確かに美しい正ダイヤキルトなのだが、実は装飾目的じゃない、凹凸感のへこみの部分が接触を避け傷みから逃れる重要な役割【869】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在リュックを製作中でございまして、このたびは、全体の製作の中では最後の章のような「表地」の製作です。

表地は最初にキルトをかけ、キルトシートを製作するところから始めていくのです。

製作の順番が意外にも、内蔵巾着袋からスタート、裏地、表地というように表地が一番最後になるのです。

先に作っても保管になってしまうので、望ましい過程を工夫したところこんな順番になりました(^_^;)。

このたびは、表地にかける3cmの正ダイヤキルトについて深堀りしてお伝えしたいと思います。

キルトが「装飾」なのか「機能なのか」という以前のイメージがもしかして覆されるかもしれません。

装飾性に目が向きがちなキルトは丹念に仕立てた結果の美しさに過ぎない、外部とのまともな接触の回避の機能こそが真実の姿

まずは、キルトの中に挟み込む中綿とハード薄芯の様子をご紹介します。

中綿は、意外に薄め。5mmくらいはありますが、透けて向こう側が見えるほどの薄さ。これで良いのです。
前面から順番に、接着芯が貼ってある表地、中綿、ハード薄芯の順にサンドイッチします。3cmのダイヤキルト。
ダイヤキルトは、玉結び、玉止めを1ステッチずつ行います。ほつれ防止と丁寧なお仕立てを追求したものです。
キルトの構造:断面から見ると分かりやすいです。ステッチされたところはへこむこの構造こそが重要ポイント。
ダイヤキルト有り/無しの違い:かけた方が安定しますし、いかにも傷みにくい丈夫さも感じます。

まず、この左と右の見た感じの違いですが、全体に均一に散らばるような柄は、柄がつぶれるなどの悩みはないです。

ぱっと見は、華やかになった思われるかと思います。

ただ、その見栄えの装飾性の変化だけではないのです。

キルトをかけたことで、凹凸感が生まれ、この構造がリュックになって使用する中で、接触する面を少なくしているのです。

へこんだ部分は、触れにくくなっていますので、それが全体の構造であるとなおさら効果は大きいのです。

まとめますと、2つの影響で良質さが追求されまして、①ステッチの縫い付けによるしっかりさ、②出来上がった凹凸の構造は外傷から回避する働きです。

あとがき

このキルトは多くの方の記憶にあるハイブランド様のバッグが浮かんだと思います。

おそらくなのですが、某ハイブランド様もこの機能性を重視して、定番素材として長年バッグに引用されているのではないかと思うのです(想像に過ぎませんが)。

長く使う中での丈夫さをその時になってもいない今想像することの難しさ、そして同時に大切さが重要な学びです。

そういった製作は、ファスト的なその時だけ難なく通り過ぎ売れていけば良いという短期的な考え方と対極にあるものです。

この起こってもいないことを想像する製作は、この先もっと高めていきたい姿勢です(^-^)。

文化の違いかヨーロッパ製のスカートには付いていないことも。。引っかかるデメリットを持つ「スプリングホック」が必要な時【181】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

古着のワンピースがとても好きなのですが、ワンピースには決まって付いているものがあります。

それは、スプリングホック。首の後ろにちょこんと1セット付いています。

スプリングホック:スカートではインナーに引っかかり、ワンピースでは髪の毛に引っかかることがありました。

古着ワンピースを購入後手元に届いた瞬間最初にすること、それはスプリングホックを外す作業なのです。

引っかかるデメリットがあるスプリングホックは本当に必要か、一方コルセットなどには欠かせない「衣」から「医」への垣根越え

ワンピースから着用前に取り外したスプリングホック・・・これまで幾度もこのことを繰り返してきました。

スプリングホックは、ワンピースでいうと、ちょうど首の付け根周辺に位置し、その位置が髪の毛に触れると髪の毛が引っ掛かるのです。

その不快感といったらこの上ないもの。

スカートのスプリングホックも同じようなことが起き、インナーレースに絡む時があったのです。

そもそもスプリングホックにある役割があるはず、付けることによってメリットをもたらすから存在しているはずです。

よって、別の見方を探り、「留め具」としての役割の果たし方を探ります。

1つ分かったことは、ラインのキープです。

スカートでは、スプリングホックはコンシールファスナーとセットで取り付けられることが多いです。

体のさまざまな動きによりファスナーが開いたり、引っ張られたりした圧力がかからないように固定してくれているのがスプリングホック。

プリングホックが取り付けてあると、安定してスカートやワンピースがファスナー部分でVの字に開かずにクローズされたラインになります。

本来、衣服は体のラインを美しく高めるツール、体に密着できるような美しい線を作ってくれる役割も果たしてくれているようだと気付いたのです。

そして、更にこのようなアイテムに複数が並んで使われていました↓。

ブラジャーのスプリングホック:「脇高」などと健康志向に作られたブラジャーの留め具はなかなか立派な構造。

腰を痛めた際の「医療用コルセット」などは、同じことで、もっとスプリングホックの数が増えます。

活躍するべき場所では活躍していたのです。

自分には馴染みが無い場面で使われていると不必要に感じてしまうこともありますが、それは「井の中の蛙」。

「大河」には、もっと大いに「機能」として使われている場面が多々あったと言えます。

ファッション分野のみならず、広い分野に渡り垣根を超えた使われ方をしている実態が確かにあったのでした。

あとがき

スプリングホックの必要性について、不必要派だった者が、一度フラットになって考えてみたことです。

こうした考察は、自らが製作するバッグ製作へのヒントになってゆきました。

ファッション分野では見かけの薄っぺらい装飾性を重視しがち、良くない見方だと思いました。

特に、古着などでも、なぜこのようなデザインになっているのかのその奥を読み取ると、もっともな理由が見つかるかもしれません。

そうしたちゃんとした理由があるデザインというのは、最終的には「美しさ」に繋がっていくと見ています。

「機能美」という言葉は、そういったことをよく表した表現です(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク