カジュアルなイメージのオールインワン、ジャケットの力を借りながらエレガントに仕上げるコーデは果たして成功するのか【1367】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

古き良き昭和時代のカジュアルアイテムの良質さや素敵さに目を見張ることがあります。

このたび、コーデュロイのオールインワンのコーデに挑戦してみたいと思います。

以前の記事の【1147】で、複数のベストとの重ね着のラインナップの中にこのたびのオールインワンがすでに登場しています。

もしよろしければ、後程そちらものぞいてみて下さい、検索機能で【1147】をキーワードに入力していただいてたどり着くこともできます。

このたびの挑戦は、ワーキングアイテムのイメージの強い「オールインワン:つなぎ」をドレスライクに寄せて着ていくことです。

その際に、色と生地の種類も間違いなく力をくれたと思うのです。

そもそも黒のコーデュロイ素材がレア、この良き出会いを極上のコーデをもって活かしたい、ジャケットを重ねたエレガントなオールインワンの誕生

元はメンズの黒の細コーデュロイのオールインワン:ブランド名は「HALF」、日本製です。

オールインワンは、作業着として使われた古着であることも多く、良い状態で残っていることも奇跡的。

こちらは、着こまれていた様子が無く大変貴重です。

つなぎでは珍しい、コーデュロイであることも選ぶ大きな決断の理由となりました。

コーデュロイのサイズも重く野暮ったいものではなく、細口の上品な素材です。

裾周辺にジッパーがありますので、裾上げはできません。

ロールアップをすることで、まずは、立体感を出していき、ジャケットを重ねたのです↓。

すべて黒しか登場していませんが、生地の種類の違いから、ジャケットのトーンがややライトに映ります。

同じ黒でも色の濃淡があることがかえって立体感を生み出しました。

細かい点では、ロールアップの裏面が見えていることで、ジャケットの色のトーンと配置良くリンク。

遠目のショット:日本製の毛/100%。ジャケットにはうねりが入り素敵、表情を持った真っ黒なのです。

遠目で見ると生地の風合いが分かりにくいですが。。もっと寄ってみます↓。

内側(オールインワン)は細コール、外側(ジャケット)は「カルゼ」という素材。いずれも畝(うね)が共通。

コーデュロイとカルゼは共に、しましまの「畝:うね」が織柄として現れる凹凸感ある素材です。

同じしましまでありながら、コーデュロイは地の目に対して並行にストライプ状に柄が出ます。

一方、カルゼは地の目に対しては、斜めに綾のように柄が出るところが違います。

そして、カルゼは光沢があるのも特徴です。

こうしたうねりのある織り方は、他にも、グログラン(横段の織柄)・ビエラ(斜めの織柄)などがあります。

同類のような織柄であったとしても、細かくは別の素材であるわけで、生地の種類の細分化が同じ黒色同士にも立体感を作ってくれるのです。

このたびのカルゼはその光沢ある特徴から、制服などに使用されてきた社会的なきちんとした「印:マーク」的な存在に相応しいものであり、カジュアルとは対極にあるような素材だと見て良いです。

そうしますと、バランスとしては、コーデュロイ製のオールインワンだけではくだけた雰囲気であるところを、このカルゼのジャケットがうまくドレスライクに寄せてくれる役割になったとも解釈できます。

スニーカーではなく是非パンプスを。レザー素材のハンドバッグなどでドレス寄りな小物でテイストを高めます。

黒一辺倒とは言え、濃淡のリズムが刻まれました、「ノータン、ノータン、ノータタンッ♪」。

あとがき

古着の日本製は、実はヨーロッパの流れから来ているのではないかと思うものが多いです。

アメリカということも想像するのですが、どうしてもアメリカは特別、長い歴史から見ると日本特有の美しい着物に通じるのは、ヨーロッパテイストなのでは。。

おそらく、組み合わせとしては、ヨーロッパ古着と日本製古着の相性は良いです。

古着という呼び方も、新しいものではないという特徴をそのまま伝えるような呼び名ではなく何か別の呼び名を考えたいほどです。

新品でない物を着ることはもはや味わいにすらなっていき、今後は当たり前のこととなっていくかもしれません。

過去にアパレル品はたくさん製造され尽くしたわけで、大切なことを忘れていたのではないでしょうか。

それは、装い楽しむ文化です。

どこかで、購入して持つところまでがゴールになってしまっていたかもしれません。

実は、その後の続きの素敵なストーリーを忘れていたことを是非掘り起こし、各々装いのイメージをめぐらせてみてくださいませ(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

バッグの表地と裏地の組み合わせ、天然素材のカジュアル感同士とツヤあるエレガント感同士のテイストの違い【131】

アイキャッチ画像131

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

最初にお伝えしておきたいのが、当ブログ記事は最初の投稿の2020.06.22からおよそ5年後の2025.05.13にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしていることです。

ハンドメイドバッグ作りの際の表地と裏地の組み合わせ、どちらもフラットに見ることで、時々裏地の方が高級生地になることもあるほどです。

それでもこのスタイルこそがピクチャレスク流であると自信を持てるようになりました。

2025年スタイルでは特に表地には無地を裏地には柄をという、お洋服とのコーデのしやすさにも注視しています。

よって、「柄物」は無地よりも手間がかけられている生地であることが多いことから、裏地の方が表地より高級生地になることも多いのです。

このたびは、人気生地の「ファンシーツイード」を2種ご用意、バッグを作る表地と裏地を組み合わせるタイミングがちょうどありましたので、実際に裏地を組み合わせた場面を解説。

同じファンシーツイードでも折り込まれる糸の混率によって随分雰囲気が変わり、更に組み合わせる裏地のテイストも併せて区別していく例を当記事で綴りたいと思います。

そして、ピクチャレスクとしての考え方「表地と裏地は同じテイスト同士がしっくりきた」ということをお伝えできればと思います。

バッグの表地と裏地のまとまり良い組み合わせ、天然素材同士・ツヤある合繊同士がクリアな演出のような気がした

表地(チャコール):リントンツイード、混率不明、イギリス製。表地(白xマルチ):ファンシーツイード、ポリエステル/100%、ドイツ製。

左側の「リントンツイード」という生地はこのたび初めて出会った生地ですが、その風合いに非常に驚きました。

極端にガサっとした生地なのです。

一方、右側のツイードはツヤがたっぷりありみずみずしいと感じる生地なのです。

いずれも共通の「ファンシーツイード」というネーミングなのに、ここまで素材感が違うものなのです。

そうしますと、合わせていく裏地も、「ファンシーツイード」という言葉の括りにとらわれていては最も望ましい組み合わせができないと考えました。

あくまでも、実際に目で見た実直な感覚を大切にするのだと、下のように裏地を決定していきました↓。

裏地(ブルー):エステルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。裏地(パープル):ラメツインクルサテン、ポリエステル/60%、ナイロン/40%、日本製。

やや奥が深い選び方をしたと思います。

それには、まず右側のパープルからの解説が分かり易いでしょう。

上述のように、ツヤある表地の白ベースは非常にエレガントです。

よって同じ程度にかなりツヤを感じるような衣装生地のパープルがしっくりきました。

カラーはパープル以外でも多数可能性があったかもしれません。

一方左のチャコールに対する裏地は。。というのが少し複雑な経緯があります。

リントン生地のチャコールはおそらくなのですが、混率不明ながらもウール混、もしくはウール100%だと予想します。

ガサッとした風合いには同じような天然素材のガサ付いた裏地が似合うと考えました。

麻/100%・毛/100%・綿/100%などが候補なのですが、ここでもう少し冷静になります。

あまりにもぴったりに素材感を合わせ過ぎて、同じようなガサッとした綿/100%を裏地として選択したとします。

そうしますと、表地がより一層カントリーっぽくなってしまい、本来の高級生地の価値と見かけがあまりにも釣り合わなくなると考えたのです。

そこで、天然素材にも馴染むようなガサッとした風合いも持ちながらツヤもある、ポリエステル素材の「エステルポプリン」がベストマッチであるというところへ行き着きました。

「エステルポプリン」の融通性:エレガントとカジュアルの橋渡しのような中間的存在であると考えます。

つまり、バランスの良く取れた素材「エステルポプリン」は「リントンツイード」の田舎っぽさを解消してくれる役割があると解いたのでした。

さらに、ブルーとピンクをバイカラーで使うことで、色の偏りを中和しました。

あとがき

結局のところ、ピクチャレスクがしたい「エレガントの表現」というメインスタンスへ近付けていると考えていただくと分かり易いと思います。

つまり、本来カジュアルなイメージがある素材でも、もともとエレガントに感じる素材でも、すべてを「エレガント」な方向へ特化したいということなのです(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

黒と茶のボーダーパッチワークバッグ3点、車のシートベルトのツヤと整然さを活かしベクトルは瀟洒な方向へ【127】

アイキャッチ画像127

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

日常的な素材のシートベルト、車通勤の方の場合、毎日触れている素材であることも。。

まさにこのシートベルトそのものを素材として、このたびバッグを3点同時製作しました。

当然ながら幅はせいぜい5cm程度、こちらをボーダー状にパッチワークに繋げてシートにするという作業が入ります。

この製作で、様々な金属パーツの材料にお世話になったり、自ら共布で作ったパーツもあり、3点それぞれの特有な「機能」が見どころとなりました。

黒1点と茶2点のシートベルトバッグ製作、イメージに浮かびやすい面積の広い生地以外の材料の可能性をお届けできればと思います。

ごついイメージのシートベルト材、並べてパッチワークボーダーバッグ3点に仕立てたその姿はどれもエレガント

表地(左が黒右が茶):シートベルト、ナイロン/100%、日本製。「トーキョービニール」様にて購入。
3点のバッグの内訳:左(上)の黒は内1点をトートバッグで製作。右(下)の茶はリュックと書類バッグ。

シートベルトにも織り方の違いがあり、表情の違いがあることを知りました。

裏地(左から①トート②リュック③書類の順):①濃ピンク:ラメツインクルサテン、ポリエステル/60%、ナイロン/40%、日本製。②オレンジ:①と同じ生地の色違い。③茶:レザーエンボス、ポリエステル/100%、日本製。
パッチワークシート作り(裁断):幅は違いますが、5cm巾の型紙を作りまして、長さ通り正確にカットします。
黒のパッチワークステッチ:通常の布よりもある意味簡単、接着芯も無し、片方の端のみを縫っていくだけ。
茶色のパッチワークステッチ:黒の方は印付けをしましたが、茶のこちらは織り線を引用し印無しでステッチ。
黒の方のパッチワークシートの完成:ツヤが集結することで非常にエレガントに。右下は裏面の姿。

こうして見てみますと、1ステッチのみでつながったベルト同士は、少し頼りないという印象を始終感じてしまいました。

マチのカット:①トートと②リュックは本体をくり抜いてマチを作るやり方なので左右をこのようにカット。

決して絡み合った織り目構造ではないことが窺え、凝縮している姿こそが強度、亀裂などが入ってしまうと脆いのではないかという奥に隠れた事情を感じることができました。

①の取っ手の縫い付け:表地と裏地の間にベルトそのままを平たいまま挟み込みします。
③の立体型ポケット(マジックテープ式):初の試みでありまして、取り外し式の「ポーチポケット」です。
「ポーチポケット」の設置:底に接触するような位置にマジックテープで設置。重くなっても底に支えられ安定。
入口の留め具のデザイン:①②③すべての入り口留め具の比較をしていただけます。
取っ手の持ちやすさのための部分折り:よく既製品で見られるスタイルです。①②③すべて共通です。
金属パーツ:③のDカンタブ(左)。②のショルダーのベルト調節機能(下)・ひも通し用片面ハトメ(右上)。

「片面ハトメ」の横の裏地のオレンジパーツは「共布ストッパー」です。

美しいフクレ織り:生地名には「フクレ」というワードは使われていませんが、この加工の仲間だと思います。

この美しい立体的なキルトのような加工は、ポケットによりハリコシを出して美しいものにしてくれました。

ということは。。ハンドメイドキルトをかけることで、よりスタイリッシュに仕上がると見込めるのです。

完成の3点(横にオープン):③のみ姿は変わりませんが残り①②は形状が変わります。
完成の3点(クローズ):「どこんじょパッチワーク」と名付け、その緻密な手間の意気込みをネーミングに表現。
①トートバッグ(黒シートベルトパッチワークボーダー):<サイズ>縦29cmx横33cmxマチ18cm。
②リュック(茶シートベルトパッチワークボーダー):<サイズ>縦34cmx横33cmxマチ18cm。
③書類バッグ(茶シートベルトパッチワークボーダー):<サイズ>縦33cmx横41cmxマチ7cm。

あとがき

さて、この3点大変美しく完成することができたように感じますが。。

実はコスパは非常に悪いものでした。

もともとここまでシートベルトをたくさん使った企画というのが、「困った状態」であったことでした。

ですから、原価云々よりもせっかくの材料を惜しみなく使うという点だけに焦点を当てた選択をしたのでした。

今後のアパレル業では、こうした原価に伴う利益の拘りを捨てることも一部必要なのかもしれません。

そうなると儲け主義だけではとても成り立たない、本当に心からここに携わりたい人だけがやがて残っていくと考えます。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク