マルチカラーの糸の色を当時の焦げ茶からベージュへ変更、約6年ぶりに解体して丁寧な仕立て直しをした姿が見違えた【1381】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび3回連続でお送りしてまいりました「仕立て直し」のシリーズ。

今回が最終です。

①スツール用の低反発クッションカバー

②3点のトートバッグのピンタック仕立てへの変更

そして今回の③は、ビッグトートバッグの一重仕立てのゆるゆるを丁寧に仕立て直しして締めくくります。

②の3点目もビッグトートバッグでしたのでサイズが非常に似ていますが、今回が一番大きいサイズとなります。

この数年間の自身のノウハウが高まったことで、いろんな箇所において作り方が変わっていました。

それを実感し、今後の見通しとか、当時のままの生地の姿でリフレッシュした製作品になったことの「価値」を共有できればと思います。

「共有型のハンドメイドバッグ」という事業名で、これまでは「製造+販売スタイル」であったのですが、「ノウハウのご提供と伝授スタイル」へその内容を変えていこうとしています。

その1つとしてこのシリーズもお送りしております。

是非、ミシンを1台お持ちになることをお勧めしたいですし、自由に思うような製作を実現していくお手伝い、もしくはアイデアが浮かぶヒントを得ていただけると大変嬉しいです。

実は横向き裁断であったことを今思い出す当時の生地調達の際のコスパ

解体した後、裁断し直しの本体:「わ」です。真ん中が底になります。縦20cmx横10cmをくり抜きました。

実はパッと見て分からないと思うのですが、この向きは地の目に対して横向きなのです。

本体と取っ手でおそらく購入は1mだったと思います。生地を余らせず、フルに利用した記憶です。

当時の記憶がもうありませんが、おそらく、広幅の生地を有効に使うために横取り裁断をしたと思います。

縦に裁断するとこのように「わ」ではもったいない、ハギに2枚にしても横には並ばなかったと思われます。

よって、横向きに裁断するという考え方で当時はコスパ良い生地の調達を工夫した個人使いの製作品です。

このビッグバッグには、当時布団も収納しましたし、ボリュームたっぷりの資材も収納して使ってきました。

ビッグバッグの柄がお洒落だと、その場に置いてあっても雰囲気がありインテリア性が高まります。

よって、この当時の生地は是非活かしたい好みの薔薇柄でした。

ただ、これも当時の考え方であり、今こうして解体後見てみると、横裁断したせいで、バッグとして持ち上げた時に縦向きに伸びる横向きが引っ張られて生地が伸びてしまっている部分がありました。

もし、今この生地を調達するならば、おそらく、2枚仕立てにして、めいっぱいの生地幅の横並びに裁断ができるサイズへ小さくしてでも地の目に忠実に作っていたでしょう。

薔薇の柄が融通の利く向き関係なしのありがたい柄だったことで横裁断してもぱっと見分かりにくかったのでしょう。

糸の色を当時の焦げ茶からサンドベージュへ変更したことでステッチが美しく映るようになった

このバッグ製作当時はそもそもミシン糸を50-60番で縫っていた時代。

現在はバッグに関しては30番を徹底していますので、ハンドメイドバッグ製作の歴史の中では古い時代となります。

過去は60番程度の細番手。現在の30番は右のベージュ。30番がやはり解体しながら丈夫なのだと実感。

そして、糸の色を変えたところも重要なポイントです。

焦げ茶は一見合いそうだと思われるでしょうが、マルチカラーにおいてはそういった判断は表面的です。

登場するカラーの濃い、薄いの中間の色を選択が正解なのです。

これはさんざんマルチカラーを縫ってきて導き出した自らの解答です。

大部分は確かに焦げ茶。しかし柄の部分もそれなりの面積です。この薄い綺麗な色へ焦げ茶の糸はタブーです。
サンドベージュの糸の色は平均的にどの色の部分にもなじみました。これが正解。

今回の生地はメッシュで穴が開いています。

裏に接着芯を貼ったその接着芯の色さえ白か黒かの選択が重要でした。

柄の部分に黒が透けることがないよう、白のニット芯を選択しました。

そうしたことで、穴から白色の接着芯が当然ながら透けます。

これは物理的に受け入れねばならないことなのですが、ステッチの糸の色はこれにも大いに関係します。

焦げ茶の生地の部分にサンドベージュの糸の色がそれほど浮かない理由に、この穴かから除く白い接着芯の存在が関係しているのです。

裏地付きのピンタックは表地、裏地それぞれで行い、凹凸が反対になるところがポイント

表地は表へ突き出すように、裏地は凸面が内側へ隠れるようにピンタックをつまみます。

こうすることで、凹凸のコンビとして、表地と裏地がうまくぴったりと重なるという構造なのです。

ピンタックをする前に入り口の縫い代を折ってからやるというのも綺麗に出来上がるポイントです。

完成品を見ながらの「仕立て直し」の総まとめ

③仕立て直したビッグトートバッグ:<サイズ>縦50cmx横60cmxマチ20cm。

②の時は、縦横50cm四方だったので、こちらの方が横が10cm広いです。

10cmの違いはさすがに大きいので、大容量バッグと呼ぶにはふさわしいこの度のバッグです。

裏地も②と同じヘリンボンの厚手生地(在庫の生地を利用)を設置。

裏地には接着芯は不要と判断し、表地だけの接着芯ですが、物を入れるとこんなにスタイリッシュです。

横顔です。きちんとしたフォルムは眺めていて大変気持ちが良いです(^-^)。

このたびの「ピンタックを入れる」という共通の作業事項を通して、「ピンタック必須だな!」とまで思い始めております。

そして、こんな考え方に行き着いています↓。

「クラシックでスタイリッシュなフォルムを作るには、角のラインのはっきりした表示が必須である」と説いています。

このたびのシリーズを通し、更に新たなイメージも生まれています↓。

このようなナップサックのデザインもピンタックで随分はっきりとしたラインになるのではないか。

このモデルを一度ピンタックを使ってやってみたいと思っています。

仕立て直した後も当時の生地のままで続行したその選択の中に、当時の生地を選ぶ視点が確かなものであったことが裏付けられます。

手間をかけて解体してまでも作り直すことをこの生地でしたかったその意味は、その生地が二度と入手できない当時だけの生地だったからです。

これが1点だけを作っていくことの価値の1つだと思いました。

そして、今後まだまだ続行して気持ちよく、丈夫に使っていけるものへリフレッシュしたこの分岐点をとても貴重に感じます。

あとがき

「苦労を買ってでもする」という言葉がとても好きです。

今その一瞬は長い長い歴史では、ほんの一筋の光の矢でしかありません。

「長い目で見る」というもう1つの好きな言葉と共に常に引き出しの中に入れている言葉です。

今の苦労を惜しむことがその後を考えたらたいしたことではないと当たり前に手間をかけていく、そして終わったら涼しい顔をする、そんなスタイルが大きな意味があるように思えてなりません。

チャチャッとその場しのぎの品物を作った未来はどうなのか。

丁寧に手間をかけたその時の苦労はあったものの長いその後の未来はどうなのか。

本当にその品物を作る価値があるのかさえもちゃんと真剣にジャッジしていきたいでものです。

5年前の製作の技術とアイデアの5年後が確かめられるハンドメイド椅子クッションカバーの仕立て直し【1379】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

大みそかにこの記事を書いています。

年末に特に大きなことも成し遂げられず、今年2023年の残りわずかに相応しい作業を探っていましたところ、「これだ」という作業が見つかりました。

常に目にするたびに気になっていた過去の製作品です。

大きく3種ありまして、当記事では2018年製作のクッションカバーを2023年バージョンとして仕立て直しをします。

そして、後日の投稿では、1年前くらいのトートバッグなのですが、更にひと手間加えてスタイリッシュな使いやすいバッグへ変えていきます。

そして、更に後日の投稿で、10年くらい前の大きな入れ物として使用の今でも毎日目にするビッグトートバッグの仕立て直しです。

このことを通して、ミシン製作を続けてきたこの5年間で変化していた自身の技術とアイデアを実感することがまず1つです。

そして、仕立て直しによって腑に落ちたその気持ちでリフレッシュして今後もその実用品にお世話になるという見通しを確認することです。

年末に3つ目までは行けませんが、2つ目までは現時点で完成しています。

この記事を通して、1つの物を長く使う姿勢と長く使えるような物を追求するきっかけをお届けできればと思います。

木製座面のスツールの低反発クッションカバーの仕立て直し、粗い簡易な作りからスタイリッシュな楕円形へ

2018年製のスツール用クッションカバー:単純な四角ですが、実は座面は楕円形です。
クッションカバーをリッパーで解体し、中身のウレタンに座面を当てます。

このウレタンは、厚みが無いので2重で重ねて入れ込んでいました。

今後も引き続き二重で使います。

ウレタンに丸い角の部分を作図します。
型紙を作ります。とりあえず縫い代1cm込み、角を半径5cmの円をコンパスで描きました。

やや角が布が余り過ぎますので、角を半径7.5cmの円へ変更します。

余分をカット。「半径が大きくなるとカーブのとがりが削られる」これを知っていると他の製作にも役立ちます。
こんなところです。縫い代込みで無駄のないスペースが確保できました。
実際に解体した生地に当ててみます。ウレタンよりも1cm以上ゆとりがありますのでOK。
型紙通りに2面とも裁断。
裁断完了しました。
一応薔薇の向きがあるようで、向きを両面正位置に統一。
「リボンひも」も解体して、今度は以前の2cm幅から1cm程の出来上がりへとスタイリッシュに。

細くするのと同時に、以前は十文字結びだった野暮ったさを解消。

縫い代込み40cmの長さで横は3.5cm幅のパーツから仕立ててゆきます。

全部で8本作るところが少し時間を要しましたが、かなりの変化です。

両面縫い合わせの前にひも8本を各角に2本ずつ仮縫い設置。
中表で2枚を縫い合わせ。空き口は左端。(ごめんなさい。このアイロンの線は意味がありませんでした。)
ウレタンを入れるので結構広めに左端を空けました。
ひっくり返す時、実際に座る時に引っ張られるので、パンクしないよう二重縫い。
ミシン後、カーブ部分などを切り込みを入れてラインを綺麗に出す融通を利かせます。
ウレタン2枚を入れ込みふっくらとなりました。この後空き口を「はしごまつり」で手まつりして縫い閉じ。
はしごまつりの口の様子、だいたい良いのですが、右の方に玉止めが見えてしまいました(^_^;)。
完成です。椅子のフォルムになじむクッションのデザインです。登りやすく座りやすいと思います。
リボン4箇所もすっきりとしています。
自分らしい椅子カバーを作る:自分サイズ、自分柄
2018年製の時のこれ。リボン、四角のカバーの余った部分共々野暮ったかったです。
座面が以前よりも安定しました。主に高い所を掃除したり物を取ったりするときに使います。

思うようにカーブラインのクッションが出来上がりました。

1つ思うことは、ウレタンのカットもラインに影響するので、「いい加減なカットはまずい」ということになります。

ウレタンへのカーブの作図こそ慎重にされることをお勧めします。

あとがき

このたびの仕立て直しは、ほぼ全解体でしたので、一から作り直しに等しいものでした。

それでもあえてこの生地を使った理由が、この生地を気に入っていて特に不満が無いから捨てない決意をしたことにあります。

こうして仕立て直しをわざわざする気になるのも、そもそも最初の段階の生地選びをしっかりした気持ちでやったかどうかさえ影響してくるということなのです。

このことから、物があふれていて類似のものも見つかるかもしれないこのご時世で、「選ぶ」ということがどれだけ影響力があり大切な事なのかを知りました。

このことを味わった自身が今後できることはこうした末永く1つの物を使っていける「美徳」と具体的な「ノウハウ」だと改めて実感したところです。

「共有型のハンドメイドバッグ」という事業も最初バッグを作って販売からスタートしたわけですが、私の役割は今回のような体験をお伝えすることで素敵なハンドメイドをしていただく方へのお手伝いのような役割が向いているのようです。

私が作って販売しても結果は出ませんでしたので、その役割は他の方に委ね期待したいと思います。

余すところなく今後もアイデアやノウハウをアウトプットしてまいります(^-^)。

ハイブランドバッグのヴィンテージもの、足りない部分をアレンジで補う機能の高め方例x3選【1350】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ヴィンテージものでワードローブ一式を集めるスタイルの私ですが、バッグもヴィンテージ物ばかり。

ただし、ハイブランドのヴィンテージという分野にこだわります。

ハイブランド様の過去のお品というのは、現在よりももっとカリスマ性のあるデザインが多かったと言えましょうか。

デザインなどすべて出尽くした、とかつてのアパレル全盛期をとうに過ぎた今そのように感じている人は多いかと思います。

それでもハイブランド様のリリースのバッグというのは、新しいこの先の未来へのご提案ということがコンセプトにあることはブランディングの1つでもあると思います。

どんな事業者も日々失敗と研究の積み重ねの苦労を発展という形で上昇を目指すものですので、過去の今から30年前のヴィンテージバッグに製造側、ユーザー側共に大いに満足しているかと言うと不満もあるものだと思います。

その不満の1つにとても要となる「機能の不足」ということを私としては強く感じています。

この度の投稿は、この不足した機能をどのように満足したものに自身の工夫で高められ満たしていけるのかを3つの例で考えました。

主にリフォームや改造と呼ばれる領域になることで、ハイブランド様の「著作権の侵害」にならぬよう、お写真は控えさせていただきます。

そして、自身の使用目的のベースで行ったことであることもここで前もってお伝えしたいと思います。

もとあるデフォルトの状態から何かしら変化を付けてその様相を変えてしまう時点で製造者であるブランド側がどう思うかというのは、こちらのユーザー側では判断できないことなのです。

そういった意味で著作権は、「自明のもの」であるところをまずはしっかり理解していただきたいと思います。

それでも、使うのは対価を支払った使い手であることも否めない事実であり、その使い方やアレンジの仕方の特権はバッグの持ち主にあるべきだとそう思います。

3つのヴィンテージバッグのアレンジ例:①内張り替え②ショルダー設置③底板設置

ヴィンテージバッグに欠けている状態を補うリフォームを3つ体験しています。

1つ目から順にご紹介してまいります。

①内張り替え

ヴィンテージバッグの良質なレザーで多いのが、内張りの劣化です。

1980年代周辺というのは、レザー素材のブランドバッグも多かった。

ナイロンなどの素材の拡張がまだアイデアとして提案されておらず、お洒落バッグタイプには決まって本革レザーであるべきだとのしきたりみたいのものがあったかと思います。

そうであるからこそ、今ヴィンテージ級の30年-40年前の1980-1990年代のバッグに今見ると斬新で素敵なものが見つかるとも言えます。

気に入っているあるハイブランド様のバケツ型モデルの表は「カーフ」という本革レザーで覆われた迫力あるバッグを色違いで2点持っています。

黒とオフベージュです。

しかしいずれも、内張りが合皮であるために、布の上にPVCが塗ってあるというようなイメージです。

これが、PVCの部分だけが劣化しぽろぽろと30年後の今剥がれ落ちてボロボロになっているのです。

このボロボロを綺麗に取り去るリフォームがすでにしてあり、毛玉の多い白い色の貧弱な布が残りますが、その布と表面のカーフとのレベルがあまりにも違います。

ここで分かるのは、もともと表裏のレベルが近づくような映りになるよう、合皮素材でありながら本革に類似に映るような工夫だったと言えます。

ただ、それも今となってはその場しのぎと言え、劣化した今、表面の立派な素材の価値さえ裏地のせいで半減しそうになっている現実があるのです。

ということで、何とか残った内張りの素材をもっと高級感あるハリコシあるカツラギの素材に見直し、リフォーム屋さんで交換中です。

黒は黒色の裏地、ベージュはオフベージュ色の裏地となじむような色にそろえ、全体としてパッと見た時に表素材と裏地素材の差が歴然としたものにならないよう裏地のレベルを本革レザーの表地に望ましいものへと高めます。

黒は比較的どんな素材も高級感は出ますので調達しやすいですが、オフベージュなどは注意して念入りにその素材の厚みが感じられるのかなども熟慮して生地を調達することをお勧めします。

ただ、あまり費用をかけないように、リフォーム屋さんへ外注しても生地は自分で生地屋さんのはぎれの中からお得に購入したりして外注へ支払う費用をおさえるのも工夫の1つです。

最終的にコスパ良きヴィンテージバッグになることをお勧めしたいのです。

②ショルダー設置

YouTube動画の中でも言ってしまっていますが、エルメス様の「ボリード」というがま口/ドームタイプのキャンパス地のポーチはご存知でしょうか。

かつて1990年代前半には一世を風靡したような人気アイテムだったと思いだされます。

キャンパス地のボリードはほとんどポーチであったかと。

そこに大小のサイズの違いがあり、私は黒の大きいサイズを持っていました。

状態も良いのですが、ポーチなのに横が30cm程もありビッグポーチなのです。

これがなかなかバッグの中ではかさばるし、入らないこともあり出番がなかなかないのだけれど素敵なデザインだと思います。

そこで、あらかじめ備え付けの共布の黒のタブが「わ」になっているところを利用。

まず、タブをもっと丈夫にミシンで多重に縫い付けしっかり固定します。

物理的に一見難しそうですが、このがま口が前後に広がるフォルムなために、このサイドのタブの縫い付けの補強が可能だったことが幸いでした。

そして、そこへリング状の金具を付け、さらに本革レザーのライトブラウンの調節機能付きの既製品ショルダーをここへ設置して見事ショルダーバッグに生まれ変わりました。

③底板設置

ハイブランド様もサブバッグデザインがあるのですが、ほとんどが底板は頼りの無いものです。

設置していないとまでは言い切れないかもしれませんが気休めのボール紙みたいな芯地のようなものであまり効果がありません。

そこへ物を入れると沈み込み、底が膨らんで恰好の悪いフォルムになってしまいます。

ここへ、「ベルポーレン」という厚みがあり割れない素材のプラスチック底板をバッグの柄や色に馴染む生地で包んで、ミシンを使って縫いとじ、リムーバルにそこへ設置すれば出来上がりです。

この効果は非常に大きく、もしかして、上着などを入れるためだけに考えられたサブバッグそのものが、底板の設置によって、「メインバッグへ生まれ変わる」という瞬間に感動します。

ただ、前述の著作権のお話になりますが、いくらリムーバブルとは言っても、これも実は著作権に触れます。

そもそもブランド様側の考え方というのは、その一緒に並べる写真とか、バッグのバック(背景)もブランドの威厳に傷が付かないか。。などを配慮しているものです。

よって、このバッグに使う底板ですよということが写真としてお伝えすることさえ控えさせていただくことになるのです。

3つのアレンジ例から今思うことのまとめ

もとは、ハイブランドバッグというのは、デフォルトの状態をすべてそのまま受け入れてもらうというスタンスだと思うので、結果不満が出ることは結果でしかないということになるかと思います。

とはいえ、バッグの使い手は実際の話、いろいろ感想をもつのが自然じゃないですか。

よって、自分の物になったことの特権としてこうしたリフォーム、アレンジを追加して機能を高めていくことはユーザーにできることの大きなことだと思います。

それが結局はご提案のお品に対しての本当の意味でのフィードバックだと私は思うのです。

「トリクルダウン:上から下への高級品の広まり」がベースにある商業がハイブランド業だと思います。

そのトップの川上に存在しているハイブランド様同士でも競争であるとにかく厳しいライバル同士が混在した背景があると思っています。

そんな熾烈な戦いの中で「哲学」を持って多くのプロ達のアイデアと技術の寄せ集めで生まれたハイブランドバッグは、それはそれは見た目1つであっと言わせる雰囲気をにおわせているものです。

そう考えますと、ヴィンテージ分野では比較的入手がしやすいお値段のハイブランドバッグを手にしたいという考え方は、ヴィンテージ分野で、トリクルダウンの仕組みによって模倣や量産をされた内の1つだと思われるハイブランドに類似のデザインバッグを選ぶより、断然「本物」だと言えるでしょう。

そうすると、お直しをする手間とコストをさらにかけてでも、その後は一生物の価値が生まれるとすれば、コスパは大変良いと言えます。

あとがき

時々ハイブランドバッグ様のバッグをじっくり細かいところまで見て下さると良い発見があるかと思います。

細部までいろいろ特徴を出したり、手間をかけている様子が特にヴィンテージものでは顕著に見られる点が面白いです。

1つ1つのステッチの整い具合とか、決して口ではアピールされてくることのなかった部分のいろんな箇所を目で見てその良質さや徹底された良品を作るという考え方などを感じ取ることができた時、ハイブランド様からの提案をキャッチした瞬間になるのかもしれません(^-^)。

極寒の冬には前身を完全に閉じるのがあったかい、ヴィンテージ物のボタン無しボレロ風前開きカーディガンからセーターへの縫い留めリフォーム【827】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

古着は完全ではない何らかの事情があるものも多く、だからこそ残っているのだと納得することがあります。

ここをもう少し。。など、現状のままでは十分ではない点があるからこそ、リフォームの出番です。

少しのことながら、手を加えることで満足する「心地」が生まれればということを願いながら、このたび実際に行いましたリフォーム例をご紹介したいと思います。

前身が開きっぱなしのボレロ風カーディーガンを寒い季節の最中(さなか)に着用できるよう、セーターに変えていくリフォームを図解でお伝えしたいと思います。

現物はブランド様への「著作権」への考慮で写真の掲載をやめさせていただきましたので図解のみです<m(__)m>。

ボタン付きのカーディガンでも応用可能、前開きを縫い閉じるリフォームで着用時の暖かさを実現したい

このたびのカーディガンは少し特殊なデザインでした。

本当に羽織るだけのボレロ風なカーディガン。

ボタンホール1つ付いていないという特殊なものだったのでした。

それでも素材が毛混のあったかいもので紅色。

この温かさは、「羽織るだけ」の季節には暖か過ぎるバランスの悪さもあったのです。

そうして、「羽織る」出番よりも「着込む」という出番の方がこの素材の場合は現実的には多いと考え、リフォームを決意したのでした。

before:デフォルトはこんな感じでボレロのようなVネックの深い、羽織るタイプのカーディガン。丈は50cm。

ボレロと言っても、丈は50cmあるので、そこにポテンシャルを感じました。

そして、前身を重ねて縫い閉じをするアイデアを思いつきます↓。

このように重ねて、ステッチで固定。セーターの色に合わせて馴染み溶け込むような糸の色を選びました。

上になる方の見頃の端の裏側に伸び止めテープ9mmの「平」を貼りました。そのテープに縫い付けがかかるようにステッチしていきました。

一番上の横ステッチは固定目的、合計3本のステッチを入れたのでした。

応用としては、グログランテープのようなリボンテープを用意して、その裏に伸び止めテープを貼ってグログランテープが表に少し顔を出してしまっても良いデザインにしてしまうと気軽にできるかもしれません。

伸び止めテープは1枚仕立てでやりましたが、わずかにうねりが残っています。

何なら2枚重ねでやるべきだったとも言えます。

何も貼らないと確実にうねりが出るかと思います。

過去に伸び止めテープをうねり解消目的で3枚重ねでやっと効果が出た事例もありました。

ニットを侮ってはいけません、せっかくの目立つラインなので伸び止めテープの利用価値は大いにあると思います。

after:完成です。正面から見たときにステッチの線がわずかにボックス状に映る感じが実際です。

ステッチする位置も、ニットの編み目の太い線に隠れるような位置を選んだりすることで浮くものにならない工夫もできると思います。

ということで、ちょっとした作業ではありましたが、着心地は非常に良くなりました。

元の羽織るだけのアイテムだとダランとしてしまって使い勝手が悪いですし、敬遠して着用機会が無かったと思います。

真冬の「セーター」というアイテムの素晴らしさを改めて再認識できたリフォームでした。

あとがき

この度のアイテムは、レアな、ボレロ風でボタン1つ付いていないものではありましたが、ボタン付きのカーディガンなども可能な作業だと思います。

その時にボタンは完全にデザインだけということになりますが、ボタンを取り外し、ホールをグログランテープなどで覆うということも更なるアレンジのアイデアです。

結局のところ、目指すべきゴールは、「心地良さ」ということになるのです(^-^)。

ライスパールをあこがれの3連段差ロングへ組み直しの際の判断、「テグス」はたたむとうねりが付いてしまう問題をどう解決するのか【519】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

お米のような粒のライスパール。

ヴィンテージネックレスでは同じ長さで多重のショートデザインが多いです。

ライスパールの粒の形状には歴史的な変遷があり、その後の品質改良において、近年形が整っています。

ヴィンテージ物で形が乱れているものこそ古い品物であると判断できる1つの見方です。

比較的近年のライスパールだと思われる粒が整ったものは、素敵に前身をかざってくれるのではないかという甘い夢を抱き始めます。

そして、ライスパールの中古品をいろいろ寄せ集めまして、一度バラバラにし、3連段差ネックレスを作りましたのが2017年くらいの挑戦でした。

ラインがうねってしまう原因は通す糸が「テグス」のせい、「生糸」は細すぎて着れやすいジレンマ

一番長い連で95cm。ここまでロングのライスパール製が珍しいです。自作ならではの実現でした。

その後、腕の未熟さから、組み直しをプロのリフォーム屋さんへお願いしました。

通す糸以外の材料をすべて当方で手配の上でした。

組み直しの目的が、「テグス」を通していたからたたんでうねりが出てしまい消えないことから「糸」で要請。

ところが結果は同じテグスが通されていました。

連絡ミスと確認ミスだったこともありますし、糸でロングの重みを支えきれないから切れやすくなるという現場の作業者様の判断からだと思います。

ということで、自主製作でも分かっていた、テグスを通したライスパールロングネックレスは、たたまないで収納する工夫をしなければいけないという点をお伝えしておこうと思います。

もし、糸でロングの3段ものライスパールネックレスを通していたら、糸を通す穴が限界があり、どうしても細い糸でやらざるを得ないということ。

糸を通す最中に切れてしまうリスク、出来上がってもロングのため糸が切れるリスクが大きいことがあります。

そうであるならば、とりあえずテグスで通し、保管に工夫をユーザーに委ねるということになるのです。

テグスでということならどこかへ吊り下げてウエーブの跡が付かない収納の工夫を覚悟の上ということになりますね。

クラスプの2種の価値比べ、「メッキでデザイン性あり」か「SV925のシンプルデザイン」か

取り換える前のメッキのクラスプ:これはこれで大変お洒落ですが、残念なことに、メッキです。
バラの彫りのシルバークラスプ:925製。前のクラスプと比べると素朴ですが、シルバークラスプと呼べる品物。
シルバークラスプの刻印:「SILVER」と刻印があるシルバークラスプは、シルバー925のことです。

クラスプにも、シングル、ダブル、トリプルとあって、今回は3連なのでトリプルを必要としていました。

お店は、「genuine」様という天然石の連売りのお店でお世話になりました。

あまりない中、薔薇の彫りが素敵なトリプルが見つかって満足しています。

メッキよりもやはり、SV925の方に価値の軍配が上りそうです。

あとがき

最後に、シルバークラスプについての更なるお話を少し。。

真珠には決まってシルバークラスプが使われる理由があります。

なぜ、K18YGやK18WG、PT900が使われないのかの疑問の答えになります。

カチャッと柔軟に閉まる、はめ込むなどの対応ができる地金素材がシルバー925がダントツなのです。

これを、K18WGなどのクラスプで取り付けると、シルバー925程の機能が働かず、曖昧な留め方になって落としてしまったりなど、シルバーにかなう他の地金がないとのこと。

もちろん、メッキクラスプも、ものの見事に、使っているうちにだんだんカチャッという音がしなくなり、いずれ機能が薄れ、留めにくくなったりした経験があります。

よって、どんな高級な真珠にもシルバークラスプしかあてがわれない理由はずばりそこなのです。

高級感を出すためとか、真珠のレベルに合わせて、K18YGなども付けられているお品もありますが、実際の着用を考えると、真珠にはやはりシルバー925のクラスプであるべきなのです。

わざわざ試着せずに仕上げられる、普段はいているパンツの股下データ&3cmの法則によるあっという間のデニムジーンズの裾上げのやり方【142】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

お洋服を素敵に着ていく為の秘訣として、「自身のサイズを知る」ということが重要なポイントになります。

今回は、自分の股下データというものを持っている状態での裾上げをしてみます。

このことは、通販のような遠方の業者様に裾上げを依頼してもらったり、反対に遠方のお客様から裾上げをたまわる場合にも有効です。

このように、データをもとにカットする分量を決めていく裾上げの仕方をこのたびご紹介したいと思います。

股下データをお直しに活かすことの注意点

股下は自分の体を測ることが結構難しいです。

それよりも、実際にはいているお洋服のパンツ類の股下を測れば良いのです。

私の場合は、75cmほどの股下でジーンズをはくということが分かっています。

ここで注意点ですが、本来の股下はおそらく72-73cmほどであるかと思います。

デニムというのが、はいたときの物理的な現象で、クッションができて、本来の股下より2cm程上にふんわり浮くということが分かっています。

ですから、股下データはデニムなら持ち合わせのパンツの中でも同じデニムの方が良いです。

ジーンズの裾の物理的現象:裾周辺が足の上にクッションして折れて乗っているのが分かります。

股下データの75cmというのは、あくまで、ジーンズ用の股下であるということを念頭に置いておかねばなりません。

ということは、スラックスなどのパンツの、何のクッションもなく重力にしたがってストンと下に落ちるタイプは、股下はジーンズよりも短くなるでしょう。

私の場合だと、本来の純粋な股下サイズである72-73cmになると思います。

さて、このリーバイス501は、計ると股下が80cmでして、これをお直ししていきました。

今回お直しをするリーバイス501。

80cmの股下のデニムを75cm仕上げにするためのデニムの裾上げ手順

最初に全くはく必要がない所が楽ちんですね。

こ状態の501の股下だけを測ります。80cmでした。

そして、計算を軽くします。80cmを75cmにしたいので、80-75=5cm分短くする必要があることが分かります。

そして、5cm短くする中に、三つ折りの縫い代を含まねばなりませんので、縫い代1.5cmx2=3cm分余分に長く見積もります。

そうすると、5cm-3cm=2cmをハサミでカットです。表から、裾の仕上がりの先端より2cm中に印を付けて、裾の2枚分まとめてカットするのを左右行います。

左:裾より2cmの部分に印をつけます 右:印の上をハサミで2枚重ねてカットします。

この後、三つ折りして、裾を縫っていきます。

その時に、固い部分が1か所あるので、金づちでつぶすということをして、多少ミシンを通りやすくします。

その硬い部分というのが、はいた時のサイドの「内側」です。

「折伏せ縫い」というような生地が重なった部分で、ジーンズではここがミシンの難関となります。

左:1.5cmを2回折ります 右:金づちで膨らんだ状態をたたいて、平たくつぶします

それほど、劇的な効果があるということはないですが、ふくらんだままだと、ミシンの線もぐにゃっとゆがみがち。

この作業が多少ではありますが、効果はあると言えます。

左:金づちでつぶす前 右:金づちでつぶした後 ・・・少しだけですがぺたんこになりました。

そうして、ミシンで両足分縫っていきます。

最初にこの難関といわれる固い部分が早速現れます。

この難関を最初にやらねばならないのは、内股の隠れがちな部分に、返し縫いを隠すためです。

外側に返し縫いが見えるのと、内側になるのとでやはり綺麗さが違いますので、見栄え的に内股部分からのスタートが良いと思っています。

一番の難関が最初から現れるとは言え、最初の針目を突然膨らんだ部分に通すのは望ましくありません。

2cm程度手前の平らな部分から少しずらしてスタートするのです。

このように勢いとパワーを持った状態の「途中」にその難関を配置することで、縫いがスムーズになります。

返し縫いも最初のずれた2cm手までで完了しておいて、その勢いで、膨らんだ山に登るのがスムーズです。

スタートと終わりの返し縫の部分を一番の難関の山から避けて、少しずれたところからスタートします。
それでも、ちゃんと内股側に返し縫い部分が隠れます。

あとがき

はい、このようにして、出来上がりました。

お直し後の試着で初めて履きました。

今回の股下データを知っているという状態でのお直しは、余計な最初の試着が無い点でストレスが軽減できます。

最後だけ出来上がりの確認のために試着したらよいのです。

股下データを持っていることというのは、いろいろ活用できるかと思います。

もし細かくデータを保管したい場合、

①スラックスの場合の股下:72-73cm

②デニムの場合の股下:75cm

などと素材の種類に分けてもよいですね。

こうしたデータは古着好きの者にとっては、使える情報になります。

古着はそれほどサイズを選べません。

極端な場合、そのパンツをはきたいために、エクササイズに励むというようなことまでして1点物の古着を着ていきたいという情熱をお持ちの方もいるでしょう。

「大は小を兼ねる」ですので、大きいものは小さくできることが多いです。

こうしたリフォームの便利さは、ワードローブの充実にもつながります(^-^)。