取説には載っていない上手な打ち方の極意-片面ハトメ(アイレット)【1073】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

これまで多くのパーツの打ち込みをトライしてみました。

穴のあいたハトメ(鳩の目みたいな様相だからの名前のようです)、ホック釦、ベルトの穴、バッグのヒネリ錠、バッグの差し込み錠などです。

その中で1つ、片面ハトメの失敗しない打ち方のコツの部分をご紹介したいと思います。

打ち方の様子などは、工房でプロの方が打つ様子をYOUTUBE動画に出されていますので、イメージが湧きやすいかもしれません。

ただ、あの方たちは長年こういったものを取り扱ってきて、成功する確率がとても高いので、初めて取り扱ったり不慣れだったりする人が同じようにうまくいかないこともあります。

それは、細かいコツがたくさんあって、それがどれもきちんとクリアできた時に1つの成功があるからだと思います。

たくさん失敗してコツをつかんでいくとは言われていますが、古い職人気質な世界のようにあえて、遠回りしながら長年かけて覚えていくというようなものではないと思っていますので、ここで失敗を多くしてきた私がその経験を活かしてお伝えするコツを知っておくことで、同じ場面は最初からクリアできる確率が高まります。

そうした時に、私の過去の多くの無駄が活きるというものです。

ということで、特にベースとなる注意点がいくつかありましたので、ご紹介したいと思います。

これだけは必ず徹底しないとうまく綺麗にカシメられないというポイントや注意点x4つ

片面ハトメ(アイレットカン/アイレットリング):外形22mm、内径12mmのサイズ。・・・お品のアクセントになるような大きめサイズのハトメです。これが打たれたお品というのは結構素敵になり迫力が出ます。

今、ゴム板の上にパーツを載せていますが、ゴム板の下は新聞紙の1-2枚です。

汚れを防ぐためだけなので、新聞紙さえ必要ないこともあります。

一番下は、平らなコンクリートとか、分厚い木の板です。

とにかく水平な状態の上に水平なこのゴム板(ゴムといってもカチコチに固まったもの)を置いて行います。

ということで、最初のポイントは、

①平らなコンクリートや分厚い木の台の上で行う(下にクッション性のある防音マットや玄関マットなどは敷いてはいけません。敷くとずれて支障をきたします)。

ということになります。

片面ハトメ(外形22mm・内径12mm)を打つ道具一式・・・これらを、水平のコンクリートとか分厚い木の板の上に置いて作業します。

2点目の注意点は、打つ時の角度や目線です。まっすぐ上から打つのが均等に力がかかります。

このようにポンチと金づちでくり抜いた穴に商品の表側から裏側に向かって凸を突き出します。そして、ワッシャーを溝を下に、膨らんだ方を天に向けてかぶせます。
この状態で上の道具(ドーナツ型を下側に敷き、棒付きの円盤型をこちら面の上に当てて、金づちでたたいていくわけです。
この時の人間の姿勢が、真上からストレートに打つということがポイントです。斜めからだと、割れたりひびが入ってきますので、その場合は、気づいた時点で即、外すことです。外さず進めてしまってももう亀裂は深まるばかりです。

ということで、

②真上からストレートに打ち込む(斜めからだとひび割れや亀裂が入り失敗となります)。

次は3つ目のポイントです。

③打つ時の最初の3回ほど葉力を抜いて調整のための打ち込み、残りの4-5回が本格的な打ち込みとたたきの前半と後半を分ける。

とても大切なポイントです。最初から力を入れて打ち付けると失敗しやすいです。

3回の優しい力の入れ具合の意味は、しっかりと打つべき位置の調整の固定ということなのです。

最後4つ目のポイントです。

④表の膨らんだパーツの隙間を横から確認。程よく生地とくっついていればOK。回数打ちすぎると、生地に食い込んだりして、生地にキズを付けてしまうので、程好い生地との重なり具合を確認して終えます。

まだ隙間があれば、1-2回打って追加。激しくやり過ぎは禁物です。

出来上がりの表からの様子。

ここまで気を付けてやって成功したら永久の物なのか。。

さて、ここからは私の考え方になります。

ここまでコツをしっかり把握しながら、きちんと打ち込んで商品になり、その永続性ですが、途中で使用の際に外れてくることが予想されます。

ここまでとことんやるだけのことをやってもそうなるのです。

それが、こういったパーツすべての運命であり、「カシメる」ということが、いかに頼りない永遠のものではないかということを外れたときに実感するかと思います。

過去にハンドメイドバッグに取り入れて取っ手の部分に使おうとやり始めたことがあったのですが、もともとこの片面ハトメは生地との相性は曖昧な物です。

本革だとまだカシメる力は長持ちするかと思います。

革が密度が高いので、ぐいっと食い込む力がその永続性を実現するのでしょうが、生地は革に比べて隙間の多い密度です。

だから、生地は家庭用ミシンのパワーがない針でも生地に貫通するから縫製が可能なのであり、家庭用ミシンで革を縫うことができるかというと実際困難ですよね。

あれもこういった意味があると思うのです。

こういったことが分かってからは、いずれ外れるかもしれない可能性のあるパーツを使って、良質なお品と謳うことに矛盾とためらいを感じ、採用をハンドメイドバッグには辞めていきました。

ただ、Dカンとかナスカンに関しては、カシメる力ではなく、ミシンの縫いの力で支えますので、これは採用を継続しています。

同じパーツでも採用、不採用のジャッジの判断をして、永久のものになれるのかどうか、この先20年は使えるお品になれるのかどうかを見通して判断しています。

その場だけのかっこよさとかデザインが後で巻き返すようにがっかりする思いをユーザーにさせないためです。

そして、作り手として何より、長い意味での信頼を得るためです。

ただ、今回ご紹介したのは、それでもやってみたい人、取り入れたい人がいた場合に、できる限り長い間このパーツが活躍できるには。。。ということと、せっかく自分が経験したのだから、ノウハウとしてはお伝えする意味はありそうだと思いました。

今後、果たして私と同じように考えるのか、そうは思わないのかはそれぞれの人の価値観だと思いますので、最初からお伝えしない、封印するという選択はせずに、問題提起としてこういった発信をしてみました。

あとがき

ということで、取り扱わない者がそのやり方をなぜか熱く語る回でした(^_^;)。

価値観は人それぞれあるので、片面ハトメを利用したい人もいらっしゃると思います。

実際に某一流ブランドのあるエコバッグの取っ手にくり抜かれた自社製と思われる片面ハトメの効能と取り付け方には目を見張るものがあります。

外れにくいようにしっかりと地盤を固めて、生地に打ち抜く時にその周辺に当て芯のようなものが当てられているのが分かります。

自社でパーツも作ってしまう一流ブランド様。

既製品パーツも日本製でちゃんとした良質なお品ではありますが、自社製にはかないません。自社で丈夫さを徹底追及できる自由もあります。その時点ではすでに負けています。

良く出回っている見つけやすいパーツは大衆向けで多くの人が平均的に利用するのですね。

いろいろ考えると、「取り扱わない」という選択肢も1つの拘りなのです(^-^)。

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