ただ挟み込むだけじゃない、マチ同士の合体も重要なハンドメイドバッグの安定した底板の設置の仕方【139】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

2018年の前半の頃、「生地くるみ底板作成:¥1,700」というものをさせていただきました。

そのサービスを利用していただいた方にはやはり抱えているブランドバッグへのひっかかりがあったのですね。

どうもその節はありがとうございました(^-^)。

底の部分が物をたくさん入れると下へ膨らんで沈んでしまうのです。

見栄えの悪さと、安定していない底部分への不安もあります。

そのような心配をいちいちしなくてもよい状態にあらかじめなっているバッグがやはり一番です。

なんと高級なハイブランドバッグでこのことが何度も起こっていたのです。

なんたること!、底が安定してもいないのに高級ブランドバッグの地位にあるそのことを大変疑問に思ったものです。

いかに過去の商品達が、機能をしっかり考えられていなかったものが多かったかということの例にもなるかもしれません。

そして、長い歴史でブランドの力がパワーアップし、手間を省かれた過程のあると見られる商品でも受け入れてもらえた時代があったのかもしれません。

しかし、今後は違うと思います。そんなことは、購入者は見破ります。

やはり、本当のこと/真実があらわになる時代になると思っています。

ごまかし、隠したり、手を抜いたり、こういうことがいずれ暴かれるということです。

お客様のお手持ちのバッグに底板をお洒落な生地入りでお作りするサービスのアイデアを思い付いたきっかけのある出来事

2015年あたりの事だったかと思います。

あるナイロンバッグの元祖とも呼ぶべきハイブランド様のキルティングが入ったビンテージのチェーンバッグを持っていました。

色の変色もなく、茶色の色がカーキがかっているのではなくライトな感じの黄土色寄りなところがとても魅力な、A3程の物がらくらく入るくらいのビッグサイズのバッグで、そんな点も個性的なお品。

これをお洋服とのコーデの色が合わなくなってきたこともあって手放そうとヤフオク様で販売させていただきました。もう私としては不要でした。

ありがたく落札してくださった人がいて、商品を発送したところ、1通のメッセージが。。

「とても残念なことに、底がくの字に曲がってしまい、物を入れても底がどよーんと沈んで不格好な形になってしまいます。」とのこと。

慌てました。私が使っていた時にはそのようなことが起こらなかったので気づかなかったのです。

私が持っている時では気づかなかったことでした。

もしかすると、発送時に2つに折りたたんだ時に、もともと厚紙が入れてあった底部分がその梱包で曲がったとも考えられます。

どのみち、もともと入れてあったのは、厚紙相当のものだったと思います。

すぐに私は、お金を返金しました。ただ、それだけでは、どうしても気がおさまらなかったのです。

お金だけの問題ではない、とてもがっかりされている気持ちが晴れるにはどうしたらいいのか、何とかできないかを考えました。

そして、お客様にメッセージ。

「まだ、私の方は返金だけでは気がおさまりません。1つ提案ですけれど、私に底板を作らせていただけませんか。ハンドメイドをしているので、作れます。バッグの底部分の縦横サイズをお手数ですが、教えてください」と。

そして、そのサイズをもとに、今現在も使っているベルポーレン2mm厚の底板をたまたま持っていた黒い色の生地に包んで縫って、送りました。

その後のお返事は、ぴったりで喜んでバッグを使うことができるようになったとのこと。

ここでやっと本当に良かったと思えました。これが本当のお取引のゴールであったと。

お客様は、そのブランドバッグを気持ちよく使うことを夢見て落札したのですから、ここでやっと目的が果たせたのです。

お金を返金したから100%満足するわけでは決してありません。

本当の目的は別のところにあったのです。その本当の目的を達成できる手助けをすることが、お金以上のさらに踏み込んだ提供する側がやるべき使命です。

とても学ぶことがあったこの出来事でした。

この経験が、3年後に底板を作ってお送りするというサービスをしてみるヒントになった出来事であったことは間違いないです。

底板をお作りするサービスというのはとても行いやすいのです。

設置が自由なリムーバルなので、バッグをこちらに発送してもらわずともサイズのご連絡だけで作れるので、無駄な経費とか、時間もかかりません。

また再開しようかなあとも思うのですが、布のこだわりがそれぞれの人があるので、その点が難しいです。

ならばと、セミオーダーで、この中から選んでもらうというのを考えがち。

ところがこの試みは、その2018年の時にあまりにお客さんの思う生地との隔たりがあり、結局ニーズがあまり得られずに続きませんでした。

また、何か良い形で再開できるといいです。何か新たなアイデアを考えたいと思っています。

バッグの中のパーツでは底板が一番こういうちょっとした付加価値の追加がしやすいようです。

ショルダーとか、入り口のファスナー付けなどは、もし可能であれば、これも非常に効果は出ますが、金具をそもそも本体に付けていないと引っ掛けるところさえないですから、すべてのバッグには展開が厳しく、バッグの形が限定されてしまいます。

しかし、底板は、そういう点でフリー。すべてのどんなバッグにも対応できます。

底板を中に挟み込んで設置するタイミングはいつ?

さて、今回のポイントである、自作ハンドメイドバッグの場合の底板を設置するタイミングを見ていきます。

前述のオーダーメイドのリムーバル底板というのは後付けです。

そうではなくて、本来そんなことを後からしなくてもいいように前もって、バッグにきちんと底板が設置されているのがベスト。

そのベストの状態を今回ご紹介しています。

どのようなバッグも挟み込むタイミングというのは、表地と裏地を重ね合わせて縫い合わせる直前です。

つまり、合体する一歩手前のタイミングで底板を挟み込んで、その後ひっくり返すということです。

あくまで、この挟み込みのやり方が可能なのは、表地袋と裏地袋の合体という典型的な袋物のバッグの作り方の場合に当てはまるやり方になります。

写真ではこのタイミングで底板を挟み込みます。
挟み込むという言い方をすることの意味は、両端が縫い留めてあるから。
両端の細かい位置というのは特に決まっていませんが、ベースとしては、
マチ巾の真ん中あたりの縫い代のフリーの部分1.5cm内に表に出ないように
隠れたステッチを2往復ほど入れて固定するのです。
この作業の効果としては、底板がぐらぐら動くのを固定してくれるという点です。

そうすると、おのずと、底板のサイズは、底の面積よりも小さくするべきです。

ぴったりや大きいサイズでは、収まりきらずバッグが変形してしまい不格好。

私は「2まわり小さく」ということを心がけています。

1まわりだとまだ足りません。まだまだ底板にとってはスペースが狭いのです。

具体的な数値では、10cmのマチに対して、底板の型紙の幅は7.5cm両サイド1cm強の余裕を入れます。

底板用にも型紙を。角は半径2.5cmの円の一部を利用。コンパスで左右対称にきちんと作ります。
見えない部分のこうした綺麗な作りの積み重ねが、値段を付けるときなどの自信になります。

こんな風にして、底板を入れた底部分というのは、入れていない底に比べて、立派なものになります。

今回は、<ハンドメイドバッグ教室>にて底板を挟み込むタイミングということでYOUTUBEにアップしました。

どうぞ、ご視聴してみてくださいませ。

あとがき

底板の必要性を感じる時というのは、物をたくさん入れる時だと思います。

最初の見かけというのは、ショッピングの際に中に物を入れる写真などはほとんど撮られません。

実店舗でもネットでもこれは同じです。

なので、バッグの底の様子など見逃されがちです。

しかしながら、縁の下の力持ちとでもいうような重要な部分であるのが本当のところなのです。

これを最初にしっかり取り付けてあげる「陰ながらの真心」というのは、長い目で見ると信頼につながると私は考えています。

見かけだけのかっこよさで買い物の後、年月が経過した後、がっかりすることは長い目でみるともう二度と購入しないお店になる、つまり信頼を失うことになるのです。

そう思うと、ひと手間の隠れた工夫などは、必ず最終的に強味であり価値になると信じています。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

なぜそんなにハリコシのある取っ手に出来上がったの?の答えがここに。。内部構造すべてが分かります【135】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを作り始めて10年以上が経過しています。

その中でいろいろなパーツの作りを改善してきたり、デザインを変更したりしていく中で、これが最強と思える状態に常にしていたいと思っています。

もし、これは改良した方が良いなあと思うと、早めに改良していくのがよいかと。

一方、当初からそれほど変更していない早い段階で腑に落ちて、ずっとこのやり方で来たのだというパーツもあり。

今回はどちらかというと、そのような長後者の方に当たるかもしれません。

そのパーツというのが取っ手です。

取っ手は結構大切で、バッグを支えると共に手でよく触る部分です。

丈夫で長持ちを望む部分となります。

ということで、今回は、丈夫でありながら、しかも持ち心地が良いという手の感触を工夫した取っ手の中側の構造をご紹介したいと思います。

取っ手には芯地を2種入れる、接着芯ともう1つの芯地「ソフト厚芯」こそがその感触を作る

通常、取っ手というパーツにも芯地を貼りますがまず1つは接着芯です。

接着芯は生地自体の風合いを生地に馴染みながら自然に出す効果を感じ、基本的にはすべてのパーツに貼っています。

逆に貼らないパーツが珍しく、ぱっと思い浮かぶのが、フリルかな。

フリルは裏返して見てみると、それも表面のようにぴらぴらなので、芯地は貼らないという考え方もありますが、どのみち裏側なのだから貼っても良いかもしれません。

ちょっとした小さなタブ、巾着ひもなどにも必ず貼ります。

逆にそういった小さなサイズのパーツこそ縁の下の力持ちですから、補強には必要なのです。

接着芯を貼るのと貼らないのとでは丈夫さが大きく変わります。

さて、今回の取っ手ですが、接着芯の他に、入れ込む芯地というのがもう1種ありまして、「ソフト厚芯」と呼んでいるフェルトみたいなふんわり芯です。

上のグレー色がソフト厚芯。不織布でフェルトっぽい感じのもの。
接着剤は付いていないのが逆に使い勝手がこの取っ手に向いています。
下の表地は、インディゴデニム、綿/100%、日本製という生地。接着芯はすでに貼ってあります。
よって取っ手は、2種芯地が付くということになります。
取っ手の作り方を簡単にご説明します。
①まず表地とソフト厚芯を別々にアイロンで真ん中に縦に折ります。
②そこに向かって両サイドからアイロンで折ります。
③①と②を合体してこのように折り線を合わせながらくるみこみます。
④クリップや洗濯ばさみで固定し、外しながらステッチ。

表地とソフト厚芯を別々にアイロンで線を付けるところはぴったりと重なり、美しいラインになる大鉄則。

特にステッチの方法などは、後で貼りますYOUTUE動画の中でそのじっくりお伝えしますね。

取っ手の完成:こんな風にグワングワンにハリコシが出ました。
ステッチが少し見にくいのが申し訳ないですね<m(__)m>。
こちらは、インテリア収納用のたためるタイプのバッグを作った時の接着芯のみ貼った取っ手です。
接着芯だけでもそこそこハリコシは出ますが、今回のソフト厚芯入りに比べると柔らかいですね。
たためるタイプのサブバッグ的なタイプの場合はこれでも通用します。
こちらはステッチがはっきり写っていますので、ステッチ巾などのご参考にこの写真がなればと思います。

ステッチを4本均等な巾に縫うことは訓練も多少必要です。

目の錯覚などで片方に寄りがちなのが常です。

印は付けていきませんので目で見た感覚によって位置を決めてステッチしています。

何かしらコツをつかみ、「職人の勘と技」みたいな感覚を得ていくのです。

ソフト厚芯を入れたことの意外な効果、心で感じる「持ち心地の良さ」であること

こうして感覚が揃った4本のステッチは間違いなくバッグのアクセントになっていき、バッグが美しくなるための重要ポイント箇所になることでしょう。

このように少々念入りに取っ手を作っていくのです。

ソフト厚芯の効果は、ソフト厚芯その物だけでは実は無いということがだんだん見えてきましたね。

ソフト厚芯+ステッチにより、ぷっくりとその空間がふくらみ、ふんわりとした持ち心地になることが最終的な行き着く効果であるということです。

ソフト厚芯をただただ入れ込むだけでは、役割は不十分。

さらに真ん中に2本のステッチを入れることが、このソフト厚芯とステッチの強力なタッグが効果を発揮するということになります。

あとがき

今回のような内部構造に関しては、完成したバッグでは到底分からないことでした。

バッグがボロボロになり、捨てる際に取っ手を切り裂いて研究する人がどれだけいるでしょうか。

そう考えると製作者である者ができることとして、自分が見ているものをそのままバッグのユーザー様にお伝えすることではないかと思います。

「隠す文化」から「見せる文化」へ時代が変わったと思います。

この意味は、つまり「ごまかしが利かない」ということです。

何なら、良い意味でのごまかしさえご披露してそのどうしてもそうするしかなかった理由をご説明するくらいの分かりやすい理解を得られるお品もある意味素敵なのです。

最後までミステリアスにその秘密を隠し続けられたことに何か意味があるのでしょうか。

それよりも理由がクリアなお品の方がなるべくしてそう形作られたのだと共有されるという考え方です。

その考え方は、もしかすると、作り手のスタイルの投影なのかもしれません。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

バッグ作りで培う、表地がドレスなのかカジュアルなのかにテイストを合わせる粋(いき)な裏地選び【131】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、布製ハンドメイドバッグを作るにあたって、材料手配の場面のお話です。

出来上がりに大きく影響すると思われる、裏地のチョイスについてです。

以前、生地屋さんで列を作って並んでいた時の事。

たまにあることのですが、私が持っている生地が反(たん)の最終であり、これっきりという生地でした。

生地在庫の最終を購入ということで、商品のラスト1点と同じような感じです。

その時に、後ろに並んでいらっしゃった女性に声をかけられました。

「それは何に使うの?」と。「バッグの裏地」と答えたところ、「裏地にはもったいない、裏地なんてもっと安物の生地でよい」とのこと。

おそらく、その生地がほしかったのに最後なくなってしまったので名残惜しかったという心理もあったかもしれません。

あとあと、その女性の言葉は大変いろいろな意味で考え深いものがありました。

裏地に対して、裏側に潜むアイテムだから、どうせ目立たないのだから良質な華やかな生地を選んでも意味がないという価値観のように感じられました。

私の場合価値観が真逆でした。

裏地こそ隠れている部分にひっそりおしゃれをすることで、高付加価値を出したいという気持ちを持っています。

そんなエピソードが、ますます表地以外のパーツにも注視するようになったきっかけになったのです。

けれど、その女性の意見もその後取り入れた部分もあります。その生地は結果、表地に使ったのでした(^_^;)。

表地と裏地が同じで、後々ショルダーバッグにもできるカンの付いたポーチを作り、見事ヤフオクでご購入いただきました。

何かしら、人の意見というものはたとえ価値観の違う人でも良い部分があります。

他の人も良いと思った生地は、また、さらなる他の人も良いと思う可能性の高さを感じました。

大変興味深いエピソードでした。

カジュアルとエレガントの違いの感じ方

さて、今回の裏地のチョイスにあたって、まず、表地を見比べてみます。

カジュアル感ある生地とエレガントな生地です。

しっかり理解していただくために、あえて、いかにも誰が見てもくだけているカジュアル感のある生地では意味がないので、少し難しいレベルでチョイスしてみました。

同じステージで見比べるため左右ともツイード生地です。
左:リントンツイード、混率不明、イギリス製。
右:ファンシーツイード、ポリエステル/100%、ドイツ製。

左の色は濃グレー。ツイードではトップクラスのメーカー、「リントン」社様のファンシーツイードなので、リントンツイードという呼び方をしています。

右も同じファンシーツイードですが、こちらはドイツ製。

申し訳ないことに、左のリントンの方の混率が分かっていません。

混率が不明なのは少し残念なのですが、リントンの生地をいろいろ見させていただいて、主に、綿や毛の天然素材が多いのではないかということを予想しました。

その他は、レーヨンやナイロンなどが少しずつミックスされています。

ということで、私の独自判断ですが、この濃グレーは毛がおそらく50%以上入った秋冬的な混率のリントンツイードだとみています。

右側の白地は、ドイツ製で、こちらはリントンのように有名ではないですが、メーカー様のタグが生地屋さんの反には付いていました。

ひかえてこなかったので、メーカー名は分からないですが、こちらもリントンツイードと良い勝負をしています。

私が思うに、かなりレベルは高いツイードだと思います、高価でしたし。。

そして、カラフルにいろいろな色の糸を織り交ぜています。

さて、この2点を比べて、どちらがカジュアル、どちらがエレガントか、というのは言うまでもなく分かりますね。

左のリントンはカジュアルテイスト。右のドイツ製はエレガントテイスト。

まずは、これを感じ取るというところが裏地チョイスへの第一歩と考えます。

特にカジュアル、エレガントの違いで見なければならないとは思いませんが、結局洋服にしても、素材にしても一番比較しやすいのが、カジュアルなのか、エレガントなのかということだと思っています。

