柄が生き生きと表れるシンプルリュック、製作者の凝ったデザインを示したい我欲を捨てたことが功を奏した【120】

アイキャッチ画像120

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

バッグ製作をある1つの括りにまとめて<○○シリーズ>として続行中、このたびは、<ネイティブ柄シリーズ>です。

幾何柄調のネイティブ柄は、お洋服とのコーデの際にフローラルなどよりもむしろ解釈の幅が広く親しみやすい柄なのではないかと考えます。

一口にネイティブ柄と言っても様々、このたび3点の簡易リュックを同時完成し、それぞれのネイティブ柄の美しさをお伝えできればと思います。

そして、元の素材の生地の美しさを存分に見せるには、極めてシンプルなデザインへの落とし込みが良いのではないかということの検証も兼ねたいと思います。

<ネイティブ柄シリーズ>エコバッグの延長のようなリュックこそかえって美しいネイティブ柄生地を存分に引き立てる

表地:左から順に。ジャカード、綿/100%、日本製、紺。ネパールプリント、綿/100%、ネパール製、赤。ジャカード、綿/55%、ポリエステル/45%、日本製、紺xグリーンxオレンジマルチカラー。
裏地(上は組み合わせる表地):左から。生地名不明(おそらくバーズアイ)、ポリエステル/100%、日本製、紺。生地名不明(ニット)、ポリエステル/100%、日本製、黒。
表地の裁断:この柄は所謂ダマスク柄/小紋柄というような部類になるかと。ネイティブ柄というのは私の解釈。

この裁断の時に、ゆとりの分量があったこの生地はハギ目の柄が左右対称になるよう意識しました。

それだけ意識するだけでも出来上がりのサイド面や底面の段差が解消され、非常に美しく仕上がります。

この生地に対する評価:特に高額な生地ではなかったのですが非常に美しい優れたセンスを感じる生地。

こういった、所謂「掘り出し物」のような生地に出会うと、「高級生地」「ブランド生地」などという括りはかえって本当に優れた生地を逃すことであり、どの生地もフラットに見るべきであると思えてきます。

生地の特徴:正確な事はまだ不明ですが、この写真の上下が「耳」。しかし柄の向きはこちらが正しく、縦伸び。
生地ズーム:写真の下は確かに「耳」の始末がされているのですが、柄はこの横向きが正位置のようなのです。

草花(「唐花:からはな」という空想上の花柄らしいです)の映える天地の向きがこの向きなのです。

ということは、一般的な日本製の生地とは違う点であり、柄に合わせてあえて横向き裁断をする決断を検討する生地です。

さて、このたびお伝えしたいポイント箇所は、縫い込み式の「ショルダーのV字固定」の仕方3種の比較です。

3点共違うやり方をしましたので、比較結果が分かりやすく出ました。

ショルダーの固定方法①(正ダイヤ):ショルダーの先端をV字直角に重ね、正ダイヤ型にステッチ。
ショルダーの固定方法②(横長ボックス):横長の長方形の形で固定。この方法がかなり安定感を感じました。
ショルダーの固定方法③(縦線のみ):確かに返し縫いはしていますが、安定感は不足していると感じました。

表に響くようなステッチを見せたくない場合にこうしたひかえめなステッチを採用されてしまうことも多いかと思います。

しかし、この3種の①-③のステッチ方法の比較では、②の横長長方形ボックス型が一番しっかり固定されたと感じたのが実際のところ。

<ネイティブ柄シリーズ>のリュック3点:<サイズ>縦27cmx横22cmxマチ10cm。右のみ縦が少し短い。

生地不足により、一番右は縦がわずかに短くなりました。

リュック使用の姿:すっきりとした見た目ですが、やはり入り口の隙間は課題が残ります。

あとがき

「ネイティブ柄」とどれも呼びながら、随分柄の違った雰囲気の3点を集めた点も、当シリーズの工夫です。

同じデザインで同類の分野の柄なのに、バラエティー豊かにそれぞれが1点物になるという点は常に目指すべきところであり、個人のハンドメイド製作が量産品に最も差別化できる点だと考えます(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ピンクの花柄が主役のミニマムリュック、ジグザグステッチにハリコシを感じる共布ショルダーの存在感が価値【92】

アイキャッチ画像92

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作をある分類で一括りに<〇〇シリーズ>という形式で続行中。

このたびは、<簡易リュックシリーズ>の2点目です。

興味深いのが、前回の【91】と全く同じ生地の色違い。

服地でリュックを作ることの意外性や可能性を当投稿でお伝えできればと思います。

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.12.04からおよそ5年後の2025.04.04にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

実は2025年現在でも変わっていない点は、服地のエレガントさをバッグにそのまま引用していることです。

お洋服になるようなしなやかな生地も含まれるので「型破り」な印象かもしれません。

とはいえ、とろみ生地でさえ、キルトをかけることで厚手の丈夫な生地に足並みをそろえていく製作スタイル。

そうしますとバッグ製作の総合的な雰囲気なるものが非常に新鮮です。

そして、よくバッグに引用される布地である帆布やデニムに関しても、そのイメージとのギャップを感じるような、エレガントに寄せたものへといざなうスタンスなのです。

では、このたびの完成品のリュック、その途中過程と共にお楽しみくださいませ。

<簡易リュックシリーズ②>リュックもエレガントに製作可能、ピンク花柄のリュックの優しさの中にある力強さ

使用生地(表地・裏地共通):paper printed、ポリエステル/100%、日本製。背景色はパステルピンクです。
型紙:本体から時計回りに、本体→フラップ→ショルダー→多角型ポケット→四角ポケットの5種パーツ。

ポケットが2種ある点が攻めた点、小さいポケットなので2個で充実させていこうというもの。

また、ピクチャレスクのスタイルとしての基本は、ショルダーも既製品ではなくハンドメイドです。

入り口フラップ:マジックテープ付きの多角形。端の反りが出ない納まりの良さはカーブや多角形などがお勧め。
ショルダー作り:中に「ソフト厚芯」を内蔵することでハリコシが出ます。更にジグザグステッチで強度アップ。
先にフラップを仮止め後、両縁にショルダーの付け根を縫い付け。調整機能を持たないタイプのショルダー。
両サイドの共布リボン:これが巾着フォルムの源。これを蝶々結びすることで、巾着フォルムを形成。
リボン巾着リュック完成:<サイズ>縦27cmx横22cmxマチ10cm。
その他の角度:左上は背負う面、右下はサイド上部から見た形、ショルダーが弓のようにしっかりしています。
様々な箇所(左上からジグザグに):蝶々結びをしている場面、内部のポケットの縦列配置、斜め上からの目線。
厚み:左はサイドの厚み、右は底の厚み。マチは10cmの出来上がりです。底には底板が内蔵されています。
ショルダーのジグザグステッチ:目で見て二等辺三角形を描くようにステッチ。それでも大変美しくできます。
内部で縦に2つ並んだポケット:四角型と多角形型の違いがあるからこそ縦列したことの効果が出たような。。

あとがき

最低限の美しさは「機能美」に繋がると思います。

この最低限の解釈は大切であり、決して作業の省略とは非なるものです。

2025年から振り返りますと、なんやかんや難関デザインにも挑戦したものの、行き着いたところはシンプルなデザインでした。

とはいえ、いろいろトライしてきたその先のシンプルさは、何もトライせずにそのまま来た過程とは違いますので、ちょっと深みがあると思うのです。

2019年は随分複数のデザインに挑戦していましたので、その年末にこうしたシンプルデザインに行き着いた流れは大きな流れの現在2025年の姿に似ています。

とはいえ、このデザインも実は後に見直さねばならない隙間の解消の不十分さが気になり廃止しています。

それでも、気に入ってご購入下さったお客様がいらっしゃいましたので、感謝申し上げたいと思いますし、至らない部分の申し訳なさをこの場をお借りしてお詫び申し上げたいと思います。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

雨をしのぐだけが取り柄じゃない、PVCならではのリュックの出来上がりのふんわり感こそ宝であるという新しい発見【83】

アイキャッチ画像83

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ただいま続行中のハンドメイドリュック製作<雨の日シリーズ>。

