まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
「フェンディ」様、「アルマーニ」様のイタリアブランドの素材の良さにはまり、この2ブランドの洋服ばかりを見つけようと古着市場を探索していた時期があります。
一番に良質さがぱっと見で感じられるということがあるのですが、素材のユニークさとか、使っている混率お洋服の表面に分かりやすく現れるような特徴のあるものです。
今回は、そのような魅力的な混率というのはどんな素材がどれくらい入っているからそのような素敵になるのかということを、もう少し深堀りしてみましたとても現実的なお話です。
キャミとセーターそれぞれの品質表示をじっくりと読み解く
アイテムの実物写真がもうなくて、大変申し訳ないですが、キャミソールとセーターに付いていた品質表示の記録だけ残っていましてそれを見ていきたいと思います。
「フェンディ」ブランドの方がキャミソール。
このキャミは、前面が、柄みたいになっていて、凹凸感のある黒色でした。
背面は無地のつるりとした黒無地です。
どちらかというとインナーに着るよりも表に見せて着るようなわりと厚手なものでした。
下の写真の①になります。
左上の①は「FENDI:フェンディ」の黒のニットキャミの品質表示です。
「フェンディ」様は、イタリア製が主流のようです。
まず、このタイトルのような記載のイタリア語でいう「tessutto」というのは、「生地/素材」というような意味になります。
「composizione tessuto」で、「生地の混率」というような言葉です。
このⅠとⅡは、パーツの場所を表しているかと思います。
一般的に前面がⅠ、背面がⅡかと思われます。
この「PA」というのは「ポリアミド」の略。
ポリアミドは、「ナイロン」とイコールです。
イタリアものでは、ナイロンと表現せずに、「polyamide」の頭文字をとって「PA」と表記されることも多いです。
それなのに面白いのは、背面のⅡはPAでなく、NY(ナイロン=nylon)と表記されているのが不思議です(^_^;)。
表記の仕方がバラバラなのはなぜなのでしょうね。
そして、25%の「EA」は、elastane(エラスタン)の略です。
これは、ゴムの素材ということで、ポリウレタン:「pu」とか「スパンデックス:spandex」にイコールです。
右の②は、「アルマーニ」様のサンドベージュのセーターです。
とても素敵なエコロジーなベージュ色なのですが、こちらの混率に「ビスコース」が記載されています。
ビスコースはレーヨンのことと言い切ってしまうのは、ちょっと待ったであり、「レーヨンの仲間」という表現が良いかと思います。
イタリアの表記では、レーヨン:rayonは使われていないのです。
決まって、このビスコース:viscoseです。
「フェンディ」様や「アルマーニ」様の古着が味わい深い理由に、この素材が大いに関係していると思います。
ナイロンとかビスコースの素材には高級感があってお出かけ着にはもってこいといった感じです。
ナイロンは目が詰まっていてツヤもあり高級感があります。
素材的にも長持ちで傷みにくい頑強な素材だと思います。
ビスコースはとてもしなやかで、こちらも高級感があります。
いいなあと思った時に品質表示を見ると、ナイロンとかビスコース入りであることが多いのです。
シルク:SILKも一部分に混ぜてあるものもよく見かけます。
そういう部分からすると、日本製の洋服は、綿とかポリエステルが圧倒的に多いと思います。
その辺りが文化や志向の違いなのか、イタリア製ならではの混率に見られる魅力かもしれません。
光ったり、ツヤのある素材が特に多いのがお出かけ着などにとてもはまります。
こうして、ツヤによる高級感を出し、お洋服をたたえているかのように思えます。
いつでもお出かけ着を纏い、常によそ行きのような感覚を感じます。
イタリア製ブランド、「 LUISA VIA ROMA:ルイーザヴィアローマ」様のループジャケット
では、違うブランドのイタリア製のお洋服も見てみましょうか。
今度は冬にも着れるウール系のループが素敵なジャケットです。
襟無しでとても粋、抜け感が演出できる衿無しジャケットはお勧めアイテムの1つです。
ループであっても冬物感があまり感じられないので、まだ寒い春先などにはもってこいです。
さっくりと羽織ることができて、意外に季節が長く着られるようなものです。
ワンピースの上にサクッと羽織るように前開きのまま来たりするのが雰囲気◎。
この、97%入っている「ラナ:lana」は、「毛/ウール」の事で、毛の中でも羊毛です。
通常毛というのは、大部分が羊の毛ですので、毛とだけ表記があるものは羊さんの毛だと思ったら間違いありません。
その他、特別な毛として、カシミアやアルパカが存在していて、それは、表記がまた別のイタリア語になります。
例えば、カシミアであれば、「cachemire」か略語表記の「WS」という表記になりますので、ちゃんと毛の種類の違いは表示されるわけです。
