まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
当「本物志向のレンタルジュエリー」では、まさに宝石をお取り扱いさせていただいている身ですので、宝石に関する「真実」の部分は是非知っておきたいと手にした本があります。
「宝石の裏側:内藤幹弘 著」を拝読。
この「裏」というワードが2つの「裏」を表していてタイトルが意味深で非常にセンスが見られます。
宝石の構造の裏面部分に私達が知らない工夫があること、そして、宝石そのものの商業の実態においての裏話のような「裏面」というキーワードを共有したの2つのことです。
宝石を手にする末端のユーザーの事を思った親切な情報は、秘蔵せずに表に出し「裏」を作らないことが本体望ましいのです。
それでも、ミステリアスな「宝石」という存在がそのようなかつての秘め事を呼び寄せていたのでしょうか、その背景については、これまで多くが語られることはありませんでした。
このたびは、今後の時代においては「そのままの姿を実直に伝える」ことの素晴らしさの方を重視していくべきなのではないかという考えをお伝えしながら、当ブログ記事を綴らせていただきたいと思います。
喜平チェーンが現在の中古市場で大量にある理由が残念、喜平チェーンは本来美しい美術的造形であることが打ち消されてしまうかのようだ
いろいろ役に立つ有難いことが書かれていましたので、ご一読をお勧めするのですが、是非ピックアップさせていただきたかったのが、かの有名な「喜平チェーン」に関する項目です。
喜平チェーンは、メンズ分野のイメージが大きいかもしれません。
細かなパーツのカットの美しさがよくきらめき、たっぷりな地金のK18YG製でヴィンテージチェーン達がずらりと並ぶ映像が地金価格の高騰の現在をよく象徴しています。
中古市場には多くの喜平チェーンが並びます。
チェーンには喜平の他にもデザインはあるのですが、これが定番のようなデザインの形に思うのも、あまりにも広く流通した過去があったからなのです。
この広く知れ渡った成果はまさに、「製造業者のしかけ」であったのでした。
格安の喜平チェーンを大量生産することで、その1本1本がよく見かけるものになってしまったということで失われたものは、「希少さ」ではないかと。
知れ渡ったのだという見方をすれば、商業の行き着くところ「マスへの広がりの成功」であったとも言えるのですが。。
本来喜平チェーンは、非常に美しいデザイン、「喜平」という昔の人の名前をとったネーミングもユニークで和風な感じを思わせる日本人になじみのネックレスというイメージです。
線径が太く頑丈なイメージは、安定感あるチェーンとしてジュエリーのチェーンでは基本的な優れた定番デザイン。
ただ、どこにでもあるかのようなありふれた印象がどうしても否めず、過去のそういった供給側の儲けのしかけによる報いのようなもの。
しかし、そんな歴史や背景を知れた今、喜平チェーンへの変な誤解がかえって溶け、純粋な気持ちで喜平の美しさを見ることができるという見方に変わりました。
著者様には有難い気持ちでいっぱいです。
指輪の裏面はなぜ透かしが芸術的なデザインになっているのか、
専門的なことは本の中に詳しいことがありますが、以前から不思議だったのが、指輪やペンダントトップのストーンの裏側が決まって多角形とか何かの形で透かしになっていることでした。
答えが「最大限にストーンのきらめきを出すための台の工夫である」ということだから驚きです。
特にダイヤモンドはその効果は大きいようです。
ストーンの元の色や形も重要ですが、光に当たった時のきらめきも想定されたものがその加工品なるジュエリーの姿なのです。
鉱物のまま、ルースのままとの違いがそのような点には間違いなくあります。
やはり常々思っております、「高級地金の台あってこその宝石である」ということが言えるのではないかと思えるエピソードです。
時には悪い情報も正直に出す必要性、その真正直さが宝石のそのままの姿を受け入れる寛容さにつながる
やはり、宝石は、正直な純粋な情報のみを得たいのが実際の購入者の気持ち。
悪い情報を隠したり、上述のようにあえて喜平チェーンを大量に流通させたり、「お給料の3倍の指輪をプレゼントするべき」などの妙な風潮で煽ったりなどの過去は、購入者様の事を決して親身に考えたものではなく、商業上のあらゆる業者様の利益のみを重視したものになります。
しかし、大げさな「コピーライティング」は基本的には自由ですので、そういったことも、受け手は鵜呑みにするのではなく、冷静な判断をするということも大切です。
そして、商品に対しては、悪い情報を出すことで売上の妨げになるということで、「難」の部分を隠しがち。
しかしながら宝石は難の部分も出てきてしまうこともあるのです。
この「隠す」ということ自体が時代的に相容れない行為だと思わなければなりません。
後の信用を失うその場逃れの行為でしかないことに早く気づいていくべきなのです。
特に宝石は、購入者様も未知の部分が多く、今まで隠されてきたからなおのこと、今後は、是非、お客様との共有を増やしていただく責任を持ってのご提供であってほしいものです。
あとがき
販売者と購入者という点で見れば、宝石以外でも事業をしているすべての人に当てはまることだと思います。
提供者である事業主というのは、大きな会社であれ、小さな事業者であれこの本から学べることは、「情報をお客様におしみなく伝えること」です。
あれこれ、隠すことを考える時間があれば、実直に誠意を持って真実をお伝えすることに時間を費やすべきであり、変な緊張感や隠し事に対するうしろめたさを取っ払い早く楽になった方が断然意味ある姿勢です。
こんなシンプルなことがなぜできないのか。。それは、長い期間の「しきたり」「固定観念」から抜け出せなくなっているからだと思います。