バッグが永久的に使えるために。。その時だけの融通を選んだ20cmファスナーの15年後の透明樹脂留め具の劣化と代替策【1338】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「ハンドメイドバッグ」活動を始めて15年が経過。

まだ今でも活動のスタート当時の一重仕立てのポーチをインテリア使いしているものがあります。

その中の1つに耳かきを入れている細長ポーチがあります。

お店ではなかなか売られない特徴あるサイズ感で、縦が3cmくらいの細身です。

ポーチの中では、ペンケースなどはおおよそ縦が6cmありますので、こういったサイズ感は規格外。

これがハンドメイドの良さなのです。

2007年ハンドメイドバッグ活動当初に作ったペンシルポーチ:<サイズ>縦3cmx横21cmxマチ無し。

特徴あるサイズ感は、量産品ではなかなか実現できないニッチなお品になりうるということです。

耳かきを取り出そうと、入り口がファスナー式のこの細長ポーチを開けた時の事。

「あっ!」、何かがぽろりと落ちたことに気づきます。

製作時の2007年からは、15年後が経過した2023年8月のことでした。

透明樹脂でできた20cmファスナーの留め具部分の劣化の瞬間

透明な合成樹脂がはがれて右下に落ちています。おそらくナイロン混の樹脂です。

この透明樹脂はミシンに対してやや融通があり、金具との差別化で良いなあと思ったものでしたが、結果15年後の2023年現在このように劣化したのです。

この事実は大変重要で、最初に材料を選ぶ際に15年先を見越して選べるのかということへの「問題提起」です。

もっと言えば、遠い未来を見越して物を購入できるのかということも同じことではないでしょうか。

劣化してしまった留め具の補修アイデア

この留め具のカバーが外れた樹脂だけで固まっているファスナーの端はいずれファスナーが開いてくると予想できます。

そうしますと、今この時点で何とかせねばなりません。

そこで、こんなことをして補修しました↓。

ファスナーの「務歯:むし」に馴染む糸を用意。30番のチョコ茶です。ピッタリな色。
二重に下糸を玉結びを内側に隠して、手刺繍をしていき樹脂留め具の範囲分横へ移動していきます。
最後の玉止めは、ひっくり返して内側で。
出来上がり。これで一安心です。同色の糸がうまくなじんでいますね。

ということは。。

最初からこれでも良かったのでは。。

実は、ハンドメイドバッグ活動をスタートした2007年頃は、カードサイズ程度の「ミニミニポーチ」というネーミングの小さなポーチも作っていた時期がありました。

ファスナーも20cm以下だと特注となりなかなかピッタリの色が見つかりませんので、とにかく色をすっきりとなじんで合わせていくことに重点を置く決断をしました。

その代わり、20cmのファスナーをカットしてその端を上の補修の写真と同じように留め具としてハンドによる糸刺繍を利用していたのです。

既製品で留め具に合わせた20cmでポーチを作ったのにもかかわらず、15年後にはこれを補修して規格外と同じ糸刺繍をするという皮肉。。

結局ファスナーに型紙のサイズを合わせた意味がなくなってしまいますね。

留め具は「金属」の勧め

このような事実から、留め具は金属製が良いと思います。

務歯(むし)の部分は樹脂ですが、留め具の透明樹脂と成分が違うと見ました。

務歯が劣化したことはこれまで経験していません。

よって、現在はこのようなファスナーを選んでいます↓。

務歯は樹脂で留め具が金属の20cmファスナー。

留め具だけが金属です。

これは、永久的だと言えます。

ただ、その代わりに、デザインする時に型紙をファスナーに合わせる必要があります。

けれど、何を優先するかでこういった型紙の起こし方もちゃんと理由があるので私は縛られた自由の無い窮屈な製作だとも思いません。

むしろちゃんと「なぜそのサイズなのか」の理由ができるわけですので、何となく作った型紙とは意味が変わってきます。

ちゃんと考えられたお品になるのです。

あとがき

よく、記事にも書いています、「なぜその形でなければならなかったのか」ということはとても重要です。

意味のない飾りなどは、その時の一瞬の良さにしかならないことも。。

それよりも、飾り1つでさえ、付けなければならなかった意味、時には機能さえある飾りであればなおさらそうなるべくしてなったデザインになっていきます。

シンプルで飾り気がないデザインほど余計な部分はそぎ落とし、最低限の良さがあるものです。

今回のように、15年経過しないと分からなかったことなどの例は貴重だと思います。

予想が付きにくい未来の状態を今現在で見抜くための一助になればと思います(^-^)。

ハイブランド様のバッグにあこがれたデザインを布製で作った結果の非常に厳しく辛口な自主感想【328】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

