ドキュメンタリーではないフィクション映画から得られるファッションビジネスの視点【719】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「日本経済新聞の夕刊」の一番最後のページに1週間に一度、新作映画の紹介のコーナーがあります。

邦画、洋画問わず映画のいち早いレビュー、記者様やライター様がすでに試写会などに参加されてか、公開の数日前に投稿されます。

ここ最近はこの情報でファッション映画を見ることが増えました。

今回は、ここ4日程前に封切りの「テーラー 人生の仕立て屋」を鑑賞。

EU離脱の危機のギリシャが舞台。

露店商があちこちにある風景が異国情緒あふれて印象的です。

このたびは、この映画から1つ「ビジネスの方向転換」という視点でこの映画の見どころとしてアウトプットしたいと思います。

元は老舗の「オーダーメイドスーツ屋」、「ウェディングドレス屋」への思い切った転換のベースの変わらぬ技術と誇り

今まで男性専用の紺・グレー・黒のような色味の世界、そしてウール素材のずっしりとした重厚感ある素材から、白やピンクの全く違ったカラーの世界、そしてレースに華やかなお花をまとったふんわりとした素材へ。。

この先続けていくためには、転換を図らねばならないという危機的状況の老舗テイラー。

父が長年名だたる人達のお誂えとして請け負ってきた型紙が残る中、時代の流れと共にその方達がどんどんこの世に別れを告げていき仕事が激減。

そして、当の父さえも病に倒れます。

そこで、その息子がどう引き継いでいったのかというのがこの映画に表現されています。

それは、思い切った女性もの、しかもウエディングドレス専門の特化型へ「シフト」したのです。

今まで、過去に固執し紳士服以外認めなかった父が、そのドレスをチェックしし、「良い仕立てだ」と。

ここに1つの答えがあります。

技術は何ら変わらないそのままで見かけのデザインや素材だけをシフトさせたビジネスの転換の仕方だったのです。

バリバリのスーツで身を包んだ男性が女性のドレスを販売、行商型で、青空マーケットみたいな空の下で採寸するその姿がコメディとして私達を笑わせてくれました。

ギャップと面白い違和感はとても微笑ましい光景であり、根底にあるものは決して譲らなかった息子の新しいビジネスの発想が多くの人をうならせます。

あとがき

事業を本当に撤退せねばならないのか、何か策はないのか。。という危機的状況のヒントになります。

ちょうど「コロナ禍」での映画であったことで、そのタイミングとしては抜群。

辞めずに続けていくためには、「シフトするだけ」という考え方は1つ引き出しとしては学べるものです。

技術などは到底短い期間で変えられるものではない不動のもの。

何かを変えて、根底にはそのままの技術がそこに存在していれば、成り立つという勇気をくれた映画です。

「0なのか100なのか」という極端な考え方ではなく続けていくための策ならば、大変嬉しいことであり躊躇せずに選択すればよいのです。

例えば、「ピアノの講師」という職業も生徒にピアノの技術ノウハウを教えるという存在からのシフトとして、癒し効果のある音楽専門の演奏や作曲などの形をヨガなどの事業者へ販売するなどの事業などを思い浮かべてみました。

どんな事業にも「方向転換」のタイミングはあるかもしれない、その時にこれまでの「技術と誇り」を残しながら続けていく方法を探す時のヒントになりそうです(^-^)。