バニティバッグの「わ」の重なりを出来るだけ薄くスタイリッシュに仕上げたい、ハード薄芯を部分的に貼った成果【395】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ボストンバッグやバニティバッグでよく出てくる仕様が「生地同士の重なり」です。

これは致し方がないことであり必要な仕様です。

とはいえ、厚みがあり過ぎるとむやみに凹凸感が出てしまい不格好。

スタイリッシュに仕上げるためにこのたび、バニティバッグの「わ」の重なり部分からハード薄芯を省略するという方法を試みました。

貼らないから弱くなったということでは意味がありませんので、強度もキープしつつ余分な厚みを失くすという調整が目的です。

この厚みと強度のバランスをクリアできれば、やや厚みがある生地でも製作できる可能性が見込め、材料選択の幅が広がるのです。

そういったポテンシャルを秘めたとても重要な試みだと思っております。

中肉程度の毛羽立った生地を使用してハード薄芯を部分的に貼り、スタイリッシュにすっきりと重なり部分を仕上げる

このたび表地に使用の生地は、とてもエキゾチックな色の薔薇柄です。

表地-スエードプリント、ポリエステル/100%、日本製/裏地-エステルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。

ちなみに以前製作したリュックがあります↓。

この生地を使った2019年製のリュック:書類程度のマチの無いA4縦サイズです。

ところで、この薔薇柄の生地、「スエード」と名前には入っていますが、あくまで呼び名としてのもので、実際は「スエード風」ということになります。

近くに寄るととても高級感があるのが分かります。

織り方の中では、「ピーチ」というものに似ていると思いました。

桃の皮のようなその様相からの名前です。

アップの写真をどうぞご覧になってください↓。

非常に目の詰まった生地で高級感があります。縫う時にトントンというような特有の音がします。

これまでは、全面的にハード薄芯を貼っていました。

そのまま作った結果、最後の本体の「わ」の重なり部分が極厚になって縫えないという事態になることが多々ありました。

今回は、最初からそれを想定して、その縫えない部分を薄く縫いやすく針が通るようにする仕様を「定番手法」として考案してまいります。

あくまでも丈夫な状態をキープできる範囲内で、ということは忘れないようにします。

側面パーツ:接着芯は全面に貼ったうえで、端から4cm分にハード薄芯を貼らないゾーンを作ります。

この4cmの意味は、2.5cm分が重なる部分、そして、縫い代の1.5cmを足したものです(2.5+1.5=4)。

蓋のマチパーツ(下):ハード薄芯を貼らないゾーンを上の側面パーツと同じ分量もうけました。

効果が出た出来上がりのスタイリッシュさ

では、表地と裏地を1枚のプレートにした状態にファスナーも縫い付けたところでその効果を見てみます。

本体の「わ」の重なりの効果:端ゾーンが全体的に平たい状態にキープできています。
蓋のマチパーツの「わ」の重なりの効果:とてもスリムになったと感じました。

完成時に再び遠目でも眺めながらチェックをしますが、効果が出ていると率直に感じています。

あとがき

このたびの重なり部分の厚みを解消する対策は、本革レザーの1枚革で行われる、「縁の方の革を漉く(すく)」ということからのヒントをいただきました。

布は漉くということはなくても、「厚みを失くす」という目的が本革レザーと同じだったのです(^-^)。

あらかじめ「中表」に作ったプレート2枚を「外表」で組み立ててスタイリッシュに出来上がる分かりやすい構造の薔薇柄のペンケース【11】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「はぎれ」という漢字、「端布(はぎれ)」と書きます。

ところで、高級なお洋服などは、特に柄をきちんと縦横共合わせて縫製されています。

その部分が、贅沢品(ぜいたくひん)であったり、高級品であったりする証(あかし)となってきたこれまで。

その贅沢に作られたお品物の裏側では、材料の生地の多くが採用されずに、処分されたのではないかと想像します。

このたび、そんな想像を埋めるようなはぎれを存分に使った製作をご紹介したいと思います。

はぎれそのままを捨てることなく等分にカットしながら作っていく、型紙無しのペンケースの裁断

裁断の苦労は柄合わせです、そうでもない簡単な柄と種類によってかなり差があるものです。

例えば、チェック柄というのは、親しみやすい柄である一方で、この柄合わせに関しては、洋服やバッグやポーチにおいて、縦も横も両方合わせる意識をせねばなりません。

ストライプやボーダー柄であると縦か横のどちらか片方だけ合わせる、半分の手間となります。

また、水玉やドット系のある一定の同じ間隔の柄は比較的柄合わせは簡単で、柄合わせの必要がないものも多いです。

このたび利用させていただきました薔薇柄の場合は、ある一定のまとまり(「ピッチ」と呼びます)でひたすら繰り返されています。

「比較的大きめの薔薇の花が2個隣り合わせの部分」が1枚のはぎれの中で2回登場していますので、まずは半分ずつで使えると考えることができます。

そうしますと、チェック柄のような縦も横も柄を意識するという方向性の柄の味方になるわけですが、花柄というのは柄の向きも上下あるわけでその辺りは縫い合わせる前にチェックが必要です。

このたび使用するはぎれ:ダークなカーキグリーンベースの薔薇柄:縦37cmx横22cm

この柄はお花や葉っぱの向きはあえて方向性が無いようにプリントされていますので、向きは気にしなくて良いということになります。

この生地は、今回の記事の1つ前の記事の【10】で、低反発クッションを作った時のカバーの残りの生地です。

ペンケース製作過程、4等分し、2ピッチをうまく使い分けて裏地付きで完成へ

気軽に作れるようなアバウトな製作方法でご紹介したいと思います。

縦37cmx横22cmを4パーツに切り分けます。表地2枚と裏地2枚です・

裏に芯地を貼ってから、カットしました。

さらに、表地の方のパーツ2枚のみにハード薄芯を貼ることにしました。

ボンドでハード薄芯を貼り、端から1.5cmに印を付けます。

そして、端から1.5cmの部分に地縫い線用に印を付けて、上側の口を開けておいて、残り3方を縫います。

コの字型に縫い、アイロンで割って、ひっくり返します

アイロンで割り、入り口の空き1.5cmに印を付けて、ひっくり返し1.5cm中側へアイロンで折り込みます。

ひっくり返して、口を縫う準備をします。

この空き口というのは、結局は閉じて板状のパーツにしてしまうので、1枚の頑丈なプレートを作っていると考えたら分かりやすいです。

はぎれのうまい使い方で役立つアイテムを作る
空き口を縫う時に、引き続き1周ステッチで固めます。

空き口を縫っていく時に、その流れでそのまま全体にぐるり1週ステッチをかけます。

そして、ファスナーにこの後、縫い付けます。

ファスナーは外に飛び出しますので、端っこを、別布で縦6cmx横5cm程のタブを作り、ファスナーの先を包み込みます。

ファスナーの頭としっぽに、タブをくるみこんで縫い付けます。

そして、ファスナー本体に2本のステッチで縫い付けたら、表側から、縁の端から2mmほどのステッチの上をなぞる形で2度縫いで本体を合体します。

ファスナー取り付けに2本ステッチ(上)、本体縫い合わせとして2回地縫いステッチを表側からかけます(下)。

はい、これで出来上がりました。

最後は、大切なボールペン、シャープペンを思う存分入れます。

完成したペンケースに入れたペン計8本(まだ余裕あり)。<サイズ>縦6cmx横19cmxマチ無し。

確かに、ハード薄芯のおかげでしっかりしたキャンパス地程度の厚みになったのですが、入れなくても良かったかもしれないと思うこともあります。

    

あとがき

布を隅々まで使うことの気持ち良さを感じましたこのたび。

ほんの初期のペンケースでしたが、その後別のタイプも製作しています↓。

その他のペンケース:上から時計まわりに「袋型」「外表型」「水平型」です。

この度の作り方は、黒色の半月型のモデルの「外表型」へ発展しました。

ファスナータブなど飛び出さずにすっきりとシンプルに仕上がった改良をしました。

当ブログ記事は、過去の2019.03.16の投稿からおよそ5年半後の2024.08.18にブログ記事の「手直し」をしていまして、まさにこの部分は追記しています。

現在の2024年からは2019年は随分過去の製作でしたので顧みると随分お品物が野暮ったい印象です。

先程の写真の3点のペンケースは、もともとどれも生地が高級でしたし、すべて現在も手元で利用し続けています。

手作りは一度作るとよほど置き場所に困らなければずっと持ち続けることができることを実感。

できるだけ中身に入れる目的を最初に決めて、実用的であることもかえって長持ちの秘訣。

入れる物が考え付かない物は価値が無いということに繋がるのです。

無料であっても有料であっても使い道が無いものは喜んでもらえないことが想像できます。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク