ロックミシンのループの出来が綺麗ではない時の原因の1つ、「糸調子がね」にひっかかっていないのではないか」をまず疑え【1150】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ロックミシンは何か複雑な作りのような気がしてしょうがないです。

そんなロックミシンの中でも極めてシンプルな分かりやすい構造であるとの「JUKI:MO522」を2020年頃中古品で購入。

きっかけは一重仕立ての縫い代の始末に必要だったからです。

以前に【706】という記事でこの同じ「MO522」についてお伝えしていました。

その時の内容というのが、針が折れてしまった時の針の交換の時のドライバーなどを使ってネジを緩めたりする作業中心。

このたびは、焦点が違いまして、出来上がりのループが綺麗に出来上がらない原因を突き止めたという内容です。

最初にお伝えしておきますと、何が原因だったのかは「糸調子がね」という針金のようなダイヤルに附随した部品、ここから糸が外れていたことです。

どうもロックミシンは振動でも糸が外れやすいと思われますので、まめなチェックをお勧め、一度は通っていても途中からはずみで外れることもあるということです。

シンプルな構造のロックミシンならではなのか!?糸ループがぐちゃぐちゃの時の原因を探る時にまずチェックしたい「糸調子がね」

2020年中古品で購入の「JUKI:MO522」:極めてシンプルな作りのモデルとのこと。針は「HA-1」です。

糸は、現在90番を設置していますが、50-60番でもOKとのことです(ミシン屋様より)。

この右下の三角の溝に指を入れて(バネのようになっています)、内部がのぞけます。後ほどご披露いたします。
糸調子をミシン屋様に合わせてもらったダイヤルの位置。左右とも「5」がてっぺんに。多くをカバーできる中間。

こんな写真も保存しておくと、今後の糸通しの際に参考になるかもしれません。

通常糸は通しっぱなしがロックミシンの場合は良いです。

さて、このたびのハプニングなのですが、糸が通しっ放しであったのに、何かのはずみで不具合が起きていました。

糸ループの出来上がりがぐちゃぐちゃだったのです。

この時には、「糸が通っていない場所がある」と見るのが基本です。

こんな風にループになって出来上がるのが正常。2本並行になって途中でお団子が入ったりは不具合の証拠。
糸調子の基本的なダイヤルの位置:ミシン屋様にやっていただいて一切その後触っていません。
青い方のこの指の先端にわずかに針金が見えています。ここに糸がちゃんと引っ掛かっています。

これが、引っ掛からずにそのままだというのが多くの場合原因であったということが実体験データです。

さらに写真をズーム。針金が太く映っていますが、そこにちゃんと糸が引っ掛かっています。これは正常な証。
ここが左と同様の構造になっていて、同じように細い針金のバネに糸が引っ掛かっています。更に寄ってみます↓。
ちゃんと引っ掛かっています。ということで左右とも◎の状態です。

この度の原因は、この右のピンクの方の糸のひっかかりが何らかの弾みで外れて、気が付かずにいました。

ここに糸が引っ掛からずに難なく通ったかのような様子だったのですが、ここ1つ通っていないだけでロックが出来上がらないという重要な箇所となります。

それに気づくまでの時間が結構あり、この機会の学びによって今後はここを最初に見ていくということになりました。

ループが上手くできない不具合の時には、必ずここをチェックすることをお勧めします。

では、先ほど後でお見せするというお話の糸が通っていく内部の様子をどうぞ↓。

正面のカバーをオープンした内部の様子:ピンク(右)ダイヤルから来た糸はここを通っていきます。

一度下に向かったのに、V時に上に向かう経路には、おそらく糸調子を最初から整える工夫のような仕組みを感じます。

あとがき

【706】では不十分だった「JUKI:MO522」のその他のノウハウを当記事でお伝えできました。

実は、ロックミシンはあまり使わないのです。

バッグ作りはほとんどロックが必要ありませんが、ある時厚みのある生地で一重仕立てで巾着袋を作る時にロックの必要性が出てきたことというきっかけがありました。

本当につくづく思うのが、「イレギュラー」の大切さです。

このいつもと違う製作なくしてロックミシンのノウハウに足を踏み入れることすらなかったかもしれないからです。

ロックミシン機能は、家庭用ミシンでも縁かがり機能としてあるのですが、ロック専用とは随分その出来上がりが違います。

やはりロック専用のミシンのロック始末は美しく整っているのです。

ただ、このこと最後にお伝えしたいのです。

ロック始末の向き出しは、摩擦や接触には弱いので、擦れや傷みが起こりやすいのです。

ロックをかけっ放した製作ではなく、さらにそれを奥に隠すような工夫がさらなる上質な奥ゆかしいお仕立てになるのではないかと思うのです(^-^)。

一重仕立てで作るデニム・帆布・ゴブランに有効、ロックミシンの始末を袋の内側で視界から隠す方法【716】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

縫い代の始末は、裏返しの袋物にとってはいろいろ工夫する機会が多いものです。

かつて、某一流ブランドポーチの縫い代が何も始末をしていなくてそのままであったことに、とても納得できず、そのままひっくり返して、出来上がりのまま家庭用ロックミシンをかけたことがあります。

危うくて危うくて、使うにあたって安心できない不安定な心持ちになるようなお仕立てだったのでした。

それなのに「ロゴ」のかわいさ、いわゆる「ブランディング」の力がものすごいもので、手放さなかったのです。

量産品ということでああいった作りのお品を入れ込んでいるのか、それでも納得できるものではありませんでした。

それを手を加えてリフォームすることを拒むなどということをもし主張されたならば、本当に矛盾です。

そのポーチは仕事用のペンシルケースに使っていまして、毎日使っていますので、そのロックの効果は非常に大きいのです。

リフォームをしなければとっくにパンクしているところでした。

縫い代も5mm弱といった際どいもの、そのようなきわどい縫い代で作ることはありません。

ロックのおかげで購入後約20年程になるところですが、現在も良好でお気に入りのペンケースです。

そんな感じで、縫い代始末にはうるさい者が、そういった体験からの教訓を、ハンドメイド製作に反面教師で活かすということもしています。

今回は、ロック始末をするだけではなく、さらにそこから発展的に、視界に映る美しさを追求したお仕立てを「セルヴィッチデニム」の例でご紹介したいと思います。

セルヴィッチデニムは、一重仕立てで製作することも多く、その他帆布の厚みがある号数のものやゴブラン織り生地などにも同様に引用していただけます。

巾着袋が一重仕立ての場合のサイドの縫い代の始末のロックミシンの隠し方

一重仕立ての巾着袋を作る途中では必ず縫い代の始末の悩みが出てきます。

裏地付きというのがいかに製作しやすく、縫い代が隠しやすいものかを実感するのが一重仕立てで製作の時です。

こういった一重仕立ての分厚い生地で作る場合に縫い代が丸見えなのです。

そこで、あらかじめ最初から四角いパーツの四方にロックミシンをかけてあります。

それでも、袋の中をのぞいた時にロックミシンが丸見えでは、高級感が半減。

その先の、一歩も二歩も踏み出した積極的なお仕立てがございます。

両端部分の拡大写真:地縫いの後両割れ15mmの半分7.5mmをアイロンで半分に折り、真ん中にステッチ。

その真ん中がおよそロックミシンの幅の右端に当たるので見た目が綺麗。

この後再びアイロンで両割れのクセを付けると落ち着きます。

そして、袋の中をのぞいた時に下のような見かけになります。↓

整然とした縫い代始末:視界には、ロックミシンはめったに映りません。裏側に隠れているからです。

このロックミシン隠し効果は、摩擦によるほつれの防止という機能とデザイン性あるコントラスト効果の美しさの両方です。

あとがき

今回のようなこのロック始末の仕立て1つにしても、「美学」がそっと入れ込んであるのです。

こんな風にして様々なヶ所、様々な品物に、「技術」とか「哲学」を入れていこうと日々思案しながらの製作になります。

一度、そんな目で細かいヶ所を見ていただくと、「一流ブランド」として現在も君臨の「ハイブランド」様達がなぜあのような座をキープできているのか、なぜ継続して広く人々に注目されているのかということの裏にある驚くような研究と努力が理解できるかもしれません。

「ハイブランド」様から感じた良質なお仕立ての姿勢を参考にしながらの研究の成果です。

真似をしたり、コピーしたりということがいかに表面的で実りのないものかということ。

そこに目を向けるよりも、もっと本当の奥にある「精神」や「姿勢」の部分に注目して、「ハイブランド」様の優れたところから学ぶべきなのです。