四角い貼り付けポケットの角が歪まないために貼った伸び止めテープ、ステッチが交わる必要がある【766】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

隠しポケットと貼り付けポケットとでは、前者の方が大部分が内部に隠されますので、見かけが何となく奥ゆかしいです。

一方貼り付けポケットは存在感があることがメリットで、ぺタンと貼った時のコの字がまっすぐでなければ粗く感じてしまう難しさもあるポケットだということに気づいたのも後から取り入れた隠しポケットあっての気づきでした。

もともと貼り付けポケットからのスタートだったのですが、こうして隠しポケットと両方を同時にバッグに設置することを並行してやってきた結果、貼り付けポケットの方が難易度が高いのだと思うようになりました。

目に映る美しいコの字ラインをまっすぐに縫えるためには、歪みを解消せねばなりません。

このたびは、真っすぐラインを作るための伸び止めテープの使用例をご紹介したいと思います。

同じケースのみにとどまらず、いろんな場所に効果的に使えるケースを是非考案してみてくださいませ。

ナイロン100%素材は弾力性が強いという理由で、伸び止めテープのバイヤスをストレートな部分に貼りました、正解でした

伸び止めテープというのは、その名の通り、伸びないように固定する働きが主にありまして、既存の説明などでは、洋服の襟ぐり、袖ぐりなどのカーブの部分にバイヤスを使うなどの例が多く見られます。

「伸びないように」→「変形しないように」という意味で使っていきます。

まっすぐなストレートなラインにバイヤスの方を貼る理由は、貼る生地がナイロン/100%だから。

ストレートとバイヤスの質の違いは、その柔軟性。

カーブなどの内輪と外輪があるかのような箇所では、伸び縮みに優れたバイヤスカットをしてあるテープが融通が利き、そのラインに沿ってくれるのです。

ストレートは、まっすぐの縦や横にびしっと硬く風合いを仕上げてくれる効果があります。

動きのある場所でもないストレートラインのポケットなのですが、接着をすることが伴うため、生地のナイロン/100%の弾力性に合うようにという意味でバイヤスを使ったところが特殊なケースなのかもしれません。

黒衣のが9mmの伸び止めテープバイヤスの黒色です。もっとステッチが真ん中に乗ると良いですが。。

そもそも、この接着芯をこのナイロン/100%の生地に貼る時にも、ニット芯を貼っています。

ここへ織芯を貼ってしまうと弾力性のあるナイロン/100%の生地がアイロンの熱によっていったんきゅーっと激しく縮み、その後熱の冷めによって再び戻ろうとするような動きからか、気泡と皺のオンパレードになってしまいます。

この接着芯の経験から、伸び止めテープも一部使いの接着芯と同じではないかと考えたのです。

市販では、ニットの伸び止めテープもあるようですが、伸び止めテープのバイヤスを選択で大丈夫のようでした。

巾9mmのバイヤステープ:表にひっくり返した時の端っこに位置するように使ってみました。

伸び止めテープはどこかに縫い目で固定されているのが鉄則。

その意味では一応乗ってはいますが、もっと貼るべき位置をずらすべきだと反省しております。

縫う位置を想定した位置にピンポイントでステッチが乗るように前もって貼る位置を決めるべきなのです。

この写真のポケットの底の部分には、この写真の現在では縫い線がまだないですが、後にひっくり返した後に、縫い付けのステッチがのります。

良い位置になるには、1本だけを折り目を対称にしてまたぐように貼るのが出来上がりが2重の伸び止めテープが重なったところへのステッチということでもっと効果が出るかもしれません。

とにかく、伸び止めテープの「接着+ステッチ」のコンビというのは、「はがれ防止」と「固定」の意味があると思いました。

特に、長方形の角の部分にご注目を。美しく直角が出ました。これが伸び止めテープの効果です。
裏側はこんな感じ。当て芯もしています。その縫い線のラインが裏から見てもすっきりと直角です。

当て芯だけではここまで綺麗なコの字にならなかった、伸び止めテープのおかげが大きいと思います。

とても素晴らしい附属品です。

こういった裏の場所というのは、バッグが出来上がってしまうと見ることがありませんので貴重です。

あとがき

この、貼り付けポケットはいずれ隠しポケットとのコンビで、混合型1種だけに変えていくことを考えました。

そうすれば、伸び止めテープの出番も必要なく、フラップ付きの隠しポケットという姿になります↓。

貼り付けポケット廃止後のポケット:フラップのみ活かし、隠しポケットとの混合型で1デザインのみで行きます。

ただ、このたびの、伸び止めテープを貼った効果は忘れません。

ちなみに、隠しポケットの比翼(写真では黒の横長のパーツ)に伸び止めテープのストレートを貼ります。

別の機会にも思い出して引用できる時が多々ある伸び止めテープの存在、どうぞ覚えていてくださいませ(^-^)。

良き素材の出会いが活きた、黒メッシュ無地と黒メッシュ花柄刺繍のコンビのリュックのおしゃれ度【762】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、<メッシュシリーズ>として、様々な種類のメッシュに特化した生地でリュック「餅巾着」を連続製作中です。

このたび、1点完成致しましてご紹介しますので、メッシュ素材の面白味を味わっていただければと思います。

「餅巾着」というデザインは、実は3層構造。

表地・裏地・内蔵の巾着袋と3段階の製作が合体したものになります。

順番は、表地→裏地→巾着袋とやってみましたし、このたびの完成品の場合は、その逆の巾着袋→裏地→表地とやってみました。

作業のスムーズさなどの違いは特に感じませんでしたが、巾着袋を裏地に縫い付ける部分があるので、その2つは隣り合わせの段階にした方が流れがスムーズです。

では、完成の様子をご覧になって下さいませ↓。

コンパクトなリュックでもここまで機能と構造が高められる

正面:「餅巾着:もちきんちゃく」<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

お出かけや旅行の時のリュックとしてのご提案です。

大きすぎない点でコンパクトの部類にはなりますが、ポケット2個の他にもお部屋が豊富。

貴重品+カメラx1台+日用品+といった感じのサイズ感です。

トートバッグの使い方:ショルダー取り外しが可能、シンプルにハンドバッグのみでもお使いいただけます。
背の部分:表地は2種。無地のメッシュ素材の黒色に、同じようなメッシュ素材の花柄刺繍の生地を配色的に使用。

もともと分量の少なかった刺繍生地をパーツの部分にアクセント的に使ったということです。

取っ手の付け根カバーの8角形はどうしても折り込む際に刺繍が邪魔して綺麗にできなかったので無地で、ショルダーは長いので分量が不足して無地でということに自然に配置が決まっていきました。

金具:シルバー色を使いました。もしかしたら弔事でも。。と思いシルバー色がオールマイティーだと判断。
生地の地の目の使い方の違い:取っ手の付け根カバーと本体の地の目の向きに変化を付けました。
内側(入口周辺):入口の蓋を開けるとこのような風景が。メインの巾着ひもは、裏地のストライプの黒色です。

裏地はこのカーテン地の黒色ストライプで作りました。

内蔵巾着袋(外側):最初のリボンをほどくと、どーんと内蔵巾着袋が現れます。内部が完全に守られます。
内蔵巾着袋(内側)内側はボーダー柄に裁断方向を変えました。この生地はニットです。

お気付きかもしれませんが、巾着袋が内蔵されることで、ポケット以外のお部屋が生まれました。

巾着袋の前後や左右、そして底部分に物を入れる隙間が生まれたのでした。

巾着袋の要/不要:巾着袋を使わないということもできますが、使う場合セキュリティー性は強めです。
ポケット(隠しポケット):ジャケットの「片玉縁:かたたまぶち」の作りを学び我流にアレンジしました。
ポケット(貼り付けポケット):フラップが付いてセキュリティー性があり隠しポケットと機能は同等かと。。

ところで、ニット生地の小花柄の巾着袋に対しても縫い糸は布帛(織物)と同じテトロン糸で対応しています。

糸調子などは何らかわりなく、綺麗な糸目で出来上がることができす。

お洋服ではないので、かがんだり、伸びたりなどの激しい動きが生地自体には起こらないのがバッグ。

持ち上げるので、重いものを入れた時に多少背伸びしたような圧力も想定しますが、その辺りはやはり固定の物体であるようで、お洋服とは随分事情が違うようです。

ただ、ニットであることは間違いなく織物とは違うわけで、伸び縮みによる生地自体の変形はあるようでした。

この変形に関しては、ポリウレタンが入った素材にも同じように付きまとうことです。

表地の無地の黒のメッシュは、ポリウレタンが15%も入っているので、弾力性がものすごく、ハイテンションという加工がかかっているものです。

ショルダーにステッチをかけている時に、横に少し伸びて生地つぶれ、幅が通常よりも広く出来上がったような感触でした。

あとがき

今後は、あと2点程メッシュ素材で製作を続けます。

次回からの素材もまた面白く、ユニホームや、トレーニングウェアー、スニーカーの一部に使われるような穴の開いたメッシュ素材です。

おそらく、一度はご覧になったことがある素材だと思います。

ところで、このたびの完成品は、後にユーザー様からのフィードバックと実際の使い勝手の追求で、思いのほかメッシュ素材が伸び、隙間が空くということが分かりました。

そうして、当記事の完成品の入り口のフラップのサイズを取っ手の間の幅にめいっぱい広げたものへ後に改良しました。

その記事は【807】でございまして、ここで完成のお写真のみ掲載しておきますね↓。

改良して隙間をカバーしたこのたびの完成品のその後。間違いなく改良後の方が良いです。

この度作ったものと比べて、随分入り口の安心感が高まることになります↓。

実用度は右側の改良版が断然あります。左側がいかに机上の空論であったかを反省しました。

とりあえず、当記事では、内蔵巾着袋のリュック全体での存在感をお伝えする回でして、改良後の本当の完成が随分後になり別記事になったことで記事が読みにくく申し訳なかったです<m(__)m>。

結ばずに折って重ねて縫い付け、6mm巾の共布巾着ひもの先を美しくループエンド内に収納【761】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ最近連続して製作段階の細かな作業をご紹介しています。

以前の記事【759】【760】そして、このたびの【761】で、リュックに内蔵する巾着袋の共布巾着ひもに関わる細かな製作過程をご紹介しています。

美しい仕上がりと長持ちという欲張りな2つの目的を同等に叶えるというもの。

このたびは、ループエンドを紐先に取り付ける作業をもって内蔵巾着袋が完成です。

このような些細な作業にも工夫がありますので、是非ご注目いただければと思います。

共布ひものループエンド内への収納、折って縫い付けた時点で向きが固定される

いくら中に収納といっても、縫い代は隠しておくのが望ましい姿。

ループエンドの中も半分は外側みたいなものなのです。

まず最初にループエンドにそのまま2本まとめて通します。

そのループエンドに通った状態で次のようにやっていきます↓。

巾着ひもの2本を互いにおがみ合わせるように内側へ折ります。ループエンド内に隠れる分量だけ折ります。
こんな風な見栄えになります。この後、斜めにステッチを入れます。一度縫いだけが限界みたいです。
とても分厚いものを縫うという無謀なミシンがけとなりますので、返し縫いは崩れる原因なのでやりません。
こんな風に収納できました。はみだしが無いと美しいです。すずらんループエンドがエレガントです♪。

結ぶやり方はボリュームが増大してループエンド内に収まりきらないことが多いですし、何よりも「粗い」印象になります。

このたびのような平らに折ってステッチをかけるまでするやり方は「しとやか」なふるまいのよう。

この違いは「カジュアル」と「エレガント」の分かれ道にさえなるものだと思います。

あとがき

細かな部分ですが、パッと見たときの「あっ!」という感動に繋がることを思うと力を入れたい部分です。

このループエンドが非常に素敵、「アイリス」社製のすずらんデザインです。

シェイプされたデザインがエレガントで、シルバーとゴールドの2色展開です(^-^)。

ここで内蔵巾着袋が完成しましたので、引き続き内貼りの裏地製作・表地と作っていきます。

リュックの全体の順番としまして、内蔵巾着袋を最初に作っているのです。

さて、この細かな作業が完成にどう影響するのか、完成品は【762】で。

特に内蔵巾着袋が全体のどんな存在なのかをご覧いただけると思います(^-^)。

製作のラストを飾る「ひも通し」、共布で作った巾着ひもを巾着袋に通す時の天地の向きの統一【760】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在「餅巾着」という名前の巾着リュックに内蔵の巾着袋(裏地付きの二重仕立て)を製作中。

今回は、その出来上がり直前の場面、ひも通しを美しく仕上げるために向きをそろえる意識をすることをポイントにご覧いただきたいと思います。

共布で作った紐には天地の向きがある、「わ」を天に「溝:みぞ」を地に向ける設置の仕方で仕上げるひものねじれのない巾着袋

既製品のコードの場合は筒形なのでで180度回転しても、紐自体は同じ向きなので気にすることはありません。

しかしながら、共布ひもである場合、紐の作りが片方が「わ」、片方が「溝:みぞ」ということでアシンメトリーなのです。

向きはどちらでも自由なのですが、たまる「溝」に変なほこりをためないという意味で天が「わ」地が「溝」と決めています。

天が「わ」になった向き:上側をこの向きで通します。
地が「溝」になった向き:下側はこのように溝が位置します。
上記のそれぞれの位置をキープしながらねじれないように出口へ出します。