雨をしのぐ素材に特化、フラップや屋根のようなパーツで雨をしのいでいく考案を伴う企画。

ヴィンテージ物の合皮素材の部分的劣化の実体験から、PVCは永遠の素材ではないことを知りました。

「PVC」「ポリ塩化ビニール」「ビニールコーティング」、言い方の違いはあってもすべて「PVC」を含むまたはそのもののことを指します。

この素材は、「空気に触れた瞬間から劣化が始まる」という性質を持っています。

空気に触れた瞬間からですから、バッグの場合、保管しているだけでも使わなくても消耗してしまうということになるのです。

大切に収納しておいても起こるこの状態を前向きに受け止め、使用機会の多さに繋がる方向へ持っていければと思いました。

実際にこの素材で製作していく中でもう1つの利点を発見、「形作る形状に立体感が出やすいこと」を知ったのです。

実際に製作したことでこのような更なるメリットが見つかったことこそ素晴らしい機会だったと言えます。

このたびは、いくつかの屋根のような形状の機能を設置しながら完成していったレオパード柄のPVC素材のリュックをご紹介したいと思います。

<雨の日シリーズ②>PVCの防水的役割以外の新しいメリットの発見、立体的な形状維持の素材の性質

あまり、今まで扱ってこなかった素材であることから、イメージにとらわれ過ぎてなかなか気付けなかった魅力、それは形状維持のような素材の特性でした。

<表地:カーキレオパード柄>グリッター白金、ポリ塩化ビニール(PVC)/100%、日本製。<裏地:黒>ナイロンオックスはっ水加工、ナイロン/100%、日本製。

これまでたくさんの混率を拝見してきた私が思うに、表地の素材の実物にはツルツルのレオパード柄の表面の下に綿/100%のようなもう1つの生地が敷かれていて、「基布:きふ」の存在があると思います。

そう考えますと、表地の混率の表現が不足していて、基布:綿/100%、柄:ポリ塩化ビニール(PVC)/100%などと表現した方が納得できます。

ただ、事情は分かりませんので、基布の部分を生地と認めていない、曖昧に材料の一部と解釈されているのかもしれません。

そして、基布が綿/100%とは限りませんので、これは私の予想に過ぎません。

ポケット作り:半月型にファスナーが付いたモデル。接着芯は必要無いと判断。縫い代が全くほつれません。

右上のようにひらひらとおさまりが悪い状態を、右下のように片倒しステッチで固定することですっきりと仕上げました。

ポケットをのぞくとこの白い部分が見えるからです。

裏地付きではこのような始末はしないのですが、PVCならではの仕様なのだと思います。

ファスナー付け:奥のファスナーのサイドを本体に縫い付け。左下のように縫い代を裏地の黒で装飾的にカバー。

ほつれない素材とは言え、あまりに目につく場所はヒラヒラとした縁を覆うということが望ましいかと。

見た目がすっきりとした方が良いですので、手を抜くというようなことは避けます。

本体に取り付けたファスナー&フラップ付きポケット:フラップは一番最後に設置しました。屋根のような役割。

後の反省点は、フラップの横の長さが足りない点、ファスナーを完全に覆うような長さが望ましかったと思います。

フラップリュック(レオパード柄):<サイズ>縦27cmx横29cmxマチ10cm。この立体感は素材の特性。
後ろ面:背負う時の背中と接触の面です。すっきりとしたフォルムです。ベルトはシートベルトの黒。
お洋服とのコーデ例:モノトーンなデニムコーデに合わせました。黒・茶・ベージュと広いコーデの可能性です。

あとがき

途中で写真を掲載できていませんが、ポケットを本体に付ける際に場所と向きを徹底する工夫をもっとするべきだとこちらも反省点がありました。

縦横の位置が把握しにくい中、場所をしっかり指定する仕付け糸をもってしても少し歪みました。

結構難しい部分なのだと思います。

さて、このたびの素材は、一度膨らむと「形状記憶」のような維持があり、それがポケットを立体的に仕立てやすかったり、見た目の良さへつながったと思います。

これまで、PVC素材のデメリットばかりを見ていたような気がして、本当は良い点があったのだと雨をしのぐ役割に加え更なるメリットを発見できたことが非常に良き収穫でした(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク