まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
本格的なドットボタンというのは、パーツが、「①頭②ゲンコ③バネ④ホソ」の4種から成り立ち、2種のコマによって取り付けるセットパーツのことというのが、アパレル勤務時代の時に取り扱いのあったものでした。
重衣料の「コート」などに取り付けられるものです。
おそらくなじみの深いアイテムだとダウンジャケットについているホック釦が該当するかと思います。
ハンドメイドバッグに使用のドットボタンというのは、それより少しパーツの種類の違うツメが2つ入る4セットの「スナップボタンのかしめるタイプ」というやつです。
これが、なかなか腑に落ちるところが見つからない作業だったのです。
時々ツメの位置を見失い、ずれたところにコンコンと金づちをたたいてしまい、出来上がりが不完全なものですぐに外れてやり直し。
その場でやり直しになるような分かりやすい不完全具合ならまだよいですが、不完全なままある程度取り付けることができてしまったらどうでしょう。
使っていく時に、早い段階で外れるというようなことが起きるかと思うととても気がかりで夜も眠れません。
本来ドットボタンに相応しい素材は「本革レザー」に限る
アパレル業などの返品の中にドットボタン外れなどが多いのを見かけると、ドットボタンを取り付けること自体がそういった可能性を生むものになるということが否めません。
出来るだけ、そういったお直しの必要性のない末永い商品にしていきたいので、これを使うのはよほどの必要性に迫られた時しか行わないと決めていました。
その必要性のある場合というのが今回だったのでした。
実際に、パーツメーカー様からも貴重な言葉をお聞きしています。
パーツは基本的に、「革専用である、生地には向かない」と。
美しいループがある生地だからこそ、マジックテープが使えないためにドットボタンを使用するしかないということになりました。
マジックテープでは、ループに引っかかり、生地を傷めてしまうからです。
当然これにマジックテープは残酷過ぎます。
よって、ドットボタンということなのですが、ドットボタンも開け閉めの時に、力が加わりますので、間にハード薄芯を1枚かませて頑強な取り付けにする工夫をすることになりました。
裏地生地のエステルポプリンという無地の生地には、凸の部分を、そして、本体のパイルニットのミックスの生地にはへこみの部分を取り付けました。
3セットなので合計6箇所取り付けということになります。
YouTube動画内では、実際に打ち込みの場面を写しました↓。
あとがき
丈夫であるということと、見た目のかっこよさのバランスを判断しなければならない時が製造には必ずあると思います。
かっこよくしたいばかりに、永久的でもないいずれ外れてくるかもしれない可能性のあるこういったパーツをやすやすと使うのかということです。
どれだけかっこよくてもスタイリッシュでも、「長持ち」を優先させるスタイルで行くことをこの辺りから決断し始めます。
とはいえ、トライした記録としてはお伝えするには十分だったと思います。
最後に、打ち込んだ時の率直な気持ちを書きたいと思います。
「これが完全に打ち込んだ手ごたえだ」としっかり感じたことなど一度もありません。
「なんとなく」が最後まで付きまとうはっきりしない感覚。
それでも出来上がってしまっていることへの「恐怖」を感じたのが正直なところでした。
この「気持ち」や「手ごたえ」の部分、とても貴重な感覚だと思います。
是非ご参考にしていただければと思いますし、製作者としての「方針」のような物を持つ際に思い出していただけるとありがたいです。