まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
このたび、「センスの哲学:千葉雅也 著」を拝読。
バッグ作りをしている一端の者として、改めて「センス」という概念を学んだ本になります。
いにしえの哲学者様達がここに焦点を当てた考え方を解いてこられたと思います。
2024年の本ということで、「AI」の存在も見据えた芸術品の創造の今後なども参考にしたいところです。
哲学的な話題にもかかわらず、分かり易い文章のタッチは読み進め易い本でした。
「センスが良い」というのは、これまで携わったファッション関係のお仕事の中でもよく意識されてきたフレーズです。
では、「センス」というのは言葉で表すところ、何で構成されているものなのか。。そのような伝えにくいところまでしっかり迫ったのがこの本です。
「センスが良い」と思ってもらえることへの憧れ、「センス」という抽象的な概念を構成するものはいったい何なのか

キーワードの1つに「リズム」がありました。
詳しくは是非ご一読いただいて、著者様の考えを一度受け取ってみていただければと思います。
ここでは、かつての実体験エピソードをお伝えしようと思います。
下に貼りますYouTube動画内でもお話していなかったことで、当ブログを補足的な意味合いもこめて綴ってまいりたいと思います。
何十年も前のことですが、勤務先の上司の印象に残る言葉がありました。。「仕事はリズムだ」と。
リズムという言葉の連想は、音楽と結び付けて考えることも多いですが、仕事作業と結び付けた上司の言葉が非常に興味深いものとしてずっと残ったのです。
本にも例に出されているのが、動かぬ絵画にもリズムがあるとのこと。
リズムというのは、耳に依る情報のみならず、視覚的なものから触った感触まで、複数の感覚と共に見つけられるもの。
実はピクチャレスクの現在のハンドメイドバッグやレンタルジュエリーにおいて、「コーデ」を根本の軸の部分としています。
ここにもリズムが宿ります。
組み合わせをするのも2つに限らず複数が調和した状態の全体コーデ。
この中には、「同じである」という共通事項を「リンクしている」などという表現をしたりしながら、歩調を合わせてすっきりとまとめていくことがゴールです。
はみ出さない同等な調整もリズムの1つです。
そして、見落としがちなのは「無」もリズムの1つなのだということです。
リズムのイメージの王道である音楽に立ち戻りますと、音が出ていない空白の部分もあります。
この空白である「無」もあってこその全体が美しくまとまるということを考えると、リズムを作るものが、「on」の状態だけではないということです。
絵画でも白い縫っていない部分を残すという手法があると思いますが、同じことが言えると思いました。
よって、「センスが良い」というお洋服のコーデが素敵な人は、必ずしもガンガンと責めるような強い色使いの連続だったり、派手な装飾に偏った纏い方をするわけではないということ。
攻める部分と控え目な部分が交じり合っての全体の見え方が、非常に素敵に映るという状態なのではと。
あとがき
本の中には「リズム」のみならず、もっと別の要素も絡み合う構造が詳しく説かれています。
この先、何かを作るという創造的な活動を始めるにあたって、もしくは芸術に触れる際に見る目を肥やすというような願望を持つ時、ご一読の価値があると思います。
芸術品を観賞する際には、分かろうとしないことも重要だそう、どんな有名な芸術家の方もあちこちでそのようにおっしゃっているようです。
理解しようとするのは、遠くへ突然ぶっ飛んだような見方、そうではなく、目の前にある当たり前の姿を自然そのままに受け取るだけで十分なのです。
人間は複雑な思考をしてしまう生物だと思います。
何かを見ると、その意味を考え過ぎたり、意図することを探りがちです。
確かにそのような探究も必要なこともありますが、美しい物というのは、もっとさりげないものであり、優しいもの。。そのままの姿の感じ取りでキャッチすることの大切さがあると思います(^-^)。