自分自身に対して、厳しいのか甘いのかということに関しては前者だと思っております。

このたび、1点のバッグが完成。

非常に難しかったのが、突飛なデザインだったからというだけでしょうか。。

そうは思いませんでした。

もし、最初から少しずつオリジナリティー溢れた等身大のデザインからのスタートで改良していったものだったらこうは難しくなかったと思っています。

少し前の記事では、口が大きく開くがま口タイプのバッグでサポートしたい、サイドからの中身のこぼれ防止策を設置↓。

バッグのサイドに取り付けるロングファスナータブ(両端)。

このたびは、このパーツを含むバッグの完成となりますので、両サイドのこのパーツが設置してあるケ所にもご注目いただければと思います。

そもそも、ハイレベル過ぎる技術へのあこがれに飛びついてしまった「つけ」が完成品の未熟さに現れた

もともと、ハイブランド様のバッグでいうと、「ヴィトン:アルマ」というデザインにあこがれて自身で型紙を考案したデザインでした。

他のハイブランド様でもその後類似のデザインが出回りますが、おそらくここが最初だったかと。。

1990年代初頭にこのタイプがその他のブランド様の多くでも本革レザー品で豊富にあったので、その時に一気に惹き付けられました。

その後、一定の流行がこのデザインに関しては消えた様子でしたが、その後の他のデザインや、トートバッグやリュックなどの流行が起こっていく中で、ニッチなデザインのヴィンテージ物として注目してきた長年のカーブ型のファンです。

そうして、このデザインにあこがれたものの、そもそも型紙の形が分からず試行錯誤。

そうして、いったん理論的には自身で納得した型紙を完成し作ったつもりだったのです。

なにやらぐちゃっとなってしまいましたが、ロングタブをサイドに取り付けた様子です。

一番下の底のラインが綺麗ではないです。

これは誰がどうやっても完ぺきにはなりにくい部分なので、さらなるタブで覆って隠してしまうのが良いかと思っています。

某ハイブランドバッグもこういうデザインの場合ここは何かで切り替えて覆っているようで、必然なのでしょう。

やはりそういった細かな部分にも、表には発信されていない隠れた意味があるのだと思います。

「おにぎり」完成:<サイズ>縦22cmx横33cmxマチ13cm。
リュックにもなるところが意外かも。ハンドバッグとリュックの2WAYです。

さて、この出来上がりですが、底のカーブのラインがとがっているのが分かります。

これは、型紙をもっとゆるやかな底面に当てて同じ角度にしたものに変える必要があります。

あのとがりがないともっと綺麗になるかと。

カーブは底面と合わせながら、今回よりももっと急な感じで上がっていく形にせねばならないかとも思います。

まだ、サイド部分がのけぞって台形型に開いている様子なので、あれがまっすぐに縦に立つような角度のカーブのちょうどな具合を探る必要もあります。

このおにぎりは、まだデザインが確立されていないのだと今回分かりました。

あこがれだけで、階段を飛び越えたような製作をしたために、こうして「つけ」が回ってきたと感じています。

例えば、もっと独自のデザインを考え、カーブのファスナーを取り入れるだけなど基本的なベースが自身の発想のアイデアがあるべきです。

そういった意味で、「真似」というのは、自身には到底なじみませんでした。

ましてや、改良の数が半端ないこのデザインの発案に対しては、まだ未熟なのだと。

あとがき

この後、もうこのがま口タイプは自身のデザインとしては作っていきませんでした。

ただ、「おにぎり」というデザインは、後に、こんな風に変わりました↓。

改良版の「おにぎり」。これこそ、自身が基本的なボストンバッグ型からの作りで考えたファスナーバッグ。

ファスナーの周辺には口布が付くのでバッグを開けた時には、口布のせいで視界が狭まるということがちょっとした欠点に。。

それに比べてこの完成のがま口タイプは口布無しであったがゆえにぱっかりと開き中身が見やすかったのです。

一長一短あるバッグのデザインですが、どの点を一番重視に置くかということです。

その後の「おにぎり」は、入り口はぱっかり開く見やすいものではないですが、何よりも、そのフォルムはとても満足いくものに出来上がることができています。

あこがれや真似だけで背伸びして作ったような品物は到底良い方向へまっすぐ進んでいけないこと痛感したのでした。

大きく口が開くがま口タイプバッグ、サイドからの物こぼれ防止パーツの設置のスタイリッシュさの追求【327】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

