まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
「粋(いき)」という言葉がとても好きです。
お魚などがはねて元気な様子の「活き」と勘違いしていた過去もありますが、実際は別物です。
まずは、粋(いき)という言葉の定義ですが、
「気質・態度・身なりなどがさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気があること。また、そのさま。「粋な姿」「粋な柄」「粋な店」⇔野暮:引用-goo辞書より」
以上が、粋(いき)の定義です。
江戸時代にその文化から生まれた言葉だと言われていますが、このテイストをよく頭の中に置いている言葉です。
とはいえ、どんなことが「粋」なのかなど、なかなか「はい、これです」と示されることがありません。
だからこそ、あえてこのたび担当分野であるファッション分野において、「粋なコーデ」を「野暮なコーデ」からの変化として視覚的にお伝えしてみたいと思います。
ファッションにおいて「粋」という言葉が使われる場面
粋(いき)の辞書からの本来の意味から見るととても曖昧でぱっとイメージが浮かばない言葉のように感じるかもしれません。
そこで、いったん反対語の「野暮(やぼ)」の意味も見てみることに致します。
「言動や趣味などが、洗練されていないこと。無風流なこと。また、その人やさま。無骨。「野暮なかっこうをする」⇔粋(いき):引用-goo辞書」
反対語の野暮(やぼ)が「洗練」とか「風流」ということと反対なのだという表現からも、粋(いき)というのはかなり敷居が高いものなのでしょうか。
いえ、決してそのようなことはないと思っています。
粋(いき)というものは本来身近なものだったからこそ江戸の文化として大衆に広がったとも考えられます。
まずは、ファッション分野/お洒落分野に関して粋(いき)という言葉が実際にどう使われているかをネットなどで探索して集めてみました。
・粋な色・・・もともと粋の語源が江戸にあったことから、「江戸紫」と呼ばれるような紫色に対して使っていることが起源にあったようです。
・粋な形・・・面白みのある形や予想外の珍しい形の「創作物」に対して使われていました。
・粋な柄・・・江戸に始まった文化であることも相まって、伝統的な「和柄」に対してたくさん使われているようでした。
次に、粋な〇〇、というように区分けをしてみました。
↓
・粋な小物使い・・・帽子、眼鏡、サングラス、スカーフ、手袋、ベルト、靴、ジュエリーに対して。
・粋なヘアスタイル・・・水商売の女性のまとめ髪のヘアスタイル、思い切ってショートカットした女性のヘアスタイル、男性が短すぎず長すぎないさっぱりとしたミドル丈の立体感がある髪型に対して。
・粋な着こなし・・・これは、ネット上に最も多く出てきます。お洒落な着こなしをした男性のコーデに対してたくさん使われていることにまず驚きました。
・粋なライン・・・あまりなかったですけど、ワンピースなどに少しこの言葉のイメージが当てられているようでした。
これまでのところで私が感じたのは、粋(いき)とは、決して「派手なにぎやかなもの」ではなく、どちらかというと「渋(しぶ)い、シック」といったものなのだということです。
では、再び「渋い」と「シック」を辞書検索。
・「渋い」・・・「派手でなく落ち着いた趣がある。地味であるが味わい深い。:引用-goo辞書」
・「シック」・・・「いきなさま。あか抜けしているさま。:引用-goo辞書」
シックが、粋(いき)と意味的にはイコールになるようです。
あかぬけているということは、言葉だけの音の漢字から、「明るい」を想像しがちですが、実は派手とは対極にあるということを勘違いされませんよう。
垢(あか)ぬけるという感じは、この垢のことでした。
垢(あか)はあのお風呂でたまに出るあの垢のことで古い角質のこと。
これが抜ける、ということですっきりするという意味になります。
こうしたことから、粋(いき)は、「すっきり」とした「さっぱり」としたニュアンスの意味を含んでいるところが大きなポイントなのです。
実際に「野暮コーデ」から「粋コーデ」へ変身を試みました
粋(いき)のイメージのお話を終えたところで、実践編となります。
ここからは私がその意味を辞書で調べたところから、いろんなファッション分野の学びを経て、自らで咀嚼した結果行き着いた1つの答えです。
粋(いき)は一文字だけですが、実際の意味というのはそれはそれは厚みのあるものだと考えます。
感覚や感情、知識や経験なども要素の一部に入ってくる非常に奥の深いもの、大げさに言ってしまえば、人生まるごと入っているようなものではないか、などと考えます。
この人のコーデは粋(いき)だなあ、と他人の目から感じるファッションコーデというものをそのまま真似て再現しにくいところに上記のような深みを感じています。
私個人的には、「潔(いさぎよ)い」という言葉も好きですが、何か粋(いき)に通じるものがあるかなと思います。
では、具体的なイメージがわきやすいように、あええてトライしてみた野暮(やぼ)から粋(いき)への変身のコーデ例をどうぞ↓。
ということで、変身に至りました。
変身に至った工夫を解説致します↓。
このワンピースはカットソーがロング丈になったような、半袖のダボっとした、サイズは、かなりゆったりなXLの表記。
「ジョルジオアルマーニ」製なので、とても素材が良いです。
こうしてヴィンテージ物のハイブランドをお得に古着市場でこだわって探しています。
大は小を兼ねるなどという言葉がありますが、大きいサイズに関しては着ることが可能。
品物の良さや、デザインが良ければ、オーバーサイズならそのサイズ感の不満を1点物だと割り切りいったん受け入れてその後工夫をしていけばよいのです。
もともとラインがズドンと作られているタイプのデザインなので、このまま着るといわゆる野暮(やぼ)ったいというような印象が否めません。
これを、変身後のように身体(しんたい)のラインを出してオーバーサイズ感を解消する工夫を、ウエストの黒の革ベルトで行いました。
靴はバランスをとるためにあえて日常着用のフラットなタイプから、お出かけ要素のあるヒールパンプスへ変えました。
同時に靴ブランドのレベルもハイブランドへアップします。
その他の細かい「粋を作る工夫」としましては、ベルトのゴールドのスクエアのバックルと、パンプスのゴールドのスクエアプレートが同じ形、同じ色でリンク。
こうした細かなパーツ同士の色や形を「同じ」ということにそろえることが、「すっきりと垢抜ける」様相を作る1つの要素です。
右側の方が、当然すっきりして見えることかと思います。
野暮(やぼ)から粋(いき)に変身した瞬間でした。
今回は、「粋」という言葉にスポットを当てましたが、ほぼ同義語としまして、上述の「シック」そして、「洒脱:しゃだつ」も同じ意味です。
本の中に多く書かれるのはむしろ「洒脱」の方のようなのですが、なじみやすいのはやはり「粋」の方ですかね。
日常に見つける「粋」な部分を探してみてはどうでしょう、これまでと違った世界を見つけることが出来そうです(^-^)。
あとがき
粋(いき)というのは、案外身近なところにあるものなのではないかと思うのです。
上の左右のコーデの対比は、あえて行ったことではありますが、このワンピースを着て出かけるとしたら、右側のコーデに決めると思うのです。
粋(いき)になるというのは、そもそも結果の話であり、前もって粋になるようにとは考えて作り上げることではないのでは。。
これまでの知識や経験を引き出した集大成のようなものなのではないでしょうか。
今回の場合であれば、ベルトをもってくると効果が出そうだとか、ベルトのバックルと靴のプレートの形を同じ形と色にそろえると、リンクしたその姿が見ていて心地よい、など何か自分の中の引き出しの中にそういったことをひらめくヒントがあったから、それを出した結果だと思います。
粋(いき)というものは、洋服の中にもともと入っている要素だけではなく、コーデする本人がアウトプットで作り出すものであったりもするのでしょう(^-^)。