裏無しバッグのサイドの縫い代、三つ折りの縫い閉じだけ視界に見えるような最初のステッチの隠し技【794】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、「共有型のハンドメイドバッグ」の事業活動の1つとしまして、「ノウハウのコンテンツ制作」ということを進めております。

その中で、完全に確立したと思われていたノウハウでさえも、まだ見直しがあるという貴重な場面がありました。

コンテンツを作るなどいかにも何でも知っているパーフェクトな人間がやることのイメージですが、実際はそうではないと思っています。

コンテンツ制作者が転びながら多くを学んできたことの集結だと考えますと、特別な作業でもありません。

こう考えますとサクサクと次々にコンテンツが作れるかと言うと実際は「確かな中身なのか」という意味では、たやすいことではないと実感しています。

日々の学びによって、コンテンツにまとめる内容にも変化があるのはもしかしたら当然の事なのかもしれません。

では、このたびの、一重仕立てのエコバッグ「切餅」の両サイド部分の三つ折りによる縫い代始末のやり方を見直した1つの「検証」、コンテンツにまとめる直前の見直しをお送りしたいと思います。

内部の整然さを意識、強度がありながらもステッチ1本だけすっきりと見せるための最初のステッチの隠し込み

検証生地2セット:右(黄色):古い三つ折りステッチのやり方/左(緑色):新しい三つ折りステッチのやり方。

色違いで同じブロードの検証用生地を2セット用意。

この時点では同じように端から2.5cmに縫い代線を印付けしておきました。

一重仕立てでは、縫い代を完全に隠すために両サイドを三つ折りするのです。

その三つ折りのやり方をこのたび見直していきまして、内部を眺めた時のステッチがすっきりと美しく映るよう改良していくのです。

まず、右(黄色)の方の古いやり方から↓。

古いやり方(黄色):2.5cmの線そのものにステッチ。その後1.25cmずつ三つ折りし再び縫い閉じのステッチ。
古いやり方の完成(黄色):最初の地縫いを2重にしたこともありますが、どうしても線が複数出てしまいます。

この混沌とした線の出方を解消していくためには、最初の2.5cmのステッチそのものを見直す必要があります。

そこで、次の作業の三つ折りのしやすさを誘導できるための機能も兼ね、端から5-7mmに最初のステッチをし、その後の三つ折りで内側に隠れてしまうという案です。

この新しい案でグリーンの方をやってみます↓。

新しいやり方(緑色):印の2.5cmではなく、端から5-7mm程度に固定のステッチ。ほつれやすい生地にも有効。

この後、アイロンで2.5cmの線に合わせて1半分の1.25cmを二度折るという三つ折りと縫い閉じステッチ。

新しいやり方の完成(緑色):内側に最初のステッチが隠れステッチした反対側が非常にすっきりとしました。
やり方の違いの比較:文句なしに緑色の新しいやり方が綺麗です。コンテンツもこれで作ります。

あとがき

一重仕立ては、隠す場所が限られて非常にがんじがらめの中考案することが多いです。

だからこそなのですが、その手法が上手くいった時にはそれ以外ないという究極さも生まれまして、これは大変良い改良であると言えるかと。

装飾したり追加したりということも選択肢としてはあることなのですが、むしろ「減らす」というミニマムに向かう方向に「粋」「瀟洒」「洒脱」の姿があると見ています(^-^)。

巷では滅多にやられていない、意識的にすっきりさせた巾着袋のひもホール内の縫い代の内部始末ステッチ【759】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

少し前の記事【753】でもお伝えしましたように、バッグが完成してしまうと内部の機能は多くが隠れて見えなくなります。

それをあれこれ完成のバッグでご説明してもなかなかピンとこないかもしれないと、製作途中の場面の裏側のお写真と共に「当て芯」にスポットを当てながら強度を高めている縁の下の力持ちなる部分をご紹介しました。

このたびの【759】では、【753】の時の「当て芯」とは別のパーツ、①内蔵の巾着袋のひもホール内の縫い代始末と②巾着袋の底のマチの多重の重なりの仮固定ステッチの2箇所についてその途中段階の内部をお伝えします。

1つ目の箇所:巾着ひものホール内の縫い代を完全に隠す両割れの固定ステッチ

おそらく、カーテンやクッションカバーなどのインテリア分野で良く使われる「袋縫い」の手法に類似のやり方だと思います。

ホールというのは、半分内側ですが、覗くと見ることができるので、もう半分は外側に面しているという場所です。

「この場所は外側みたいなもの、目に映る部分としてきちんとお仕立てしたい」といういった思いから次のような工夫をしています。

巾着袋のひもホール内の縫い代始末の仕方:てっぺんが縫い代側です、さらに内側に折り込んでステッチ。

この構造、結構手が込んでおります。

1.5cmの縫い代がびらびらのままであると、紐が巾着の開閉によって縫い代がどんどん消耗してくる可能性がるので縫い代をさらに半分の7.5mm分内部へ折って真ん中にステッチします。

それでもまだ、ぐらぐら揺れる不安定さが残ります。

よって、この写真の後は、てっぺんから3mmほどをミシンで重なったまましっかり縫い付けて固定するステッチを1本入れていくということをします。

そうして完全にトンネルの入り口からのぞいた風景が安定したすっきりとしたものになります。

共布ひもを通した様子:一番上のステッチが曖昧だったラインをしっかりと固定しはっきりとしたラインに。
ひもホールの入り口から見る内部:縫い代がすっきりとおさまり、紐がその下を通過しますので摩擦がないです。

