バッグのファスナー先端カバーになる別布タブ、生地が横からはみ出さない裏側に隠されたテクニック【679】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作の際に、ファスナー使いの部分には決まってファスナーの先端を別布カバーでまとめています。

このタブの作りは、何度か折りたたみながら丈夫なものになっていくのですが、折りたたんでいく途中で生地が横からはみ出すことがあります。

このはみだしが気になったことを解消すべく、はみ出さない研究をしました。

そこで考え出した「縫い留め」の方法がございまして、こちらをこのたびご紹介したいと思います。

ファスナーの先端タブ意外でも応用が利くような技術になると思います。

ご共感いただけたあかつきには、是非引用してくだされば光栄でございます。

美しく作るために生地をきちんと重ねる意識、追求したファスナーの先端の美しさ

縦に真ん中に向かって両端を折ります。そして、真ん中を橋渡るように、1cm程の幅でミシンの二重ステッチ。

これで次の段階の生地のはみだしが解消されます。

次に、真ん中で横向きに折ります。縫い目が隠れていく様子を注視していただきたい。

この折りさえも、先ほどの縫い留めでやりやすくなっています。

さらに、真ん中へ向かって横向きに上下から折り込みます。先ほどのステッチが完全に真ん中に隠れました。

はみ出した部分はどの部分がはみ出しているのかを分析したことで、ピンポイントの対策をしたことになります。

こうして、ファスナーにかぶせてステッチで固定。横サイドからの生地のはみ出しが解消されてました。
サイドに注目してみるとミルフィーユのようにきれいに重なっています。縫い留めの大きな効果と言えます。

今回のステッチはほどこすのとしないのとでかなり大きな出来栄えの違いが出ました。

美しく仕上げるための「隠れた技(わざ)」のようなもの。

ステッチは結局は内側に隠され目に映るものではないのですが、実は内部にはこうした工夫が隠されているのでした。

あとがき

我流ではありますが、ちょっとしたテクニックなどの効果が出たときにはご紹介してまいりたいと思います。

特に基本的な手法の本などには書いていないようなニッチな部分でも、掘り起こしてみるとまだまだ眠っている工夫があると言えます。

本には掲載し切れないほどのささいで細かい部分もあるからです。

そして、これまでの製作の経験で思うことは、お洋服の仕立ての手法がバッグに活きることもとても多いです。

よって、ハンドメイドバッグを作っている方以外の分野、時には「建築」など、業界の違うところからヒントをいただくこともあるのかもしれません(^-^)。

「外表」製作のバッグでは隠しきれないファスナー周り、どこまでも外側である意識ですっきりと整えるファスナータブの役目【343】

アイキャッチ画像343

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

【319】の投稿では、ファスナータブの2つのタイプを同時に1点のバッグに引用する姿をご紹介致しました。

このたびは、表面にある「ファスナーつまみタブ」の方を「わ」にする改良をし、よりしっかりとした安定感ある設置になりました。

そして、もう1つの内部にある「ファスナーカバータブ」の方も引き続き安定的にすっきりと取り付ける設置をしました。

では、ビジネスバッグ製作の途中のファスナータブ2種を設置する場面を写しながら、「外表」で作ることの「丸見えになる部分ができてしまう」というデメリットをフォローしている様子をお伝えしたいと思います。

「中表」の製作では起こらないファスナー周り丸見え事情、丁寧に作られたタブの設置は「見せる」意識で装飾的に整えた

ファスナーの口布件マチ布:バッグの枠のような長いパーツです。真ん中をファスナーが飛び出すようにくり抜き。

すでに、表地と裏地を「中表」でひっくり返して作ったパーツであり、その後は「外表」で組み立てるという流れ。

表面の「ファスナーつまみタブ」:冒頭でお伝えしましたように、このたびから「わ」にします。
「ファスナーつまみタブ」の縫い付け完了:三つ折り観音開きで作った2つのタブを左右の両端に2列で縫い付け。
2列の縫い付けの裏面:裏面で玉止め。こうした貫通のステッチが見えてしまうのも「外表」のデメリット。
表面に美しく貫通する裏面の「ファスナーカバータブ」の固定:右側にある返し縫いは裏からの貫通。
裏面の「ファスナーカバータブ」上の固定ステッチ:返し縫の二重でファスナーの両端の不安定さを解消。

縫う時は、この裏面のタブを上糸側にして縫いまして、ここを固定することでファスナーがしっかりと隅っこまで面に馴染み安定する感触を得ています。

ただこの作業、最初から最後まで「中表」で仕上げればこのような過程はありません。

そして、「中表」の場合は、ファスナー周りが内部に隠れてくれます。

既製品ファスナーの黒は定番品で必ず見つかること、馴染む黒の布と黒糸で縫い付けることでより一層すっきりとしたという結果。

ファスナーに縫い付けた黒糸とのステッチも、馴染み切って目立ちません。

これは条件付きの成功であり、生地やカラーが変わるとそうもいかないということになります。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2021.01.22からおよそ5年後の2025.12.13にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し全文を綴り直してまいりました。

もともと、難しそうなこうしたファスナー付きのバッグを敷居を低く挑戦できるようにと、技術が低い頃にイメージしやすい「外表」構造で作ったのがきっかけ。

技術も高まった2025年では、「中表」でこうしたバッグを完全に縫い代を隠し込んだ伝統的な作り方の方が腑に落ちています。

「伝統」というのは、そういった深みがあり確かなものだと改めて納得したのです。

「外表」では生地によっては上手くできないことが、ミルフィーユ的な重なりに悩み、このたびのようなナイロンだったから何とか形になったという条件付きの部分もあったのです。

それでも、この「外表」構造も受け入れられ、ピクチャレスクの製作の中では一番の売れ筋デザインとなった「テリーヌ」と言う名のブリーフケース。

このロックテイストの黒x赤タータンチェックのバッグの完成は、【347】でご覧いただけます(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ファスナーという附属品のバッグ製作への落とし込み方、カバータブ作りや周辺つまみタブを共布で設置することの相乗効果【319】

アイキャッチ画像319

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

生地違いの同デザイン・同じ生地の別デザインの両方を含む5点のバッグ同時製作を行っています。

2つの背景の違いで、同時進行による効率やどこまで同時進行の効果があり、単独進行の部分的効果はどうなのかなどの検証を兼ねています。

ここまでの体感としては、同じ生地であっても違う生地であっても同じパーツの同時進行は一定のスムーズさを感じたことが1つあります。

そしてもう1つ、共通のパーツ設置が完了した後のそれぞれのデザインらしい作業となると、今度は1点ずつ進めていくことの方がスムーズだと感じました。

このたびは、同じファスナーの入り口が共通の前者の「生地違いの同デザイン」の3点、「ミニボストンリュック」のファスナー付けの場面を記録に残しました。

このたび初の試みとしましては、入り口のファスナーの開閉の時の「つまみタブ」を四角からラウンド型へのモデルチェンジ。

ちょっとした部分ではあるのですが、ボストン型の本体のフォルムのカーブラインにリンクするようなタブのデザインの方がよく馴染み相性が良いのではないかと考えたのです。

装飾含む立派な機能のファスナータブ、ファスナーそのものの先端のカバーの一面とファスナー開閉時の周辺のつまみの一面

ボックス枠くり抜き:「片玉縁」手法を引用。表面に「中表」でラッピング布を当てY字カットし裏面へ返します。
四角のファスナーつまみタブ:ファスナーの開閉の時に持つ場所。変な場所に跡を付けないという良き存在。

ファスナー開閉にここをつまめば、バッグ本体に歪みや傷みを生じさせないというのが「つまみ」の存在意義です。

新型の「カーブつまみ」の製作:左上から右下へ、2枚を「中表」でひっくり返し縁枠ステッチで完成。

その他2点の四角いつまみは一重仕立てを折って作りましたが、こちらは2枚を合わせて縫うという点が比較的労力が少ないです。

ただ、随分大きなパーツになってしまう点、細かいとひっくり返せないからです。

口布パーツへのカーブ型つまみタブの縫い付け:ファスナー周辺に、ファスナーの留め具のカネを避けて縫い付け。
ラウンド型ファスナーつまみタブ縫い付けの裏面:裏地側に貫通しますので、こうして二重線が出ます。
「ファスナーカバータブ」:もう1つのファスナータブです。ファスナーが丸見え、両端の先端をまとめる意味。
ファスナー両端の固定:力のかかるファスナー部分ですので、このタブを利用し、タブの上から固定ステッチ。

見えるステッチですので、スタイリッシュにすっきりと返し縫いで固定します。

あとがき

このたび、同じファスナーに対して2つの「ファスナータブ」が登場しました。

①「ファスナーつまみタブ」と②「ファスナーカバータブ」です。

「つまみ」と「カバー」のワードで、表面に付く方なのか裏面に付く方なのかを言い分けています。

ハンドメイドバッグは、元の材料である「生地・附属」が無ければ決して作ることはできません。

バッグ製造側から見ると、「既製品」になるわけですが、元の製造業者様にとっては、これらが「ものづくり」なのです。

芸術的で独創的なことのみが「作る」ということではないということ、そうした有難い既製品にお世話になっていることを忘れてはならないのです。

そして、今度はバッグ製造者が生み出す「提案・考え方・メッセージ」があるということがハンドメイドの製造の意義ではないでしょうか(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

ファスナーの端タブをチラ見せしたスタイリッシュさ、まるでポーチの延長のようなミニボストンショルダーバッグ【73】

アイキャッチ画像73

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび【72】からの続きの後半のミニボストンショルダーバッグの作業含む完成に至りました。

【72】では、おじさんの持っておられた取っ手付きのセカンドバッグのようなころんとしたアイテムを街角で拝見したところからの着想エピソードを綴りました。

後半のメイン作業は主にファスナー付け、そしてファスナーが載った口布と本体の合体がクライマックスの場面。

全体の流れを俯瞰して見てみると、ボストンバッグの作りはそれほど複雑でもないということを、「外表」の組み立て式のやり方が答えてくれているようでした。

同素材シリーズ:ボストン-後編>ファスナー自体をカバーする役割を兼ね装飾性も伴った機能美のファスナータブ

ファスナーを口布に設置する場面(左から右へ):ボックス枠をくり抜き、ファスナーを当てはめます。

この時に、丸見えのファスナーの端っこをくるみ込んで覆いながら、表からは両端スタイリッシュに現れるポイント的存在になりました。

ファスナーが付いた口布パーツと本体パーツの合体:「外表」で縫い合わせました。
リムーバブル底板の設置:左上は底板内蔵のカバーを縫いとじる様子、右下は、底に設置されたくるみ底板。
ショルダー取り付け:本体にはDカンを橋渡し役に設置、ナスカンはショルダーが本体と一体化するための要に。。

リュックもそうですが、取り外し式のショルダーのタブは、「本体の一部」と考えるのが望ましいと思います。

ショルダー自体を別の物に交換できたり、せっかくの取り外しの意味には奥行きがあります。

ミニボストンショルダーバッグ完成:<サイズ>縦14cmx横20/24cmxマチ7cm。

ポーチに取っ手とショルダーが付いたようなサイズ感やフォルムです。

複数の角度:くっきりと表れたラインになttのは、ややごわついたナイロン混の生地の性質の良い表れです。

このファスナータブに「機能美」の一面、ちゃんと役割を持ったデザインとして良い存在になっていて、スタイリッシュなのです。

課題点は、ステッチの糸の色の汚さ、黒を選んでいますが正解はグレーのようなマイルドな色でなければ柄の綺麗な色に対しては汚く映るのです。

このことは、後の製作にも大いに注意するポイントとなりました。

せっかくの美しい柄をステッチの色1つで壊してしまうのですから。。

そして、前半部分の投稿の【72】でも書いたのですが、「外表」に組み立てるまでは決して外枠にステッチを入れないことです。

これも美しい仕上がりになるためのポイント。

その他は、底のサイド部分の90度ラインを2021年で見直すことになりました。

縫い合わせの際の急カーブがきつ過ぎて難関部分になってしまっているのでした。

作りやすい仕様こそ、良質さ・美しさへつながることが間違いありません。

大きくデザインは変わりますが、緩やかなできるだけ大きな寸法の円の半径の一部を使ったカーブが正解だと思います。

お洋服とのコーデ例:映りが白っぽいですが、実はボトムは厚手デニムのノンウォッシュのダークブルーです。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.10.17からおよそ5年半後の2025.03.14にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

上述の「難関」が発生している件について、2025年の見方をまとめます↓。

「難関など作らない、解消できる仕様を考え直すこと」というのが、その後のスタンス。

難関場所を作ってしまうことで条件のようなものができてしまうので、どうしてもそのデザインである必要は無いのではないかという考え方へのシフトです。

良い意味での「あきらめ」、一見後ろ向きな言葉ですが、随分その後の発展に貢献するような前向きな言葉だったのだと2025年では考えております(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク