手持ちの残布だけで作る限られた長さの生地で長いベルトを作るヒントにどうぞ、2枚ハギの別生地2色で作った共布ひものつなぎ方【1207】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、<パッチワーク企画>という多数のパッチワークパネルで表地も裏地も製作するナップサックを製作中です。

その中で1つご紹介したいスポットがございまして、2枚ハギの共布巾着ひも作りの場面です。

今までは、生地幅一続きを裁断する手段しか考えておらず、150cm強の出来上がりに対して、選ぶ生地に「幅広生地の中から選ぶ」という条件がありました。

しかし、150cm以上もの広い巾の生地は正直レア、なかなか見つかりません。

かといって縦で裁断すると生地のロスが多く、コスパが悪くなるのです。

よって、横向き裁断のままで、1パーツを生地幅すべてに対応する長さ80cm程度にし、2枚ハギを繋げるやり方を考えました。

近いカラー2色コンビの2枚ハギで1本につないだ長いベルト、ナップサック全体には程好く馴染むバイカラーデザインパーツとして成り立った

左の生地は、麻/55%、ポリエステル/45%。右の生地は、ナイロン/100%。土色と砂色のコンビで接結完了。

この2色は比較的色が類似なので、バイカラーといえども馴染むようにバッグ全体に配置できます。

気になる真ん中のハギ目の位置につきましては、実際にホールに通すと内側に隠れますので、目に映らない位置に配置されるという偶然にも恵まれるのです。

ショルダー2本分:バイカラーながらなじむ映りです。3本ステッチが美しいのですが、その後4本ステッチへ発展。

もとは、5cm巾の80cm(縫い代込み)の型紙を1cmの縫い代で合体して、ハギ目で▲1cmx2箇所、端同士の縫い代▲1cmx2箇所の合計▲4cmが差し引かれて、160cm-4cm=156cm。

約155cm程の出来上がりの長さで、Dカンに設置時に「わ」になる部分が5cm持っていかれることで▲5cmという差引により、結果出来上がりが150cmのショルダーに出来上がるのです。

こうした安定的に常に150cmで徹底できるのも、2枚ハギにしているからこそ。

内側に接着芯をフルに貼り、観音開きで4枚が重なり丈夫になっていきます。

そして、更にステッチが内部に縫い付けられて、ハギ目の両端にもステッチを走らせてみました。

ここまで徹底した作りのショルダーが丈夫でないわけがありません。

出来上がり巾が、1.2cm程の華奢なタイプながら、十分な強靭さを追求したショルダーとなりました。

あとがき

今回のショルダー/巾着ひもは、<パッチワーク企画>最後の4点目(記事番号はすぐ次の【1208】に取り付けるものになります。

もう間もなく4点目のナップサックも完成し、パッチワーク企画が終了となります。

<パッチワークシリーズ>の最終で今まで全4点を同時に比べる投稿(記事番号はさらにその次の【1209】)を致します。

このたびのエコロジーな砂色や土色のショルダーがナップサックの完成品の中でどんな存在になっていくのかもお楽しみにどうぞ(^-^)。

生地をコスパ良く使うためには良質さをキープしながら実現可能、地の目に逆らった横取り裁断可能なパーツ「ベルト」「ポケットの袋布」【1201】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

生地は製造された直後からは、「原反:げんたん」と呼ばれる紙製の長い筒棒に巻かれ保管されます。

生地屋様には、原反の状態でお店に並んでいることがほとんどです。

ネット販売でも、原反の写真が入ったショットも写されています。

まず、原反で見る、生地の地の目のお話を先に致しまして、生地を材料に製作するケースの大切な「基本」を解釈する際にご参考にどうぞ↓。

「原反:げんたん」がアパレル業界用語。多種の製造分野における位置付けとしては「反物:たんもの」とも。

巻いてある生地を開いていきますとこんな風に見ることができます。

「人」では、人間が「天地の向き」に立った時にこの矢印の方向が「縦」で、顔に耳が両サイドに付いています。

原反も人間の配置と同じで耳が左右に位置するという見方、矢印が生地の地の目で、縦方向に当たるのです。

経糸(たていと)と、緯糸(よこいと)の紡ぎ構造で成り立ったアイテムが生地であり、生地の耳は細かく穴が開いた少し違う様相をした端っこの部分です。

あのほつれない分厚い耳の部分は安定していて少し厚みが感じられます。

そして、縦向きの性質としては、生地を引っ張ると硬いこと、横向きは生地を引っ張ると少し伸びます。

これは織物であってもこの特徴があることがこの度の重要ポイントになりますので、ここでお伝えしておきたいと思いました。

基本的には地の目通りに裁断が望ましいが、コスパの良い型入れ(マーキング)も大切、本来の地の目に逆らった横取り裁断が可能な2パーツ「ショルダー」「袋布」

生地にも無地やプリントやジャガード等いろいろな種類がありますが、基本的な糸の重なりの構造は縦向きが正しい向きとして製造されています。

プリントが分かりやすいですが、天地があるような木や木の実が入ったボタニカルな柄は、絵画と同じように、木の幹が下側で葉っぱやお花が上の方という「向き」を持ったものです。

プリント柄も使いやすいように、あえて、向きが上下どちらでも可能に配慮されているタイプも多いですが、縦と横に関しては、必ず向きが必ずあるということです。

そうしますと、地の目に沿う裁断こそが本当の意味で美しく作り上げられるということです。

こうして、地の目を意識して型紙を配置していくわけですが、そうもいかないことも出てきます。

例えば、限られた最終の裁断スペースで、「このパーツの向きさえ変えれば上手くおさまる」などの状況があることもあります。

そして、これまで多くの裁断をし、多くのバッグを作ってきた経験から次の2パーツに関しては、特に本来の縦向きではなくて、横向きに裁断した方がコスパが良く、生地をエコノミーに利用できることが多い例になります↓。

①長いショルダーパーツ:100cm以上のようなリュックや取っ手を含む長い支柱などは横向きで裁ちます。

本来なら、ショルダーや支柱を含む取っ手などは、縦向きに出来上がりますので、縦に2本並べて裁断するのですが、長いものは、生地の巾(横の長さ)を利用した方が効率的です。

これをなんとしてでも縦で配置すると、その残りの生地の使い道の配分が悩みの種になるのです。

ショルダーは、力のかかるパーツなので縦向きの方が良いのではないか。。ということに関しては、その後の対策があります↓。

横向きで伸びる方で裁断したというデメリットをカバーする、その後の、接着芯全面貼りがまず1つ。

続いては、観音開き折りに仕上げる厚みの増加、更に仕上げのステッチの本数が豊富であることでベルトがしっかりとしたものに仕上がり、「向き」が本来の方向ではないというデメリットをはるかに超越していくのです。

よって、裁断の向きのデメリットはその後の製作面での工夫で十分フォローできるものだと考えています。

②ポケットの袋布パーツ:セットのフラップは正向きで配置していますが、袋布パーツは本来縦で「わ」。

ポケットの袋布も、「わ」で作っていますので、縦に長いのです。

意外にこのポケットの袋パーツが面積を要するものだということが分かっていまして、それでもゆったりとした容量のポケットを作りたいことから、横向きに配置するとコスパが上がります。

ポケットの袋は無地であれば、横向きに裁断したことで何か問題が起きるのかというと「大丈夫である」とお伝えしておきます。

このように、横向き裁断可能な上述の①と②の2例は、実際に取り入れている方法でありまして、特に1つ目の細長いショルダーパーツは毎回です。

ポケットの袋布は、それに比べたら滅多にはないですが、こういった場面が過去に何度か出てきました。

では、すべてのパーツに対して向きを無視した場合どうなるのか。。当然ながら良質なお品にならないと思います。

それほど、生地の地の目が感じさせる整った「風合い」も重要なのです。

まとめますと、基本的には地の目向きで裁断が良質なお品を作ることは正しい解釈です。

ただし、隠れた部分や、その後のフォロー作業が効く場合であれば、縦に長いパーツは横向き裁断をしても問題ないということです。

あとがき

接着芯も、裁断した生地の向きにそろえた接着芯の地の目で馴染ませることが望ましいです。

柄がパッと華やかなタイプに依存し過ぎた製作は、なかなかこういったことを見落としがち、まっさらの無地や織柄が特徴あるものも含めた生地全体を常に俯瞰して見ることです。

本来のベーシックな部分の「原反」というところから生地という材料を利用させていただいているのだという見方、是非大切にして下さいませ(^-^)。

難関を突破したい、樹脂ハンマーで優しくつぶして成し遂げる11オンスデニムの四つ折り同士の縫い合わせの成功策【1065】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

前回の【1064】の記事では、デニムなどの緻密な硬い織りの生地がさらにミシン製作の時に重なって、ミシンで縫い付ける際には難関箇所となる場面をご紹介。

クリアの仕方の1つとして、事前にミシン針で空縫いをして穴を開けておき、2度目に糸付きで縫っていくという策を究極のケース限定として【1064】ではご紹介したのでした。

今度はもう1つの策を引き続いてご紹介したいと思います。

実は、【1064】でもミシンの押さえを降ろすことで少しやっていたとも言えるのですが、対象の箇所をハンマーでたたいてあらかじめ平たくつぶしておくという策です。

折り伏せ縫いと三つ折りが重なるジーンズの裾上げでも必ず登場する箇所でありますので、お役に立てるかもしれません、是非ご一読どうぞ(^-^)。

金づちよりも優しい感触の樹脂ハンマーを使ってみた生地の重なりの「つぶしが効いた」瞬間

分厚いデニム生地を観音開きの四つ折りで(4枚が重なる)、ジグザグステッチをしました。
こうして見てみるといかに厚みがあるかが分かります。家庭用ミシンでは厳しく、職業用ミシンベースの作業。
まずはアイロンで熱を加えることで、柔らかくして曲げて、熱がホットな内に作業してしまいますことも1つの策。
曲げたわの部分の先端付近を優しくこの「樹脂ハンマー」で8回ほどたたきます。布との相性はソフトで◎。
樹脂ハンマーでやさしく8回ほど輪の部分をたたきました。端から端まで均等に。。
アイロン+樹脂ハンマーでわの先端がかなりつぶれて厚みが解消されました。ここで、ステッチをかけます。
わの部分を縫います。
はい、出来上がりです。糸目も飛ばず、糸も切れませんでした。糸はスパンの60番。デニムは11ozです。

あとがき

このハンマーでたたくコツはおそらくいろんなリフォーム屋様で使われているはずです。

せっかく丈夫に作ろうと頑丈に仕立てたのに、逆風として難関の縫いとなることは数多く経験してまいりました。

樹脂ハンマーの他には、「木槌:きづち」が使われることが多いと思います。

こんなに大変だったら、ジーンズも仕様を変えたらよいではないかと思われるかもしれません。

しかし、折り伏せ縫いこそジーンズの「証」であり伝統的な丈夫さを追求した作業着ならではの「デザイン」であり「機能」なのです。

この、後の困難を伴うことをあえてデザインに配した別の目的に注目しますと、お品物が作られたその細部の「理由」や「哲学」が見えてくるはずです。

反対に、そのような理由が到底見つからないものは、まだまだ追求が甘い未熟なお品物であると言えるのです。

「おやじポーチ」を軽視するなかれ、素朴ながら容量確保のコンパクトさがとても参考になる【618】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「おやじさん」というような人が持っているバッグを新モデルに引用させていただいたことがあります。

街角でばったり出くわした「おやじさん」を横から拝見、開けていたバッグは、四角くてマチがたっぷり。

その中には、いろんなカードが入っていて、少しのぞかせていただいてしまいました。

楽しいカードや券がたくさん詰まった容器をそのまま持って歩くようなスタイル。

このセカンドポーチさえ持って出れば気まぐれに年金生活をエンジョイ♪(あくまで想像です)。

そして、その素敵なモデルに感化され、思いっきりエレガントなイタリア製生地でミニボストンバッグを製作したのです。

ファスナー付きでカーブも入りまして、「おやじさん」には足りなかった「ショルダー」を加えたモデルです。

このたびは、この例から、ヒントはあらゆる人々から得られる可能性があり、あらゆる場面においても可能性があるというお話になります。

着想はメンズ用バッグから。。同じようなデザインでも雰囲気が大きく変わるエレガントな生地への落とし込み

「まえがき」のもの。ミニボストンバッグモデルは、見かけた実際のバッグを持つ「おやじさん」からのヒント。

これがまさかメンズからのヒントとは想像しにくいと思われるかもしれません。

というのも、生地が思いっきりエレガントだからです。

この生地を集めていた頃は主に2019年、イタリア製の「フクレジャガード」「風通ジャガード」を夢中になって探していた時期です。

もう1点、街中(まちなか)でバス停でバスを待つ「おやじさん」の後ろ姿が印象的だったバッグがあります。

それは、ナップサック。

次の写真は、ナップサックに関しては初期型の1点です。

よくあるナップサックのような作りを真似てみました。ただ、きゅっと口をしぼる時の口の完全な閉まりは課題。

裏地を付けた影響から巾着が十分に絞り切れず口が完全に閉じないことに加え、蓋に関しても装飾的に付いているに過ぎません。

まだまだその後の改良が必要だと、これっきりこの仕様では作っていませんでした。

「おやじさん」が持つナップサックはもっと典型的なもので、薄っぺらくて、マチがなくて、きゅっと口が縛られているものでした(素材はナイロン/100%の黒)。

丈夫にしっかり作ろうと、裏地を付け接着芯を貼ったりすることで、どうしても口が閉まらない課題が生まれてしまうのでした。

ただ、ナップサックはずっと昔からあるデザイン。

学生時代に、学校のサブバッグとして使った記憶があります。

何十年も前からの不変のモデルは非常に注目するところでもあるのです。

その後ナップサックは、「口の密閉の課題」をこんな風に克服していったのが2023年の事↓。

厚み生地では到底口は閉まりませんので、別布をタブとして巾着ホールにする仕様を考えました。

その結果見事に口の閉まりの課題は克服です。

どんな生地にも対応できるためには、このモデルが有効だというところに行き着きました。

あとがき

かの有名なハイブランド様の、「シャネル」様の創業者の「ガブリエル・シャネル(ココ・シャネル)」様もメンズからのヒントで「ツイードスーツ」や「チェーンバッグ」などを生み出しました。

そんな知識をインプットした頃だったので男性の持ち物に目を向けていたところ、アンテナにひっかかったのが「おやじさん」の持ち物だったのでした。

たくさんのバッグをあれこれ持ちたい、「エルメス」様の「バーキン」を色違いで持ちたい(一緒の形やないかー!と突っ込みたくなる)女性。

一方、渾身の1点を長く使う男性、特に年配の方々。

なぜ、その1点を選んだのかの理由があったはずで、そこにこそ「ヒント」が隠れているのかもしれません。

複数持ってはいても、1点ずつに対する思いの深さがどうかは分からなところ。

むしろ1点しか持っていないそのバッグとの出会いの経緯などを聞けると何かが紐解けてゆくかもしれません。

メンズからのヒントというのは、一理あると思います(^-^)。