イタリアブランドの品質表示の表記と特徴【278】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

一時期、フェンディ、アルマーニのいずれもイタリアブランドの素材の良さにはまって、この2ブランドの洋服ばかりを見つけようと古着市場を探索していた時期があります。

やはり、一番に良質ということがあるのですが、素材のユニークさとか、使っている混率がとても洋服の表面に現れるような特徴のあるものです。

今回は、そのような魅力的な混率というのはどんな素材がどれくらい入っているからそのような素敵な表面になるのかということを中に少し突っ込んでみたとても現実的なお話です。

フェンディのキャミとアルマーニのセーターの場合

アイテムの実物写真がもうなくて、大変申し訳ないですが、キャミソールとセーターに付いていた品質表示の記録だけ残っていまして、それを見ていきたいと思います。

フェンディの方がキャミソール。このキャミは、前面が、柄みたいになっていて、凹凸感のある黒色でした。

背面は、無地のつるりとした黒無地です。

どちらかというとインナーに着るよりも表に見せて着るようなわりと厚手なものでした。

下の写真の①になります。

左上の①はFENDI(フェンディ)の黒のニットキャミの品質表示です。フェンディはイタリア製が主流のよう。

まず、このタイトルのようなイタリア語の、「tessutto」というのは、「生地/素材」というような意味になります。

「composizione tessuto」で、「生地の混率」というような言葉で良いかと思います。

このⅠとⅡは、パーツの場所を表しているかと思います。一般的に前面がⅠ、背面がⅡかと思われます。

この「PA」というのは、「ポリアミド」の略。

ポリアミドとは、「ナイロン」とイコールです。イタリアものでは、ナイロンと表現せずに、「polyamide」の頭文字をとって、「PA」。

それなのに面白いのは、背面のⅡはPAでなく、NY(ナイロン=nylon)と表記されていることです。

表記の仕方がバラバラなのはなぜなのでしょうね。

そして、25%の「EA」は、elastane(エラスタン)の略です。

これは、ゴムの素材ということで、ポリウレタン:「pu」とか「スパンデックス:spandex」

にイコールです。

右の②は、アルマーニのサンドベージュのセーターです。

とても素敵なエコロジーなベージュ色なのですが、こちらの混率に「ビスコース」が記載されています。

ビスコースはレーヨンのことと言い切ってしまうのは、ちょっと待った、「レーヨンの仲間」という表現が良いかと思います。

イタリアの表記では、レーヨン:rayonは使われていないようです。決まって、このビスコース:viscoseです。

私がフェンディやアルマーニの古着が好きな理由に、この素材のことが大いにあります。
ナイロンとかビスコースの素材がとても好きなのです。

ナイロンは目が詰まっていてツヤもあり高級感があります。素材的にも長持ち。


ビスコースはとてもしなやかで、こちらも高級感があります。

いいなあと思った時に品質表示を見ると、ナイロンとかビスコース入りだったりします(^-^)。

シルク:SILKも一部分に混ぜてあるものもよく見かけます。

そういう部分からすると、日本製の洋服は、綿とかポリエステルが圧倒的に多いのかなあと思います。

その辺りがイタリア製ならではの混率に見られる魅力かもしれません。

光ったり、ツヤのある素材が特に多いのがお出かけ着などにとてもはまります。

別のイタリア製ブランド、 LUISA VIA ROMA(ルイーザヴィアローマ)のループジャケット

では、違うブランドのイタリア製の物も見てみましょうか。

今度は冬にも着れるウール系のループが素敵なジャケットです。

襟無しでとても粋。さっくりと羽織ることができて、意外に季節が長く着られるようなものです。

ルイーザヴィアローマ:ROUISA VIA ROMAのロングジャケット・・・ループが素敵な襟無しのダブル。
ワンピースの上にサクッと羽織るように前開きのまま来たりするのが雰囲気◎。
背ネームにちょっと汗染みがありますが(^_^;)。
こんな表記のブランドです。結構有名みたいです。
表地の品質表示・・・毛/97%、ナイロン/3%だという表記がされています。

この、97%入っている「ラナ:lana」は、「毛/ウール」の事です。毛の中でも羊毛です。

通常毛というのは、大部分が羊の毛ですので、毛とだけ表記があるものは羊さんの毛だと思ったら間違いありません。

その他、特別な毛として、カシミアやアルパカが存在していて、それは、表記がまた別のイタリア語のようです。

例えば、カシミアであれば、「cachemire」か略語表記の「WS」という表記になりますので、ちゃんと毛の種類の違いは表示されるわけです。

ところで、次にご紹介します混率については、私は、かなり表面の感じに影響する良い混率だと思っています↓。

毛が97%で100%でない、残りの分がナイロンが入っているというこの組み合わせです。

もっと混率が区切りよく、毛/90%、ナイロン/10%というのが、ビンテージのピーコートとか、スタジアムジャンパー(スタジャン)で見ることがあります。

この毛/90%、ナイロン/10%というのは、通称「メルトン」という呼び名があるような風合いの生地で、毛特有のもさもさした感じをナイロンの10%が滑らかに強固にしてくれています。

よって長持ちしたり、いつまでも良い表面でいられたり、高級感があったりなどのすぐれた質のものだと思います。

そういったメルトンに近いような、このナイロンを組み込んだ混率は、むしろ、毛/100%だけでできているよりも、ツヤがあり、表面の感じが毛羽立たないでいられるようです。

その先にあるミラは、「長持ち」ということになります。

いつまでもツヤ有る良い様相を保ってくれるので、過去にメルトンの紺のピーコートを学生時代に何年も着用し続けました。

LUISA VIA ROMAのロングジャケット(黒)の表面の感じ・・・毛羽立っていなくてツヤもあるのは、
このナイロン/3%の混入の成果だとみています。いつまでも傷みが少ないものになります。

ということで、もし、コートとかジャケットを選ばれる際に、一度品質表示を見てみて、ナイロンがわずかでも入っていると長い目で見て良質さが保てるものだと思っていただくとよいかと思います。

毛/100%よりも使用後の傷みが違います。

裏地の品質表示:レーヨン/65%、アセテート/35%ということが表記されています。

ここにも、ビスコースが出てきましたね。イタリア製ではビスコースは表地、裏地問わず取り入れられる活躍の素材であるようです。

アセテートも裏地には時々使われる素材です。

アセテート/100%という素材がさらさらしていてしっとり感もある特徴がある記憶があります。

ハンドメイドバッグに使用したことがあるのです。

洋服の場合裏地にしっとり感やさらっと感を加えてくれるアセテートの存在も確かなものです。

裏地に使われる素材はそれほど多くはないかと思います。

なぜなら、条件があって、着脱がしやすいためには、袖を通したりする部分や、背の部分を滑らせて着用しますので、つるりとしていて、なめらかな表層でないと具合が悪いわけです。

そうすると、主に数種類が裏地に使われている素材として見かけます。

まずは、ポリエステル。これが一般的ですね。そして、高級なコートやジャケットの場合、キュプラもあります。

キュプラは、ツヤもひときわ、そして、サラサラ感も伴っているもので、見た目の高級感も感じられます。

その他は、レーヨンやアセテートです。

レーヨンはややしんなりしているので、レーヨン/100%という裏地も見かけますが、今回のようにアセテートと組み合わせた混合のものになっているのも何かわかる気がします。

今回もYOUTUBE動画がございます。

ところで、動画をご覧いただく前に1つお伝えしたいことがあります。

YOUTUBE動画内で、前述のフェンディのⅠ、Ⅱについての表記が、前面がの柄なので混合の方の表記のⅡにあたるのではないかというお話をさせていただいておりますが、動画をアップした後から考えてみると、いやいや、Ⅰが前面、Ⅱが背面のことでいいのではと思えて来ました。

そのあたりが、ブログ記事とYOUTUBE動画内と内容が違っていますので、すみません<m(__)m>。

私が、前面の柄が入っていることが混率も混合だという判断をうっかりしてしまいましたが、そうではなくて、ナイロン/100%というのは、基布の部分も柄の部分もナイロンだからそういう1本の表記で良かったのかとも思えます。

そして、背面のナイロン/75%、ポリウレタン/25%は、無地なんだけどびよーんと伸びるように作ってある無地ということで、黒無地だけれど混合された混率であるという考え方で良いかと思い直しました。

そうすると、やはり一般的な考え方のⅠが前、Ⅱが背という示し方で合っていると思えてきたのです。

あとがき

今回は、イタリア製のアイテムの品質表示を見てみました。

こうして品質表示をじっくり見てみると面白いですね。

イタリア語は私も未知ですが、数多くイタリア製の洋服を見たことから何かその表記の部分に関しては親しみを感じています。

イタリア語の謎というか、なぜ4種も似た語尾の違いの表記を並べるのかはまだ分かっていないのでその辺りに関しては、興味があるところです。

おそらく、語学の決まりのようなものがあって表記を多数せねばならない事情があるのかと思いますが。。

洋服も見た感じ、着心地などはまず重視する部分ですが、こうして品質表示をじっくり見る中で何か見えてくるものもあるようです。

なぜこの素材を使ったのか、製造業者、デザイナーは何を伝えたかったのか。。。

そんなことが分かった時は、洋服の作り手とユーザーの波動が合った時なのかもしれません。

そして、ユーザーにまでその意味が伝わる洋服というものには、「哲学」が込められた商品ということになるのではないかと。

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