生地のアムンゼン織が美しい、口布によってマチを形作るタイプのショルダーバッグ【4】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

パッチワーク仕立てのバッグに注目しています。

以前からパッチワーク仕立てはその途中の製作も楽しく出来上がった美しさに思わずうっとりしてしまう魅力を感じています。

このたびは、マチ無しなのですがマチがあるバッグみたいに膨らみ容量が自然に出来上がったショルダーバッグを製作した記録をご紹介したいと思います。

遠出などにペットボトルを入れてお使いいただける機能を考えました。

そして、無彩色のパッチワークの美しさなども味わっていただけたらと思います。

入口付近に取り付ける口布の効果とは?

マチ無しですが、ファスナーの入り口サイドに口布を付けました。

そうするとふんわりと膨らみ、マチがあるバッグみたいな容積が生まれます。

ひっくり返しの作り方のこういったタイプは、ひっくり返すだけである程度膨らむものです。

それだけで容積が広がるのです。

その隙間のサイズに合うような控えめな気持ち程度の口布があるだけで、結構な効果が出ました。

こんな風にひっくり返しによって膨らんだ入口をその自然に膨らんだ容量に合うような巾で口布を取り付け。

口布は片方で2cm程です。

役に立つ機能を持ったお部屋、ペットボトルホルダー

ペットボトルの底があたる底面を取り付けたこのような形のパーツを作ります。

バイヤスのキルトステッチをかけて、丈夫で強固なものにします。

通常のペットボトルサイズで少し頭が出るような深さが取り出しやすいかな。

サイドはこんな風になっています。手で持っている部分を縦にミシンで縫い付けて固定します。
出来上がりがこの写真しかなくてすみません。意外に結構大きくてA4強のサイズ。1泊旅行も不可能ではないかと。

あとがき

このアムンゼンの生地に出会ったのは、個人事業主を始める2018年2月以前の半年前くらいのこと。

会社勤務の傍らでバッグを製作している中で個人事業主になると決めてまずはこの生地でハンドメイドバッグを作って行くと決めたものです。

このぶつぶつが凹凸感があって肉厚でとても美しい生地。

無地なのだけれど色違いと一緒に使いながらこれまで得意としてきたパッチワークで、より自分なりのアレンジができるとイメージしたものを実行した製作です。

事業主以前のパッチワークはカラフルな衣装生地などを組み合わせて作ったものが多く、このたびのような3色だけの全く同じ生地の展開の無彩色は渋めテイストで差別化です。

不思議なのですが、色によって少し質感が違います。

オフやモカはごわっとしていて、チャコールはややしんなりとしています。

染色の違いが出ているのでしょうかね、そこは謎です。

その後、3兄弟のようないろいろなパッチワークの種類を展開しまして、また後日の記事に投稿する予定ですが、こんな3種です↓。

3種の同じモデル:左からこのたびのストライプ・ボーダー・市松とそれぞれの柄特有の味わい。

パッチワークも、それぞれの生地の色になじんだ同色の糸使いがやはり一番美しいと思います。

糸交換が頻繁にあり、時間を要する作業ではありますが、手間をじっくりかけた、後の価値のようなものになって行けば。。と思っています(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ご依頼者様から指示書をいただいて製作した多機能のハンドメイドバッグ製作記録、生地をお任せいただいた以外は、ほぼフルオーダーでした【3】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

当記事は、実際に製作したオーダーメイドバッグが2018年10月の製作でしたが、その時にブログ記事にしておらず、その後の2020年7月7日に、YouTube動画を振り返りながら最初に投稿し致しました。

更には、過去のブログ総投稿数1,400あまりのすべてを、その後の2024年1年間で「手直し」する期間としまして、現在2024.08.09に当記事の順番になってまさにこの部分を追記しています。

今思えば、この時のオーダーメイドは、間違いなくその後のハンドメイドバッグ製作において、機能を重要視した製作に大きく影響を与えたことだったと思っておりまして、貴重な経験をさせていただきました<m(__)m>。

ある一人の人物の希望する作りそのものを受け入れ、その通りに製作をした生地以外「フルオーダーメイド」である記録の2wayバッグ(ショルダーとリュック兼用)をご紹介したいと思います。

生地のみおまかせ、それ以外のサイズや仕様はすべて指示書ご提示によるご依頼者様の希望通りの2wayバッグの製作

この時のオーダーメイド内容は、ショルダーにもなる、リュックにもなる、そして、ドラムのスティック入れも設置されている。。などいくつかの機能が明確でした。

指示書も書いていただき、ご依頼主様の頭の中が理解しやすいものでした。

友人が習う、ドラムの先生で学生の方(男性)、年齢が20歳前後。

学生様らしい緻密な指示書は、希望が伝わりやすい具体的なものでした。

では、指示書をいただいてから出来上がるまでの特に機能の部分にスポットを当てながらご紹介したいと思います。

ショルダーとリュックを兼ねたデザイン:指示書は1枚。写真に納まりきらなかったので、2枚で上下に
仕切りがしっかり決められた多数のポケット:小部屋をいくつか設ける設計のバッグになる見込みです。

生地は、綿/100%の日本製で黒、ダイヤキルトのような織柄が高級感があり、素敵です。

小物入れの充実:先程の指示書の一番下あたりが実際この作り。ペン・ケーブル・モニター・タバコ・ライター。
取り外し可能なリュックショルダー:2WAYでリュックとショルダーに使い分けたいとのご要望。

フラップ付きのショルダーバッグとリュックとの2wayというのは、当時では結構特殊だったと思います。

ペットボトル巾着:ペットボトル入れも設置。リュックではサイドの下の方、ショルダーではてっぺんに配置。
かっこよさも追求の赤いライン:デザイン的に赤の十字ラインを付けたいとのこと。この水滴は撥水施工中。
市販のイメージも取り入れたく、メッシュ素材の利用:メッシュのケースをポケットとして取り付け。
内側の様子:バッグをショルダー使いにした時にフラップを開けたときのすぐ内側。
ドラムスティック入れの機能:ドラムスティック(40cm用)ポケット(グレー)。黒は底板。

