まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
家族である祖母などからもらったネックレスの中に、珠が一連に繋がったものを手にした経験がある方も多いと思います。
私もその一人。
かつて、昭和時代には、装いの定番として、真珠や天然石の珠(たま)を一連に繋げた40cm前後のショートネックレスを装う着方が定着していたもようです。
40cm前後のショートレングスというのは、「プリンセス」と呼ばれる、最もエレガントな長さの1つです。
一番安定した長さで定番としてネックレスの基本的なスタイルになっているようです。
このネックレスも現在だと、私が自分で作ったものもあります。
なぜそのようなことが可能なのかは、パワーストーンブームであった2010年前後から天然石のお店や問屋さんのような機能の老舗がネットで連を販売し、個人でも購入しやすくなったこともあったかと。
私も利用者の一人でした。
こだわりを入れるために、希少ではありますが、留め具をK18YG/K18WGに設置して、結果そこそこな原価となっていったのでした。
材料を安く仕入れることができても、それはストーンのみであり、地金を伴うとすぐにお値段がアップしていくということもその時実感しました。
ところで、今回は、今そうして自分でも作って行けるような一連の珠のネックレスの昔のものとの違いや、ヴィンテージならではの価値ということを発見していますので、それをお伝えします。
珠のサイズ違いでグラデーションの配置こそヴィンテージの証

類似のオレンジ色は、天然樹脂がその素材であるヴィンテージで物ではたくさん見つかる琥珀と鼈甲です。
これらのネックレスの珠の配置にご注目いただきたい。
左の琥珀は一部しか映っていませんが、先端の1粒に一番ビッグな珠を配置していますね。
そして、珠のサイズが、ネックに近くなっていくにつれて小さくなっていきます。
このバランスは、右の鼈甲で分かりやすく見ることができます。
考え方は同じで、留め具付近では珠が極小になってバランスがきっちりと取られています。
こうした珠に差が付けてあるタイプのネックレスこそ、ヴィンテージ物の証と言っても良いと思います。
このサイズ違いの効果は、ネックレスのラインが美しくしとやかなUの字になることに1つあります。
珠のサイズが同じだと横に広がって丸いラインに寄るのではないでしょうか。
昔のものには、おさまりの良い工夫がされていたのです。
一方、個人でも玉をつなげれば簡単にネックレスが出来上がる現在は、珠のサイズは均一であることが多いです。

いずれも私が自分で石屋様から購入し、作ったものです。
こだわりの点は、左側の真珠は珠のビッグな物を選んでよりエレガントさを強調。
そして、映ってはいませんが、留め具であるシルバークラスプも透かしの入るフラワーモチーフのとても装飾性の高いものです。
ということで、材料の珠自体は結構お得に入手できますが、こうして自作であってもネックレスやブレスを作ると立派な質の高いものに出来るということになります。
ただ、材料自体が一連売りの同サイズのみになっていることで、出来上がりの珠のサイズも均一なのです。
珠のサイズにグラデーションを入れようとすると、連が別になるので、複数出来上がる量産品になってしまうのです。
そう考えますと、ヴィンテージネックレス1点に見る、あの珠のサイズ違いのグラデーションの価値は、今十年も後の今1点のネックレスだけを見るからこそ貴重なのです。
地金一辺倒の世の中に対する不満
間違いなく、琥珀や鼈甲などのヴィンテージネックレスは美しいと思うのですが、世間の評価はとても低いのが残念です。
今や、ジュエリーは地金一辺倒であると言えます。
K18YG、K18WG、PT850、PT900と18金やプラチナの地金使いこそが価値あるものとされています。
メディアでの地金の買取場面などの影響もあるでしょう。
ジュエリー好きで自身もレンタルジュエリーをしている身としての感想は、価値の測り方が随分表面的であることにがっかりしています。
どれだけ真珠、翡翠、琥珀、鼈甲の珠の一連ネックレスが美しくとも受け入れられない現実があります。
真珠もとっても美しく、ネックレスの中では一番好きな素材であったのですが、レンタルジュエリーの中では実際は、人気がありません。
同じく、翡翠もそうで、琥珀や鼈甲などのオレンジ系は全くダメでしたので廃止しています。
私としては、またとない古き良き素敵さがあると思っています。
18金などの価値の固定観念に踊らされるのではなく、その本来の美しさとかかっこよさを見つけていきたいと思っています。
お客様のニーズには一番に答えているつもりですが、今後も、ヴィンテージネックレスの美しさに対してはファンでありたいと思っています。
あとがき

レンタルジュエリーをさせていただいている自身のジュエリーボックスは最低限のシンプルなものだとよくお話しています。
今回の鼈甲のショートネックレスはその内の1つです。
以前は、レンタルジュエリーのラインナップにしていたのですが、あまりの人気の無さに廃止して自分使いをさせていただくことにしたのです。
時々、着用しない日でも取り出して眺めることがありますが、非常にツヤがあり美しいです。
ただ、コーデするとなると難易度も高いです。
お洋服コーデにこのネックレスを取り入れていくという着用の仕方というよりも、このネックレスに合うお洋服を探すといったような反対の考え方で攻めたコーデをせねばかっこよく決まらないところも難易度の1つであり「やりがい」です。
ヴィンテージ物の装いも、古き良き味わいに加えて、新しい何かを加えることでかっこよくコーデが決まっていくのだと思っています。
古い要素だらけでは装いは粋なものになはなれません。
古い要素に加えて自分の中から生み出した新しい要素を入れていくことが必要だと考えます。
よって、まずは、古いネックレスの良さをじっくり観察していくことはお勧めしたいことです。
そんなことで、今回のようなグラデーションに目を向けるということ、こういった配置だから古い物なんだなと感じるような見方が1つあるわけです。
