まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
以前にも同じような内容の投稿をさせていただいたことがありました。
それは、【46】の記事で、主にバッグのポケットを2種に大別できるという内容。
洋服に使われるポケットは、パッチポケット、箱ポケット、シームポケット、片玉縁ポケット、両玉縁ポケットと細かく種類が分かれていますが、構造としては主に2種だけだと思います。
1つは、パッチポケットのような貼り付けるタイプ。
ポケットの袋布にご注目いただくと分かりやすいのですが、袋が表に出ているデザインです。
このパッチポケットは、いわゆる「貼り付け型」となります。
一方、箱ポケット、シームポケット、片玉縁ポケット、両玉縁ポケットなどはすべて、作り方は違えど、「内袋型」です。
この袋の場所が表なのか内側に隠れているのかの違いは、構造としては大きく違ったものになります。
では、実際にハンドメイドバッグのデザインに採用させていただくことに行き着いた2種のポケットデザインを私自身の考案のデザインとサイズ感で2種ご紹介したいと思います。
フラップポケット
誰が作ってもだいたいこのような形になるでしょうというデザインですが、フラップの丈夫な取り付け方や幅を工夫することで、使いやすく良質なものになっていく可能性が十分にあります。
難しい判断なのですが、セキュリティー性が高すぎるとかえって使いにくいものです。
フラップも開閉し易いことでセキュリティー性が弱まってしまうのか、いやいや、使いやすい方が良いのだということかをじっくり比較。
実際に私が使用してみて得た結果は、1本線を二重縫いの方が融通が利き、見た目も綺麗。
この写真では実験的に二段ステッチがフラップに入っていますが、最終的な判断は、1本を二重縫いということに致しました。
安全性と使いやすさの調和の大切さもあるのです。
その代わり、1本線は、圧力のかかり方によって生地を傷めやすいので、裏面にハード薄芯を貼り、補強しています。
フラップの縫い付けだけでなく、袋の縫い付けも同じようにハード薄芯を当てています。
ポケットに物を入れたときに圧力がかかりますし、手を入れた時にも下に沈むなど何かしらの圧力がかかっているものです。
かつては、このフラップの真ん中と袋面の真ん中にもマジックテープを付けていましたが、上述の使いやすさの追求で廃止となりました。
マジックテープが付くと、確かに安全性はより高まりますが、開け閉めが片手でしにくく、ストレスが生まれます。
ストレスが生まれるような使用になることは一番避けたいことで、使いやすいことで得られるゆったりとした「心持ち」を一番に考えた選択でした。
隠しポケット
ただ、この見かけは、スーツのイメージそのままに見えるので、もしかしたら、この比翼をもっと飛び出すようにフラップ的なデザインにすることもありかなと思っていますが、周りの風景になじむこのスーツからのそのままの流れも良いものです。
もともとこの玉縁の手法は、貼り付け型よりも、エレガントに見えるような目的でスーツなどのきちんとした洋服の種類に多く取り入れられてきたとの説を見ました。
パンツにも多いですね。
こちらはシングルタイプの片玉縁風ですが、両玉縁風も過去にトライしてみたら、綺麗ではありませんでしたし、迫力が無いように映りました。
口が開きがちで、あまりセキュリティー性は追求できたものではなかったので、このアシンメトリー型の方がグッドだったということです。
この重なりも邪道なのかどうかということですが、厚みが増すことで、丈夫にはなっています。
バッグのポケットはスーツの胸ポケットよりもむしろよく使う場所で、手がこうして触れられる機会が多いです。
そうしますと頑丈であることの効果は望めます。
後で貼り付けますYOUTUBE動画内でしっかりお話できていない部分がありますが、それがこの隠しポケットの作りの手前部分の指の位置のやたら重なった部分の理由についてです。
実は、隠しポケットはこのほかにもファスナータイプを採用しています。
最初は、このようにファスナー式にしたかったから採用したことがきっかけでした。
ファスナーが付くとどうしても内袋型にした方がすっきりと出来上がるからです。
貼り付け型にファスナーというのもあるにはあります↓。
少し話が逸れました(^_^;)。
ということで、隠しポケットは元は、ファスナーと共に使う仕様を採用しているだけでした。
その時に、玉縁を作るラッピング布をそのまま袋として使うと、どうしてもファスナーの端が隠れないのです。
表からは隠れていても、ポケットなので手を入れて中をのぞいた時にファスナーの端が見えてしまいます。
そして、手に引っかかりを感じます。
これが、某一流ブランド様のナイロンバッグでは、ちゃんと見えないようにしてありました。
そのような出来上がりになるにはどうすればよいかを私なりに全力で考え抜いた結果がこれ↓。
一応、ファスナーの端のヒラヒラを隠すことができて固定はされましたが、ステッチの数が多過ぎて課題が残ります。
まだまだ今後ここをすっきりとするように仕様を変えていくことになるかもしれません。おそらく、ひっくり返しの技術を取り入れて、縫い線が見えないようにするやり方があるのかもしれません。
果たして、そのひっくり返しで丈夫にできるのかどうか。。。
クリアすると別の問題が生じるなどのスパイラルもあります。
ということで、今回のファスナーが付いていない比翼のみのタイプもこの時と同じ仕様でやっているために、あの入り口の厚い重なりがあるわけです。
もしかしたら、ファスナーが無いのであれば、玉縁のラッピング布=袋布ということにしても良いかもしれません。
今後また試作していきたいと思っています。
あとがき
作り方としてはいろいろあって自由ではあるものの、これぞ一番という仕様にしたいものです。
見た目も綺麗で機能も十分な「とことん」を追求したものでなければ喜ばれません。
あれもこれもやってみるのは勉強にはなりますが、1つを追求して高めていくことも同時にしてきた結果、それでもまだ十分ではないのです。
どれだけ奥が深いことなのかを実感します。
ただ、たった1つの軸というのは、なぜ、そのデザインである必要があったのかの理由をはっきりと述べることができることだと思っています。
このなぜの部分を追求したお品は必ず良質になった磨かれたものになるに違いないです。