写真が横向きですが、左の方はドラムスティックの入り口で、スティックの上部(左側)を共布ベルトが支えます。

強力撥水加工:リュック仕様の上部はショルダーの片サイド。左側の手前はショルダー(車のシートベルト)。

あとがき

完成したしっかりしたフラップを閉めた時の正面の写真が残っていなかったのが非常に残念(+_+)。

本当は十字の赤いラインの表面を残しておきたかったです(^_^;)。

いろいろ学びの多かった全仕様お客様のオーダーというほぼ「フルオーダー」だったのでした。

この経験をいただきました、ご依頼者様そして直接の友人に感謝したいです<m(__)m>。

時代はその後、ショルダー使いが減っていった流れがあります。

健康志向の高まりや使い心地のレビューからか、左右に均等に圧力が配分されるリュックが体の歪み防止には最適で急激にリュック1wayが増えていきました。

2024年現在ではショルダーは製作しておらず、もっぱらリュック型ばかりです。

当時の2018年では、ここまで大半の人がリュックを背負う時代になるとは思いもしなかったので、いよいよ時が流れたことを感じます。

ただ、当時ならではの貴重さもあると思いますので、こうしてオーダー通りの記録に残しましてバッグ製作のヒントになればと、時が流れた2024年から振り返る形でお伝えしました(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ビッグサイズのトートバッグは大量の重い荷物を両側面から「よいしょ」と持ち上げる「支柱」が必ずあるべき、取っ手のみの1点集中の過去の反省【1】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

メンズアイテムの中で誰もがイメージしやすい、典型的な「ビジネスバッグ」があります。

こうして、バンドが左右2列に貼ってあるあの線が総柄を遮るのではないかと思っていた今まで。。

事業としてハンドメイドバッグ製作に携わり始めた頃の2018年製のバッグは、柄をたっぷり映し出すことばかりを考えた機能軽視の部分が見られた製作であったと後で振り返りました。

柄を見せるあまり忘れていたこと、それは「機能」です。

これこそ最も最優先に重視することであったかと。。長い間その柄の美しさだけにとらわれていたと反省します。

表面だけを見ていた製作者が、その後「機能」に対する考え方を根本から改めることになった重要な記録です。

2018年当時の製作の記録を振り返りながら、2020.07.07にブログ記事の書き直しで新たに綴った当記事を、さらにそのおよそ3年後の2024.08.07に「手直し」しています。

よって、過去の製作バッグに関しましては、その後良くない点を見直しした、改良の内容を付け加えることで更新していくスタイルの記事になります。

このたびご紹介の大きなバッグは、持ち上げる時の力のかかり具合がバッグの表面の一部分に集中するので傷みやすいものでした。

製作直後はそんなことは起こっていないのですが、先を見越した使用のその後をイメージしていきますと寿命の短いバッグだったと言えます。

小さいバッグであれば重さもそれほど無いので問題ないのですが、大きなバッグは勝手が違うのです。

冒頭のイラストのような「支柱」が底のハギ目に頑丈に挟み込まれ固定されていなければ、長持ちであったり丈夫なバッグにはならないとその後の見直しで考えるようになりました。

ここに至るまでの軌跡としては紛れもない事実であり、特殊サイズの大容量バッグ、もっと言い換えれば「多くの方があまり作らないサイズのバッグ」に注目したからこそ分かったことなのです。

この学びを非常に大切にしていきたいと思いましたので、このように、過去の悪かった部分を実直に、そしてその後の改善の記録も交えたスタイルでお話していきたいと思います。

2018年製は「柄頼み」、持ち上げる時の力のかかり具合を全く考慮していなかった取っ手の付け方のその後の見直し

どれも大きなバッグなのに、取っ手だけを取り付けているところに、機能に対する考えが未熟であったことを反省しております。

芸能人様のステージのお衣装と同じ生地だそう。パイソン柄に膨らんだ加工がしてある高級生地です。

レーヨン/ポリエステルの混率の生地で、@¥2,400/mというような価格のなかなかの高級生地です。

カーテン地。ブルーグレー色の濃淡のぼかしのボーダーがお洒落。ポリエステル/100%、日本製。
メモリーツイード(形状記憶)。ポリエステル/54%、綿/33%、アクリル/11%、麻/2%、日本製

目に映る感じが黒ではなくて、ミックスされた糸がぼやけてグレーに映る点がマイルドです。

ちりめん、ポリエステル/100%、日本製。ちりめんに、このようなうずら柄。
ブルー系の薔薇柄のジャカード。綿/85%、指定外繊維(ビスコース)/15%、日本製。

ゴブラン織りにも似たように見えますが、もっとやわらかで薄手で使いやすい生地です。

ポケットの薔薇の花柄を合わせています。

上の柄と色違い。ブルー系と同様でベースがモカグレーのような色なので、とても落ち着いていて渋いです。

「1泊旅行に出かけられるたっぷりの容量がある」と謳うならば、物をたくさん入れた時の「丈夫さ」とか「安心感」も同時に謳う必要があるのです。

貼り付けポケットの柄を表地の柄と合わせようとした判断は確かに正解であったものの、ポケットはその後正面には滅多に付けることはしなくなりました。

そして、貼り付けポケット自体も廃止、隠しポケットの方が実際には同じ面積でも広く使えるものです。

まずはこちらを例に。支柱がしっかりと全体を持ち上げます。一重仕立てでも随分力強さがあるバッグです。

確かに柄は遮っていますが、それよりも重視するべきは「強度」。

「おしゃれ度」と「機能」のバランスを常にジャッジするようになりました。

こちらはヘルメットバッグとして作ったもの。ヘルメットは重くはないのですが、それでも支柱型にしています。

ヘルメットがそれほど重くはないのに支柱を付けたことの理由、使い道の広い可能性を考慮したからなのです。

ヘルメットバッグと言っているのはもしかして製作者だけなのかもしれないのですから。。

そうしますとおのずと未知の可能性にかけ、「支柱」を付けることになるのです。

こう考えたら良いと思います、とにかく大容量のビッグサイズのバッグは、フルに物を入れた時の重さに耐え得るよう、必ず「支柱デザイン」にするべきであると。

こうして、ビッグサイズのトートバッグのデザインを作る時は支柱を必ず付けるようにすれば、後になって価値が出てくる品物になるという考えにまとまったのでした。

あとがき

素材の良さは元の生地屋様のお手柄です。

素敵な柄を引用させてはいただくものの、反省点としてはちゃんと自分の中から生み出されたアウトプットが大きく欠けていました。

とにかくバッグらしき容器を作ったに過ぎなかったかと。

実際にここに多くの物を入れて持ち上げた時に取っ手の付け根部分だけに負担が集中することを考えると本当にいたたまれません。

物が溢れ過ぎていると、「なぜ」ということを考えずに、「そういうものなのだ」と表面的に受け止めがち、スタンス自体が「受け身」になってしまいがちなのです。

しかし、本当にあるべき姿は何なのかを冷静に、鋭く、能動的に考える必要があります。

随分年月がかかってしまいましたが、過去のつたない製作からの成長を2024年の今振り返ることができました。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