「摩擦が起きない」ということは、「傷みが無い」ということにつながり「長持ち」へとつながるということを見込んでいます。

2つ目の箇所:巾着袋の底のマチの多重の重なりの仮ステッチの固定

次は、場所が下の方へ移ります。

二重仕立ての巾着袋のマチの重なり:表地と裏地が同じ生地ですが、マチ同士ピタリと合わせ仮縫いステッチ。

この時に、重なった内側のマチが引っ込みがちです。

この引っ込みのまま行くと、縫い目がずれて内側を縫い外す懸念が起こります。

よって、この時点で仮止めステッチをし、少し内側のマチを1mm程のわずかな分量出し気味にして、1cmくらいの部分を縫っておくのです。

内蔵巾着袋は裏地付きの二重仕立てなので、マチの重なりというのは、合計4枚分です。

4枚重ねの仮固定完了:この後裏地のマチに更にこのまま挟み込んで、縫い代1.5cmのところを重ねて縫い付け。

一度にやろうとするよりも1ステップ踏んだ方が安全であり確実です。

強度もこの方が必ずありますので、必要なステップだと考えています。

出来上がりでは、このように安全を考えて二度にわたってステッチされているなど、決して目に映ることではありません。

この場面は大変貴重な場面だと思っていただければ。。と思います。

この仮固定の縫い線は1cmでしたので、裏地への縫い付けの時の1.5cmの縫い代内にちゃんと隠れてくれます。

ということで、以上の2箇所が、バッグの中の内蔵巾着袋が実際にバッグに出来上がっときには見ることのない、途中段階の今でこそじっくり見ることのできる構造の部分でした。

あとがき

手の込んだ仕立てはハンドメイドならではの強味です。

量産品には、対極なお仕立てで注目される方が断然良いと思います。

今は隠れて知られていない部分なのかもしれませんが、これらをいくつも地道にやっていくうちに、内部が見えなくてもパッと見て「何か違う!」という存在に、そして「信頼」を得られる製作になると思います(^-^)。

ロックミシンの最終の糸始末は結んで玉止め、ロックがほつれにくく丁寧なお仕立ての極み【639】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

2020年より、ロックミシンを一部使いする製作の機会をいただきました<m(__)m>。

デニム生地で作る雑貨品は、ほとんどが裏無しの一重仕立て。

一重仕立ては一見簡単そうですが、縫い代の始末の悩みが増え、むしろ裏地付きよりもごまかしがきかない難しさがあるのです。

裏地を付ける場合は、縫い代が内部にそのまま密閉されますので、縫い代が裏地内で守られ傷みが起こりません。

縫い代の傷みは外部との接触でほつれていくことが多いですので、閉じ込められた状態であれば問題ないわけです。

このたびは、一重仕立てでポケットを縫い付ける場面などにおいて、見えない部分の丁寧なお仕立ての1つとしてロックミシンの始末の「玉止め」の場面をご紹介したいと思います。

更にそのロック部分の縫い代を視界から隠すというアイデアは別の記事【716】の投稿で綴らせていただいております。

そちらもセルヴィッチデニムの一重仕立ての例ですので、当記事の続きとしてお立ち寄りいただければ光栄でございます。

ロックミシンも表立って見える部分ではないのですが、のぞくと目に映るようなポケットの内側などの場所では、縫い代を綺麗に始末する意味が非常に重要になります。

このたびは、ロックミシンの糸自体の始末をそれぞれの区切り目において「玉止め」をしている者の「決まり事」をご紹介したいと思います。

ロックにも玉止めが有効、ロックの糸をどのくらい残すと結び目が作りやすいのかの解説

では、玉止めをしていく様子です。

ロックの最後の糸ループを多めに残します。8cmくらいがグッドです。5cmだと結びにくいです。
よく手縫い糸で、ボタンを付けるなどの時にほどこす玉止めと同じで、一度コマ結びをします。これだけです。
角の先端に結び目がちょんとできました。その結び目周辺3-5mmでカット。
ツンと残り糸が出ますが、どのみち、縫い代内などに隠れます。
玉止めをしないプチッとカットしたままだとほつれることがあり、しっかりと解決したい場所です。

あとがき

やや我流ですが、人間が考えることなので、きっと同じようにされている方がいらっしゃるのではないかと予想しています。

自然でシンプルなやり方なので、余計なことをしなくてよいから、クセにしてしまえば、その後は当たり前の作業となっていきます。

丁寧に仕上げる策の1つとして、こんな影の部分も実は効果があるのです。

ちなみに今回登場の生地は、25ozデニム(ヘビーデニム)。

ロック糸は、「フジックスシャッペスパン」の#90の薄グレー色でした。

ミシン屋様がおっしゃるには、ロックのミシン糸は90番ではなくても、50-60番糸でも良いそうです。

ほつれにくいのは、90番よりも50-60番でしょう。

ただ90番の方が在庫の減りが少ないので糸が有効に使えます。

よく情報を知らない内に調達した糸はたまたまのセット購入のお得な出会いもあり、それが90番だったことと、デニム用にと考えデニムの裏面に色がなじむミドルグレーを選択。

デニムに90番も相性が悪いわけではありませんので、生地の厚みとロックミシンの番号のギャップなどは特に考えられていないようです。

その他、帆布やゴブランなどもなかなか裏地付きが困難なこともありますので、同じようにロックミシンの縫い代始末を引用すると良い場合があると思います。

一重仕立ての縫い代始末に困った時は、ロックミシンに助けてもらうという手があることを思い出してみてくださいませ(^-^)。