もう少し、リントンがカジュアルであると感じるその理由、右の白地がエレガントであると感じるその理由を言葉で表してみましょうか。

リントンのグレーは、何かざっくりした感じがあります。糸の混率が上述のように、毛とか綿が大部分で、天然素材を多く使うというところが、カジュアル感ある素材の糸なのだと思います。

天然素材で作られたお洋服の綿/100%Tシャツなどがカジュアルであることが分かりやすい例です。

チェックのネルシャツなども同様です。

そうすると、洋服でいう天然素材が大部分でできている物体はカジュアルに出来上がるものです。

ツヤのあるようなレーヨン、ナイロン、ポリエステルは使われているとしても少量でしょう。

そんな感じでこのリントンもカジュアルな素材なんだなあというとらえ方を私はしました。

毛の割合が多いと思われるリントンツイード。
ぱさっとしていてざっくりと織り込まれたようなカジュアルな雰囲気になっています。
このカジュアルな雰囲気のもとは、素材である糸の混率にあると私は考えます。

一方、白地のファンシーツイードを見てみます。

ドイツ製のファンシーツイード生地は、ポリエステル/100%という混率。
白地の白部分もつるりとしていて、宝石みたいなカラーの部分にもツヤがあります。
この糸の集まりが全体の生地の雰囲気ををエレガントに見せているのだと思います。

ということで、同じファンシーツイードなのに、左右でここまで対極的な違いの素材なんだということです。

ただ、ここで加えておきたいのが、この2点を比べるとリントンツイードはカジュアルでしたが、比べる相手が違うとまた違ってきますので、この2点を比べたというのが、私の取り扱い生地の中でのお話ということです。

それは、どういうことかというと、別のエレガントな生地と今回のこの白地の方のファンシーツイードを比べたときに、こちらがカジュアルに映ることも比べる相手によってはあるということ。

そもそもツイード自体が大きくは、カジュアルテイストなんだと思います。

あのエレガントなシャネルブランドの洋服にも初代デザイナーの「ココ・シャネル」様の時代からリントンツイードを取り入れていたとのことです。

シャネルブランドだからエレガントに見えているというまたこの魔法のようなしかけがあるのかもしれません。

カジュアルという言葉以外の表現として、メンズっぽいということ当てはまるかもしれません。

シャネルは、男性の洋服のアイテムや軍服アイテムから女性用に初めて取り入れた素材が多くあるようです。

ツイードというものも、もともと男性のジャケットという男物の代名詞的な存在であったアイテムを女性用に取り込んだという点が斬新であるという点で評価されてきたと言われています。

ツイードそのものがもともと男性特有の洋服の素材だったのですね。

ですから、今回ご紹介の2点の表地は、作るバッグの形がおのずと相性の良いデザイン、向くデザインというのも絞り込めるような分かりやすい違いであるとも言えます。

リントンツイードは四角っぽいバッグ、ドイツ製の方はカーブのあるデザインもきっと似合うでしょう。

裏地選びの秘訣

さて、いよいよ裏地をチョイスしていきます。

先程上述で感じたテイストの違いを大切にしながら、マッチした裏地を選んでいきます。

このマッチという部分も価値観の違いがあるので、あえて、違うテイストの。。と思う場合は当てはまらないですが、私の方針では、マッチする同じテイストでそろえてすっきりとシンプルに見せたいという思いがあるので前者で行きます。

まずは、リントンツイードの濃グレーの方から。

リントンツイード用の裏地:エステルポプリン、ポリエステル/100%、、日本製。

リントンツイードのツヤのなさにマッチするべく、ツヤのない裏地をあえて選びます。

裏地というものは、どれもツヤがあるものが多いです。そのような固定概念を超えて、表地用の中からもどんどん探していくのです。

そして、見つかったのが、この「ポプリン」という織り目の生地。

全くツヤが無いとは言いませんが、他になかなか見つからず、しかも色の展開が豊富にある素材がこのポプリンでした。

表地が濃グレーで暗めなので、中側を開けた感じにするべくパステルカラーを選択。

ブルーとピンクのコンビでツートンカラーに遊び心を混ぜた裏地にするイメージで2カラーのチョイスです。

なぜ、ピンクとブルーなの?という疑問を持たれたでしょう。

それは、表地の濃グレーをよく見ると、間にわずかに、このパステル系のブルーやピンクの糸が見られます。

それをおおげさにとらえて、拡大したかのように分かりやすく裏地の色に選んでみたわけです。

では、次に、右側のドイツ製のファンシーツイードの裏地行ってみます。

ドイツ製のファンシーツイード用の裏地(パープル)
:ラメツインクルサテン、ポリエステル/60%、ナイロン/40%、日本製。

リントン生地とは反対で、ツヤが大いにある素材ですので、裏地もツヤのあるエレガントな感じの裏地にします。

そして、やや厚手のツイードにナイロン/40%も入った作りあがったときに厚みがある素材をチョイス。

この裏地は過去に何度も扱ってきました。

色は10種ほどの展開があり、たいてい、どんな色味の生地にも10種から当てはめることができます。

この生地、とても優れているのが、厚手であること。ナイロンというのはごわっとして厚みを出す出来栄えになるようで、重ねて縫ったりするとボンと膨らみが増します。

なのでか細いものより、厚みの増すこのラメツインクルサテンはツイードに使ったらよく合うと考えています。

もともとは、衣装、ドレスなどに仕立て上げてふんわり厚みも出した立体感あるスカートなどを作る目的の生地のようです。

あとがき

ということで、今回、裏地選びの秘訣を、同じファンシーツイードでお伝えしました。

あくまで私の価値観でのお話ですので、共感してくだされば似た考え方なのでしょうし、違うとらえ方ももちろんあると思います。

ただ、私の目指すべきゴールが「粋:いき」にあります。

垢抜けたすっきり感などを重視することになりますので、表地に合う裏地ということで「なじむ」とか「歩調が合う」ということを重視します。

違和感あることが面白い、という考え方もあるでしょうね。でもそれは何かすっきりしなくてモヤモヤしてしまうので分かりやすい感じ方ができる組み合わせ方であるということです。