その後二度と出会うことのなかった2017年のある時期だけの貴重な生地肉厚アムンゼンにロマンを感じるボストンバッグ【105】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、過去に私が作った2種のボストンバッグをご紹介。

無彩色のマルチボーダーやストライプを楽しんでいただけること、そして、こういったパッチワーク仕立てをして柄を生地のハギ合わせで出していく作業のまめさと、出来上がりの美しさ、こんな辺りを見ていただけたらと思います。

そして、今回の2種のバッグの作り方は、あまりにも困難が伴う(笑)ラッピングを施していますので、バッグの縁のかがり部分の幻のラッピングにもご注目どうぞ。

こちらは、記事は現在の2020.07.07に書いていますが、この製作をした頃、2018年の頃を遡った記録となります。

当時2018年は、製作過程のブログは書いていなかったと思います。

動画のYOUTUBEは、今ではブログと全く並行して投稿していますので、必ず1ブログ記事に1YOUTUBEが存在していますが、過去はバラバラでした。

動画は、10回くらいのシリーズで細かく分けてアップされていたのが当初です。

2018年の7月だったかと思いますので、かれこれ2年前ですね。

パッチワークに目覚めて、たくさん調達したアムンゼンという織り方のポリエステル/100%、日本製の生地3色使いで作ったものです。

過程となる部分は、その後1つの動画にまとめて集約してしまいました。

よって、動画から引っ張り出した写真数枚くらいしかショットが得られなかったです。

ただ、内容としてはなかなかダイナミックな製作だったと思います。

ファスナーの付け方が異なる2デザインの比較が興味深いと思いますし、片方がストライプ、片方がボーダーという比較も面白いと思います。

ちゃんと「なぜ」を考えた結果その形に決まった「デザイン」のゆくえ

外側にラッピングをほどこす場面:出来上がった縫い代始末は無しで外にラッピングするタイプです。
ひっくり返しをすることで無理な圧力がかからない優しい手法。
こラッピング布の幅4.5cmというのが、一番しっくりとおさまる布巾。後の製作にも継承。
布でカバーされた高級感ある底板:コードレーンという生地名。モカベージュ色。綿/100%、日本製。
ボストンバッグは、どうしても底板を後付けになるケースが多いです。
よって、底板そのままでは味気ないことをくるみ底板で裏地になじませ、高級感を出しました。
くり抜き型のファスナー:ストライプの方の入り口は、ファスナーをど真ん中に付けました。
このように隙間一切無しの完全に口が閉じたトートバッグを実現したデザインです。
こちらのボーダーパッチワークの方は、裏地が無地の黒のちりめん生地。ポリエステル/100%、日本製。
底板はストライプを横向きにボーダー使い。アセテート/100%、日本製。
ショルダータブ:Dカンはニフコ社の黒色のプラスチック製の黒。
こんな上寄りの位置に取り付けることで思い荷物が安定すると考えました。
ショルダーの作取り外し機能:ここへ、ショルダーのナスカンを取り付けます。
ナスカンも、ニフコ社製。結構硬いので、取り外しはやや硬めの感触。
アーチ型のファスナー付け:ボーダーの方を上から見た写真です。
入口は両開き使いのシングルファスナーx2本、真ん中で留まる作りになります。
取っ手の前後の色も変えて、マルチカラーを楽しみます。
段差をつけたスタイリッシュなポケット:隠しポケットにも挑戦し始めた頃でした。
斜め配置の2個付。隠しポケットの良さは、重なっても場所が有効に使えます。
一部重なっても、内側では1つずつ袋になってお部屋が分かれ、もう1つの方を邪魔しないことがメリット。
貼り付けポケットではできないことです。
ショルダーパッドの製作:ショルダーパッドもハンドメイドしました。
ふんわりするよう、中にソフト厚芯を入れ込んでいます。
取り外しはできませんが、付いたままでもOKとなりました。
完成です。左のストライプは、トート型、右のボーダーはボストン型。

あとがき

動画内では途中の細かい部分は、後の編集でほとんどカットしてしまいましたが、パッチワークシートから始まる組み立ての2点のバッグの大まかな製作過程を少し覗いていただけたかと思います。

もとは、パッチワークシート作りから始めていく手間のかかる時間をかけた製作です。

ただ、作ってみた後で思うことは、まずそもそも3色の生地の分量の在庫がバランスが悪くて、この製作を最後に、オフ白が完了してしまいました。

同じ生地を同時に使っていくことの配分の難しさがそこにありました。

もとは、個人事業主でハンドメイドバッグを作って行く前の年の2017年に調達していた生地です。

生地もその時でないとなくなってしまうということで、随分黒(正式にはチャコールグレー)を多く購入し過ぎました。

25mくらいあったと思います。

その次にモカが4-5m、オフ白は2m程でした。

じゃあ黒だけで作るのかというと、華の無いものになってしまいます。

「鉄」とか「石」をイメージさせる濃グレーがどう美しくなれるというのか。。

そんなことも随分考え、行き着いた結果は綺麗な色や柄の裏地に使用することでした。

じゃあその後この生地に出会えたのか。。

二度と出会うことはありませんでした。

その2017年限りの貴重な生地であったと言えるのでした。

ミシン屋さんにも推奨していただいたミシン糸の上糸交換が素早くできる裏技【141】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ミシン糸の上糸の交換、下糸の交換につきましては、私のように、表地と裏地にコントラストを効かせて、全く違う色目に選ぶような趣向の製作者には多い場面となります。

この場合に、糸の交換をベタな感じでまともに行うのがやや面倒です。

特に上糸はいろいろな経路をたどって針穴に行き着きます。

そこで、今回お伝えする上糸交換のスムーズな方法があります。

ミシン屋さんもこれを推奨。ロックミシンでさえも同じようにできるとのことです。

上糸交換が素早くできる裏技

上糸のほとんどの部分は、交換前の糸がかかったままにしておき、1か所だけカットします。

そこからがスタートです。

この手の間ほどの10-15cm程を残して交換前の上糸をカットします。
そして、交換後の糸を設置し、先ほどカットした場所で交換前の残った糸とつなげて硬く結びます。
ここでポイントなのですが、結び目は、左右対称の量結びであることです。
そして、もう1つポイントは、硬く結ぶということです。
この写真の糸のようなテトロン系の糸は、スルスルとほぐれてしまうのでぎゅぎゅっと硬く結ぶことが必須です。
結んだら、上糸の針から出ている交換前の糸を優しく引っ張っていくと、
このように結び目がどんどん針穴に向かって移動していきます。
そうすると結び目は針穴の手前で止まります。。
とここまでが、ミシンの直営店さんにお話を伺った際に、
このようなやり方で糸を交換してよい、その方が楽だからとの推奨をしていただきました。
↓この後は、私が実際に経験して判断したことになります。
このように、ハリの真ん中から下部寄り部分を左手の指で固定してあげて、
少しだけ力を入れて右手で結び目のある糸ごと引っ張ります。
針が曲がったりするほど無理矢理引っ張ったり、余計な圧力は禁物です。
ミシンの部品に負担が無いように優しく行うことが必須です。
そうすると、結び目が針の穴を無事通って右側に糸が出て成功です。
最初に結び目をぎゅっとして固くするのは、途中でほどけてしまわないことと、
もう1つ、硬くすることで結び目の玉が小さくなり、針の穴に通りやすくなる効果もあったのです。
そうして、糸が針穴を貫通後、先ほどの結び目を含めた余分な長さをカットして出来上がりです。
なかなかスムーズな方法で時間も短縮できますが、糸の太さはご注意を。
90番、60番、50番あたりなら、テトロン糸はもちろん、スパン糸も良いと思いますが、
30番となると、今回のこの写真は、私が使っているテトロンの30番が限界。
スパンの30番はテトロンよりもはるかに太いので、無理が生じすぎて、この方法はよくありません。
なので、30番以降の太いスパン糸に関しては、針の穴の手前でカットして、
その後は、糸を自分で針穴に通すという2段階式をお勧めします。

私も、スパン糸でも針穴手前までは、このようなやり方でつなぎますが、針穴はスパン糸の30番ではなかなか通りませんし、無理矢理だと、針が曲がったり、ミシンを傷めます。

そこはくれぐれもご注意を。

あとがき

私は、何か糸に愛着があって糸を大事にしています。

マルチカラーが好きであることからも、糸をできる限り生地の色になじませたい、美しく縫いたいという思いがあり、どうしても糸のカラー展開が多くなり、手持ちの糸ストックが多いです。

よって、こういった交換の場面も多かった今までの経験からのお話でした。

糸は、ハンドメイドバッグ作りにおいては「材料」の1つです。

生地も大切ですが、糸も同じレベルで大切だと考えます。

意外に糸の縫いの美しさがバッグのアクセントになっていることが分かります(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ボストンバッグなどに有効、ゆったりと後付けする無駄がそぎ落とされた8角形の底板【140】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、元のバッグの底に不満があり、安定したバッグ底にと希望する場合にも有効な後から設置可能なくるみ底板の作り方をご紹介したいと思います。

1つ前の番号の【139】の記事では、内蔵して製作の途中で「ベルポーレン」というプラスチック板をそのまま挟み込むやり方で、今回とは違う状況の場合でした。

いずれもバッグ製造者にとっては有効ですので、それぞれのメリットやバッグ構造との相性も考えながら使い分けがお勧めです。

もっとも、リフォームなどでは、今回の【140】の後付けタイプがよく活躍できるようですので、是非ご注目下さいませ。

後付けでしか作りようがないボストンバッグの構造の事情

底板の取り付け方法としては、大きく2種あります。

1)途中段階で底板を裸のまま挟み込んで縫い付ける

2)バッグ出来上がりの最終段階で生地でくるんで設置(リムーバブル)

1)の方法はすっきりとしていて、どのみち底板無しの使い方はしないわけですから一番望ましい取り付け方法かなと思っています。

ところが、バッグのデザインによっては、そうもいかないことがあるのです。

例えば、下の写真のようなファスナー入り口から底まで1パーツが一続きになったようなボストンバッグのようなデザイン。

こんなような形の場合、底部分がハギ合わせなので、底板を入れるタイミングがなかなかありません。

底板を入れなければ結構融通が利いてスムーズに出来上がります。

そうしますと、その作りやすさというメリットを活かし、底板の設置は諦めることを選択。

このことから、底板は後付けでリムーバブルなタイプになるということになりました。

後付けの底板は、リフォームではなく新規の製作でも必要なことがあるということですね。

こんな感じで底でハギ合わせをする作りのバッグだと、底板を入れ込むタイミングがありません。
よって、底板は生地でくるんで底面へポンと置くように設置しています。

生地の中に入れ込むことが不可能とは言いませんが、かなり底板の幅を狭くして縫い易く気を使わねばなりません。

さらに、ただでさえ縫う難易度があるカーブの多いデザインなので、底板に気をとられて綺麗に縫うことができないのです。

こういった場合、あっさりと中に入れ込む方法をあきらめ、リムーバブル式に生地でくるんだくるみ底板を作るのが良いという選択をします。

一番きれいに仕上がるデザインを3種の中から選出してみました

今回は、3種の底板のデザインを比較実験した製作をしてみました。

黒い生地にあえて白糸でそのステッチの出方やラインの綺麗さを比べてみたのです。

この底板をくるみ込む3種のくるみ生地の角のデザインを比較実験してゆきます。

もう、迷うことはない分かりやすい結果でした(;'∀')。

この中で一番きれいな出来なのは、真ん中です。左右は、ひっくり返すやり方。
真ん中だけがひっくり返さないやり方です。
この黒地に白のステッチというかなり厳しい環境で綺麗さを厳しく調べました。
その結果、2枚仕立ての生地を縫い代1.5cmで中側に折り込んで縫い合わせる方法の真ん中が綺麗です。
ちなみに左は長方形、右は楕円形。楕円形は角が全く綺麗に出ませんでした(+_+)。

今回のこの研究の前までは、ずっと長い間一番左の長方形で製作してきました。

一番左が最初に思いつくデザインですが、実際に角ばったトートバッグに設置しても、四つ角がくしゃっとつぶれるのが現実です。

狭い部分に厚みのボリュームが収まりきらないのです。

よって、その見かけの野暮ったさのあるくしゃっと変形する角部分を取り除いたものが今回一番きれいに出来上がった真ん中の8角形だったということです。

一番綺麗にくるみ底板が出来上がった8角形のデザイン
:縫い代1.5cmをすべての辺を中折りして2枚を縫い合わせる作り方です。
ひっくり返さないので角のとがりがシャープに表れます。

