まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
ここ最近読んだ本に、このような本がありました。
「集める人びと:瀬川正仁 著」です。
いろいろなグッズの蒐集家様達のルポタージュ本なのですが、蒐集(しゅうしゅう)という漢字が、収集(しゅうしゅう)という漢字に比べて、より深い探求心を持っての集め方の意味が感じられます。
実際は、どちらも同じ意味で使われるのですが、この漢字の違いがどうもその心をより表していると思えます。
この本の中で、とても印象に残った1つの言葉、「機能美」という言葉があります。
「えっ?機能なんだから、美しいとかなんとかじゃなくて役割を果たすだけのことしょ?」と思われるかもしれません。
ところが、そうではないんです。
その形、デザインになった理由が、どうしてもその形でないと役割を果たせないから、なるべくしてできあがった究極の形であることがロマンがあり美しいという意味です。
わざわざ、余計な飾りなどない最低限の姿こそが素朴でシンプルで美しいという価値観です。
それが「根付け」というアイテムを集めている蒐集家様の例でこの本の中に取り上げられていました。
「根付け」というのは着物を着ていた江戸の時代に遡ります。
着物には現代のようにポケットがないんです。
よって、小間物をポケットにしまいこむ代わりに帯の中に入れ込んでぶらさげていたのです。
そのぶら下げるときの引っ掛かり、つまり言い換えればストッパーのようなものが、根付けが果たした役割だとのこと。
ストラップのようなもののひもの根っこに帯の上に飛び出す形でひっかかりができるごろごろしたパーツにいろんなモチーフがあります。
そのモチーフで差別化を楽しんだり、親近感がある身近な動物が装飾されたりしたのです。
ということで、この「機能美」の素晴らしさに大きく感動したのです。
どこまでが最低限の作りなのかをリュックで考えてみた
今回1つのデザイン「簡易リュック」というものを3種の柄違いで作りました。
もともと簡単な作りのリュックを最低限でコストをかけずにお客様にご提供できないかと考えました。
そうしてデザインしていたリュックが3点ほどあって、そこから更に1点だけに絞り込んだ渾身のデザインのシンプルリュックが今回のものです。
さて、私が考えました最低限のミニマムリュックはこのようなデザインになりました。
ポケットに関しては、キーやカードを入れるミニサイズで内側に1個だけフラップポケットを設置。
表面にはポケットは無しです。そのことも都合が良く、柄が途切れることなく存分に楽しめます。
そして、ショルダーは調節機能無しのミドル丈。
サイズ感はこんな感じです↓。
そして、入り口は2重のセキュリティ。
外がマジックテープのフラップ、そして中側はサイドの共布リボンテープです。
表地で作る場合と裏地で作る場合とありますが、リボンテープはある程度柔らかい方が使いやすいと言えます。
この共布リボンは結ばない場合は、横にトートバッグ的に広がります。
ミニマムなデザインの良さとして更に気づいたこと、生地が途切れず柄が生き生きと映ること
今回、このようなシンプルな作りのリュックにネイティブ柄を当てはめて作ったことで、更にもう1つ感じたことがあります。
それは、シンプルな形は、柄が活きるということです。
柄がうまく映えるのもコンパクトながら十分な面積が広がる正面のデザインが物を言います。
余計なものが付いていないからこそ、柄が遮られることなくうんと映えるのです。
柄バッグと相性の良い洋服コーデを考えてみました
バッグに柄を持ってくるということは、お洋服の柄とは合いにくいという制限が設けられ、万能な色味ではなくなるという考え方もあるのです。
今回のネイティブ柄もそれは確かに言えると思います。
お洋服が花柄の場合、これと組み合わせてコーデすると、ごちゃごちゃして騒がしい感じになってすっきり感が出ません。
なので、無地のお洋服に柄が差す感じで装うことが一番のお勧めコーデです。
どうしても柄物と合わせる時は、例えば一番左のインディゴブルーのリュックの場合、うんと細かいギンガムチェックだと、リュックの幾何的な柄とギンガムの四角がある程度マッチし、寄り添うことができるのではないでしょうか。
また、一番右側は、柄のサイズに差を付けたボタニカルな柄のワンピースのモノトーンなどなら合いそうです。
私のお作りしているバッグというのは、カジュアルなものでも、微妙なところでドレスの要素を少し持ち備えているようにとお作りしています。
今回のようなリュックデザインであっても、ワンピースなどの女性らしいアイテムにも合うように考えました。
リュックというアイテムにもかなり「奥行き」が考えられるということです。
あとがき
今回のような同じデザインを複数作って行く時に、「1点物志向」の考え方として、「ネイティブ柄」と呼ばれながら、随分柄の違った雰囲気の3点を集めたところもご注目いただきたいところです。
花柄にしても、ただの同じ生地の色違い展開では自身のアイデアが不足しています。
日本生まれの和柄、外国のエキゾチックな花柄など世界各地域別の特徴ある花柄の展開であったりなどのラインナップの仕方、コレクションの仕方も工夫できるということの例です。
そうすることで、同じデザインなのに不思議とバラエティー豊かに映るというところが面白いと思います(^-^)。