時にバッグを丸ごと支える役割を担うショルダータブ、丈夫さを実現するために伴う縫い付けやすさの追求【126】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

こんな苦いエピソードがあります。

ショルダー付きのドーム型バッグ(ハイブランド)のショルダータブが本革1枚仕立てでした。

おそらく、今思えば、縫い込み易いように革を漉いて薄くしてある作りだと思われます。

中身を入れて持ち歩く経年の末、レザーが裂けてある日ポンと外れました。

こうして「Xデー」は突然やってきたのでした。

同じブランドの店舗で何とかお直してもらえましたが、おそらく取り付け方は同じ手法でしょう。

ブランドバッグは、見た目の綺麗さも重視でしょうから、スマートな形に見えるように弱くなっている部分もあると見ました。

そして、気休め程度のショルダー機能をメインに使用していた使い方の限界もあったと振り返ります。

その後、自らもバッグを製作するポジションに立った今できること、それは過去の苦い体験を良き方向へ活かすことです。

このたびは、永続的なバッグ全体を支える「ショルダータブ」の作り方です。

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.05.14からおよそ5年後の2025.05.08にブログ記事の「手直し」の順番でタイトルから見直し綴り直しをしています。

2025年では、2020年に動画におさめた作りよりも更に発展、当ブログ記事の最後に改良後の最強のショルダータブの姿をご覧いただけます。

こんな小さなパーツがバッグ全体を支えている、本体と共に歩み何十年も永続的な姿を実現するためのショルダータブ

丈夫に作るためには、作りやすいノウハウも重要。

厚みある生地の場合、間に挟み込む柔らかさも必要であることが、冒頭のブランドバッグの「革をなぜ薄く漉いたのか」の理由を解くカギとなるでしょう。

わざわざ一手間入れたその意味が必ずあるはずなのです。

型紙と裁断:ミニバッグ用で考えていた2020年では5cm四方の型紙で十分でした。生地には接着芯を貼ります。
三つ折り観音開き折り:縦に二つ折り後、両サイドから三つ折りして内部に寄せていきます。縫うのは内部です。
ショルダータブの縫い始め:三つ折りの内部の左右ともステッチします。2020年は、1本ずつ区切っていました。
ショルダータブの左右のステッチがけ:その後の見直しで、内枠をボックス状に一繋ぎに縫っていく方法へ改良。
内部ステッチ完了:その後のボックス状式で横線も入ることになりまして、玉止めが1か所にまとまる姿へ。
Dカンに通して根元をステッチで固定:この作業も大切で、バッグ本体への挟み込みの際に安定的に作業が可能。
根元の二重ステッチの完成:二重ステッチの方がかえって玉止めがスムーズ、更にしっかり固定されます。
ショルダータブの完成:Dカン内径は15mm。出来上がり幅に合わせて適切に選択。ここから2025年へワープ↓。
2025年の完成型ショルダータブ:Dカンに使用する時と同じ作りで巾着ホールに引用。ステッチが外枠にも出現。

この4本ステッチが走る2025年バージョンの方もステッチは一繋ぎで最後同じ場所に戻るので、作り方としては非常にスムーズです。

巾着ホールに使用するというアイデアが生まれたと同時に、頻繁に動きがあることで丈夫さをより考慮するように。

グラグラと動く「わ」の部分をステッチで固定して最も固定された究極な状態を実現したというわけです。

通常、「わ」にステッチなどしないという考え方から、多くの市販品では省略されている過程であると思います。

この4本ステッチの姿は、ショルダー・取っ手・支柱ベルトに引用の4本ステッチに重なるところがありますが、折り方は違います。

このたびの「シンメトリー」な三つ折り観音開きの折り方は、硬い生地でも融通性を持って作ることができる平らな折り方なのです。

あとがき

もっと大きな見方をしますと、「ジーンズ」の例があります。

ポケットのスレキは、メイン生地のデニムよりもはるかに弱々しく、ジーンズをこの先何十年もはいていきたいのに、ある時点でポケットが終焉を迎えてしまうのです。

その他バッグの例では、ナイロン生地に対して本革レザーの取っ手を付けた高級感を感じる組み合わせ。

しかし実際は、ナイロン部分の角などの破れがあるにもかかわらず取っ手がもったいなく変わらぬ姿で健在というもどかしさです。

このように、自らのがっかり体験を、ユーザー様目線として活かしたいと思ったのでした(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

接着芯必須の観音開き折り後の外枠ボックスステッチで完成、しなやかさを持ち備えた丈夫な巾着共布ひも【125】

アイキャッチ画像125

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作のあるパートごとのポイントをじっくり解説するスタイルとしまして、<HMB教室:ハンドメイドバッグ教室>というカテゴリーを設けています。

他の作業も同時に進めたい・時間を有効に使いたいことからリアル教室というスタイルをとっておりません。

当教室は、ハンドメイドバッグ活動の「共有型のハンドメイドバッグ」というコンセプトに相応しいものでありたいと思っております。

教室とは言え私は先生的存在では決してありませんでして、ノウハウの共有の場を作った者であるに過ぎません。

さて、このたびは、「巾着バッグ」などに利用が見込めます、「共布巾着ひも」の製作。

巾着ひもを含む「支柱」「Dカンタブ」「取っ手」などはすべて「ベルトパーツ」と考えております。

丈夫には作りたいものの、巾着ひもには「しなやかさ」も重要、その他のベルトパーツとは少し違った質感で出来上がります。

その違いとしまして、外枠ボックスのみで終わるということをあえてしておりまして、「支柱」「Dカンタブ」「取っ手」などはすべて内部にもステッチが走る4本ステッチ構造という違い。

それらはまた別の機会にお伝えしていきますので、このたびは、その手前のステップとしても良い順番である外枠ステッチのみのタイプであるひもをご紹介します。

「しなやかさ」が弱さや薄さを解決した「丈夫さ」を伴うものでありたい、巾着バッグに使える幅8mm強の共布ひも

あらかじめ接着芯を貼った幅35mmの生地をご用意。

共布ひもの観音開き折り(左上から右下へ):縦に真ん中で折り、そこへ向かって両サイドから折り込み。

よくお伝えしているのですが、ダメ押しアイロンを再び真ん中で最後に折るというひと手間がかなり出来上りのラインに好影響。

ボックス枠のステッチ:アシンメトリーな両サイドの「重なり」の方からのスタート。「わ」の方は後半です。
完成後のアイロン:端の玉止めは溝の中に隠してあります。最後にアイロンで全体を整えます。
共布巾着ひもの完成:型紙の幅が3.5cmでは出来上がりは8mm強です。巾着バッグのハトメホールなどに有効。
完成の共布ひものズーム:内側にステッチを入れていないことがしなやかさも保つようでした。
出来上がった共布巾着ひもの質感の検証:試しに結んでみました。ハリコシも確かにリボンの形で感じられます。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.05.13からおよそ5年後の2025.05.07にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

2025年現在では、片面ハトメを設置する製作スタイルを廃止、蝶々結びで入り口を閉じるモデルも廃止しました。

よって、このボックス枠のみの共布ひもは現在では引用しておりません。

「中間的なバランス」という曖昧さは、当ハンドメイドバッグ製作にはあまり合わなくなっていきまして、そらだけはっきりとしたスタイルへ変わっていった証拠です。

とはいえ、巷のバッグの完成品をどうぞじっくり見てくださいませ、多くは、「わ」の方のステッチが省略されたコの字で完結しているのです。

その点では、惜しみなく手間をかけたスタイルとしては記録に残しておこうと思います。

ハンドメイドバッグ教室の主催者も日々変化しているので、その後の変遷があります。

後の製作の中の「見直し」につきましても、こうしてブログ記事の「手直し」で追記し、長期間にわたる目線で見た奥行きある内容としてまいりたいと思います(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

バッグのDカンタブを美しくすっきりと仕上げるために。。縫い始めと縫い終わりを裏面へ玉止めで隠す始末【124】

アイキャッチ画像124

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

<HMB教室>カテゴリーであるこのお部屋では、ハンドメイドバッグのノウハウを各パーツにスポットを当ててじっくり型で解説。

<製作>のカテゴリーの投稿ではどうしてもYouTube動画も4倍速にせざるを得ない編集作業事情がありまして、「ハンドメイドバッグ教室」というネット上の教室を2020年から設けています。

バッグ全体の作り方ノウハウに関しては、到底YouTube動画のみでは難しい過去の体験から、「有料コンテンツ」として価値をしっかりと入れ込んだ「ダウンロード型コンテンツ」も制作中なのです。

ある部分のみのパート別のノウハウに関しては、是非当<HMB教室>をご覧いただければと思います。

このたびは、バッグの外への縫い付けのDカンタブなどに引用の、両サイドから三つ折り観音開きで作るベルトパーツの糸の始末をお伝えしたいと思います。

表にむき出しのパーツ取り付けなどに有効、ミシンステッチのぐるり1周後玉止めを裏側に隠し込む糸始末の方法

ぐるり1周ステッチを伴うDカンタブ:挟み込みの場合は縫い代はそのままですので無関係、外付けの場合に該当。
三つ折り観音開き後のステッチ:内側にボックス状に1周ステッチします。この時の糸始末がこのたびのノウハウ。
裏面の玉止め:表に出ている2本の糸を共に裏面へ通しまして、左右2本ずつで玉止め。
玉止めした後の様子:元々内枠のボックスステッチであることから、内側にそこそこ隠れて玉止めができました。

ここでお伝えしておきたいのが、当ブログ記事は、最初の投稿の2020.05.11からおよそ5年後の02025.05.06にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

2025年から見ますと、2020年のこのノウハウは不足していると振り返ります。

現在では、ここから続きがあり、糸を裏面へ通した後に、更にその場所から内部へ少し進みながら溝へ玉止めを完全に隠すという方法をとるようになっています。

教室でお伝えしながらも、その後改良しているのです。

そうすれば、ひょんなことで表に少し見えてしまう玉止めの糸の先端は、2025年バージョンでは完全にしまい込まれ出てくることが無いのです。

あとがき

こうして、教室をやっている当人が学んでいるわけで、間違っても「先生」とは名乗らないということを決断。

ここに、「共有型のハンドメイドバッグ」というコンセプトらしさがあります。

誰も皆決して完璧な人間などではない、教室の主催者さえも。。

「ハンドメイドバッグ道」はその道を歩むすべての者が対等。

技術をある程度身につけた者であっても伝達しアウトプットしながらも、常に学びを伴う未熟者達の集まりの姿なのだと。

「修業の場である」と言われるこの3次元において、最も相応しい姿なのではないかと考えます(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

あくまでピンチの時だけ、ミシンステッチの途中で糸が途切れてしまった際に縫い目を自然に継続する方法【123】

アイキャッチ画像123

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ミシン縫い作業は上糸と下糸のコンビネーション。

下糸はミシンの構造に沿い、「ボビン」という小さな巻きパーツに巻いて設置します。

このボビンがなかなかのミニサイズ、一度に巻くことができる糸のm数がハンドメイドバッグ製作では20m周辺だったのです。

実際にボビンに巻いたm数を採寸する実験をしておりまして、30番のスパン糸では17.5mという結果が出ています。

テトロン糸の場合もう少し余分に巻けますので、25-30m行けることもあります。

糸の種類によっての多少の違いは有れど平均的な巻き数の目安にご利用いただけるデータ「30番:ボビン:20-30m程度」という記録です。

1点のバッグを作るにあたり、必ず途中で下糸の交換が3度ほど起きます。

しかも、その交換時期は突然訪れ、たとえ縫い途中の場所であってもやってくるのです。

さて、その途中の縫い目はどうするのかということを、緊急事態のノウハウとしてこのたびご紹介したいと思います。

題して、「ミシンステッチを自然に繋げる方法」です。

決して頻繁に行うことであってはならないと考えますので、前もってのボビンの準備の方が大切であることはよろしくどうぞ。

ミシンステッチの途中で糸が途切れた場合の継続方法、結べるまでリッパーで遡り返し縫いせずすぐ隣から再スタート

ここ数年は、良いお品を作るという前提のもと、糸の縫い目は表には出ないことを徹底しています。

が、そのようにな意識をしていても、糸が途中で途切れるというハプニングがどうしても起こってしまうことがあります。

<糸が途中で途切れてしまうケースの例>

・下糸がなくなった時

・厚手の生地を縫っていて不意に脱線してしまった時

・間違えて押さえを上げてしまった時、

・糸がどこかしらに絡まり、やむなく途中で切って対処した時

そんな時に、縫い目の続きから再開できて、糸の縫い目が表から見て何の問題もなく自然に繋がる方法があります。

最初からほどいて縫い直すことも、実はリスクを伴うことがあり、薄手の生地や極端にハリコシのある生地はステッチは一発勝負が望ましいのです。

三つ折りステッチの準備:このたびの見本例の為に細長い生地を準備して、三つ折りアイロンをしました。
三つ折りステッチ:スタートは返し縫いで、途中でストップして押さえを上げ、糸を切ります。
糸が途切れた場所の終了の固定:切れた部分の糸を結べる範囲までリッパーで遡り、内側に下糸を持ってきます。
裏側で玉止め:裏側へ持ってきた下糸と上糸を玉止めしていったん完了しておきます。表はステッチが自然に表出。

ここでお伝えしておきたいのですが、当ブログ記事は最初の投稿の2020.05.11からおよそ5年後の2025.05.05にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

実は2020年当時ではここに不足の部分がありまして、2025年版のノウハウとして付け加えさせていただきたいのです↓。

写真の左側の糸の上糸も下糸も三つ折りの内側に来ているこの続きとして、更に三つ折りの内部に糸を通して隠していくという追加ノウハウです。

そうするとここの三つ折りの内側にさえ途切れ目が視界に入ることがありません。

糸が途切れた場所の再開の作業:終了のすぐ隣からステッチを再開。スタートの返し縫い無しで通常通り進行。
途切れた箇所の二度目の結び:先程と同じように裏面に下糸を持ってきます。

ここでも2025年バージョンのノウハウにより、糸を2本共三つ折りの内部へ隠し結んで固定します。

糸の自然な繋がりの完成:どこが途切れた場所かなどもう分かりません。2025年バージョンは裏面もすっきり。

あとがき

さらに究極な状況としまして、糸の長さが不足して結べないという事態があります。

この場合にも、もう片方の糸が長ければ結び方のコツで解決できることがあり、別の投稿【1024】でお伝えしました。

冒頭でもお伝えしましたが、やむを得ない場合に限る対策として心得ていただければと思います。

一番良いのは、一繋ぎで最初から最後までステッチできることなのですから。

長い期間に渡る製作の中では決してすべてが順風満帆とは行かないのが現実。

そのリアルをアウトプットした方が実直なのではないかという考えに基づいて、このたびのような「小技:こわざ」的なこともお伝えしてみました(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト

内部に隠れた構造のポケットの門であり顔でありたい、スタイリッシュで瀟洒な変六角形のポケットフラップ作り【121】

アイキャッチ画像121

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

バッグにおいて、ユーザー様が自らポケットの場所を探る時、1つの目印のようなものとして「フラップ」の存在をそのようにとらえています。

内部に隠れたタイプのセキュリティー性が高く容量がより確保できるポケット、そこには、その入り口を深く覆うフラップが望ましいと考えます。

このたびは、「中表」でひっくり返してカーブラインを出すタイプのフラップとは別の、「外表」のまま縫い代を内側に折り込み2枚を貼り合わせるタイプのポケットをご紹介。

ひっくり返すことで角のシャープなラインを失うことが予想される場合、「外表」は大変有効だと考えます。

たった1パーツの丁寧さの集まりで1つのバッグが成り立っているのだという見方を、このたびの「変六角形」のフラップを通してお伝えできればと思います。

壮大な大地のようなバッグ内部の裏地の中にある1つの門、スタイリッシュで美しい変六角形のポケットフラップ作り

家の鍵などをバッグに入れて持ち歩く際に、内側に設置のポケットは非常に有難い機能。

これは、実体験からなのですが、マジックテープ付のフラップの付いたポケットを開け閉めすることが時にストレスを感じることがありました。

マジックテープもなかなかしっかりしたものなので、片手が難しいのです。

しかも内側なので実際は手探り、まじまじと見ながらポケットを開け閉めすることなど少ない、実際の現場というのはこういうものです。

そうした時に、マジックテープがしっかりくっつきすぎていて、一度で開けられず何か煩わしさを感じたのです。

その後、マジックテープを付けなくても、フラップ自体の護衛機能の働きとメインファスナーがあれば、問題ないと思うようになりました。

とにかく、マジックテープを付ける・付けない両方にも対応できるフラップです。

型紙作りと裁断:縦10cmx横15cmの長方形の底部分を2.5cmの型紙の目盛り同士を結ぶバイヤスにカット。
接着芯貼りと内側への折り込み:接着芯は茶色。縫い代1.5cmですべての辺を内側へアイロンで織り込みます。
「外表」で貼り合わせ:ずれないようなピッタリ感が大切です。縁枠を3mm程度でステッチ、最後は隠し玉止め。
変六角形のフラップポケット完成:<サイズ>縦7cmx横12cm(一番長い辺を計りました)。
アップ写真:先染めロンドンストライプグリーンの変六角形ポケットフラップ。バッグ内の顔のような存在へ。

あとがき

当ブログ記事は、最初の2020.05.02の投稿からおよそ5年後の2025.05.03にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

その後の研究では、この「変六角形ポケットフラップ」は「中表」でも角がちゃんと出るように作ることができると判断。

なぜ鋭利な角がひっくり返してもちゃんと出たのかは、その角度にありました。

90度のような究極では鋭利には出ない角も、もっと大きな値の90度以上に開いたものであれば融通が利くようなのです。

「縫い代が広い角度に渡りゆったりと広がることで落ち着く」という外からは見えない現象が内部では起きているのでした。

これも製作者の成長、今までは目の前に見えることしかノウハウに盛り込めなかった当時の2020年でした。

その後2025年現在では、「実は奥では何が起こっているのか」を考えるようになったのです(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

YouTubeとブログでハンドメイドバッグ教室をオープン、自らも最初に学んだ一重仕立ての「ぶら下がり式ポケット」【116】

アイキャッチ画像116

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.04.03からおよそ5年後の2025.04.28にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

思えば2020.04.03は「コロナ禍」のど真ん中だったと思います。

人々が集まる場が遮断され、自宅生活が主流になった期間。

日々お出かけ好きなアクティブな方は、それはそれは辛かったことだとお察しします。

そのような中で参加予定であった対面販売ができるはずだったハンドメイドマーケットも完全中止(白紙になる)となったのでした。

そのような絶望の中であるアイデアが起こります。

ネット上の教室を開くことで、そのノウハウを伝達する場をあえて設けようと。

もともとYouTubeにしても当ブログにしてもノウハウの伝達の内容ではあったのですが、改めてカテゴリーに<HMB教室:ハンドメイドバッグ教室>を盛り込むことにしたのでした。

通常の400倍速などの早送りでなければとても完成までの過程をすべてお伝えできなかった動画投稿に毎回なってしまうデメリットもYouTubeにはあります。

当教室では、短い時間でじっくり型の部分的な解説をしていこうというスタンスです。

そうすることで、このカテゴリーの意味が生まれ、よりじっくりとその製作スタイルまでもが伝わると思ったのです。

このたびの初回は、ハンドメイドバッグ道を歩み始めた2007年頃に私も学んだ最初のポケットの作り方をお伝えします。

よくサブバッグに付いているあの一重仕立てのポケットです。

接着芯要らずで生地1枚で作ることができる点が踏み込みやすさであり、とはいえ物理的構造はなかなか奥深いポケットなのです。

むしろ貼っては見えてしまうから接着芯不要の、生地1枚のみで作れるスタイリッシュなぶら下がり式/吊り下げ式ポケット

このポケットは上部を挟み込んで縫い付ける時に利用できるタイプのポケットです。

単純明快でシンプルな初期的なバッグ製作においても必ず出てくる三つ折りに使うことができます。

使用生地:生地名不明(おそらくブロードで良いかと思います)、綿/100%、日本製。
縫い糸選び:白では味気ないことと、こういう時にこそ特殊なカラーの糸を馴染むように利用していきます。
用意する生地1枚の寸法:縦25cmx横20cm。適当でも縦長にして右下のようにポケットらしい縦横比率を確保。
上下の三つ折り:アイロンで上下を7.5mmずつ三つ折りします。折る向きは裏側に三つ折りが隠れる向き。
三つ折りステッチ:上下とも三つ折りステッチをします。
ずらしてポケット袋を確保:上から2.5cm程にずらしアイロン。この時ひっくり返した時の柄の向きを意識。

<柄の向きがある時の向きの把握の仕方>

「わ」で一繋ぎの生地で作る訳ですので、折った方の段差の低い方の正面がどうしても出来上りで柄が反対になってしまいます。

よって、折った段差の低い方の内側の柄の向きが正位置であるためには、縦長の状態で柄の向きが天地逆になっているところから始めるのです。

サイドの三つ折りステッチ:段差の大きい背面(ひっくり返しても背面です)の方に向かって三つ折りステッチ。
ひっくり返し後の作業:左上から右下へ、ひっくり返している場面とポケット入り口までのヒラヒラの固定。

この固定は無しで解説されていたと記憶していますのでどうしても必要ではありません。

ぶら下がり式ポケット完成:<サイズ>上から2.5cmが袋の入り口。ポケット袋は縦10cmx横17cm。

あとがき

初回は、「ぶら下がり式ポケット/吊り下げ式ポケット」の作り方でした。

挟み込むということが決まっているのなら上の三つ折りは無しでも良いと思います。

アレンジ方法としては、①ポーチにもなる②持ち合わせのバッグへのポケットの追加③壁かけポケットの使い方などが見込めます(^-^)。

書き手:ピクチャレスク