出口に変な向きで出てしまっても、手探りで向きを整えることも可能です。

せっかくこのように設置しても、使っていく中では当然ねじれてきますが、この時点で位置を整えておく理由があります。

結んで使う場合は結び直しということができるのですが、この後、紐先にループエンドを付けます。

その際に、この向きのまま縫い付けて固定してしまうので、「向きが決まる」ということです。

その作業があるために、この時点で向きを正しくピシッとしておかねば、永久にねじれたひもの完成品になってしまうからです。

ところで、出来上がり巾にも理由があります。

型紙は2.5cm巾で出来上がりが6mm強です。

いかに細かなお仕立てをしかも綺麗にするかの限界として、このひもの幅を設定。

これ以下では綺麗に出来上がらない、それ以上だと野暮ったくなるなどのバランスです。

この後に取り付けるループエンドのホールのサイズとの相性もあります。

あとがき

古典的な口の閉じ方ですが、実際に使う中で一番さりげなくて確実なのが「絞る」という動きです。

メインの入り口の隙間がどうしてもできてしまう「大まかにしぼるだけ」の入り口の内部には、こうした完全密閉の機能があると良いです。

単純なトートバッグだけを作ろうとしますと、心配事が出来てしまいます。

何でもないプレーンなトートバッグでも、内部にこういった巾着袋を内蔵というアイデアで、旅行バッグにでもなることができる可能性が生まれるのです。

このコンビネーションの考え方は、製作時間は長くなりますが、機能としては優れ、奥行きの深い内容の品物になると思います(^-^)。

巷では滅多にやられていない、意識的にすっきりさせた巾着袋のひもホール内の縫い代の内部始末ステッチ【759】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

少し前の記事【753】でもお伝えしましたように、バッグが完成してしまうと内部の機能は多くが隠れて見えなくなります。

それをあれこれ完成のバッグでご説明してもなかなかピンとこないかもしれないと、製作途中の場面の裏側のお写真と共に「当て芯」にスポットを当てながら強度を高めている縁の下の力持ちなる部分をご紹介しました。

このたびの【759】では、【753】の時の「当て芯」とは別のパーツ、①内蔵の巾着袋のひもホール内の縫い代始末と②巾着袋の底のマチの多重の重なりの仮固定ステッチの2箇所についてその途中段階の内部をお伝えします。

1つ目の箇所:巾着ひものホール内の縫い代を完全に隠す両割れの固定ステッチ

おそらく、カーテンやクッションカバーなどのインテリア分野で良く使われる「袋縫い」の手法に類似のやり方だと思います。

ホールというのは、半分内側ですが、覗くと見ることができるので、もう半分は外側に面しているという場所です。

「この場所は外側みたいなもの、目に映る部分としてきちんとお仕立てしたい」といういった思いから次のような工夫をしています。

巾着袋のひもホール内の縫い代始末の仕方:てっぺんが縫い代側です、さらに内側に折り込んでステッチ。

この構造、結構手が込んでおります。

1.5cmの縫い代がびらびらのままであると、紐が巾着の開閉によって縫い代がどんどん消耗してくる可能性がるので縫い代をさらに半分の7.5mm分内部へ折って真ん中にステッチします。

それでもまだ、ぐらぐら揺れる不安定さが残ります。

よって、この写真の後は、てっぺんから3mmほどをミシンで重なったまましっかり縫い付けて固定するステッチを1本入れていくということをします。

そうして完全にトンネルの入り口からのぞいた風景が安定したすっきりとしたものになります。

共布ひもを通した様子:一番上のステッチが曖昧だったラインをしっかりと固定しはっきりとしたラインに。
ひもホールの入り口から見る内部:縫い代がすっきりとおさまり、紐がその下を通過しますので摩擦がないです。

