お洋服の長持ちにつながるリフォーム-オールインワンのたすきのミシンステッチの固定【934】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

最近今までで着用したことが無いデザイン、オールインワンを入手。

元のデザインにたすきの調整として、ボタンホールが2個上下に開けられていました。

元の状態の見やすい写真がなかったのでたすきの部分をイラストに描いてみました↓。

オールインワンのたすきの先端部分:ボタンホールが2個調整機能として設置されたデザイン。

私は、短く使用する上側のホールにボタンをはめこむ方が自分には合い、上のボタンホールを使用することになるのですが、下がぶらぶらして違和感がありました。

けれども、下側を使用するにしても、同じぶらぶら感があり、ボタンの付け根で支える作りであることは同じ。

どちらにしても不安定でぐらぐらしていました。

そこで、固定してしまうということを考えます。

ボタンホールもデザインとしては残しながら、取り外しは、かぶりながら着脱できますのでミシンステッチで固定するという方法を考案。

たすきのミシンステッチの固定のやり方例

ポイントは、ぐらつかない安定を得るということ。

片方のホールしか使わないのだから、ホール自体をピッタリ重ねます。

二つに折り、ボタンホールをぴったりと合わせることをします。

このような風に内側へ折るのですが、下のように図で描いてみました↓。
こんな感じで後ろ側へ折り込み二重にしながらボタンホールをピッタリ重ねます。
そして、赤線のようにボックス状に一周ミシンをかけます。折った部分の方ももちろん貫通させます。
元のステッチの上に重なるのが余計な線が出来ずに美しいですから。
上の図の実際の場面:ボックスス状にステッチをかけています。

ただ、これだけだと、まだまだ安定はしていません。ボタンの取り付けの根っこの部分だけで全体の重みや圧力を支えている状態にあります。

そこで、次のステップとしまして、両サイドに二度縫いのステッチを更に追加↓。

青い太線が二度縫いのサイドステッチ:このように、元の縫い線の上を重ねて二度縫いのステッチで固定、この時には、ボタンははめている必要があります。ボタンをはめてからステッチをかけます。
ボタンをよけながら、両サイドに二度縫いのステッチをかけます。先ほどのボックスステッチの枠の線に綺麗に重なるのが◎。
完成です。両サイドの二度縫いステッチの固定が大きく効力を発揮。丈夫なたすきの根本部分になりました。ボタンを外さないで着脱できます。

あとがき

良いお品を長く持ち続けたい。

そのように思っていると同時に、そうなる工夫も伴うことで、それが実現できます。

今回の例はヒントみたいなもので、全く同じ状況があるかというと、そうでもないかもしれません。

しかし、こういった「考え方」としてはご参考になるかもしれません。

今回のポイントが「固定」ということにあります。

1つの小さな箇所に重さや圧力がかかり続けると破れなどの損傷の原因になります。

それを防ぐ手段として、力のかかり具合の「分散」ということがあるかと思うのです(^-^)。

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デニム生地のバッグを長く愛用してもらうためには、附随の裏地も末永い使用を見込んだ丁寧で丈夫な作りをするべき【97】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、デニムシリーズの最後となります。

①セルビッチデニム、②デニムライク、と進めてまいりまして、このたびの素材は、③7オンスデニムです。

7オンスということで、通常の12-14オンスのジーンズのイメージのあのごわごわした厚手のものの半分くらいのボリュームです。

主に、春夏向けのデニムとも言えまして、デニムのような感じがしないとさえ映りますが、歴としたデニムなのです。

織り方が綾になっていて、しっかりとした作りであることは間違いないです。

今回は、前2回と同じデザインの「丸底バッグ」のまま、アップリケをリボンで飾ったかわいらしさを秘めた+αを加えて、チャームポイントにしていきたいと思います。

水玉の上品な7オンスデニムとの出会い

今回、7オンスのブラックデニムなのですが、さらなる素敵なあしらいがある生地です。

なんと水玉ジャカード。よくあるプリントの水玉とは一線を画します。

水玉のジャカードは結構レアであると思いますし、お洒落で高級感を持ち備えます。

その原因は、やはり糸で柄を出してあることによる凹凸感です。

ネクタイにその良さを見ることが多々ありますね。

<表地>7オンスドットデニム(ブラック)、綿/100%、日本製
・・・ジャカードであることの裏面にも同じ柄が反転で出ることが多いという素敵なメリットを利用します。
反転の裏面でリボンアップリケを縫い付けました。柄が同じなので「なじみながら浮き立つ」素敵なバランス。
<裏地>ジャカード(ブルーグレー)、ポリエステル/100%、日本製
・・・今回裏地にもリボンアップリケを縫い付けました。今度は、裏地に対しては、表面使いが面白いです。
バッグを覗いた時、眺める時、いろいろ楽しめるよう、幾種類かの色合わせで装飾を楽しいものに工夫(^-^)。

