ネックレスだけだと昭和感が出過ぎる、先祖の箪笥に眠っていた鼈甲ネックレスの細部を丁寧に研究するすすめ【563】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

先祖の箪笥の中に眠っていた遺留品や整理整頓の際に「買取」に持って行ったり転売することも多い昨今。

ただ、買取は地金ありき。

連をつなげたネックレスなどは、たとえその天然石が価値あるものであったとしても現代では18金が入っていなければ評価は低いです。

それならば自分で装うために受け継いだ有難いジュエリーとして利用することを考えてはどうでしょうか。

このたびは、かなり難易度のある鼈甲の装いをいかに昭和風さながらではなく、新しい装いにならないかと研究に研究を重ねてたどりついた1つの装い方の例をご紹介したいと思います。

ネックレスだけを「ドーン」と見せるのは解釈粗め、もっと細部まで形や色を愛で、素敵にしてあげる心使いは先祖への敬意でもある

このたびの主役のネックレスはこちら。

オレンジ鼈甲とも呼ばれますが、別名「白甲:しろこう」です。

なぜオレンジなのに白と呼ぶのかには理由があります。

鼈甲は、暗いもので真っ黒に近いものもあります。

それとの比較で、おそらく写真の無い時代に、間違いのない区別として明るい方を「白」と呼んだのではないでしょうか(あくまで私見です)。

〇ネックレス:オレンジ鼈甲(べっこう)通称、白甲(しろこう)と呼ばれます。42cm。留め具は、K18YG。
留め具は、K18の刻印入り。引き輪、ダルマ板、左右のつぶし玉に至るまで18金で設置しました。

珠の一番大きめで、長さ1.5cmほどのサイズ感とボリュームのあるお品です。

少し余談なのですが、ヴィンテージ物のネックレスの証(あかし)として、Uの字の先端に近づくほど珠のサイズが大きくなるというデザインになっています。

これには理由がありまして、同じサイズの珠(たま)をつなげるとほぼ円形になるのに対し、この配置は縦長のU字ラインを美しく作ってくれるのです。

ヴィンテージらしいU字ラインの秘密はここにあったのでした。

さて、このネックレス、見ただけでインパクトがあり「おーい」と突っ込みたくなるようなパンチです。

これを昭和ではない現在の「令和」に装う勇気が必要です。

とは言え、ただ持っているだけでは意味がない、着用できるものにしていきたいと考え、2021年に思い切って一歩を踏み出します。

そして、ネックレスが目立ちすぎない同じ素材のブレスとリングを同じ白甲で点在させるという案です↓。

白甲のセット:オレンジはすべて鼈甲のオレンジ(白甲)。リングにはもう1つ「洋」の雰囲気を追加。
〇ブレスレット:白甲(しろこう)のバングル、やや細口で幅は6mm程。

ここまでで1つお伝えしたいのが、「四角フォルム」もそろえていることです。

ネックレスの1珠(たま)は白甲の中でも球体、ひし形、チェーンタイプなど様々なデザインがあると思うのです。

その中でも譲り受けたものが四角いフォルムをしていたことからこのバングルのイメージに繋がっていきました。

「輪」の巾広は正面から映る時に四角いフォルムに映りますので、どう映るのかを考えるとなかなか足並みそろい、相性が合ったと思えます。

そこへ同じ「輪」の平打ちリングの幅広を発見です↓。

〇リング:左-白甲(しろこう)リング。9mm巾、13号。右-K18YG台のフラワーマルチカラーリング、14号。

急に洋風なリングも重ね付けに取り入れていますが、このリングも行き場が無かったのが事実。

お花モチーフはクセがあり過ぎて難しいのでよくはみ出します。

そこへこのようにオレンジにもなじみ出番があったことで、フラワーリングも「はみ出し者」から「仲間」になることができたのです。

細かいことを言うならば、フラワーの形も今回の場合四角には比較的合う形だったのだと思います。

あとがき

YouTube動画でもお伝えしましたが、白甲だけよりも、「洋」の雰囲気があるマルチフラワーの存在の追加は貴重でした。

1色だけの差し色だと偏りがちなところを緩和してくれる役目があるように思えます。

とにかく、ヴィンテージジュエリーで難しいのがこうした「連」のタイプだと思います。

特に白甲は、「オレンジ色」という難易度の高い色でどうしても差し色になってしまいます。

よって、「浮き過ぎない」という工夫を入れていくのが良いと考えます。

この写真がたまたま背景が黒ですが、お洋服の場合柄物にオレンジも混じるものへなじませていくなどがかっこよくヴィンテージジュエリーを活かす方法だと思います。

黒ベースのワンピですがオレンジが混ざるジャガードの花柄。ここへなじませるようにネックレスを装います。

多くの方が箪笥で眠っていたこうした先祖のネックレスに対してまさか自分が装うなんて考え付きもしないかもしれませんが、十分に可能だと思っています。

今後お洋服も一世を風靡するような流行が出るとは思えません。

それよりも古い時代のものを素敵にアレンジした取り入れ方が物を大切にし、無駄の多い「廃棄」ということからの脱出につながるかと。