「摩擦が起きない」ということは、「傷みが無い」ということにつながり「長持ち」へとつながるということを見込んでいます。

2つ目の箇所:巾着袋の底のマチの多重の重なりの仮ステッチの固定

次は、場所が下の方へ移ります。

二重仕立ての巾着袋のマチの重なり:表地と裏地が同じ生地ですが、マチ同士ピタリと合わせ仮縫いステッチ。

この時に、重なった内側のマチが引っ込みがちです。

この引っ込みのまま行くと、縫い目がずれて内側を縫い外す懸念が起こります。

よって、この時点で仮止めステッチをし、少し内側のマチを1mm程のわずかな分量出し気味にして、1cmくらいの部分を縫っておくのです。

内蔵巾着袋は裏地付きの二重仕立てなので、マチの重なりというのは、合計4枚分です。

4枚重ねの仮固定完了:この後裏地のマチに更にこのまま挟み込んで、縫い代1.5cmのところを重ねて縫い付け。

一度にやろうとするよりも1ステップ踏んだ方が安全であり確実です。

強度もこの方が必ずありますので、必要なステップだと考えています。

出来上がりでは、このように安全を考えて二度にわたってステッチされているなど、決して目に映ることではありません。

この場面は大変貴重な場面だと思っていただければ。。と思います。

この仮固定の縫い線は1cmでしたので、裏地への縫い付けの時の1.5cmの縫い代内にちゃんと隠れてくれます。

ということで、以上の2箇所が、バッグの中の内蔵巾着袋が実際にバッグに出来上がっときには見ることのない、途中段階の今でこそじっくり見ることのできる構造の部分でした。

あとがき

手の込んだ仕立てはハンドメイドならではの強味です。

量産品には、対極なお仕立てで注目される方が断然良いと思います。

今は隠れて知られていない部分なのかもしれませんが、これらをいくつも地道にやっていくうちに、内部が見えなくてもパッと見て「何か違う!」という存在に、そして「信頼」を得られる製作になると思います(^-^)。

黒ベースの小花柄がマルチカラーの場合に思わず真っ黒の縫い糸を選んでしまうことへの冷静なる注意喚起【757】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、餅巾着というデザインのリュックを製作中。

その製作の中で、黒ベースのマルチカラーの小花が登場。

この時に使う縫い糸が思わず黒を選びがちです。

しかしながら、その出来栄えは。。

ということで、縫い糸が本当に黒を安易にチョイスしてしまってよいのかということの結果の縫った見た目の美しさの検証です。

片方は、真っ黒の糸で、もう片方はチャコールグレーの糸でやってみたいと思います。

黒VSグレーの糸で実験してみた結果の美しさはグレーに軍配が上がった事実

左:黒糸で縫う、右:グレー糸で縫う:本来長い生地で作るのですが、実験なので短めで試作です。

黒とグレーは結構近い色だと思いがちですが、この検証が別物であることを明らかにしてくれました。

こういったマルチカラーの場合「地」(柄の背景)が黒であってもその他の明るい色の割合も高く、真っ黒が浮いてしまうことがあるのです。

検証結果を見ていただくと、糸の美しい馴染み具合はどちらなのかが良く分かっていただけるかと思います。

検証結果:左側の黒糸は柄を遮断するような見た目、右側のグレー糸はマイルドで生地に馴染み美しいです。

過去の製作で、同じように黒ベースの鮮やかな原色カラーの花柄のプリント物の製作時に何度も黒ベースのマルチカラーの花柄柄に遭遇してきました。

その時も、グレーですべての部分を縫いました。

もし、左のように黒糸ですべての部分を縫うことを考えると出来上がりの感動が削がれるのです。

黒ベースなのだからと、黒糸をチョイスしがちですが実はグレーが正解です。

柄を活かしたいからかわいい柄を選択しているのであって、やはり柄を主役にしなければなりません。

ステッチはあくまで引き立て役、なじむような色を選ぶべきなのです。

黒だけに言えることではない、紺や焦げ茶も同様

黒は色の中で一番シャープで強い色だと言われるように、分かりやすいものでした。

ただ、同じように、焦げ茶や紺色くらいまでは黒と同じ性質も併せ持つということで、今回の事が同じように当てはまるようです。

このたびは、黒ではなくてグレーの糸を使用したのですが、もしグレーベースの明るい花柄の場合グレー同士でも糸が浮く場合はグレーのトーンを更に下げてあげることも場合によっては必要になってきます。

あとがき

さらに細かいことになると、糸の色の他には、「糸調子」も美しい見栄えに繋がるかと思います。

調子の悪い糸はどうしても良質に見えにくくなるので、糸調子の良し悪しも注視することがベースにあります。

出来上がりリュックを一目見た時の「わぁっ!」という感動は、こうした細かな部分の集結で出来がるのです(^-^)。

元はパンプスの素材がこんな姿になるなんて。。内側の大花柄が美しい「ラメ」がリンクしたリュックを眺める【755】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、「餅巾着:もちきんちゃく」というデザインのリュックが1点完成しました。