裏地だってバッグの顔である

今回のデザインは、なぜか、表地よりも裏地の方が作業が多いです。

以前、当ブログでもアップしています記事にありますが、結構な老舗ブランド様のバッグでも裏地に手を抜いたり、コストをかけまいと悪い素材を使用しているのが見受けられます。

表地は高級な本革で飾るのですが、裏地には長持ちしないと分かっている合皮とかPVCを使うのです。

これには大変疑問と憤りを感じます。

長く持てるお品物をと本気で思うなら、裏地も必ず長く持てるような作りや素材にしなければ、実際に途中で手放すものになることになるのが大変な矛盾です。

どんどん買い替えてもらうための計算なのか、それとも、費用の調整なのか。。。

このように、私自身もブランドバッグが好きでそういった裏地の点で苦戦したり、がっかりした教訓があるのです。

そうして、自分が製造するバッグの裏地は表地にともなってそれ相応の状態で使っていけるものにと考えています。

ということで、裏地という中側の見えない部分であっても1点1点のパーツに込めた丁寧さであったり、縫いであったりを意識しています。

バッグの中側の様子:裏地だからとレベルを落とす云々ではなく、
表地+裏地という対等な考え方で、丁寧に新調に素材を選びながら作って行きます。

まず、布製なので、経年劣化は起こり得ません。

その他、パーツを取り付ける時の返し縫いなどを惜しみなく施します。

Dカンのタブが外れたりなどのことが使っていく途中で起こらないように作っています。

ポケットに関しても、2度縫いをしているので、頑丈に取り付けられています。

2mm厚のベルポーレン製の底板も裏地の底の下に設置されて入れ込んであります。

もちろん、本革には本革の良さがありますが、布製も負けず劣らずの「持ち」がある程度可能であるところも作り方しだいだということをお伝えしたいです。

タブなどは、革製は、どうしても取り付けのミシンの通り具合を考えて、薄くすいたりすることで結局は弱いものとなりがちです。

以前、これもブランドバッグですが、タブが簡単にちぎれてしまいました。革が1枚仕立てですいてあったのです。

そうすると、布製の共布のタブは、4重の2枚重ねということである意味薄く漉かれてしまった本革よりもかえって丈夫だと言えるのです。

この辺りは、細かい部分で陽の当たらない部分ではあるのですが、後のお直しをできるだけ必要としない工夫の数々なのです。

完成品を見ながら、オンスの小さな薄手デニムの可能性を考える

完成した7オンスデニムのバッグ(黒):<サイズ>縦32cmx横35cmxマチ15cm。

取っ手は本革を使用しています。8mmのアイレットカンに通す8mm巾の取っ手です。

スリムなので、スタイリッシュな雰囲気です。この本革のベルト素材は既製品で、幅は8mm-10mm辺りがスタイリッシュに映る巾となります。

8mmより狭いのは、バッグのサイズから見ると、バランスが悪すぎるので、ミニマム8mmと考えます。

あとがき

購入者様も長年使ってデニムの色の変化を楽しみたいという気持ちもお持ちだと思います。

そうすると、表地の素材だけを重視するのではなく、それにともなった裏地の作りも長持ちするように工夫することが大切になっていきます。

一流ブランド様の数々の経年劣化の裏地のひどさは、そういった意味ではとてもバランスが悪い素材の組み合わせをされているかと思います。

また、バランスのことで言いますと、逆もあります。

メイン素材がナイロンで破れてきているのに、取っ手だけ本革で丈夫であるというのもこれも逆にバランスが悪いです。

そうすると、バッグ全体がいかに同じ程度で経年を迎えていくかということも作る時点でよく考えるべきでしょうね。

そこまで考えられることが、使い手のことを思いやった製作ということになります。

お品を見るとそんな目に見えない「気持ち」の部分が現れてしまっているということも驚きです。

やはり、製作する姿勢1つとっても、「実直」であるべきなのです。