まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
現在製作を始めようとした裏地の生地に、ベロアやコーデュロイに類似の生地が登場。
このたびは、この生地を裁断するにあたり、バッグの天地の向きを統一せねば、出来上がりに濃淡が出来てしまう、「一方方向裁ち」の解説を致します。
アパレル業界勤務時代に、お洋服作りでも出てきていたことであり、元の量産用の「マーキング:型入れ」も一方方向に配置することで「差し込み」よりも用尺が増えるということを教えていただきました。
バッグ1点作るにも、色の映り方が濃淡なく統一に映るようにと、まずはその見え方を整えておく必要があるのです。
「並毛:なみげ」と「逆毛:さかげ」の色の濃淡の映り方を目視、選択は企画者の裁量によりどちらでも良いが統一はマスト
過去に勤務していました「生地卸売商」の会社で多くの毛並みのある生地を拝見しました。
アンゴラ・ボア・ベロアなど毛が長い生地は、ツンとまっすぐ上に立っていることはほとんどなく、斜めに寝ていることが大半なのです。
実際に2枚を前後合わせた構造の巾着袋を作る時の裏地に選んだ黒無地の生地が、そういった種類のものに当たりました。
「並毛:なみげ」というのは、手で撫でた時にスムーズに滑りの良い方向、毛並みの向きとイコールの向きです。
「逆毛:さかげ」というのは、手で撫でた時に引っかかりがあり、毛並みの向きと逆らった方向です。
これらは、同じ正面から見ると、濃淡があり、様相が随分違うということが写真を見ても一目瞭然。
前面と後ろ面のある巾着袋やトートバッグなどは、この生地の向きを意識して統一する必要があると言えます。
どちらの映り方を基準に統一するかは、企画の段階で自由に決められますので、「お好み」です。
ちなみに、高級感を表現したい「重衣料:コートやジャケット」では、「逆毛」がよく採用されていた記憶です。
この実験のように、濃く整って映ることで、冬物らしさやクラシックさの表現の1つになるのだと考えます。
このたびの巾着袋の裏地に使用のケースでは、中に物を入れる時の手に触れたときの滑りを考えると、天地の向きに従った「並毛」でいくと判断しました。
あとがき
このたびは、わりと毛足が長めの分かりやすい生地でしたが、毛足が短めの生地も光の当たり具合で向きによって濃淡が出ることがあるのです。
いわゆる、スエードのようなタイプの生地が該当します。
いかにもモフモフしたような生地だけではないので、生地を手にした際には、常に方向性のある生地なのかそうではないのかをのチェックを通過してから製作することをお勧めしたいと思います(^-^)。