パンプスに使われる素材をリュックに使ったところがユニークな用途の「ずらし」です。

ボーダーのような畝が美しいゴールドラメがエレガントなリュックの内部にもご注目いただければと思います。

ごわついた素材が良き貫禄に、表地と裏地の共通部分のラメがゴールドの金具パーツともリンク

「餅巾着」:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

心配していましたごわつきによるミシンの糸の通りにくさはありませんでして、素材の硬さが随分貫禄になっています。

スムーズに縫っていくことが出来て、大変心地よい製作だったのでした。

なかなか写真ではゴールドが際立ちませんが、凹凸があるので、半分くらいへこんだ部分に隠れてしまうことで映りが少しぼんやりと見えるのです。

<表地>生地名不明(メッシュ生地)、混率不明(おそらくナイロン/100%とのこと)、日本製。
生地のごわつきがいい具合に影響して、リュックのショルダーなどもポンと浮きます。
上から見た写真です。メインの入り口がいかにセキュリティー性が弱いかがこの隙間で分かります。
メイン入り口の隙間を内蔵巾着袋が完全フォロー。細い方のひもは内蔵巾着袋のひもで太い方は入り口用。
メインリボンをほどくと、こうして、内部に設置した二重仕立ての巾着袋の黒色が現れるのです。
巾着ひもをほどきますと、内側の暗いお部屋です。マチ部分で縫い付けしてあり、本体と一体化しています。

随分複雑な構造のように感じられると思いますが、セキュリティー性を追求した結果自然にこうした作りになりました。

巾着紐が重なる点が気になる場合は、入り口をバンドへのアレンジなども良いと思います。

あとがき

このたびのボーダーの畝のメッシュ素材がもしパンプスになっていたら。。と想像していただくと、こんな風にリュックになっていることが不思議な感じに思えてきます。

本来のアイテム用だった素材を、別のアイテムにずらしたことで新しさや個性も生まれることがあります。

多くがトートバッグに作られる帆布生地を筒形のワンショルダーに作うなど、「意外なデザインへの落とし込み」で個性が出せることがあるのです。

もともと製作生地に「凹凸感」がある生地を選択することが多いバッグ製作のスタンス。

凹凸感もいろいろあり、畝、ジャガード、フクレ、パンチングなど様々です。

このたびこのような新しいタイプの凹凸感に出会えて、良い製作経験をさせていただきました、生地をご提供下さいました業者様、ありがとうございました<m(__)m>。

バッグの「当て芯」の余分な部分をハサミでカットする時に生地を傷めないためのコツがあります【754】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回の記事の1つ前の記事【753】では、バッグの完成では見ることのない隠れた部分で機能する、「当て芯」の設置の様子などをご紹介しました。

今回は、その当て芯の設置の段階の中で、ハサミを使う部分に注目していただき、随分カットしにくそうな場所をどうカットしているのかをご紹介したいと思います。

間違えて本体生地を切ってしまわぬよう、ハサミの使い方もコツです。

余ったハード薄芯を立ててハサミを滑らせる使い方、生地裁断用ハサミとは区別した方が良い

まず早速ながら、このように当て芯を裏面に当てて表面からフラップポケットを縫います。
表面はこんな風にパッチポケットが完成しています。その裏側には当て芯があるのでした。
まずは、縫い線を折り曲げハード薄芯を立て、ハサミをスーッと横へ滑らせていきます。

こういった不織布は、早くハサミが切れなくなってしまので、ここで使うハサミは、生地をカットする時のハサミとは別のハサミをお勧め。

下の生地を切ってしまわないように立てて浮かせてカットするハサミの使い方がグッド。

内側の袋に当たる部分は必要が無いのでカット。バッグ全体が軽い方が良いのでこの広い面積の部分は余分です。
一気にやってしまえる効率を考え1枚の大きな長方形の当て芯、そして後でカットするという方法をとっています。
表面から見ると、裏がこうなっているなんてなかなか想像できないと思います。貴重な裏側です。

当て芯の型紙がおおまかな長方形な理由

当て芯する時に、その部分に忠実過ぎるパーツにあらかじめカットしてしまうと、きちんと当てはめなければならないことに集中せねばならず、本来の表面の縫いがずれたり、位置が分からなくなったりで悪影響です。

とはいえ、あまりに異形の形のパーツを当て芯とすると、これもまた、目の錯覚から、歪みの原因になることが過去に経験済です。

まっすぐに仕立てるためには、当て芯自体も「専用の型紙」によって「粗裁ち:あらだち」をするという、粗いものなのにきちんと型紙を用意するという何とも面白い矛盾があるのでした。

あとがき

生地裁断専用のハサミは結構寿命が短く、研ぐということを過去にしていただいたお値段でハサミ1点のお値段でした。

そこで、研ぐことはせず、使い捨てのような使い方をするものの、簡単に捨てるのではなく、紙のカット専用や不織布のカット専用へだめになった裁断用のハサミをまわしています。

この使い方はかなりコスパも高まり、長い目で見た「サスティなブルな製作」ということになっていくと思います(^-^)。

出来上がると内部に隠れてしまう隠れた「当て芯」こそが良質なバッグを作るのではないか【753】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作歴15年が経過、最初は2007年からのスタートでした。

製作にも発展があり、「良質さ」を高めようと見えない部分にも気を配るようになります。

この目に見えない部分も随分あり、商品に完成した姿を眺めるよりも、バッグはもう少しパーツが実際には多いのではないかと思います。

宙に吊り下げて持つものであることから、強度の面での工夫は非常に重要です。

バッグが意外と単純な構造に感じるのは、表に出る部分だけを見る機会しかないからで、内部には複数の秘密があるのです。

このたびは、製作途中のシーンでしか見ることができない、補強用の当て芯の場所と使われ方にスポットを当ててみました。

「餅巾着」デザインを現在製作中のリアルな場面ですので、後の投稿記事【755】の完成の内部の姿がこうなっているのだという見方でご覧いただけます。

ハード厚芯とハード薄芯の使い分けの理由が分かります

ハード厚芯:上2つの8角形は取っ手の付け根カバー、下の6角形は、Dカンタブの付け根カバーです。

ハード厚芯(あつじん)というのは、暑さが1mmほどある硬いものです。

最初からぎりぎりのサイズにすると縫い目のゆがみや位置のずれに影響するので、型紙としては正方形や長方形の粗裁ちで縫い付け、最後に余分をカット。

次に、ハード薄芯の方ですが、こちらは、取っ手など重い力がかかる場所よりは比較的軽い、内側のポケットの入り口周りに使っています。

わざわざハード厚芯を使うと、バッグ全体が重くなる要因になるので、必要な軽さの薄い方の芯地で良いとの判断です。

それでも、ポケットをそのまま縫い付けるよりも、本体生地への負担が少なく、長い目で見てバッグが長持ち。

隠しポケット用当て芯(ハード薄芯):紳士服のポケットの片玉縁(かたたまぶち)に類似。

完全に隠れてしまう部分ですが、実は、隠しポケットが綺麗に出来上がるための立役者的な存在でもあるので、このハード薄芯を使うか使わないかの違いはあります。

こういったパーツも、専用に型紙を作っています。

なぜかというと、適当では設置の際に歪みの原因になるからです。

斜めのものを当ててしまうと、目の錯覚で、斜めにつられて縫ってしまうということを防ぐ為です。

その後、芯地だけの為の長方形のまっすぐの型紙をすべての当て芯パーツにも作っておくことを徹底したのです。

大きい方の当て芯(ハード薄芯):パッチポケットの袋の縫い付けに使っていました。

その後は、パッチポケットは粗いイメージであることと、生地が伸びがちで正方形に縫い付けにくい事で廃止。

隠しポケットの入り口をフラップで覆うという混合タイプで統一するように変わっていきました↓。

バッグの内ポケット:通常はフラップが閉じています。
フラップの内部:隠しポケットが顔を出します。

ポケットデザインが、「フラップ+隠しポケット」の混合型に改良されたことで、当て芯の面積が減りました。

隠しポケットの枠の周りの細長パーツとフラップのてっぺんの縫い付け部分の細長パーツというコンパクトな面積の当て芯で事足りるようになりました。

それでも、以前のべたっと貼り付けるパッチポケットよりも隠しポケットの袋が内側に隠れることで、容量にもゆとりができましたし、セキュリティー性の高いポケットが実現できたのです。

その他の見えない部分の材料は、「伸び止めテープ」、三つ折りステッチがある隠しポケットの「比翼」に使用

芯地のみご紹介させていただいたのですが、実は、伸び止めテープも隠れた裏側で使っていますので、最後にこれをご紹介致します。

伸び止めテープは少し芯地に役割が似ていまして、補強とハリコシを出すということです。

その名の通り、伸びがちな生地の横向き(引っ張ると織物でもわずかに伸びます)を固定してくれる役割があります。

よって貼る向きが横向きが多いのがピクチャレスクの製作の特徴。

ポケットの入り口ラインなどが、伸び止めテープによってうねりが解消され、びしっとなり迫力が出るのです。

この貼る/貼らないの違いもなかなか大きなものなのです。

隠しポケットの例:この隠しポケットの入り口の比翼みたいな部分に伸び止めテープ(9mm巾)を貼っています。

あとがき

随分隠れた部分の内蔵ヶ所が多いことをお伝えできたと思います。

これをどうご理解いただくかというのが、もう、今はこういった発信しかありません。

出来上がってしまえば、何ら他のバッグに紛れてしまいますので、この細かい部分が分かることは無いのです。

今後の製作の発展や努力があるとすれば、一目見てもキラリと光るようなお仕立てを写真で見ただけでも「何か違うな。。」と感じてもらえるようにすることです(^-^)。

バッグ製作の小さな型紙の7.5cmx5cm、2種類の全く別のバッグのパーツになる「折り方」の違い【751】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

リュックを製作中でございます。

複数のパーツから成り立つリュックなのですが、面白いことに、全く同じ縦7.5cmx横5cmの型紙が別々のパーツとして2種存在しているのです。

元は同じなのに、その違いを生むのは「折り方」です。

最終的に出来上がる姿は幅も縦の長さも違う別物。

このたびは、出来上がりの形状が違うことでの強度の違いや目的の違いなどをお話致します。

単純な長方形の型紙でも随分奥行きある製作ができるヒントとして見ていただければと思います。

作りが違う別物になった2種のタブは元が同じ型紙である、折り方で違うデザインになると同時に違う機能を目的としている

それぞれの出来上がりパーツの横に置いてあるのが型紙。2種が縦7.5cmx横5cmの全く同じ型紙。

1つは、入り口の留め具のDカン、ナスカンにそれぞれ1枚ずつ使う縦7.5cmx横5cmの型紙です。

三つ折りで真ん中に2列ステッチが走ります。

もう1つは、リボン紐の先カンとして使用するタブのようなもの。

こちらは、二つ折りを均等にしていった結果紐先をくるみ込む役割のパーツに出来上がります。

指にひっかかることで使いやすかったり、デザインも兼ねています。

こちらは、ステッチはボックス型の二度縫いです。

元の型紙は、こちらも縦7.5cmx横5cmなのです。

全く同じ型紙ですが、用途によって2種の別の型紙に分けております。

Dカンやナスカンタブに使う方は真ん中まで三つ折り(二度折ります)なので、ややしっかりしています。

それに比べてひも先のタブは、ひも先に縫い付けるミシンステッチのかけやすさも必要であり、ゆったりと平たい二つ折り(一度だけ折ります)の繰り返しで出来上がるもの。

バッグ自体の重みをすべて背負うほどの圧力がかかる方のDカンやナスカンタブには生地が多く重なる方の強度が強い方のタブということ。

反対に、ひも先の凸凹に対応できる柔軟さのための平たさは圧力はかからないけれども着実に美しく縫い付ける飾りも兼ね、ステッチのかけやすさを重視することになるのです。

こうして、目的に応じて同じパーツでも折り方が違うことで、「美しさと機能の両方の充実」を目指しているのです。

あとがき

ニュースでたまたま拝見した「売れたバッグ」というのがありました。

その取っ手はなんと、この度で言うDカンやナスカンのタブと同じ作り方でした。

picturesque(ピクチャレスク)では、取っ手は四つ折り観音開きで4重にしますので違う折り方です。

ただ、その製造者様の考え方を想像しますと、四つ折り観音開きはアシンメトリーであり、片方が「わ」で片方が「ハギ合わせ」というがたつきがあります。

そのちぐはぐが無い均等な折り方である両端から真ん中へ向かう三つ折りのやり方を選択され、ショルダーの出来上がりの左右の幅のバランスを重視されたのだと思います。

細かい所を見ると、そっくりでも実は製造者の重視する点によって作り方が随分違うものなのです。

柄の可愛さや表面の様子で隠れている場所ですが、じっくりと研究している方だと見る場所なのではないかと思います。