昨年末から製作を持ち越しました4点を今年2021年の頭で完成させていきます。

その4点中1点の「おにぎり」というデザインの製作です。

これは過去に作った、初期の頃の「おにぎり」。サイドのファスナーが下の方まで来ています。

こんな形をもっとサイズを変えて改良したものになるのですが、がま口タイプと呼ばれるデザインです。

口がぱっかりとよく開いて、物が取り出しやすいメリットがあるものの、物がこぼれやすい対策もしてあげねばなりません。

この辺りはつくづくバランスの大切さを学ぶところ。

このたびは、ファスナーが途中で止まるような細長いタブを取り付けるというアイデアを持ってファスナーにタブを取り付けるところまでの場面です。

完成は後の記事にアップとなりますが、とても重要な箇所だと思います。

大きく口が開くタイプのバッグのデメリットの解消策

とても中身が見やすいので、物を探すストレスが少ない一方で、ファスナーをフルに開け過ぎる場合物がこぼれる心配が出てきます。

そこで、両開きのファスナーで下の方まで開けすぎないように挑むのですが、それにしても、開け過ぎないようにとの注意をする必要がユーザーに委ねられます。

そういったところが余計な気を使わせてしまい、製造側が事前にストッパー的な役割を機能として設置してあげた方が断然良いという考えに至りました。

要するに、ファスナーが下の方まで開きすぎるから物がこぼれるわけなので、もっと上の方で止まるように強制的にせき止めてしまったらどうかという案です。

かといってせっかく中が見やすいという大口型なので、メリットは損ねぬようその塩梅はしっかり調整せねばなりません。

ロングファスナータブの製作、綺麗に本体に馴染むようなデザインの考案

ファスナーの先にちょんと小さいタブを付けていただけの今まででしたが、それを10cm程度のロングタブに変えました。

さらに、開閉時に、バッグの本体の一部分を引っ張ってバッグが変形せぬよう、引っ張る時のタブも同時にセットで取り付けるという機能を考えてみました。

今まで短かったファスナータブをロングにしたタブを取り付けます。

こんな風に包みこんで、ボックス型に縁を縫い付けるといった作り方です。

ファスナーの両端をこのように完成。プチタブを内側に挟み込む箇所は、丈夫に3度がけのステッチを施します。

このたびは、ここまでです。

これを本体パーツにいかに馴染ませるかなのですが、それは次回の組み立ての際の課題になると思います。

あとがき

完成まで一歩近づきました。

初のおにぎりの完成型が出来上がります。

このがま口タイプは、ハンドメイドバッグではほとんど作られているのを見たことがありません。

ハイブランドのレザー製のバッグで見かけるデザインです。

そもそもフォルムが縫いやすくスタイリッシュに出来上がるという2つを徹底的に研究しつくされているのがハイブランド様。

型紙が分からなかったため、明らかに間違ったラインで型紙を作ってしまった過去があります。

その後は、試行錯誤で型紙を直し、物理的にはやや複雑なこのモデルを完成させようとしているのです。

ここで思うのは、ハイブランド様のバッグのデザインにあこがれたところに問題があったと思います。

そのブランド様しか知らない型紙の詳細をぱっと見で到底同じように真似ることの難しさです。

この完成を機に、本当の自分の中からあふれた形の型紙を考案することが望ましいと思いました。

いわゆる「真似」の限界を見た気がします。

一番最初に発案したハイブランド様は、その後の追従をはねのけるほどのダントツな「デザイン」を生み出している、これが誰も追いつくことができない「すごさ」だと思います。

次の【328】の記事が完成です。

お楽しみにどうぞ(^-^)。

ファスナーの開閉がこの小さなパーツのおかげで指でつまみやすくスムーズになる、決して飾りなんかじゃないタブの存在意義【319】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

当たり前の機能だと思っていて気づかないことがあり、自作してみて初めてその存在の意味をよく理解することがあります。

ハンドメイドバッグ製作においても、ボストンバッグ型のファスナーを設置するだけでは、その後の開閉のスムーズさが感じられないことがあります。

過去に感じていた、開閉のしにくさは、「タブ」という両サイドの小さな存在を見落としていたからです。

タブ無しでは、生地のどこかをつまみ、ファスナーを開閉させることでバッグの傷みや歪みに繋がってしまうのです。

この1点集中の「タブ」の存在は大きいということになります。

このたびは、実際にファスナーの先端のすぐ横の位置にタブを設置していきます。

そして、開閉にいかにこのタブが貢献しているのかをじっくりと知るという回にしたいと思います。

デザイン変更の目的は、より実用的な指でつまみやすい大きさにするため

今までは、ずっと、スクエアな表タブにしてまいりました。

こんな感じです↓。

以前の表タブ:「わ」にはなっていないです。小さいので綺麗な長方形な形になかなかなりにくく幅が不均一。

ということで、綺麗に作れるようにと、サイズを大きくしてみました。

上が大きくしてみたタブ:元の小さいタブよりも完璧に折りやすいので、幅は整いましたがやぼったいです。

ということで、大きいサイズにしただけではまだ改良が足りないと感じました。

よって、デザイン自体を変更しようと至ったのがこのたびの改良です。

その出来上がりはこちら↓。

楕円型のタブへの変更:丸いカーブを入れることで、スクエアな時のラインの粗さを解消。更にタブと離します。

ただこれもサイズが大きいのがやや気になりますが、ひっくり返しなので、あまり小さくするとかえってラインが汚くなってしまうのです。

とりあえずできる限りのコンパクトさでこのサイズになっています。

作り方:まず、返し口とする水平の箇所をあらかじめアイロンでしっかり折って印通りに縫います。
出来上がり:ひっくり返して、こんな風に返し口を縫い閉じて出来上がり。

ジャガードが上ラインに入ったことで、まっすぐな線がちょっとカーブしています。

この場所を無地部分にするという生地部分での裁断の工夫を入れることも今後考えたいです。

では、続きまして、もう1つのタブである、内部のファスナータブについてのタブ設置の場面をお届けします。

ファスナー取り付けの内側の構造:このようにいかにもファスナーをカチャッと装着したような作りです。

二度縫いのボックスステッチを2枠で固定。

そして、ファスナーの縁をこのようなラッピングタブで覆い、邪魔にならないタブの真ん中付近をステッチ二度がけで固定(ボックス内に出ている筋のことです)。

もう少し寄ってみましょう。

今まで、たくさんファスナーをこのように裏面に設置する中で、すっきりさを追求してきた結果がこれです。

いろいろ工夫はあります。

まず、ファスナー自体を固定するボックスステッチを2度がけ(2周)しています。

そして、次にさらに外枠を同じように2度がけで囲うのです。

この二度がけステッチの意味は、丈夫に取り付けることと、このファスナーの縁のぴらぴらを固定してすっきりとまとめるためでもあります。

もちろん、下糸をファスナーの色にぴったり合わせています。

糸を豊富に持っているからこその都度の色合わせの実現が可能です。

一瞬ステッチの糸が見えないくらいなじんでいるのが分かります。

そして、ボックスステッチで囲ったあと、ファスナータブのピンクの部分を2度がけのステッチで固定。

これをしないとタブ周辺が固定されませんので必須。

この場面というのは、バッグが出来上がった時に、内側に入るので視界には簡単に入らない箇所です。

しかしながら、完全に隠れた中側でもなく、半分は表部分に属するものと考えています。

こういう例は他にもあって、巾着袋のひも通しのトンネル内なども同じこと。一見隠れた場所ではあるけれど、紐が通っていくし、覗くことが可能です。

「覗くことが可能な場所というのは、すべて表なのだ」という認識で綺麗に作っていくということを考えています。

あとがき

今回は、ここまで。

あと3時間程あれば、1点は完成したかもしれないくらい出来上がりに近づいてきています。

年末中には完成出来なさそうですが、年始早々には出来上がると思います。

今回ファスナー取り付けは同じ「かまぼこ」型の3点を行いましたが、まだ「おにぎり」が1つ控えています。

2020年ならではのカラー物もこの辺りで、いったん一区切り。

2021年は黒ベースの素材で黒のジャカードとか、黒地に花柄といったものにシフトしていきます。

また、来年も是非お立ち寄りくださいませ(^-^)。