ところで、次にご紹介します混率について、かなり表面の感じに影響する良い混率だと思っています。
毛が97%で100%でない、残りの分がナイロンが入っているというこの組み合わせです。
もっと混率が区切りよく、毛/90%、ナイロン/10%というのが、ビンテージのピーコートとか、スタジアムジャンパー(スタジャン)で見ることがあります。
この毛/90%、ナイロン/10%というのは、通称「メルトン」という呼び名があるような風合いの生地で、毛特有のもさもさした感じをナイロンの10%が滑らかに強固にしてくれています。
よって長持ちしたり、いつまでも良い表面でいられたり、高級感があったりなどのすぐれた質のものだと思います。
そういったメルトンに近いような、このナイロンを組み込んだ混率は、むしろ、毛/100%だけでできているよりも、ツヤがあり表面の感じが毛羽立たないでいられるようです。
その先にある未来は「長持ち」ということが見込めます。
いつまでもツヤ有る良い様相を保ってくれるので、過去にメルトンの紺のピーコートを学生時代に何年も着用し続けました。
ということで、もし、コートとかジャケットを選ばれる際に、一度品質表示を見てみて、ナイロンがわずかでも入っていると長い目で見て良質さが保てるものだと思っていただくとよいかと思います。
毛/100%よりも使用後の傷みが断然起こりにくいと言えますので、毛/100%だけにこだわるよりも視野を広げることをお勧めします。
ここにも、ビスコースが出てきましたね。
イタリア製ではビスコースは表地、裏地問わず取り入れられる活躍の素材であるようです。
日本製では、なかなか裏地にレーヨンは使われていないですので、この辺りも国や文化の違いでしょうか。
アセテートも裏地には時々使われる素材です。
アセテート/100%という素材がさらさらしていてしっとり感もある特徴がある記憶があります。
ハンドメイドバッグに使用したことがあるアセテート。
洋服の場合裏地にしっとり感やさらっと感を加えてくれるアセテートの存在も確かなものです。
裏地に使われる素材はそれほど多くはないかと思います。
なぜなら、条件があり、着脱がしやすいためには、袖を通したりする部分や背の部分を滑らせて着用しますので、つるりとしていてなめらかな表層でないと具合が悪いわけです。
そうすると、主に数種類だけが裏地に使われている素材としてよく見かけるものになります。
まずは、ポリエステル、これが一般的ですね。
そして高級なコートやジャケットの場合キュプラもあります。
キュプラは、ツヤもひときわ、そして、サラサラ感も伴っているもので、見た目の高級感も感じられます。
その他は、レーヨンやアセテートです。
レーヨンはややしんなりしているので、裏地には向きな混率なのですね。
今回のようにアセテートと組み合わせた混合のものになっているのも納得です。
裏地の素材感には、滑りやすい「機能」が入っているわけです。
今回もYouTube動画がございます。
ところで、動画をご覧いただく前に1つお伝えしたいことがあります。
YouTube動画内で、前述の「フェンディ」ブランドのⅠ、Ⅱについての表記が、前面がの柄なので混合の方の表記のⅡにあたるのではないかというお話をさせていただいておりますが、動画をアップした後から考えてみると、いやいや、Ⅰが前面、Ⅱが背面のことでいいのではと思えて来ました。
そのあたりが、ブログ記事とYouTube動画内と内容が違っていますので、申し訳ございません<m(__)m>。
私が、前面の柄が入っていることが混率も混合だという判断をうっかりしてしまいましたが、そうではなくて、ナイロン/100%というのは、基布の部分も柄の部分もナイロンだからそういう1本の表記で良かったのかとも思えます。
そして、背面のナイロン/75%、ポリウレタン/25%は、無地なんだけどびよーんと伸びるように作ってある無地ということで、黒無地だけれど混合された混率であるという考え方で良いかと思い直しました。
そうすると、やはり一般的な考え方のⅠが前、Ⅱが背という示し方で合っていると思えてきたのです。
あとがき
今回は、イタリア製のアイテムの品質表示を見てみました。
こうして品質表示をじっくり見てみると面白いですね。
イタリア語は未知ですが、数多くイタリア製の洋服を見たことから何かその表記の部分に関しては親しみを感じています。
イタリア語の謎というか、なぜ4種も似た語尾の違いの表記を並べるのかはまだ分かっていないのでその辺りに関しては、興味があるところです。
おそらく、語学の決まりのようなものがあって表記を多数せねばならない事情があるのかと思いますが。。
洋服も見た感じ、着心地などはまず重視する部分ですが、こうして品質表示をじっくり見る中で何か見えてくるものもあるようです。
なぜこの素材を使ったのか、製造業者様、デザイナー様は何を伝えたかったのか。。
そんなことが分かった時は、洋服の作り手とユーザーの波動が合った時なのかもしれません。
そして、ユーザーにまでその意味が伝わる洋服というものには、「哲学」が込められた商品ということになるのではないかと。