途中から変更のフラップを大きくしたもので完成ということになります。

やり直しの利く限りやり直した方が良い場合もあり、「隙間が気にかかる」とフィードバックをいただいたお客様にはとても感謝しております<m(__)m>。

四角い貼り付けポケットの角が歪まないために貼った伸び止めテープ、ステッチが交わる必要がある【766】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

隠しポケットと貼り付けポケットとでは、前者の方が大部分が内部に隠されますので、見かけが何となく奥ゆかしいです。

一方貼り付けポケットは存在感があることがメリットで、ぺタンと貼った時のコの字がまっすぐでなければ粗く感じてしまう難しさもあるポケットだということに気づいたのも後から取り入れた隠しポケットあっての気づきでした。

もともと貼り付けポケットからのスタートだったのですが、こうして隠しポケットと両方を同時にバッグに設置することを並行してやってきた結果、貼り付けポケットの方が難易度が高いのだと思うようになりました。

目に映る美しいコの字ラインをまっすぐに縫えるためには、歪みを解消せねばなりません。

このたびは、真っすぐラインを作るための伸び止めテープの使用例をご紹介したいと思います。

同じケースのみにとどまらず、いろんな場所に効果的に使えるケースを是非考案してみてくださいませ。

ナイロン100%素材は弾力性が強いという理由で、伸び止めテープのバイヤスをストレートな部分に貼りました、正解でした

伸び止めテープというのは、その名の通り、伸びないように固定する働きが主にありまして、既存の説明などでは、洋服の襟ぐり、袖ぐりなどのカーブの部分にバイヤスを使うなどの例が多く見られます。

「伸びないように」→「変形しないように」という意味で使っていきます。

まっすぐなストレートなラインにバイヤスの方を貼る理由は、貼る生地がナイロン/100%だから。

ストレートとバイヤスの質の違いは、その柔軟性。

カーブなどの内輪と外輪があるかのような箇所では、伸び縮みに優れたバイヤスカットをしてあるテープが融通が利き、そのラインに沿ってくれるのです。

ストレートは、まっすぐの縦や横にびしっと硬く風合いを仕上げてくれる効果があります。

動きのある場所でもないストレートラインのポケットなのですが、接着をすることが伴うため、生地のナイロン/100%の弾力性に合うようにという意味でバイヤスを使ったところが特殊なケースなのかもしれません。

黒衣のが9mmの伸び止めテープバイヤスの黒色です。もっとステッチが真ん中に乗ると良いですが。。

そもそも、この接着芯をこのナイロン/100%の生地に貼る時にも、ニット芯を貼っています。

ここへ織芯を貼ってしまうと弾力性のあるナイロン/100%の生地がアイロンの熱によっていったんきゅーっと激しく縮み、その後熱の冷めによって再び戻ろうとするような動きからか、気泡と皺のオンパレードになってしまいます。

この接着芯の経験から、伸び止めテープも一部使いの接着芯と同じではないかと考えたのです。

市販では、ニットの伸び止めテープもあるようですが、伸び止めテープのバイヤスを選択で大丈夫のようでした。

巾9mmのバイヤステープ:表にひっくり返した時の端っこに位置するように使ってみました。

伸び止めテープはどこかに縫い目で固定されているのが鉄則。

その意味では一応乗ってはいますが、もっと貼るべき位置をずらすべきだと反省しております。

縫う位置を想定した位置にピンポイントでステッチが乗るように前もって貼る位置を決めるべきなのです。

この写真のポケットの底の部分には、この写真の現在では縫い線がまだないですが、後にひっくり返した後に、縫い付けのステッチがのります。

良い位置になるには、1本だけを折り目を対称にしてまたぐように貼るのが出来上がりが2重の伸び止めテープが重なったところへのステッチということでもっと効果が出るかもしれません。

とにかく、伸び止めテープの「接着+ステッチ」のコンビというのは、「はがれ防止」と「固定」の意味があると思いました。

特に、長方形の角の部分にご注目を。美しく直角が出ました。これが伸び止めテープの効果です。
裏側はこんな感じ。当て芯もしています。その縫い線のラインが裏から見てもすっきりと直角です。

