<出会い>まるでジャガード生地のよう、オレンジサファイアの花柄パヴェリング【709】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「無難である」ということと「個性的である」というのはどんな点がそう感じさせているのでしょうか。

当店picturesqueのレンタルジュエリーの事業においては、特に後者に拘りが深いです。

それは、店主である私が自然な形で意識してきたことなので、しっくりくるのが後者の方なんです。

前者だと何か落ち着かない腑に落ちない感じが残ってしまってなかなか前向きに考えられないんです。

前者テイストも、もちろんありだと思いますし、万人受けというものがあるので、もしかしたら対極にある良きライバルのようなテイストなのかもしれません。

今回、そんな後者のテイストに相応しいようなリングに出会いましたのでご紹介致しますね。

そもそも地金部分が超レアな青金であること

青金(あおきん)という地金があることを知ったのは、微妙な台の色のペンダントトップを数か月前に入手したきっかけです。

最初はK18WGのロジウムがないものなのだろうなどとよく分からずに思ってしまいましたが、これが実は奥が深かった。。。

K18YGにもいろいろ色の展開があったのです。

私たちが慣れ親しんだ昔から世代を渡りながら、祖母のネックレス、母のブレスなどと見てきた地金の18金というのはおそらく圧倒的にイエローゴールドが多かったかと思います。

その他だとプラチナのPT850という刻印のものがチェーン類では見たことがあったかもしれません。

けれども、それだけではないということです。

1つはやや身近な例として、ピンクゴールドがあります。

あのピンクという呼び名も分かりやすくて、分類しやすいネーミングですが、元は24金のイエローゴールドの25%の割金に銅を入れ込むということで赤い地金色になっていることであの色になります。

よく、古いビンテージ物のイエローゴールドが、オレンジ寄りな色になってくる経年の例は、割金の中の銅の存在です。

お手入れでイエローゴールドらしく戻るようになるようですが、意外にあの25%という割金の部分というのは全体の色に影響するものなのです。

そこで、今回の青金というのは、割金に銀をチョイスしたものということのようです。

銀がほとんどなのか銀のみなのかは、製作者の知るところですが、青金はグリーンともとれる色で、ホワイトゴールドとイエローゴールドの中間のような感じがします。

プラチナやホワイトゴールドと一緒に並べるとやはり青金もイエロー色をしているというのがその姿になります。

まず、それが台に使われていることで、非常にあっさりとしたクールさがあります。

オレンジサファイアのパヴェリング:K18YG台(青金:あおきん)が珍しく、薄いブラウンダイヤモンドに花柄の巾広リングです。

あとがき

簡単な一声ではありますが、とてもかわいいです。地金のボリュームも十分で、個性的になっているのは、この花柄が無いタイプが非常に多く、そこが無難であることと個性的であることの大きな分かれ道になったようです。

ハンドメイドバッグの生地に関しても凹凸感あるジャガードがメインテイストの生地としていますので、何かこのリングの柄はそんなところに通ずるものがあります。

ところで、レアな入手しにくい数の少ない青金という地金のアイテムというのは、1アイテムを手にした瞬間、そこからがある険しい山道を登ることになります。

他の一緒に付けるアイテムも青金でそろえなければ色が合わないのです。

その難しさから本来敬遠されている部分もあるし、そもそもあまり生産されないと思われますが、リングのメーカーさん/デザイナーさんのこの挑戦のような部分に脱帽です。

宝石に「インクルージョン(内包物)」が入ったままの「もやもや」ペンダントトップが「処理」をほどこされた「まっさら」に勝る時【526】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

宝石になる前の鉱物(こうぶつ)の時には、まだまだ未完成というようなインクルージョンが残ったりしているのを、その後の「処理」というもので、宝石に完成していくのが一般的なことのようです。

今回は、この「処理」については、以前宝石売り場で目にした、但し書きのこの言葉に心当たりがあり、もう少し踏み込んで考えてみたいと思いました。

宝石の「処理」は均一化された完璧な状態を目指す「商品」としての価値

宝石と呼ばれるものは、多くが綺麗な宝石らしい様相になるために「処理」が施さることが多いです。

例えば、綺麗なダイヤモンドの中にゴマ粒みたいな黒っぽい点が見えたら、がっかりするというのも一理あります。

そう考えると、処理というものが、必要な作業と言わざるを得ないですし、意味のない処理をわざわざしないということです。

ただその処理によって、本当に価値があるのか、それとも何もしない方が自然のままの姿で価値があったのかもしれないということは、価値観が分かれることがあります。

過去に、インクルージョンの入ったとても綺麗なペンダント購入の際に、このインクルージョンこそ天然の証(あかし)であるというお話を店員さんから聞いた時に、非常に納得しました。

その時は、このお品が処理を施していなくて本当に良かったと思ったものです。

「自然のままの姿こそが価値がある」という考え方をすると、インクルージョンが残った方が本来は価値が上がると思うのです。

インクルージョンが入ったクォーツのペンダント:真ん中あたりがもやもやしていますね、これです。

この品物と同時期くらいに類似のペンダントトップがありましたが、「処理」の言葉が記載されていました。

モヤモヤをはっきりしない不統一なものであるという未完成品と考えると、むしろ「処理」が施された均一感こそ完成品であるという考え方にもとづいたもの。

もし、上の写真のペンダントトップも処理されていたらこのグリーンだったかどうかは分かりません。

そうすると、どんどん元の原石からかけ離れてしまうところに鉱物時代の姿が失われ価値が薄れると思います。

このペンダントトップに関しては、インクルを活かした方がお品として良いと判断されての結果だと言えます。

ダイヤモンドだと許されないインクルージョンも、カラーストーンならではということなのかもしれません。

処理する/処理しないを判別するには一番相応しい判断をされるべきです。

下に貼りますYouTubeの中では、実際の処理の具体的な種類を本からの学びでアップさせていただきました。

処理の目的は、「色」の統一感の美しさを完璧にするためのものであることがほとんどです。

あとがき

最後に1つ注意としてお伝えしたいことがございます。

ダイヤモンドにグリーンなどの色を付けたお品が結構な金額で「マルチカラーダイヤモンド」などと称して売られているのを見ました。

ダイヤモンドに関しては、少し深い読みが必要です。

ぱっと見の可愛さや綺麗さで高額なジュエリーを即決してはなりません。

お値段はとりあえずよけておいて、まずは「色が付いていない」ということこそが一番価値があるということです。

そこには以下のような「裏読み」があるのです↓。

無色透明へ綺麗な色をわざわざ付けるという処理は、透明の姿が質が悪いことを隠すためという裏の理由を読み取ることできます。

透明の延長の、少し濁ったシャンパンカラーのブラウンダイヤ辺りまでは自然の状態の延長の範囲内とも見ることができますが、ブラックダイヤモンドまでの真っ黒は大方処理がなされてあの黒色になっているようです。

ブラックダイヤの処理なしなどはまだら過ぎて品物にならないのでしょう。

そうして、いっそのこと全部を黒く染めてしまうのです。

その他の、とても希少なブルーやピンクのダイヤモンドの非常に高額なお品でない限り、にぎやかにブルー色がたくさん使われたりしているのは、完全に「処理済み」のお品だと判断してよいかと思います。

ダイヤモンドは、それでも結構な額ですので、「金額が高額だから生粋の天然ものであろう」というような安易な判断には警笛を鳴らしたいと思います。

お気を付け下さいませね(^-^)。