まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
今回は、デニムシリーズの最後となります。
①セルビッチデニム、②デニムライク、と進めてまいりまして、このたびの素材は、③7オンスデニムです。
7オンスということで、通常の12-14オンスのジーンズのイメージのあのごわごわした厚手のものの半分くらいのボリュームです。
主に、春夏向けのデニムとも言えまして、デニムのような感じがしないとさえ映りますが、歴としたデニムなのです。
織り方が綾になっていて、しっかりとした作りであることは間違いないです。
今回は、前2回と同じデザインの「丸底バッグ」のまま、アップリケをリボンで飾ったかわいらしさを秘めた+αを加えて、チャームポイントにしていきたいと思います。
水玉の上品な7オンスデニムとの出会い
今回、7オンスのブラックデニムなのですが、さらなる素敵なあしらいがある生地です。
なんと水玉ジャカード。よくあるプリントの水玉とは一線を画します。
水玉のジャカードは結構レアであると思いますし、お洒落で高級感を持ち備えます。
その原因は、やはり糸で柄を出してあることによる凹凸感です。
ネクタイにその良さを見ることが多々ありますね。
裏地だってバッグの顔である
今回のデザインは、なぜか、表地よりも裏地の方が作業が多いです。
以前、当ブログでもアップしています記事にありますが、結構な老舗ブランド様のバッグでも裏地に手を抜いたり、コストをかけまいと悪い素材を使用しているのが見受けられます。
表地は高級な本革で飾るのですが、裏地には長持ちしないと分かっている合皮とかPVCを使うのです。
これには大変疑問と憤りを感じます。
長く持てるお品物をと本気で思うなら、裏地も必ず長く持てるような作りや素材にしなければ、実際に途中で手放すものになることになるのが大変な矛盾です。
どんどん買い替えてもらうための計算なのか、それとも、費用の調整なのか。。。
このように、私自身もブランドバッグが好きでそういった裏地の点で苦戦したり、がっかりした教訓があるのです。
そうして、自分が製造するバッグの裏地は表地にともなってそれ相応の状態で使っていけるものにと考えています。
ということで、裏地という中側の見えない部分であっても1点1点のパーツに込めた丁寧さであったり、縫いであったりを意識しています。
まず、布製なので、経年劣化は起こり得ません。
その他、パーツを取り付ける時の返し縫いなどを惜しみなく施します。
Dカンのタブが外れたりなどのことが使っていく途中で起こらないように作っています。
ポケットに関しても、2度縫いをしているので、頑丈に取り付けられています。
2mm厚のベルポーレン製の底板も裏地の底の下に設置されて入れ込んであります。
もちろん、本革には本革の良さがありますが、布製も負けず劣らずの「持ち」がある程度可能であるところも作り方しだいだということをお伝えしたいです。
タブなどは、革製は、どうしても取り付けのミシンの通り具合を考えて、薄くすいたりすることで結局は弱いものとなりがちです。
以前、これもブランドバッグですが、タブが簡単にちぎれてしまいました。革が1枚仕立てですいてあったのです。
そうすると、布製の共布のタブは、4重の2枚重ねということである意味薄く漉かれてしまった本革よりもかえって丈夫だと言えるのです。
この辺りは、細かい部分で陽の当たらない部分ではあるのですが、後のお直しをできるだけ必要としない工夫の数々なのです。
完成品を見ながら、オンスの小さな薄手デニムの可能性を考える
取っ手は本革を使用しています。8mmのアイレットカンに通す8mm巾の取っ手です。
スリムなので、スタイリッシュな雰囲気です。この本革のベルト素材は既製品で、幅は8mm-10mm辺りがスタイリッシュに映る巾となります。
8mmより狭いのは、バッグのサイズから見ると、バランスが悪すぎるので、ミニマム8mmと考えます。
あとがき
購入者様も長年使ってデニムの色の変化を楽しみたいという気持ちもお持ちだと思います。
そうすると、表地の素材だけを重視するのではなく、それにともなった裏地の作りも長持ちするように工夫することが大切になっていきます。
一流ブランド様の数々の経年劣化の裏地のひどさは、そういった意味ではとてもバランスが悪い素材の組み合わせをされているかと思います。
また、バランスのことで言いますと、逆もあります。
メイン素材がナイロンで破れてきているのに、取っ手だけ本革で丈夫であるというのもこれも逆にバランスが悪いです。
そうすると、バッグ全体がいかに同じ程度で経年を迎えていくかということも作る時点でよく考えるべきでしょうね。
そこまで考えられることが、使い手のことを思いやった製作ということになります。
お品を見るとそんな目に見えない「気持ち」の部分が現れてしまっているということも驚きです。
やはり、製作する姿勢1つとっても、「実直」であるべきなのです。