当て芯だけではここまで綺麗なコの字にならなかった、伸び止めテープのおかげが大きいと思います。

とても素晴らしい附属品です。

こういった裏の場所というのは、バッグが出来上がってしまうと見ることがありませんので貴重です。

あとがき

この、貼り付けポケットはいずれ隠しポケットとのコンビで、混合型1種だけに変えていくことを考えました。

そうすれば、伸び止めテープの出番も必要なく、フラップ付きの隠しポケットという姿になります↓。

貼り付けポケット廃止後のポケット:フラップのみ活かし、隠しポケットとの混合型で1デザインのみで行きます。

ただ、このたびの、伸び止めテープを貼った効果は忘れません。

ちなみに、隠しポケットの比翼(写真では黒の横長のパーツ)に伸び止めテープのストレートを貼ります。

別の機会にも思い出して引用できる時が多々ある伸び止めテープの存在、どうぞ覚えていてくださいませ(^-^)。

良き素材の出会いが活きた、黒メッシュ無地と黒メッシュ花柄刺繍のコンビのリュックのおしゃれ度【762】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、<メッシュシリーズ>として、様々な種類のメッシュに特化した生地でリュック「餅巾着」を連続製作中です。

このたび、1点完成致しましてご紹介しますので、メッシュ素材の面白味を味わっていただければと思います。

「餅巾着」というデザインは、実は3層構造。

表地・裏地・内蔵の巾着袋と3段階の製作が合体したものになります。

順番は、表地→裏地→巾着袋とやってみましたし、このたびの完成品の場合は、その逆の巾着袋→裏地→表地とやってみました。

作業のスムーズさなどの違いは特に感じませんでしたが、巾着袋を裏地に縫い付ける部分があるので、その2つは隣り合わせの段階にした方が流れがスムーズです。

では、完成の様子をご覧になって下さいませ↓。

コンパクトなリュックでもここまで機能と構造が高められる

正面:「餅巾着:もちきんちゃく」<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

お出かけや旅行の時のリュックとしてのご提案です。

大きすぎない点でコンパクトの部類にはなりますが、ポケット2個の他にもお部屋が豊富。

貴重品+カメラx1台+日用品+といった感じのサイズ感です。

トートバッグの使い方:ショルダー取り外しが可能、シンプルにハンドバッグのみでもお使いいただけます。
背の部分:表地は2種。無地のメッシュ素材の黒色に、同じようなメッシュ素材の花柄刺繍の生地を配色的に使用。

もともと分量の少なかった刺繍生地をパーツの部分にアクセント的に使ったということです。

取っ手の付け根カバーの8角形はどうしても折り込む際に刺繍が邪魔して綺麗にできなかったので無地で、ショルダーは長いので分量が不足して無地でということに自然に配置が決まっていきました。

金具:シルバー色を使いました。もしかしたら弔事でも。。と思いシルバー色がオールマイティーだと判断。
生地の地の目の使い方の違い:取っ手の付け根カバーと本体の地の目の向きに変化を付けました。
内側(入口周辺):入口の蓋を開けるとこのような風景が。メインの巾着ひもは、裏地のストライプの黒色です。

裏地はこのカーテン地の黒色ストライプで作りました。

内蔵巾着袋(外側):最初のリボンをほどくと、どーんと内蔵巾着袋が現れます。内部が完全に守られます。
内蔵巾着袋(内側)内側はボーダー柄に裁断方向を変えました。この生地はニットです。

お気付きかもしれませんが、巾着袋が内蔵されることで、ポケット以外のお部屋が生まれました。

巾着袋の前後や左右、そして底部分に物を入れる隙間が生まれたのでした。

巾着袋の要/不要:巾着袋を使わないということもできますが、使う場合セキュリティー性は強めです。
ポケット(隠しポケット):ジャケットの「片玉縁:かたたまぶち」の作りを学び我流にアレンジしました。
ポケット(貼り付けポケット):フラップが付いてセキュリティー性があり隠しポケットと機能は同等かと。。

ところで、ニット生地の小花柄の巾着袋に対しても縫い糸は布帛(織物)と同じテトロン糸で対応しています。

糸調子などは何らかわりなく、綺麗な糸目で出来上がることができす。

お洋服ではないので、かがんだり、伸びたりなどの激しい動きが生地自体には起こらないのがバッグ。

持ち上げるので、重いものを入れた時に多少背伸びしたような圧力も想定しますが、その辺りはやはり固定の物体であるようで、お洋服とは随分事情が違うようです。

ただ、ニットであることは間違いなく織物とは違うわけで、伸び縮みによる生地自体の変形はあるようでした。

この変形に関しては、ポリウレタンが入った素材にも同じように付きまとうことです。

表地の無地の黒のメッシュは、ポリウレタンが15%も入っているので、弾力性がものすごく、ハイテンションという加工がかかっているものです。

ショルダーにステッチをかけている時に、横に少し伸びて生地つぶれ、幅が通常よりも広く出来上がったような感触でした。

あとがき

今後は、あと2点程メッシュ素材で製作を続けます。

次回からの素材もまた面白く、ユニホームや、トレーニングウェアー、スニーカーの一部に使われるような穴の開いたメッシュ素材です。

おそらく、一度はご覧になったことがある素材だと思います。

ところで、このたびの完成品は、後にユーザー様からのフィードバックと実際の使い勝手の追求で、思いのほかメッシュ素材が伸び、隙間が空くということが分かりました。

そうして、当記事の完成品の入り口のフラップのサイズを取っ手の間の幅にめいっぱい広げたものへ後に改良しました。

その記事は【807】でございまして、ここで完成のお写真のみ掲載しておきますね↓。

改良して隙間をカバーしたこのたびの完成品のその後。間違いなく改良後の方が良いです。

この度作ったものと比べて、随分入り口の安心感が高まることになります↓。

実用度は右側の改良版が断然あります。左側がいかに机上の空論であったかを反省しました。

とりあえず、当記事では、内蔵巾着袋のリュック全体での存在感をお伝えする回でして、改良後の本当の完成が随分後になり別記事になったことで記事が読みにくく申し訳なかったです<m(__)m>。

結ばずに折って重ねて縫い付け、6mm巾の共布巾着ひもの先を美しくループエンド内に収納【761】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ最近連続して製作段階の細かな作業をご紹介しています。

以前の記事【759】【760】そして、このたびの【761】で、リュックに内蔵する巾着袋の共布巾着ひもに関わる細かな製作過程をご紹介しています。

美しい仕上がりと長持ちという欲張りな2つの目的を同等に叶えるというもの。

このたびは、ループエンドを紐先に取り付ける作業をもって内蔵巾着袋が完成です。

このような些細な作業にも工夫がありますので、是非ご注目いただければと思います。

共布ひものループエンド内への収納、折って縫い付けた時点で向きが固定される

いくら中に収納といっても、縫い代は隠しておくのが望ましい姿。

ループエンドの中も半分は外側みたいなものなのです。

まず最初にループエンドにそのまま2本まとめて通します。

そのループエンドに通った状態で次のようにやっていきます↓。

巾着ひもの2本を互いにおがみ合わせるように内側へ折ります。ループエンド内に隠れる分量だけ折ります。
こんな風な見栄えになります。この後、斜めにステッチを入れます。一度縫いだけが限界みたいです。
とても分厚いものを縫うという無謀なミシンがけとなりますので、返し縫いは崩れる原因なのでやりません。
こんな風に収納できました。はみだしが無いと美しいです。すずらんループエンドがエレガントです♪。

結ぶやり方はボリュームが増大してループエンド内に収まりきらないことが多いですし、何よりも「粗い」印象になります。

このたびのような平らに折ってステッチをかけるまでするやり方は「しとやか」なふるまいのよう。

この違いは「カジュアル」と「エレガント」の分かれ道にさえなるものだと思います。

あとがき

細かな部分ですが、パッと見たときの「あっ!」という感動に繋がることを思うと力を入れたい部分です。

このループエンドが非常に素敵、「アイリス」社製のすずらんデザインです。

シェイプされたデザインがエレガントで、シルバーとゴールドの2色展開です(^-^)。

ここで内蔵巾着袋が完成しましたので、引き続き内貼りの裏地製作・表地と作っていきます。

リュックの全体の順番としまして、内蔵巾着袋を最初に作っているのです。

さて、この細かな作業が完成にどう影響するのか、完成品は【762】で。

特に内蔵巾着袋が全体のどんな存在なのかをご覧いただけると思います(^-^)。

製作のラストを飾る「ひも通し」、共布で作った巾着ひもを巾着袋に通す時の天地の向きの統一【760】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在「餅巾着」という名前の巾着リュックに内蔵の巾着袋(裏地付きの二重仕立て)を製作中。

今回は、その出来上がり直前の場面、ひも通しを美しく仕上げるために向きをそろえる意識をすることをポイントにご覧いただきたいと思います。

共布で作った紐には天地の向きがある、「わ」を天に「溝:みぞ」を地に向ける設置の仕方で仕上げるひものねじれのない巾着袋

既製品のコードの場合は筒形なのでで180度回転しても、紐自体は同じ向きなので気にすることはありません。

しかしながら、共布ひもである場合、紐の作りが片方が「わ」、片方が「溝:みぞ」ということでアシンメトリーなのです。

向きはどちらでも自由なのですが、たまる「溝」に変なほこりをためないという意味で天が「わ」地が「溝」と決めています。

天が「わ」になった向き:上側をこの向きで通します。
地が「溝」になった向き:下側はこのように溝が位置します。
上記のそれぞれの位置をキープしながらねじれないように出口へ出します。

出口に変な向きで出てしまっても、手探りで向きを整えることも可能です。

せっかくこのように設置しても、使っていく中では当然ねじれてきますが、この時点で位置を整えておく理由があります。

結んで使う場合は結び直しということができるのですが、この後、紐先にループエンドを付けます。

その際に、この向きのまま縫い付けて固定してしまうので、「向きが決まる」ということです。

その作業があるために、この時点で向きを正しくピシッとしておかねば、永久にねじれたひもの完成品になってしまうからです。

ところで、出来上がり巾にも理由があります。

型紙は2.5cm巾で出来上がりが6mm強です。

いかに細かなお仕立てをしかも綺麗にするかの限界として、このひもの幅を設定。

これ以下では綺麗に出来上がらない、それ以上だと野暮ったくなるなどのバランスです。

この後に取り付けるループエンドのホールのサイズとの相性もあります。

あとがき

古典的な口の閉じ方ですが、実際に使う中で一番さりげなくて確実なのが「絞る」という動きです。

メインの入り口の隙間がどうしてもできてしまう「大まかにしぼるだけ」の入り口の内部には、こうした完全密閉の機能があると良いです。

単純なトートバッグだけを作ろうとしますと、心配事が出来てしまいます。

何でもないプレーンなトートバッグでも、内部にこういった巾着袋を内蔵というアイデアで、旅行バッグにでもなることができる可能性が生まれるのです。

このコンビネーションの考え方は、製作時間は長くなりますが、機能としては優れ、奥行きの深い内容の品物になると思います(^-^)。

巷では滅多にやられていない、意識的にすっきりさせた巾着袋のひもホール内の縫い代の内部始末ステッチ【759】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

少し前の記事【753】でもお伝えしましたように、バッグが完成してしまうと内部の機能は多くが隠れて見えなくなります。

それをあれこれ完成のバッグでご説明してもなかなかピンとこないかもしれないと、製作途中の場面の裏側のお写真と共に「当て芯」にスポットを当てながら強度を高めている縁の下の力持ちなる部分をご紹介しました。

このたびの【759】では、【753】の時の「当て芯」とは別のパーツ、①内蔵の巾着袋のひもホール内の縫い代始末と②巾着袋の底のマチの多重の重なりの仮固定ステッチの2箇所についてその途中段階の内部をお伝えします。

1つ目の箇所:巾着ひものホール内の縫い代を完全に隠す両割れの固定ステッチ

おそらく、カーテンやクッションカバーなどのインテリア分野で良く使われる「袋縫い」の手法に類似のやり方だと思います。

ホールというのは、半分内側ですが、覗くと見ることができるので、もう半分は外側に面しているという場所です。

「この場所は外側みたいなもの、目に映る部分としてきちんとお仕立てしたい」といういった思いから次のような工夫をしています。

巾着袋のひもホール内の縫い代始末の仕方:てっぺんが縫い代側です、さらに内側に折り込んでステッチ。

この構造、結構手が込んでおります。

1.5cmの縫い代がびらびらのままであると、紐が巾着の開閉によって縫い代がどんどん消耗してくる可能性がるので縫い代をさらに半分の7.5mm分内部へ折って真ん中にステッチします。

それでもまだ、ぐらぐら揺れる不安定さが残ります。

よって、この写真の後は、てっぺんから3mmほどをミシンで重なったまましっかり縫い付けて固定するステッチを1本入れていくということをします。

そうして完全にトンネルの入り口からのぞいた風景が安定したすっきりとしたものになります。

共布ひもを通した様子:一番上のステッチが曖昧だったラインをしっかりと固定しはっきりとしたラインに。
ひもホールの入り口から見る内部:縫い代がすっきりとおさまり、紐がその下を通過しますので摩擦がないです。

「摩擦が起きない」ということは、「傷みが無い」ということにつながり「長持ち」へとつながるということを見込んでいます。

2つ目の箇所:巾着袋の底のマチの多重の重なりの仮ステッチの固定

次は、場所が下の方へ移ります。

二重仕立ての巾着袋のマチの重なり:表地と裏地が同じ生地ですが、マチ同士ピタリと合わせ仮縫いステッチ。

この時に、重なった内側のマチが引っ込みがちです。

この引っ込みのまま行くと、縫い目がずれて内側を縫い外す懸念が起こります。

よって、この時点で仮止めステッチをし、少し内側のマチを1mm程のわずかな分量出し気味にして、1cmくらいの部分を縫っておくのです。

内蔵巾着袋は裏地付きの二重仕立てなので、マチの重なりというのは、合計4枚分です。

4枚重ねの仮固定完了:この後裏地のマチに更にこのまま挟み込んで、縫い代1.5cmのところを重ねて縫い付け。

一度にやろうとするよりも1ステップ踏んだ方が安全であり確実です。

強度もこの方が必ずありますので、必要なステップだと考えています。

出来上がりでは、このように安全を考えて二度にわたってステッチされているなど、決して目に映ることではありません。

この場面は大変貴重な場面だと思っていただければ。。と思います。

この仮固定の縫い線は1cmでしたので、裏地への縫い付けの時の1.5cmの縫い代内にちゃんと隠れてくれます。

ということで、以上の2箇所が、バッグの中の内蔵巾着袋が実際にバッグに出来上がっときには見ることのない、途中段階の今でこそじっくり見ることのできる構造の部分でした。

あとがき

手の込んだ仕立てはハンドメイドならではの強味です。

量産品には、対極なお仕立てで注目される方が断然良いと思います。

今は隠れて知られていない部分なのかもしれませんが、これらをいくつも地道にやっていくうちに、内部が見えなくてもパッと見て「何か違う!」という存在に、そして「信頼」を得られる製作になると思います(^-^)。

黒ベースの小花柄がマルチカラーの場合に思わず真っ黒の縫い糸を選んでしまうことへの冷静なる注意喚起【757】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、餅巾着というデザインのリュックを製作中。

その製作の中で、黒ベースのマルチカラーの小花が登場。

この時に使う縫い糸が思わず黒を選びがちです。

しかしながら、その出来栄えは。。

ということで、縫い糸が本当に黒を安易にチョイスしてしまってよいのかということの結果の縫った見た目の美しさの検証です。

片方は、真っ黒の糸で、もう片方はチャコールグレーの糸でやってみたいと思います。

黒VSグレーの糸で実験してみた結果の美しさはグレーに軍配が上がった事実

左:黒糸で縫う、右:グレー糸で縫う:本来長い生地で作るのですが、実験なので短めで試作です。

黒とグレーは結構近い色だと思いがちですが、この検証が別物であることを明らかにしてくれました。

こういったマルチカラーの場合「地」(柄の背景)が黒であってもその他の明るい色の割合も高く、真っ黒が浮いてしまうことがあるのです。

検証結果を見ていただくと、糸の美しい馴染み具合はどちらなのかが良く分かっていただけるかと思います。

検証結果:左側の黒糸は柄を遮断するような見た目、右側のグレー糸はマイルドで生地に馴染み美しいです。

過去の製作で、同じように黒ベースの鮮やかな原色カラーの花柄のプリント物の製作時に何度も黒ベースのマルチカラーの花柄柄に遭遇してきました。

その時も、グレーですべての部分を縫いました。

もし、左のように黒糸ですべての部分を縫うことを考えると出来上がりの感動が削がれるのです。

黒ベースなのだからと、黒糸をチョイスしがちですが実はグレーが正解です。

柄を活かしたいからかわいい柄を選択しているのであって、やはり柄を主役にしなければなりません。

ステッチはあくまで引き立て役、なじむような色を選ぶべきなのです。

黒だけに言えることではない、紺や焦げ茶も同様

黒は色の中で一番シャープで強い色だと言われるように、分かりやすいものでした。

ただ、同じように、焦げ茶や紺色くらいまでは黒と同じ性質も併せ持つということで、今回の事が同じように当てはまるようです。

このたびは、黒ではなくてグレーの糸を使用したのですが、もしグレーベースの明るい花柄の場合グレー同士でも糸が浮く場合はグレーのトーンを更に下げてあげることも場合によっては必要になってきます。

あとがき

さらに細かいことになると、糸の色の他には、「糸調子」も美しい見栄えに繋がるかと思います。

調子の悪い糸はどうしても良質に見えにくくなるので、糸調子の良し悪しも注視することがベースにあります。

出来上がりリュックを一目見た時の「わぁっ!」という感動は、こうした細かな部分の集結で出来がるのです(^-^)。

元はパンプスの素材がこんな姿になるなんて。。内側の大花柄が美しい「ラメ」がリンクしたリュックを眺める【755】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、「餅巾着:もちきんちゃく」というデザインのリュックが1点完成しました。

パンプスに使われる素材をリュックに使ったところがユニークな用途の「ずらし」です。

ボーダーのような畝が美しいゴールドラメがエレガントなリュックの内部にもご注目いただければと思います。

ごわついた素材が良き貫禄に、表地と裏地の共通部分のラメがゴールドの金具パーツともリンク

「餅巾着」:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

心配していましたごわつきによるミシンの糸の通りにくさはありませんでして、素材の硬さが随分貫禄になっています。

スムーズに縫っていくことが出来て、大変心地よい製作だったのでした。

なかなか写真ではゴールドが際立ちませんが、凹凸があるので、半分くらいへこんだ部分に隠れてしまうことで映りが少しぼんやりと見えるのです。

<表地>生地名不明(メッシュ生地)、混率不明(おそらくナイロン/100%とのこと)、日本製。
生地のごわつきがいい具合に影響して、リュックのショルダーなどもポンと浮きます。
上から見た写真です。メインの入り口がいかにセキュリティー性が弱いかがこの隙間で分かります。
メイン入り口の隙間を内蔵巾着袋が完全フォロー。細い方のひもは内蔵巾着袋のひもで太い方は入り口用。
メインリボンをほどくと、こうして、内部に設置した二重仕立ての巾着袋の黒色が現れるのです。
巾着ひもをほどきますと、内側の暗いお部屋です。マチ部分で縫い付けしてあり、本体と一体化しています。

随分複雑な構造のように感じられると思いますが、セキュリティー性を追求した結果自然にこうした作りになりました。

巾着紐が重なる点が気になる場合は、入り口をバンドへのアレンジなども良いと思います。

あとがき

このたびのボーダーの畝のメッシュ素材がもしパンプスになっていたら。。と想像していただくと、こんな風にリュックになっていることが不思議な感じに思えてきます。

本来のアイテム用だった素材を、別のアイテムにずらしたことで新しさや個性も生まれることがあります。

多くがトートバッグに作られる帆布生地を筒形のワンショルダーに作うなど、「意外なデザインへの落とし込み」で個性が出せることがあるのです。

もともと製作生地に「凹凸感」がある生地を選択することが多いバッグ製作のスタンス。

凹凸感もいろいろあり、畝、ジャガード、フクレ、パンチングなど様々です。

このたびこのような新しいタイプの凹凸感に出会えて、良い製作経験をさせていただきました、生地をご提供下さいました業者様、ありがとうございました<m(__)m>。

バッグの「当て芯」の余分な部分をハサミでカットする時に生地を傷めないためのコツがあります【754】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回の記事の1つ前の記事【753】では、バッグの完成では見ることのない隠れた部分で機能する、「当て芯」の設置の様子などをご紹介しました。

今回は、その当て芯の設置の段階の中で、ハサミを使う部分に注目していただき、随分カットしにくそうな場所をどうカットしているのかをご紹介したいと思います。

間違えて本体生地を切ってしまわぬよう、ハサミの使い方もコツです。

余ったハード薄芯を立ててハサミを滑らせる使い方、生地裁断用ハサミとは区別した方が良い

まず早速ながら、このように当て芯を裏面に当てて表面からフラップポケットを縫います。
表面はこんな風にパッチポケットが完成しています。その裏側には当て芯があるのでした。
まずは、縫い線を折り曲げハード薄芯を立て、ハサミをスーッと横へ滑らせていきます。

こういった不織布は、早くハサミが切れなくなってしまので、ここで使うハサミは、生地をカットする時のハサミとは別のハサミをお勧め。

下の生地を切ってしまわないように立てて浮かせてカットするハサミの使い方がグッド。

内側の袋に当たる部分は必要が無いのでカット。バッグ全体が軽い方が良いのでこの広い面積の部分は余分です。
一気にやってしまえる効率を考え1枚の大きな長方形の当て芯、そして後でカットするという方法をとっています。
表面から見ると、裏がこうなっているなんてなかなか想像できないと思います。貴重な裏側です。

当て芯の型紙がおおまかな長方形な理由

当て芯する時に、その部分に忠実過ぎるパーツにあらかじめカットしてしまうと、きちんと当てはめなければならないことに集中せねばならず、本来の表面の縫いがずれたり、位置が分からなくなったりで悪影響です。

とはいえ、あまりに異形の形のパーツを当て芯とすると、これもまた、目の錯覚から、歪みの原因になることが過去に経験済です。

まっすぐに仕立てるためには、当て芯自体も「専用の型紙」によって「粗裁ち:あらだち」をするという、粗いものなのにきちんと型紙を用意するという何とも面白い矛盾があるのでした。

あとがき

生地裁断専用のハサミは結構寿命が短く、研ぐということを過去にしていただいたお値段でハサミ1点のお値段でした。

そこで、研ぐことはせず、使い捨てのような使い方をするものの、簡単に捨てるのではなく、紙のカット専用や不織布のカット専用へだめになった裁断用のハサミをまわしています。

この使い方はかなりコスパも高まり、長い目で見た「サスティなブルな製作」ということになっていくと思います(^-^)。