ブランドバッグに憧れたドーム型が3年経っても完成型にならず、根本的に模倣スタイルの行き詰まりの姿を表している【328】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

バッグ作りは、同生地で別デザイン3点・別生地で同じデザイン3点の製作を進め、作業効率を検証しながら順に完成している期間。

すべてリュック型に仕上げ、アシンメトリーなショルダーから離れ、左右均等で背負うという健康志向も含みます。

このたびは、1点のリュックが完成、リュックになどなかなか作られないドーム型(がま口)デザインで作った意外性があります。

しかしながら、このドーム型はブランドバッグへの憧れから端を発した製作、自ら湧き出た創造とはずれたものでした。

憧れを模倣的に作っていくことのその行く末のようなものを体感した貴重な回。

決して美しい出来上りではなく、2019年の初製作からの改良を経た2021年でもなお解決できていない未熟さが残ります。

当ブログ記事は最初の投稿の2021.01.07からおよそ5年後の2025.11.27にブログ記事の「手直し」の順番でタイトルから見直し全文を綴り直しています。

その後このデザインは廃版、完成後の「あとがき」にて最後にもう一度改めて「模倣」についてはお話したいと思います。

そもそも型紙のライン間違いは憧れが発端のデザインだったから。。完成度の低さはそのバッグを作る理由の浅さに等しい

【327】投稿のファスナータブの活かし方:ドーム型の縫いには非常に違和感。気が付くと右のような体勢です。

【327】投稿のタブ付きファスナーをドーム面に縫い付ける場面です。

ファスナーが開き過ぎないよう途中で終わらせ、その続きの底面までをファスナータブで補填するという考えで取り付けたものになります。

平面ミシンの限界:両面の合体となるとかなり3次元。歪みがどうしても起こってしまうのです。

一時期「ポストミシン」というポール型の縫い面が数センチしかないタイプのミシンの購入を本気で検討したことがありました。

100kg以上もあるミシンは、縫製工場のような建物の1Fに運搬し設置するものでした。

底面以外の完成:完成イメージが出てきました。残るは底面の「外表」の縫い上げとなります。
底面の縫い上げ完了:これでバッグ本体が完成したことになります。
ドーム型リュック完成(マルチペール抽象柄):<サイズ>縦22cmx横33cmxマチ13cm。

型紙の悪さから、ラインがカーブにならず多角形寄りになって出来上がってしまいました。

斜めからの見た目:どこから見ても底ラインの「とがり」が気になりました。
背負う面:ショルダーは取り外し式で設置。このデザインのリュック型は珍しいと思います。
完成したリュックの状態のサイド:今一度ここを見てみます。ファスナーが斜め方向に倒れ歪みが起こりました。
使用生地:表地(マルチペール抽象柄)-ジャガード、ポリエステル/100%、イタリア製。裏地(くすみピンク)-エステルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。
お洋服とのコーデ例:バッグの柄の美しさを引き立てる無彩色寄り。抽象柄とレースのフクレ加工の丸みが相性。

あとがき

その後ポーチで作ってみるという研究をしたことを最後に、2019年からずっと挑戦してきたこのデザインの製作に幕を下ろしました。

随分長い間拘ったのも、冒頭でもお伝えしました長年の憧れのデザインだったからです。

しかし、これだけ長い間でも解決できず完成型にならなかった理由は、「模倣」だったからだと思います。

おそらく、憧れたブランドバッグの考案者様には、揺るぎないこのドーム型に対する強い希望と哲学があったかと。

ただの素敵さだけで憧れた者が同じようには決して作れなかったことの一例です。

確かに1980年代後半から、その後も特に流行の先端のモデルではなかったものの変わらず古物で集めていた程のドーム型好きではあったのです。

これを機会に、困難を伴い過ぎない完成度の高いバッグを作っていく決意新たに、レベルの高い作りをもっと強くしていきました。

そして、「模倣」の愚かさも重要な学び、「憧れ」という薄っぺらさが製作の軸をずらし、完成した未熟な姿に表れてしまったのでした。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ドーム型バッグの型紙の底ラインがカーブであるべき理由、実際の型紙でのシミュレーションがそのヒントをくれた【129】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

1980年代後半から好んでいたドーム型のバッグは、ハイブランド様が最初に作られたものだったと思います。

アパレル業界の「トリクルダウン」構造により、他ブランド様にも浸透。

一世を風靡したデザインでもないことから、かえっていつの時代の流行の中でもニッチな存在として持てたのでした。

ただ、本革レザー製のハイブランドバッグは内貼りが合皮であったことがほとんどで、その後劣化し手放すことになっていったのでした。

そのなつかしさと自らの好みから、布製でこのドーム型を作ってはいけないかとトライしたのが2019年でした。

ハンドメイドバッグ道の2007からはおよそ10年後のこと。

そこで、とても不思議であり当たり前でもあった物理的事情を知ることに。。

このたびは、ドーム型バッグの底のラインに注目し、型紙でそのデザインの正解に近づくための理論をシミュレーションしていきます。

つまり、ドーム型の正しい底のラインは型紙ではどのようなラインなのかという点に迫ります。

実際は、完全解決はできませんでしたが、そのための試行錯誤は大いに意味があったことです。

決して完成品では語られることなどない製造の裏側のような部分、是非興味深くご覧いただければと思います。

まっすぐな底ラインでは出来上がりの両サイドが反ってしまうドーム型バッグ、地面に平行になるための型紙の修正

2019年に製作のドーム型バッグ:いずれも両サイドの底周辺が反ってしまいます。このラインは型紙に問題あり。
初期の型紙:ドーム型なのだからこの型紙を最初に作ってしまうと思います。ところがこの型紙は不正解。

なんとなくではなく、はっきりした理論で理解するために、型紙のみでシミュレーションをして修正してみたのでした↓。

型紙で両サイドを重ね合わせた底のとがったライン:当然出来上がりは反るに決まっているとこれで分かります。

平面(地面や机)に対しての尖り構造はぐらつき不安定であるに決まっているのです。

ただ、布製の融通さも相まって作り上げてしまえることで、長い間なかなか気付くことができなかったのでした。

型紙のとがった部分の除外作業:1枚を左右対称に折り、底の真っすぐラインから飛び出した部分を削ります。
削除後のラインのシミュレーション:作図した通りにハサミでカット。右は再び重ねて底の水平ラインを確認。

写真の映りが悪いですが、右の写真は型紙上ではまっすぐラインに重なったことが実現しています。

出来上がった修正型紙:変な形ですが、これが物理的な現実に近づいた姿。しかし2か所の尖りの解消が必要です。
修正後の型紙:2か所の尖りを更に緩やかにした再修正型紙:これで理論上は解決したはずなのですが。。
再修正後の型紙で作ったドーム型バッグ:かなり解消されましたが、反りが完全解消ではなく尖りも残りました。

ここで更に、理論上の正解が実際の正解ではないことを知りました。

完全に解決はされなかったラインの問題、残念ながら最後まで未解決のままこの製作から離脱したのでした。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.06.01からおよそ5年後の2025.05.11にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

最終的には完全解決が出来ず撤退したドーム型バッグ、私ではこれが限界でしたが、途中の物理的な現実と想像のみのギャップは重要なノウハウでした。

意地でも最後まで解明していく気力を持つには、もともとこのドーム型バッグを考案していなければできなかったこと。

最初に考案のハイブランド様は独自の考案という最強の基盤があったと思うのです。

ある意味、この撤退も相応しい行動であり、その後自ら考案することの本当の意味での強さと大切さを持つようになっていきました。

このたびのような完成型まで行かなかった途中段階であってもあえて記録に残しました。

「バッグの底は、出来上がり自体が必ず水平であるべき」という鉄則のようなものだけでもお伝えできたかもしれません。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

マルチカラーのビッグデイジー柄の風通ジャガード生地、広々とした面積の丸いラインのバッグとの相性【25】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

1980年代から流行を問わず、ずっと好きなデザインのバッグがあります。

思わずじっくり見てしまう緩やかなカーブが非常にエレガント。

口が大きく開くために、とても中が見やすい点もこのデザインならでは。

この2019年は、より立体的なデザインのバッグに挑戦しておりまして、「ボストン」「バニティ」「巾着」「リュック」そしてこのたび製作の「ドーム型」の主に5種を順番に製作しています。

この中では最も難易度の高い「ドーム型」は、かつての1980年からのあこがれのデザインだったそれに当たります。

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.07.13からおよそ5年半後の2025.01.25にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

一応完成致しましたが、販売するところまでのお品物には至らず研究作品として、「製作品アーカイブ」に記録していくにとどまりました。

ポケットのファスナーに貼る伸び止めテープの引用例を含めながら完成したドーム型ショルダーバッグをご紹介してまいりたいと思います。

素敵な生地には敬意を払って優れたバッグを作りたい理想、角丸バッグとビッグデイジージャガードの抜群の相性

表地(マルチカラー):風通ジャガード、ポリエステル/76%、ナイロン/24%、イタリア製。控え目な無彩色がかえって魅力です。

@¥3,980/mという比較的高級な生地(後に@¥4,980/m→@¥5,980/mで追加購入しています)。

裏地(グレー):ジャカード、ポリエステル/100%、日本製。これまで多種のカラー展開を利用しました。

こちらは、集めやすいお値段であり、@¥714/mという価格。

何度もリピートして多色を使用させていただいたのも、この生地の良質さと高級感。

このまだら柄のような織柄は、フローラルなタイプにも幾何柄タイプにも万能なのです。

伸び止めテープ(平)の利用:ファスナーへの縫い付けラインのうねり解消に使用しました。この度は1重貼り。

三つ折り内に内蔵するよりもファスナーに直接触れる位置が効果があると過去の製作からは感じました。

ただ、これも伸び止めテープが表に見えるリスクがあります。

ファスナーのうねりの解消には、3重に重ねてやっと効果が出るという実験記録もあります。

ファスナー使いの機会には、三つ折り内部に3重で貼って伸び止めテープを隠し込むのが一番。

フラップポケット:フラップ自体が本体のカーブラインにリンク。すっきりとしたデザインです。
背の部分のファスナーポケット:外ポケットは便利ですが、柄物に対しては柄を遮ってしまいます。
正面:<サイズ>縦20cmx横30cmxマチ6cm。後からの反省は、マチを思い切って15cm以上にするべき点。
持ったイメージ:様々な角度からの視線があることを実感します。底周辺の変な「反り」は型紙が未熟な証拠。

あとがき

2019年の初めてのこの生地の利用から数年後、奇跡的にこの生地がリピート仕入されているのが見つかりまして、こんな製作もしています↓。

2022年に製作のトートバッグ:生地のストック整理の為短時間製作したシンプルなサブバッグ。Sould Out。

このたびの苦労したドーム型ショルダーバッグと比較し、後に製作したビッグトートバッグの方が断然製作が簡単で、シンプルなデザインなのに柄が生き生きと躍動しています。

こうして、気付いていったのが、「苦労しても不完全な出来上がりのバッグには価値が無い」ということ。

一方で、単純でも素材が最大限に活かされたバッグは受け入れられる可能性に立てるということ。

こうして2019年では難しいデザインの製作に挑戦はしたものの、どれも成功率が低く、2025年では成功率が100%のデザインのみに絞っています。

一人の力では到底優れた品物は作れない、生地の素敵さの力もお借りするのです。

ただ、決して生地の素晴らしさのみに依存するだけでは、これも飽きられます。

敬意を払いながら優れた生地を利用させていただき、今度は製造者の生み出した「価値」を入れていくような製作を意識するようになりました(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク