四つ角が余分であることを四角カバーの折れが実証、無駄のない八角形へ変更したバッグの底板カバー【1383】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

2018年頃ですが、今からおよそ5年前に底板にカバーを作って、「くるみ底板」と称した底板製作をしておりました。

その時にハイブランドバッグのサブバッグの沈むような底部分の解消に、メインバッグとしても十分持てるような丈夫な底板を追加するということを自前の持ち物でもやっていました。

それがこの2点の底板になります↓。

2点の底板。内蔵の「ベルポーレン」という折れないプラスチックが角丸にカットして入っています。

長方形の四角いバッグの底なのだからと長方形で作ったわけですが、よく見ていただきたい。

左下のカーキグリーンの方の角が折れていますね。

こちらの写真だとカーキグリーンの右上、左下が折れています。

もう一方の黒のボーダー生地に関しては、折り目が付きにくい生地ですから一度折れても戻っている様子です。

このことから何が言えるのか、この実態が何を教えてくれるのかを感じ取りました。

その後、余計な縁の四つ角は最初から無しにする案が浮かびます。

そうして、現在5年後においては、四角い底用の底板カバーを作る際には決まって8角形モデルで作ることにしております。

こうした細かな内部の事を忘れていたこの頃だったのですが、年末のバッグの整理整頓でこのことを思い出します。

そして、このたび8角形になったデザインへ2点の底板カバーを作り直す作業を致しました。

元の生地を残すから短い時間でコスパ良く完了する「仕立て直し」

作り直しですのでいったんすべて解体しますが、一から作る時との違いは生地がそのまま再利用できること、手間が最低限で出来ることがコスパでありメリットです。

解体場面:一度解体。接着芯を貼ってきちんと作ろうとはしていたようです。

しかし、どことなく当時の作りの粗さが目立ちます。

5年も経過すると随分と作り方にも発展があることを改めて感じ己をねぎらいます。

そして、糸くずを取り払い、まずはまっすぐにアイロンをかけ直し。

そして、角をカットする作業をします。

ここでお伝えしたいのが、一から丸ごと8角形の型紙を作る必要がないということ。

角の部分だけの型紙を当ててカットする方法があるのです。

角部分だけの型紙の考案

このことはいろんなケースに応用・引用できますので是非。

5cm四方の型紙用紙の中心に向かって1か所だけ折ります。そして、三角部分をカットした小さなパーツを用意。
出来上がりの角:裁断の時に三角のパーツを角に当てカットして再び作り直したもの。

2枚仕立てのひっくり返しをせず、角を綺麗に出すために外表のまま1cmの縫い代で折り込み互いに縫い合わせる方法です。

待ち針をし、角をピッタリ重ね合わせながら、最後に端から2-3mm程度をステッチして完了です。

底板を入れるタイミングは、最後の長い直線を縫う際に入れれば十分です。

最初から入れても縫いにくくずれやすいので労力が無駄になってしまいます。

最後のラインのところの始め辺りのタイミングで少し折り曲げながら入れるとやりやすいです。

折り曲がって跡が付くことはございませんので大丈夫、そこがベルポーレンの良さです。

この削られた角が実際にバッグの底にフィットしやすいのです。

あとがき

ハイブランドのヴィンテージバッグの中でサブバッグ的なものを気軽に日常使いのメインバッグに出来ることがあります。

その際に、足りない部分がどうしても底の強度です。

これさえカバーできれば、ヴィンテージ小物が1つ増えてワードローブが潤います。

そのためには使いやすく現実的なバッグであってほしいです。

元はぜいたく品のお買い物の時だけに登場するというイメージだったから底板など入っていないのだと思われます。

実際には、素材の良さや素敵なデザインはサブバッグの領域をやすやすと越えています。

上手く活かせると古い品物の出番も多くなり、新しいものがそれほど必要なくなります。

新しいものを作る技術があるのならば、おのずと古い物を仕立て直す技術も生まれます。

こんな文化が是非とも広がれば良いと思っております(^-^)。

ボストンバッグなどに有効、ゆったりと後付けする無駄がそぎ落とされた8角形の底板【140】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、元のバッグの底に不満があり、安定したバッグ底にと希望する場合にも有効な後から設置可能なくるみ底板の作り方をご紹介したいと思います。

1つ前の番号の【139】の記事では、内蔵して製作の途中で「ベルポーレン」というプラスチック板をそのまま挟み込むやり方で、今回とは違う状況の場合でした。

いずれもバッグ製造者にとっては有効ですので、それぞれのメリットやバッグ構造との相性も考えながら使い分けがお勧めです。

もっとも、リフォームなどでは、今回の【140】の後付けタイプがよく活躍できるようですので、是非ご注目下さいませ。

後付けでしか作りようがないボストンバッグの構造の事情

底板の取り付け方法としては、大きく2種あります。

1)途中段階で底板を裸のまま挟み込んで縫い付ける

2)バッグ出来上がりの最終段階で生地でくるんで設置(リムーバブル)

1)の方法はすっきりとしていて、どのみち底板無しの使い方はしないわけですから一番望ましい取り付け方法かなと思っています。

ところが、バッグのデザインによっては、そうもいかないことがあるのです。

例えば、下の写真のようなファスナー入り口から底まで1パーツが一続きになったようなボストンバッグのようなデザイン。

こんなような形の場合、底部分がハギ合わせなので、底板を入れるタイミングがなかなかありません。

底板を入れなければ結構融通が利いてスムーズに出来上がります。

そうしますと、その作りやすさというメリットを活かし、底板の設置は諦めることを選択。

このことから、底板は後付けでリムーバブルなタイプになるということになりました。

後付けの底板は、リフォームではなく新規の製作でも必要なことがあるということですね。

こんな感じで底でハギ合わせをする作りのバッグだと、底板を入れ込むタイミングがありません。
よって、底板は生地でくるんで底面へポンと置くように設置しています。

生地の中に入れ込むことが不可能とは言いませんが、かなり底板の幅を狭くして縫い易く気を使わねばなりません。

さらに、ただでさえ縫う難易度があるカーブの多いデザインなので、底板に気をとられて綺麗に縫うことができないのです。

こういった場合、あっさりと中に入れ込む方法をあきらめ、リムーバブル式に生地でくるんだくるみ底板を作るのが良いという選択をします。

一番きれいに仕上がるデザインを3種の中から選出してみました

今回は、3種の底板のデザインを比較実験した製作をしてみました。

黒い生地にあえて白糸でそのステッチの出方やラインの綺麗さを比べてみたのです。

この底板をくるみ込む3種のくるみ生地の角のデザインを比較実験してゆきます。

もう、迷うことはない分かりやすい結果でした(;'∀')。

この中で一番きれいな出来なのは、真ん中です。左右は、ひっくり返すやり方。
真ん中だけがひっくり返さないやり方です。
この黒地に白のステッチというかなり厳しい環境で綺麗さを厳しく調べました。
その結果、2枚仕立ての生地を縫い代1.5cmで中側に折り込んで縫い合わせる方法の真ん中が綺麗です。
ちなみに左は長方形、右は楕円形。楕円形は角が全く綺麗に出ませんでした(+_+)。

今回のこの研究の前までは、ずっと長い間一番左の長方形で製作してきました。

一番左が最初に思いつくデザインですが、実際に角ばったトートバッグに設置しても、四つ角がくしゃっとつぶれるのが現実です。

狭い部分に厚みのボリュームが収まりきらないのです。

よって、その見かけの野暮ったさのあるくしゃっと変形する角部分を取り除いたものが今回一番きれいに出来上がった真ん中の8角形だったということです。

一番綺麗にくるみ底板が出来上がった8角形のデザイン
:縫い代1.5cmをすべての辺を中折りして2枚を縫い合わせる作り方です。
ひっくり返さないので角のとがりがシャープに表れます。

8角形は逆にひっくり返しはあまりよくありません。

ラインがここまで複雑だとひっくり返し方法では曖昧に出来上がってしまい、結果綺麗ではないのです。

リムーバルなくるみ底板に関しては、この8角形で行こうと決めた瞬間でした。

あとがき

ひっくり返しを採用しなかったこのたびの底板のくるみ生地の製作でしたが、逆にひっくり返しが綺麗なフォルムを形作ることもあるのです。

それは、マチ付きのバッグの底のラインなどに言えることです。

マチ付きのバッグの美しさは、ふんわりと少し膨らんだように佇むあのラインです。

トートバッグをサイドから見た様子
:マチ周辺があいまいでふんわりしているからこそ美しい、ひっくり返しの効果がよく出ています。

時と場合によって、ひっくり返すのか、折り込みなのかを切り替えています。

まず言えることは、多角形のデザインは、ひっくり返しよりも折り込み式がラインがシャープに出るのだと確信しました。

目指すべきゴールは「美しいライン/フォルム」です。

そのために、製造者がその手法を使い分け、時には苦労もいとわないということです。

製造者の手間の省略や効率を重視することは、量産品の弱点であることも多いです。

そこへ良き勝負を挑む時に、このポイントを思い出してみてください(^-^)。