片面がツルツルで見栄えが良いのが表面、ねっとりして見栄えが悪い方が裏面、ナイロンオックス撥水加工生地の表と裏の正しい見分け【1257】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

過去に撥水加工生地に特化したバッグの連続製作により、撥水の種類や施工面の選択が1種類ではないことが分かりました。

「片面撥水」「両面撥水」と、呼び名も分かれます。

手にした生地がどちらなのかということは情報としては是非知りたいことです。

実際に初見ではよく分からないという疑問があったことをきっかけに、撥水加工生地の色展開が豊富な「大塚屋」様にお話を聞くこともできたことを含むレポートとして実物を例にこのたびは、見分け方をお伝えしていきます。

「撥水剤の表面とコーティング剤の裏面のコンビ」という見方が正解のナイロンオックス撥水加工生地、サラサラは表、ねっとりとした方は裏で合っている

表面:ナイロンオックスはっ水加工、ナイロン/100%、日本製。こちらの表面の風合いが表に見せるに相応しい。

今までその映りの良さからこちらを表として利用してまいりました。

よく聞く、生地の耳の穴の開け口の向きなどは一切あてになりません。

その観念はこのたびは除外、あくまでも目で風合いを見ていく判断とします。

「基本的に生地は、どちらの面を表面に使用しても良い」という生地屋様からのアドバイスもいただいております。

ただ撥水加工生地の場合、撥水機能がある方が表である方を希望しますし、見栄えの良い方が表である方が納得できます。

実際にご回答いただいたのは、こちらが表で正解とのこと、「ホッ」としたものです。

では、裏面を見てみます↓。

裏面:色が表面よりもくすんでいて、ネタ付きがあります。裏面のイメージに相応しい姿という分かりやすさ。

ただ、このまったりとした感じこそ、撥水剤ではなかろうかと混乱したことがきっかけで、それなら、表面には何も施工していないのでは。。と不安になり、生地屋様に聞くことを決意したわけです。

そして、そのお返事の結果、この裏面のねっとりしたものの正体は「コーティング剤」だとのことです。

この「ナイロンオックスはっ水加工」という生地は、「両面撥水」ではあるのだけれど、表面が「撥水剤」、裏面が「コーティング剤」というタイプの構造の両面撥水であると結論付けられました。

過去の面の使い方は、結果的には正解でしたが、何度もリピートしてきた生地、もっと早くに聞くべきであったかもしれません。

あとがき

両面撥水と一口に言っても、裏面も表面のような風合いだと、同じ撥水剤が裏面にも施工されている生地もある可能性があります。

また、表面の自然な風合いはいかにも撥水がかかっているという感じではないので、見た目だけでは分かりにくく、生地屋様の表示が大切になってきます。

よって「片面撥水」である場合はどちらが表面であるかは結構重要、場合によっては「片面撥水ならば採用しない」という思い切った決断もあるでしょう。

広い見方をするためには、このたびのような撥水生地の構造を目に見えない気体で施工されている撥水だからこそ追求していくべきだと思います(^-^)。

書き手:ピクチャレスク

雨対策ができる素材に関する疑問をクリアにしていきたい、①PVCとはどんな見た目か②合成皮革と人工皮革の違い③はっ水加工は劣化するのかの解明【179】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

本革(ほんがわ)がとても好きな私は、フェイクレザーの部類である、合成皮革とか人工皮革というものはどうも見劣りするように思えてほとんど手を付けません。

ただ、今まで一度だけ、「雨の日シリーズ」というハンドメイドリュックの製作を企画をした時に、雨をしのぐ役割というものが、本革には十分に兼ね備えていない性質だったので、合皮やPVCに活躍してもらいました。

この経験は大変貴重でした。

はなっから取り扱わないと決めつけずに、一度作ってみて自分でその思うところを感じてみました。

結果、雨の日に限って言えば、合皮やPVCはいずれ劣化すると分かってはいても、大変な優れものなのです。

こんな風に思えたのも実際に生地を手にして、製作してみたからです。

そして意外なのは、なかなか良い出来栄えになることです。

何かふんわりとした立体感があるのです。

これはPVCの風合いというか性質のたまもの。あながちPVCが必ずしも劣化の性質を持った100%悪い素材であるとは言い切れません。

とは言え、PVC混入の素材は、生地を空気に触れさせた瞬間から劣化が始まりますので、そんなリスクを伴う製作でした。

ただ、PVCも3年くらいまではほぼそのままだと思います。

その後からが10年までの間に徐々にひび割れたりしていくのです。

PVCだけでできているバッグの発見と合皮(合成皮革)に組み込まれることが多いPVCの存在について

私自信もこれまでそうだったのですけれど、何か本革以外の物をやたら、PVCだと呼んでしまったり、「PVC等の合皮類」と明らかに混同してしまった使い方をした時もあったかと思います(^_^;)。

今回、私はそのあたりをきちんとひも解こうと、YouTube発信の中のお話に備えて準備した調べによって区別をしっかりすることに努めました。

まず、PVCと合皮の違いという点は、その違いということをテーマにすること自体少しおかしなことなのかもしれません。

違うも何も、そもそも作りが違うのです。

分かりやすく、PVCだけでできたバッグと合皮でできたバッグという比べ方にしてみましょう。

PVCというのは、「ポリ塩化ビニール」を英語で表記した頭文字です。

見かけから分かりやすく言うところの、ビニールのような透け気味な素材です。

子供用のプールの時の透明っぽいバッグなどがそれにあたります。

あれは、純粋にPVC製と言ってよいです。

見かけが透明っぽくて分かりやすい様相をしています、こんな風に↓。。

「ダイソー」様で見つけた、材質が「塩化ビニール樹脂」と記載の、いわゆるポリ塩化ビニール製の透明バッグ。

タイトルの、「①PVCとはどんな見た目か」の答えがこのお写真で正解です↑。

これがまさに子供のプールバッグの素材に一致します。

これはこれで手にしてみるとかわいくてさわやかな雰囲気があります。

今この時点で将来何年後かにこれがバリバリに劣化するなどとは想像もつきませんね。

一方、合皮というのは、基布(きふ)という土台の生地があって、その上に合成樹脂と呼ばれるプラスチック系の薬のようなものを塗布してある作り、つまり2種の素材の合体の2重構造が合皮です。

混同しやすいのは、この二重構造の上に塗る合成樹脂が、ポリウレタンの時もあるし、前述のPVCである時も。。

その点が混同の原因かもしれません。

PVCを使った合皮というものも、ついでにPVCだ、と呼んでしまっているのが現実のようです。

しかし、構造をしっかり把握すると、ただのPVCだけでできているわけではないことが、裏返した時の基布が存在するのを見たときにそれが証明されるのです。

そう考えると、世の中の大半の素材は合皮の方が多いということではないでしょうか。

むしろPVCだけでできた子供のプールバッグのような素材はレアです。

ある一定の箇所には多く存在するのかもしれないし、ニーズもあるのかもしれませんが、全体で見てみると、はるかに合皮の2重構造の作りの生地の方が多いと言えます。

合成皮革と人口皮革の違いはどこにあるのか

次は、合皮と人皮の違いをやってみます。

これは、上述の2重構造が理解できていれば、簡単です。

二重構造の基布が、織物か不織布か、それだけです。

基布が織物の綿などの場合は、「合成皮革」、基布が不織布の場合は「人工皮革」というように、基布の違いで呼び名が変わるだけです。

ということで、タイトルの「②合成皮革と人工皮革の違い」の答えが以上です。

それにしても、「皮革」という言葉を使っているにもかかわらず、ちっとも本革レザーが登場することがありません。

これも紛らわしい呼び名のままでいることがいろんな混同を招く原因だと思っています。

合皮の基布の上にのる物質は必ずしもPVCだけではない、バラエティーに富むものであること

さて、合皮の例で基布の上にある物質がPVCの場合はこれも合皮の種類の1つであるということをお話しました。

これが、PVCではない場合もあります。ポリウレタンだったり、私達が知らないような名前のコーティング剤だったりすることがあるようです。

ハンドメイドリュックの製作企画<雨の日シリーズ>の時の写真をまとめました↓。

まず、この中で最初の合皮のお話で例に挙げた、基布の上にPVCがのった状態の2重構造でできたPVC混の合皮というのが、上の2点です。

左の椿柄は、基布が綿/100%、そこにPVCが付着させてあります。

偶然にもこの同じ生地で基布だけの綿/100%も入手していたので、写真でその違いを見てみましょう。

綿/100%。この格子状の節の織り目からは、ブッチャーかクラッシュあたりかと考えます。
ツヤがなくて、生地そのまんまです。布だけなので雨を通してしまいます。
上の生地と全く同じ生地を基布にPVCが上に付着してある生地。
ツヤが出ています。これは雨を通しません。その代わり劣化が起こってきます。

ここでお伝えしておきたいのは、基布とペアになったPVCは劣化しますが、なにしろ、基布にぺったりくっついた構造になっているため、この劣化のネタ付きなどの影響が綿/100%にも及びます。

こうして組み合わせた瞬間から、綿/100%の運命も劣化に巻き添えをくらう運命なのです。

よくブランド物の高級バッグのビンテージ物の内貼りに合皮が使われていて劣化している話が飛び交います。

あれもこれと全く同じ構造。基布が綿か何かの素材でその上にPVCかまたそれ以外の劣化するタイプの合成樹脂のたぐいを付着させているので、何十年後かにボロボロになる姿です。

お直しのために私も自分でその部分を取り出したことがありましたが、基布の存在はいずこへ。。というほど上にのっかっていた樹脂の影響を受けて、とんでもないことになっていましたので、それほど影響力のある物質なのですね。

これは一流ブランドバッグの内貼りです。
合皮の上にのっているなんらかの合成樹脂類の物質が経年劣化して、剥がれ落ちてきている様子。

この状態でバッグのモデルから推測のこと、30年程経過しています。

おそらく劣化し始めはもっと前の10-20年くらいから始まっていたことでしょう。

じゃあなぜ、一流ブランド様がこんなことになることを予測もできずにこういう材料を使ってバッグを作ったのか。

最初は、布よりも本革に類似にすることと内側の原価削減で、ただ高級感を出したいためだと思っていました。

けれどよくよく考えるとそれだけではないと思えてきました。

内側を水気の物から守るために防水のような役割を果たす機能としてこの合皮を貼ったのではないか。

そんな風にも思えます。

一流ブランド様であれば、本革を内側にも貼れば良いわけです。

ただ、本革だと水気を浸透してしまい大切な小間物が濡れてしまうから、水に強い合皮をチョイスしたのではないかと。

もし、私が雨の日シリーズをしていなかったらこうは思わなかったです。

革に似た高級感をコストの安い合皮で対応させたとしか考えなかったと思います。

それだけ、合皮には、たとえ数年であっても少なくとも劣化する手前までは防水級の役割があるわけです。

その点は、他の本革や布が太刀打ちできないほどの素晴らしいメリットなのです。

今一度、雨の日シリーズのバッグに戻りますね。

この中で、PVCでないものがのっている合皮が、下の真ん中リボンのリュックです。

これは、「ストライプコーティング」という名前の生地で、基布が綿/100%。

ただ、綿/100%にしては、つるつるです。

その上に二重構造ということで、何かの物質が付着させてあるのですが、物質の名前まで分かりませんでした。

もしかして、PVCなのかもしれないし、他の物質かもしれません。

名前がコーティングというところが特徴です。

ストライプというのは、元の基布の綿/100%がストライプのヘリンボンみたいな柄だからこの名前だと思われます。

もう少し、具体的な生地屋さんからの説明がほしいところです。

残りの黒の水玉は、ナイロンオックス撥水加工という生地で、ナイロン/100%。

私の調べによると、まだ完全に把握はできていない段階ではあるのですが、はっ水加工という名のついたものは、基布のナイロンオックスの上に「フッ素かシリコン」あたりがのったものだとのこと。

フッ素はフライパンでも見られるような、何か途中で使いこむとびらびらとめくれてきて剥がれ落ちる現象が印象的ですね。

そういったことがこのナイロンオックスでは起きたのを見たことがないので、私が思うに、シリコンなのかなあと考えています。

調べによるとシリコンであれば、ほぼ劣化が起こらないとのことなんです。

昔から持っているナイロンのバッグで撥水がかかっていると思われるものも劣化など起こったことが無いですので、これは貴重な構造です。

劣化などわざわざ見たくないし希望しませんものね。

なので、ナイロンオックスのはっ水加工というのは、雨をしのぎつつ、劣化自体も起こらない優れもの。。と、ちょっと待った!。

1つデメリットがあるんです。

はっ水加工という名の付く加工は、最大のデメリットがあるのです。

それは、摩擦によって目には映らないところで加工部分がはがれて、機能を失う日が来るというもの。

これもアイロンをかけることでその熱である程度戻りはすると言われているものの、完全には復活できません。

よって水をしのぐ撥水の威力が限りあるものであるということなんです。

しかし、ナイロン自体がもともと撥水の効果も持ち備えた生地であることから、この寿命を受け入れれば、遠い将来は撥水の効果のないただのナイロンの生地ということを受け入れて使っていくことができます。

もしくは、別で撥水スプレーを自身で施工するということも可能。

劣化したPVC混の合皮などは、使っていくことができなくなるので、それと比べたらずっと持ちたいバッグであればこの方が良いのかなと思うのです。

さて、一番右下の薔薇柄の黒は、ただの綿/100%のサッカー生地に私が強力撥水剤(セラミック入り)の「ceramic pro textile:セラミックプロテキスタイル」というカー用品の車のシートなどの目的のものを塗布したもの。

ものすごい威力の撥水効果が実験で出ました。

ただ、高価なスプレーであること(¥7,000/300ml程度)と、生地によってはすごい量を施工せねば効果が出ないことがあります。

このサッカーという生地もでこぼこしていますので、じょうろで水をシャーッとかけて玉のようにはじくところまで、300mlの1本とさらにもう1本の途中まで使用しました。

そこまでしてでも撥水したい場合は、お気に入りの生地であれば、可能であることの証明を一応したわけです。

人それぞれ価値観がありますので、こうまでしてでも雨もしのぎたいという場合もあるでしょう。

この撥水剤は、たまに使うリュックなら、1年はゆうに撥水威力は保てるかと思います。

ただ、コスパに問題があり(もったいない)、あまり現実的ではないのです。

あとがき

そもそもなのですが、「皮革」というレザー風な言葉を使いながら全く「本革レザー」が使われていないことに驚かれると思います。

知識をある程度持っていないとこの言葉に翻弄されて勘違いして不確かなバッグを購入してしまうことがあります。

このように、合皮というものの構造を知っておくのは、今後の希望のバッグ選びに大いに役立てていただけることかと思います。

私の意見としましては、ここまでいろいろ雨の日用の製作をしてきてなんなのですが、劣化すると分かったものをわざわざ持つこと自体、作ること自体をためらいます。

劣化するのかしないのかに焦点を当てたならば、「本革と布のどちらか」の中でバッグを選びたいのです。

ただ、本革にも一部ポケットなどに合皮が使われていると劣化する部分があるということですから、全体の価格から見たときに、本当にそのお品を購入するべきかどうかを判断することになります。

とにかく、このような性質をあらかじめ知っておくことが、今後きちんと自分の考え方を持ってお買い物をしていく中で一助となればと思います(^-^)。