8角形は逆にひっくり返しはあまりよくありません。

ラインがここまで複雑だとひっくり返し方法では曖昧に出来上がってしまい、結果綺麗ではないのです。

リムーバルなくるみ底板に関しては、この8角形で行こうと決めた瞬間でした。

あとがき

ひっくり返しを採用しなかったこのたびの底板のくるみ生地の製作でしたが、逆にひっくり返しが綺麗なフォルムを形作ることもあるのです。

それは、マチ付きのバッグの底のラインなどに言えることです。

マチ付きのバッグの美しさは、ふんわりと少し膨らんだように佇むあのラインです。

トートバッグをサイドから見た様子
:マチ周辺があいまいでふんわりしているからこそ美しい、ひっくり返しの効果がよく出ています。

時と場合によって、ひっくり返すのか、折り込みなのかを切り替えています。

まず言えることは、多角形のデザインは、ひっくり返しよりも折り込み式がラインがシャープに出るのだと確信しました。

目指すべきゴールは「美しいライン/フォルム」です。

そのために、製造者がその手法を使い分け、時には苦労もいとわないということです。

製造者の手間の省略や効率を重視することは、量産品の弱点であることも多いです。

そこへ良き勝負を挑む時に、このポイントを思い出してみてください(^-^)。

ただ挟み込むだけじゃない、マチ同士の合体も重要なハンドメイドバッグの安定した底板の設置の仕方【139】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

2018年の前半の頃、「生地くるみ底板作成:¥1,700」というものをさせていただきました。

そのサービスを利用していただいた方にはやはり抱えているブランドバッグへのひっかかりがあったのですね。

どうもその節はありがとうございました(^-^)。

底の部分が物をたくさん入れると下へ膨らんで沈んでしまうのです。

見栄えの悪さと、安定していない底部分への不安もあります。

そのような心配をいちいちしなくてもよい状態にあらかじめなっているバッグがやはり一番です。

なんと高級なハイブランドバッグでこのことが何度も起こっていたのです。

なんたること!、底が安定してもいないのに高級ブランドバッグの地位にあるそのことを大変疑問に思ったものです。

いかに過去の商品達が、機能をしっかり考えられていなかったものが多かったかということの例にもなるかもしれません。

そして、長い歴史でブランドの力がパワーアップし、手間を省かれた過程のあると見られる商品でも受け入れてもらえた時代があったのかもしれません。

しかし、今後は違うと思います。そんなことは、購入者は見破ります。

やはり、本当のこと/真実があらわになる時代になると思っています。

ごまかし、隠したり、手を抜いたり、こういうことがいずれ暴かれるということです。

お客様のお手持ちのバッグに底板をお洒落な生地入りでお作りするサービスのアイデアを思い付いたきっかけのある出来事

2015年あたりの事だったかと思います。

あるナイロンバッグの元祖とも呼ぶべきハイブランド様のキルティングが入ったビンテージのチェーンバッグを持っていました。

色の変色もなく、茶色の色がカーキがかっているのではなくライトな感じの黄土色寄りなところがとても魅力な、A3程の物がらくらく入るくらいのビッグサイズのバッグで、そんな点も個性的なお品。

これをお洋服とのコーデの色が合わなくなってきたこともあって手放そうとヤフオク様で販売させていただきました。もう私としては不要でした。

ありがたく落札してくださった人がいて、商品を発送したところ、1通のメッセージが。。

「とても残念なことに、底がくの字に曲がってしまい、物を入れても底がどよーんと沈んで不格好な形になってしまいます。」とのこと。

慌てました。私が使っていた時にはそのようなことが起こらなかったので気づかなかったのです。

私が持っている時では気づかなかったことでした。

もしかすると、発送時に2つに折りたたんだ時に、もともと厚紙が入れてあった底部分がその梱包で曲がったとも考えられます。

どのみち、もともと入れてあったのは、厚紙相当のものだったと思います。

すぐに私は、お金を返金しました。ただ、それだけでは、どうしても気がおさまらなかったのです。

お金だけの問題ではない、とてもがっかりされている気持ちが晴れるにはどうしたらいいのか、何とかできないかを考えました。

そして、お客様にメッセージ。

「まだ、私の方は返金だけでは気がおさまりません。1つ提案ですけれど、私に底板を作らせていただけませんか。ハンドメイドをしているので、作れます。バッグの底部分の縦横サイズをお手数ですが、教えてください」と。

そして、そのサイズをもとに、今現在も使っているベルポーレン2mm厚の底板をたまたま持っていた黒い色の生地に包んで縫って、送りました。

その後のお返事は、ぴったりで喜んでバッグを使うことができるようになったとのこと。

ここでやっと本当に良かったと思えました。これが本当のお取引のゴールであったと。

お客様は、そのブランドバッグを気持ちよく使うことを夢見て落札したのですから、ここでやっと目的が果たせたのです。

お金を返金したから100%満足するわけでは決してありません。

本当の目的は別のところにあったのです。その本当の目的を達成できる手助けをすることが、お金以上のさらに踏み込んだ提供する側がやるべき使命です。

とても学ぶことがあったこの出来事でした。

この経験が、3年後に底板を作ってお送りするというサービスをしてみるヒントになった出来事であったことは間違いないです。

底板をお作りするサービスというのはとても行いやすいのです。

設置が自由なリムーバルなので、バッグをこちらに発送してもらわずともサイズのご連絡だけで作れるので、無駄な経費とか、時間もかかりません。

また再開しようかなあとも思うのですが、布のこだわりがそれぞれの人があるので、その点が難しいです。

ならばと、セミオーダーで、この中から選んでもらうというのを考えがち。

ところがこの試みは、その2018年の時にあまりにお客さんの思う生地との隔たりがあり、結局ニーズがあまり得られずに続きませんでした。

また、何か良い形で再開できるといいです。何か新たなアイデアを考えたいと思っています。

バッグの中のパーツでは底板が一番こういうちょっとした付加価値の追加がしやすいようです。

ショルダーとか、入り口のファスナー付けなどは、もし可能であれば、これも非常に効果は出ますが、金具をそもそも本体に付けていないと引っ掛けるところさえないですから、すべてのバッグには展開が厳しく、バッグの形が限定されてしまいます。

しかし、底板は、そういう点でフリー。すべてのどんなバッグにも対応できます。

底板を中に挟み込んで設置するタイミングはいつ?

さて、今回のポイントである、自作ハンドメイドバッグの場合の底板を設置するタイミングを見ていきます。

前述のオーダーメイドのリムーバル底板というのは後付けです。

そうではなくて、本来そんなことを後からしなくてもいいように前もって、バッグにきちんと底板が設置されているのがベスト。

そのベストの状態を今回ご紹介しています。

どのようなバッグも挟み込むタイミングというのは、表地と裏地を重ね合わせて縫い合わせる直前です。

つまり、合体する一歩手前のタイミングで底板を挟み込んで、その後ひっくり返すということです。

あくまで、この挟み込みのやり方が可能なのは、表地袋と裏地袋の合体という典型的な袋物のバッグの作り方の場合に当てはまるやり方になります。

写真ではこのタイミングで底板を挟み込みます。
挟み込むという言い方をすることの意味は、両端が縫い留めてあるから。
両端の細かい位置というのは特に決まっていませんが、ベースとしては、
マチ巾の真ん中あたりの縫い代のフリーの部分1.5cm内に表に出ないように
隠れたステッチを2往復ほど入れて固定するのです。
この作業の効果としては、底板がぐらぐら動くのを固定してくれるという点です。

そうすると、おのずと、底板のサイズは、底の面積よりも小さくするべきです。

ぴったりや大きいサイズでは、収まりきらずバッグが変形してしまい不格好。

私は「2まわり小さく」ということを心がけています。

1まわりだとまだ足りません。まだまだ底板にとってはスペースが狭いのです。

具体的な数値では、10cmのマチに対して、底板の型紙の幅は7.5cm両サイド1cm強の余裕を入れます。

底板用にも型紙を。角は半径2.5cmの円の一部を利用。コンパスで左右対称にきちんと作ります。
見えない部分のこうした綺麗な作りの積み重ねが、値段を付けるときなどの自信になります。

こんな風にして、底板を入れた底部分というのは、入れていない底に比べて、立派なものになります。

今回は、<ハンドメイドバッグ教室>にて底板を挟み込むタイミングということでYOUTUBEにアップしました。

どうぞ、ご視聴してみてくださいませ。

あとがき

底板の必要性を感じる時というのは、物をたくさん入れる時だと思います。

最初の見かけというのは、ショッピングの際に中に物を入れる写真などはほとんど撮られません。

実店舗でもネットでもこれは同じです。

なので、バッグの底の様子など見逃されがちです。

しかしながら、縁の下の力持ちとでもいうような重要な部分であるのが本当のところなのです。

これを最初にしっかり取り付けてあげる「陰ながらの真心」というのは、長い目で見ると信頼につながると私は考えています。

見かけだけのかっこよさで買い物の後、年月が経過した後、がっかりすることは長い目でみるともう二度と購入しないお店になる、つまり信頼を失うことになるのです。

そう思うと、ひと手間の隠れた工夫などは、必ず最終的に強味であり価値になると信じています。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

<マチ>ハンドメイドで作るトートバッグのマチの計算に縫い代分が含まれていない謎を解き明かします【137】【138】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回の記事は、2つの分かれたYOUTUBE動画に対応の1記事でございますので、番号が2つ並びます<m(__)m>。

ある日、ネットでハンドメイドのマチの計算の確認をしていました。

一応、発信するにもちゃんとしたことを。。と思い、ネットでの確認が時々出てきます。

今回、マチの計算式の確認のため、ググっていたところ。。。

マチ付きのバッグを作るにあたって、「元の必要寸法が分からない」、「割り出し方教えて。。」の声が溢れんばかりであることに驚きました。

確かに。。いろいろ謎がありますね。

マチ付きというのは、3次元の世界。

やはりこうなるとちょっと想像しづらかったりして混乱してしまうのでしょう。

とても分かります。私も以前は知りませんでした。

しかし、その疑問のあまりの多さには驚きました。

おそらく、ミシン縫いをスタートし、ハンドメイドバッグを自作し始めた時期にマチ付きにしたくて、ここでいったん悩むことがいかに多いことなのかということでしょう。

そして、マチ付きトートバッグがいかに自作したくなるアイテムであることも。。

さて、今回マチ付きトートバッグのマチを含めた必要m数の計算方法の確認をまず致します。

これは、もうその溢れんばかりの悩みに答えるべく、マチの計算方法としてのアンサーをこれまた、溢れんばかり数の方が回答している様子と同じですが、私バージョンでおもお伝えします。

私バージョンの計算式は後で記述致しますが、むしろ、計算式の中に含まれるマチの部分が出来上がり寸法だけ組み込めばよいという「謎」に迫りたいと思います。

これを理解すると、計算式が腑に落ちて今後胸を張って、誰もが先生になれる、そしてまた他の困っている人に教えていける。。

そんな素晴らしいことになって行けばという思いを込めています。

まずは、多くのQ&Aを拝見した、マチ付きトートバッグの必要m数の割り出し方の確認

さて、まずは、図を見ながら、確認のためマチ付きトートバッグの縦横の必要m数を含んだ型紙をどう作ればよいかを私も多くの人と同じようにお伝えしたいと思います。

むしろ、その後の後半部分が本当に大切なことですので、後半こそどうぞご覧くださいね。

「算出方法」などよりも「なぜ、どうして」こそが一番大切だと私は、思っています。

マチ付きトートバッグの寸法の割り出し方のこの図では、出来上がりが最初に決まっています。
オーダーメイドなどでよくある場面です。
【Q】:縦30cmx横37.5cmxマチ15cmの出来上がりのトートバッグにしたい場合
2枚仕立てバージョンでは、縦の長さ、横の長さ、マチの長さをどのようにしたらよいか???
・・・【A】:縦40.5cmx横55.5cmの長方形を描き、下両サイドを7.5cmの正方形分カットする。

手順は、まず最初に縦の出来上がりの長さ30cmをそのまま、30と置く。

そして、2枚仕立てなので、この図が1枚分なので、マチ出来上がりの15cmの半分の7.5cmを足す。

そして、上部の縫い代は1.5cm、底の縫い代も1.5cmで私は作っているので、上の1.5cm、下の1.5cmをそれぞれ加える。

この積み算の値が40.5cmなので、縦は40.5cmの長さで型紙を作れば正解。

次は、横の長さ。出来上がりが、37.5cmなので、まずは37.5と置く。

そして、横は縦と違い、マチが2つできるので、出来上がりの半分の7.5を2回足す。

そして、左右も縫い代は1.5cmとするので左の1.5と右の1.5をそれぞれ足す。

この積み算の合計は55.5cmになります。

そして、下の角部分を15cmの半分の7.5cmずつの正方形でカット。

これで型紙出来上がりです。

注意点は、2枚仕立てバージョンなので、出来上がりマチの15cmの半分である7.5cmだけを足す点、そして、横の長さはマチが2つあるから7.5cmという半分の寸法をを2度足すという点ですね。

この計算式に当てはめれば、2枚仕立てのマチ付きトートバッグが作れるスタート地点にちゃんと立てます。

式には当てはめるものの、マチの計算が縫い代無視のような実寸で成り立つその謎とは?

何でも、理論的に証明したいもの。

ふと思うことがあると思うんです。あれれ?マチにだって間違いなく縫い代1.5cmが必要なはず、それなのに、なぜ、出来上がりの長さだけを計算式に入れているだけなのだろう。

これです。これが謎なんですねー。

しかし、これで間違いなく15cmにマチが出来上がるのです。

その謎を解き明かすべく、こんなことをしてみました。

まず、このように型紙でマチをつまむ場面をシュミレーション。
真ん中の1.5cmずつの縫い代部分がここからは最終的に奥に引っ込んでなくなります。
つまり横の長さが短く出来上がります
謎を解くカギは、実際の縫い線の位置と長さです。半分で考えてみます。
ここに実際に縫っている端から縫い代1.5cm位置に赤いマジックで縫い線を引きます。
先ほど描いた縫い線の赤は型紙を広げるとこのように縦にマチを削ったラインから1.5cm内側を走ります。
そして、何やら、少しマチを削った角よりも少し上に突き出しています。
2枚目の赤い線の後側は、実際下糸が走りますので、
ここで点線で表した位置が下糸がミシンで縫われる部分。
いよいよ分かってきました(^-^)。
このミシンで縫われた部分は当たり前ですが、縫い代1.5cm空けて縫ったので、
この直線とマチを削った部分のラインとの間は当然1.5cmです。
つまり、ここで赤で描かれたLの字は、7.5+1.5=9cmの正方形だということが導けます。
そして、再びマチを作った状態の片面だけに戻ります。
そうすると、先ほど9cmだったラインから、底部分を縫う時の縫い代1.5cmが引かれ、
9-1.5=7.5cmが本当のマチの出来上がりの長さだというところにたどり着くのです。
これで腑に落ちたかもしれません。
底の縫い代1.5cmであらかじめ切り取った7.5cmが7.5-1.5=6cmに短くなってしまっているから、
右側に1.5cm突き出して、6+1.5=7.5になると。
7.5cmというカットラインが縫い代1.5cmを必要とするせいで、
右側に平行移動したかのよう。そんなとらえ方も良いでしょう。

この赤い線が、計算式に7.5cmちょうどでよいことをちゃんと証明してくれました。

ということで、勘違いしがちな、縫い代分入れねば、ということで7.5+1.5=9cmマチのくり抜きに型紙を作ったりしては結果、サイズ間違いの大きなマチができてしまうわけですね。

縫い代部分が1.5cm引かれることは何となくわかっても、その分1.5cm上に突き出すということがなかなかすぐには分からない部分でした(;'∀')。

しかし、今回のこの赤いマジックの線で、間違いなくそういう結果になることが分かったので、計算式も上述の通り間違いないものであると安心して、今後は公式に数字を当てはめるだけでよいのです。

今回は、この謎を解くためのYOUTUBE動画が2本ございます。

前編ではマチの計算式に当てはめる部分がメイン、その後最後の方でもやもやして終わっています。

後編では、赤マジック作業がメインで、この縫い代分を含まないのが正解である謎の解明を証明する場面がメインです。

あとがき

マチ付きのバッグは使いやすく、親しみあるデザインです。

このしっかりと容量を確保された「マチ」こそが多くの人に好まれる価値の1つでもあると思います。

2次元が3次元になる時の分かりにくさを研究して理解し、その後の展開として独自のデザインを立体的に作っていけるきっかけになればと思います。

こんな図形から立体へのイメージの体験は貴重です。

今回の「なぜ、どうして」を解明することの例は、他の事項でも結局一番大切なのではないかとさえ考えます。

その理由を追求していくことで、「哲学の入ったバッグ」になっていくからです。

長年老舗として愛され続けるハイブランドバッグにはこれがあるのです。

ただ、意味もなく表面的に飾り立てたバッグではなく、シンプルであってもその機能の意味が理解され、受け入れられるお品になりますように(^-^)。

簡単に作れるリュックのショルダーのハの字部分の本体への丈夫で綺麗な縫い付け方法【136】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ最近ショルダーに調節機能のない単純な作りのリュックを作っています。

その名は「簡易リュック」。

去年の2019年後半辺りから始めたハンドメイドバッグのシリーズものです。

素材調達をいったん終了し、たくさん集まった生地でシリーズを組み、20シリーズ程計画を立てました。

1つのシリーズで製作は3点ずつというのがだいたいのラインナップです。

リュックのショルダーの付け根にDカンを使わない、直接本体への縫い付け方式の十字ステッチ

さて、今回の簡易リュックでは初の作業が1点あります。

それは、リュックのショルダーの縫い付け部分の付け根の製作手法です。

簡易リュックは、その名の通り、最低限の簡単なもの。

もしかして、結構手が込んでいる部分もあると感じていただく箇所もあるかもしれませんが、表から見る時に簡素な作りのシンプルさが特徴のリュックです。

簡素な作りがどういう点なのかの1つは、ショルダーの調節機能が無しであるという点です。

様々な長さをお好みの人が中間的な位置でお使いいただける長さに設定。

ある一定の流行も取り入れてやや長めかな。

そして、線コキ、Dカンなどを付けずに、ショルダーは本体に挟み込んで縫い付けとなります。

この縫い付けの時の端っこ部分の「ハの字」にスポットを当てています。

まずは、作ったショルダーのハギ合わせの方を外側に向けてハの字にします。
互いに90度で重ねるということです。
アップで見てみるとこんな感じ。ぴったりと端っこを重ね合わせます。
そして、とりあえずショルダーのみで十字にステッチを入れます。印は必要ありません。
とんがった先端からまっすぐ「へ」の字のへこんだポイントまで縦にステッチを返し縫いをしてかけていきます。
十字の横線に関しても目印となる先端部分があるので、印など付けなくても大丈夫。

そして、その後いったん他の作業が入ります。

ショルダーの足の部分から先に挟み込んで縫い付けます。

本体を前後縫い合わせの時に、同時に底部分に挟み込んで縫い付けるということをします。

次に表地の本体の内側に当て芯をし、入り口部分の真ん中の位置にまたもや十字でステッチをかけます。
この十字のステッチは必ず表面に出ますので、先ほどの十字をなぞるように、そして綺麗に。。
ステッチをかける側は、裏からがよいです。2重ステッチで丈夫にかけます。
重なり部分などを見ながらが、どこを縫っているのかが分かりやすいです。
出来上がった十字ステッチを表側から見た感じ。すっきりしていますよね。
このステッチの方法がいろいろなやり方と比べてみて群を抜いて簡単で綺麗でした。

また、これが、縦1本だけの線だと何かしら不安定。横の線も忘れずに。

やはりこの十字の意味というのはダメ押しの頑丈な固定の秘訣なんですね。

よく取っ手の付け根に施される「四角+X印」のステッチを彷彿とさせます。

完成した簡易リュックを見ながらお伝えしたいこと

簡易リュック(薔薇柄xデニム)・・・筋柄同士のマッチが生地のチョイスの偶然の巡り合わせというもの。
こういうミラクルが大好きな私。
洋服のコーデでもそうですが、良い相手が見つかることの喜びがあります(^-^)。
茶と紺のコンビは、お茶碗などの陶器の基本的な色使いを思い出します。
薔薇の中にある紺色部分が茶色に映え、そしてデニム生地の紺とカラーがマッチしてスッキリとします。

取っ手のジグザグステッチも象徴的なデザインの1つとなります。

そして、入り口タブがほんの少しだけ登場するところに、控え目な感じを見ます。

思いっきり広い面積に柄が出るという、柄の出番を尊重したデザインなのでした。

あとがき

こんな風に、その時々で素材を組み合わせたりなどしてちょっとした工夫をしながら元のデザインは変わらない、という方式で製作していきます。

生地同士の組み合わせもコーデなのです。

クローゼットの中からお洋服を選んで組み合わせるかのようにワクワク楽しめる瞬間です。

同じデザインで製作するにしても、生地の色違いではないくて、全く違ったテイストを感じるような3種にラインナップしていくのが1点物風となる秘訣。

シリーズではそんな3点であると見ていただければと思います(^-^)。

なぜそんなにハリコシのある取っ手に出来上がったの?の答えがここに。。内部構造すべてが分かります【135】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを作り始めて10年以上が経過しています。

その中でいろいろなパーツの作りを改善してきたり、デザインを変更したりしていく中で、これが最強と思える状態に常にしていたいと思っています。

もし、これは改良した方が良いなあと思うと、早めに改良していくのがよいかと。

一方、当初からそれほど変更していない早い段階で腑に落ちて、ずっとこのやり方で来たのだというパーツもあり。

今回はどちらかというと、そのような長後者の方に当たるかもしれません。

そのパーツというのが取っ手です。

取っ手は結構大切で、バッグを支えると共に手でよく触る部分です。

丈夫で長持ちを望む部分となります。

ということで、今回は、丈夫でありながら、しかも持ち心地が良いという手の感触を工夫した取っ手の中側の構造をご紹介したいと思います。

取っ手には芯地を2種入れる、接着芯ともう1つの芯地「ソフト厚芯」こそがその感触を作る

通常、取っ手というパーツにも芯地を貼りますがまず1つは接着芯です。

接着芯は生地自体の風合いを生地に馴染みながら自然に出す効果を感じ、基本的にはすべてのパーツに貼っています。

逆に貼らないパーツが珍しく、ぱっと思い浮かぶのが、フリルかな。

フリルは裏返して見てみると、それも表面のようにぴらぴらなので、芯地は貼らないという考え方もありますが、どのみち裏側なのだから貼っても良いかもしれません。

ちょっとした小さなタブ、巾着ひもなどにも必ず貼ります。

逆にそういった小さなサイズのパーツこそ縁の下の力持ちですから、補強には必要なのです。

接着芯を貼るのと貼らないのとでは丈夫さが大きく変わります。

さて、今回の取っ手ですが、接着芯の他に、入れ込む芯地というのがもう1種ありまして、「ソフト厚芯」と呼んでいるフェルトみたいなふんわり芯です。

上のグレー色がソフト厚芯。不織布でフェルトっぽい感じのもの。
接着剤は付いていないのが逆に使い勝手がこの取っ手に向いています。
下の表地は、インディゴデニム、綿/100%、日本製という生地。接着芯はすでに貼ってあります。
よって取っ手は、2種芯地が付くということになります。
取っ手の作り方を簡単にご説明します。
①まず表地とソフト厚芯を別々にアイロンで真ん中に縦に折ります。
②そこに向かって両サイドからアイロンで折ります。
③①と②を合体してこのように折り線を合わせながらくるみこみます。
④クリップや洗濯ばさみで固定し、外しながらステッチ。

表地とソフト厚芯を別々にアイロンで線を付けるところはぴったりと重なり、美しいラインになる大鉄則。

特にステッチの方法などは、後で貼りますYOUTUE動画の中でそのじっくりお伝えしますね。

取っ手の完成:こんな風にグワングワンにハリコシが出ました。
ステッチが少し見にくいのが申し訳ないですね<m(__)m>。
こちらは、インテリア収納用のたためるタイプのバッグを作った時の接着芯のみ貼った取っ手です。
接着芯だけでもそこそこハリコシは出ますが、今回のソフト厚芯入りに比べると柔らかいですね。
たためるタイプのサブバッグ的なタイプの場合はこれでも通用します。
こちらはステッチがはっきり写っていますので、ステッチ巾などのご参考にこの写真がなればと思います。

ステッチを4本均等な巾に縫うことは訓練も多少必要です。

目の錯覚などで片方に寄りがちなのが常です。

印は付けていきませんので目で見た感覚によって位置を決めてステッチしています。

何かしらコツをつかみ、「職人の勘と技」みたいな感覚を得ていくのです。

ソフト厚芯を入れたことの意外な効果、心で感じる「持ち心地の良さ」であること

こうして感覚が揃った4本のステッチは間違いなくバッグのアクセントになっていき、バッグが美しくなるための重要ポイント箇所になることでしょう。

このように少々念入りに取っ手を作っていくのです。

ソフト厚芯の効果は、ソフト厚芯その物だけでは実は無いということがだんだん見えてきましたね。

ソフト厚芯+ステッチにより、ぷっくりとその空間がふくらみ、ふんわりとした持ち心地になることが最終的な行き着く効果であるということです。

ソフト厚芯をただただ入れ込むだけでは、役割は不十分。

さらに真ん中に2本のステッチを入れることが、このソフト厚芯とステッチの強力なタッグが効果を発揮するということになります。

あとがき

今回のような内部構造に関しては、完成したバッグでは到底分からないことでした。

バッグがボロボロになり、捨てる際に取っ手を切り裂いて研究する人がどれだけいるでしょうか。

そう考えると製作者である者ができることとして、自分が見ているものをそのままバッグのユーザー様にお伝えすることではないかと思います。

「隠す文化」から「見せる文化」へ時代が変わったと思います。

この意味は、つまり「ごまかしが利かない」ということです。

何なら、良い意味でのごまかしさえご披露してそのどうしてもそうするしかなかった理由をご説明するくらいの分かりやすい理解を得られるお品もある意味素敵なのです。

最後までミステリアスにその秘密を隠し続けられたことに何か意味があるのでしょうか。

それよりも理由がクリアなお品の方がなるべくしてそう形作られたのだと共有されるという考え方です。

その考え方は、もしかすると、作り手のスタイルの投影なのかもしれません。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク