その後の玉止め作業で針に糸が一発貫通できますよう、縫い終わりのテトロン糸が裂けずにカットできる方法【1371】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを製作しておりますが好む糸の種類、それはテトロン糸。

ミシン糸には、主にスパン糸とテトロン糸がありまして、多くの方がスパン糸を使われるかと思います。

それは、縫う生地が綿/100%のブロードなどのプリント生地が人気であるから相性も良いと見ています。

そんな中、少々変わり者なのでしょうか、好む生地というのは綿/100%はほとんどありませんでして、ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどのツヤのある素材を好んできました。

それに対してマッチする糸というのがテトロン糸であったことと、テトロン糸そのもののツヤがエレガントであることで現在の全120本程度の糸の中ではテトロン糸の割合が高い(2/3程度)です。

いずれも30番を使用しております。

さて、このたびはここ最近たくさん作ってきたクッションカバーやカーテンの製作の中でテトロン糸の性質というものを実感する機会がございました。

それは、最後の縫い終わりの場面です。

縫い終わりに始末をきちんとしたいがために、玉止めを裏側に隠すことを毎回しています。

その時に、針に残った糸を通して裏側へ通す作業があるのですが、テトロン糸は最後に引っ張ったことで必ず糸の先が裂けているのです。

この「裂け」が起こらない方が、その後針に通す作業が断然スムーズ。

ということで、糸の先が裂けにくいカットの仕方というのをご紹介したいと思います。

糸切りばさみも大いに関係することですので、今後の小ばさみの選定にも何かヒントになればと考えます。

テンション(糸が張った状態)がかかったまま糸をカットした時のテトロン糸とスパン糸の違い

上:スパン糸30番/下:テトロン糸30番・・・同じように引っ張りながらカットするとテトロン糸は裂けます。

実際の縫い終わりでは、ボリュームのある重い物を塗った時には、テンションが強くかかるので、スパン糸であっても多少裂けることがあります。

それでも、テトロン糸は少しのテンションでもこうして避けるのが通常なのです。

ただ、縫い終わりに引っ張らずして完了することができません。

よって2段階を踏んでいます。

一回目は裂けた状態で仕方がないのですが、2回目にもう一度糸だけを今度はテンションをかけずにゆったりとした状態でカットするのです。

こんな風に糸を張らずにカット。鋏(はさみ)の刃をちゃんと使いますので鋏の良質さも重要。
上:糸を張らずににテトロン糸をカット/下:糸を張ってテトロン糸をカット・・・違いが明らかです。

なぜ、糸が裂けないような上のようなカットを目指したいのかというのが、次に玉止めの作業があるからです。

縫い終わりの後には、バッグ製作であっても、クッションであっても、カーテンであってもすべての箇所を玉止めします。

そして、その際に縫い終わりの糸を反対側、もしくは、見えない溝へ隠し込むということを針に糸を通してやっているからです。

この作業の為には糸が針に通しやすい裂けていない状態が大変望ましいのです。

針の穴にも一発通しが出来れば作業もスムーズですね。

1つの品物を製作する際に、何度も縫い終わりの場面が登場します。

よってその縫い終わりのある回数分玉止めの作業もありますので、今回のようなテトロン糸が裂ける場面も並行するのです。

これはテトロン糸の性質における「デメリット」であると思いますが、それでもテトロン糸の良さも多くあり、こういった対策で乗り越えています。

あとがき

こうして見てみるとスパン糸よりもテトロン糸は手間が増えます。

ただ、その出来上がりのステッチの美しさはうっとりするほどのツヤ感で品物が華やぎます。

細いのに強度があるテトロン糸。

デメリットを吹き飛ばす程の美しいお品物を完成されますよう、応援致します。

そして、途中でも少し触れましたが、小ばさみに関しても良質な切れ味の良い状態で持つということです。

糸切り専用でついでに他のものを切るなどというような使い方は刃が速く傷んでしまうと思われます。

糸切りばさみも陰ながら毎回役に立っていてくれることを忘れてはならないと思います(^-^)。

<糸調子>ミシンステッチ、突然の糸の引っ掛かりの原因はだいたいココ、ボビン周辺のバーへの下糸の絡まりのチェックの大切さ【1309】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ最近の動画の撮影(YouTube用)でカメラをズームにした時に、ミシンのお掃除の必要性を感じました。

特に糸調子ダイヤルの隙間にほこりがたくさんあり、「ありゃりゃ」と思いながら解説と共に、近々掃除をYouTube動画内でお話させていただきました。

本日のハンドメイドバッグの製作を少し早めに切り上げ、短い時間ではありましたが、10分程ミシンの掃除をしました。

その中でこれは是非ご紹介したいという部分を発見したのです。

当初から旧型「TL25」を選択したその理由

お掃除の前に現在の私が使用しているミシンのモデルについてお話させていただきます。

「JUKI社製シュプールTL25」というモデルのミシン:実はこのモデルを2台持っています。
きっかけはコロナ。調子が悪い時にメンテナンス部署がコロナで休業しストップ。
その間の製作用にもう1台あると良いなあと中古品で全く同じモデルを購入しました。

最初の1台は、JUKI様の本店で購入させていただきましたが、その時にもすでに、「TL25デラックス」というモデルが出ていました。

「TL25旧型」と「TL25デラックス」の違いは「自動糸切り装置の有無」にあるそうです。

そして、ミシンで最初にどこが壊れてしまうのかの点が、この自動糸切りにあると知り、その部分はアナログのままで良いと判断。

いずれ壊れてしまうなら、最初から付いていなくてよいという判断でした。

価格がエコノミーなのは、旧型のTL25でしたし、こちらを選択しました。

この時は、ただの「勘」に過ぎませんでしたが、後にこの選択が正解であると感じたのが、ハンドメイドバッグの最初の玉結び/最後の玉止めの始末の仕方の徹底です。

私は、常に最玉結び、玉止めをすべて生地の重なりの溝の中に隠すということをしているのです。

プチッと糸を切ってしまう自動糸切りはかえってその意向に合わなかった機能だったのです。

お洋服の量産などは自動糸切りこそが作業のスピードを高めると思いますので、製造のスムーズさを考えた機能ではあるわけです。

掃除の中で発見した下糸のバーへの絡まり

こうしてミシンを奥へ倒しました。この写真では上が正面です。

その他のネジは到底外せることもない硬さで。ここだけを開けてお掃除。

我流なのですが、まずは掃除機の先端がとがった隙間用のノズルに付け替え、いったんこの中を吸い取ります。

よくスプレー式の「エアーダスター」がご紹介されていますが、あまりああいったスプレー缶を好みませんので、古典的なやり方ですがこちらでやっています。

なかなかのパワーですっきりしてくれます。

そして、それでも残ったほこりと油の塊などをミニブラシを使いながら、ティッシュで拭きとっていきます。

もう1つ本体の白い部分を拭くためのマイクロファイバーのふきんと、これも我流なのですが、「洗剤革命」というお洗濯洗剤のちょっと強力な特別な汚れに使う粉を水で溶かしたアトマイザーで拭き掃除をします。

穴に液が入らぬよう気を付けながらです。

「洗剤革命」は変な塩素などはなく、優しい材料でありながら強力という点でいろんな汚れ落としに使ってきました。

ホームクリーニングの範囲でもシミが綺麗に落ちたこともあります。

職業用ミシンのお掃除グッズ:左からティッシュ、マイクロファイバーふきん、
強力洗剤入りアトマイザー、ミニブラシ。

そして、あるものを発見したのです。ここからが今回のポイントの部分になります。

下糸のボビンの隣のバーのこのへこんだ部分にたくさん糸が絡まっているのをこのたび発見。
絡まっている糸の多さに大変驚きました。よくぞこれで普通に動いていたと思うほどでした。
糸がどっさりと取れました。
30番のスパン糸も色違いでほこりと共にこのバーを占拠しているほどでした。

この絡まりによる影響として心当たりがあったのは、縫い始めの返し縫いの時に下糸が絡まって動かなくなる事象が起きることが度々あったのです。

その原因がこれだとその場で気づかぬままこのお掃除を迎えてしまいましたが(^_^;)。

お掃除によって新しく気づくこともあるわけです。

是非、お掃除の時でなくても、この指さした部分に糸が絡まっていないかのチェックをどうぞ。

そして、お掃除ごは、取説通りになりますが、油を6つの穴に2-3滴注入。

そして、ボビンの底周辺の回転がまにもたらりと油をたらし、その後2-3分「空ミシン」をかけます。

糸も通さずにフットコントローラーを踏み続けるのが空ミシン。

そうして油が全体に馴染んで終了。

試し縫いなどもして、最初の方の油が浸み込んだステッチがなくなるまでステッチするということもネットではお勧めされているようでした。

結局ここに行き着いたミシンカバー

現在は、長方形のマットをこうしてかけるだけの収納にしています。
野暮ったくなくて収納もスムーズです。
ただ、好きな薔薇柄にはこだわったインテリアで。。

その昔は、メーカー様からもらったデフォルトのビニールタイプをそのまま使用。

その後10年後くらいにだんだん破れてきて、自作の立体感あるタイプを製作。

これも使っていない時にどこに置くのかなどに悩みました。
最終的に、ポーチにリメイクしてしまいました。

内側にハード厚芯も貼り、手の込んだ製作をしたものでしたが、取っ手の飛び出しの位置が難しく、もう1台同じミシンがあることで余計にこのボックス状のデザインの野暮ったさを感じてきたのです。

よって現在のただ、上からかけるだけのマット式というのが、一番ストレスが無いデザインと考えるようになりました。

あとがき

ミシンも、お掃除を1年の中で2回ほどやってあげると良いのかなあと思います。

とにかく、綺麗な美しいステッチはバッグのアクセントだと思います。

そのためのいろんな条件の中に、常にスムーズな糸調子があると思います。

糸調子というのも縫った糸目の様子だけでなく、糸の貼りなどが不自然な場合に今回のようなことが原因であることもあります。

元のミシン自体の性能が良いので、たかが糸がバーに絡まっただけでストップしてしまうことはないのでなかなか気づきにくいのです。

よって、「可能性」としてあえて、ここをチェックしていく見方というのは、原因の発見も早いかもしれません。

スムーズなミシンライフのお役に立てましたらと思います(^-^)。

「おかげ様で安心してバッグが持てます」と言ってもらえる、スムーズかつしっかりとした留め具機能の「レンズストッパー」の作り方【1293】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

時々、YouTube動画で「ハンドメイドバッグ教室」を投稿しています。

その1投稿がその日の教室の内容ということになります。

「通う」という月謝制のリアル教室は、私の方もその時間帯に縛られてしまうことで大好きな「自由」がなくなってしまうことがどうしてもスタイルに合わず、このやり方をさせていただいております。

コンテンツにお値段を付けるということも考えたのですが、一度やり始めたところ、腑に落ちない変な苦労が半端なく、なかなか実現できませんでした。

少しずつ動画をつなげていくと、いつからか、過去の音声がつぶれて聞きづらくなってしまうということの解消が出来なかったことから、ブログとYouTubeカテゴリーの<HMB教室>(ハンドメイドバッグ教室の略称)を充実させていくということで良いのではないかということになりました。

今回は、巾着バッグ系で役に立つ、「ストッパー」を共布で、スタイリッシュに「レンズストッパー」として作っていきます。

ただストッパーを作るということだけではなく、巾着ひもとの望ましい「程好いサイズ感の相性」を重視した「2アイテムセット」でのご紹介になります。

細くて丈夫な作りの良さを徹底したデザインの1.2cm(12mm)の巾着ひも

まずは、巾着ひもの作り方からです。

この作り方は、以前の<HMB教室>のカテの【135】のバッグの取っ手の作り方の内容とサイズが違うだけで全く同じなので、アイロンで折るところまでを記録として動画に残しました。

今回は、メインは、ストッパーの方なので、あくまでコンビの相方としてこの巾着紐の出来上がり巾にスポットを当てた回にさせていただきますね。

それでも、作り方が分かるようにはなっていますので(^-^)。

取っ手の型紙は5cm巾のこんな細長。
1.2-1.3mくらいは長さが必要で、バッグ本体の横の長さによって変化します。

ここに二つ折りの生地を当てるか、片方まっすぐに裁断してあるところから5cmにボールペンなどで印を付けて裁ちばさみでカット。

裏には、接着芯を貼ります。

まずは半分に折り目を付け、その織り目跡に向かって両端から観音開きに折ります。
両先端の短い辺は縫い代を内側に1cm程折り込み、
こうして、観音開きの真ん中を最後のダメ押しで再びアイロン。
この時の再びのアイロンが出来上がりのラインの美しさを形成することになりますので是非やってください。
ミシンステッチは、外枠のボックス、そこから途切れずに真ん中の2本を均等にステッチ。
一繋ぎ連続で最後まで行けます。最後は元の位置で玉止めをし、溝に隠します。
この時の出来上がりの巾は1.2cm程です。計算としては、5cm÷4=1.25cmに一致します。

と、ひもに関してはここまでです。

この出来上がりの1.2cm巾というのが次作るレンズストッパーの穴の巾に対してどれぐらいのものなのかがこの度の重要なポイントです。

この1.2cm(計算では1.25cmという数値)を覚えておいてくださいね。

スタイリッシュでまるで附属品みたいなすっきりとしたデザインのレンズストッパーの作り方

では、次にレンズストッパーの作り方に移ります。

型紙は縦10cmx横11.5cmです。正方形より少し横が長くなった長方形です。
裁断後はひもと同じように接着芯をまず貼りました。
レンズストッパーは接着芯だけでは迫力が足りないので、「ハード薄芯」も更に貼ります。
ハード薄芯は、接着機能が無いことが多いので、ボンドで縫い代部分だけを貼ります。
真ん中などはボンドによって風合いを壊すのであくまで隅っこだけ。
次にアイロンで三つ折り観音開きに折るのですが、
先に両端の縫い代を隠して1cm強程折っておくところから始めます。
折った表側を見るとこんな感じです。
ここへ次に、裏側からミシンでステッチをかけていきます。
ステッチは一繋ぎで一気にかけます。
まず、内側のハギ目を固定するためのボックス、引き続き、外枠という順番です。
ステッチが出来上がったら表側はこのようなデザインに糸目が出ます。
アップに寄りました。
ポイントは、内枠と外枠のステッチの重なるところのぴったり重なった綺麗さです。
次にど真ん中に向かって両端からアイロンで折り曲げます。
そして、今度は内枠だけを2周ステッチして玉止めを隠して終了です。
この時にホールの横幅を測ってみましたら、2.2cmでした。
ホールはこうして穴をぷっくりと立体的に開けておきます。
1.2cm巾の巾着ひもが、2.2cm巾のホールに程よく通るというこのサイズ感。
片方のホールにおいて、紐の左右の隙間が各5mmずつ程の合計1cmの隙間があることが判明。
横のみの隙間ではなく、縦の厚み分の隙間もあるからここまでの意外に大きい数値なのだと。
ホールにはひも通しを使うと優しく通せます。
手で入れ込んで目打ちで引っ張るということもできますが生地を傷めぬよう気を付けて。
そうして、こんな感じでひもがホールに通りました。
ひもの向きは、2重に重なった方を外向きにしています。

後で貼りますYouTube動画内(動画の最後の方)でストッパーを動かす際のそのサイズ感を音で聞いていただくことができます。

きつすぎても生地を傷める、緩すぎたらセキュリティー性が弱い、過去の失敗からサイズを調整し、だいたいどの生地でこのサイズで作っても平均的にちゃんと機能を果たしてくれるというものになります。

今回は共布だけで作りましたが、ストッパーをひもと違う生地でもコントラストが効いてお洒落になるかも。
裏からの作業だけですが、表にはどうステッチが出るのかを
しっかりと意識した結果美しい出来上がりになるのです。

あとがき

今回のレンズストッパーは、既製品の工業製品なるストッパーとの差別化です。

生地でこのような立体感ある附属品が作れてしまうことの例の1つとなると思います。

生地に工夫をこらせば、何でも作って行けるのではないかという無限の可能性を感じます。

ハンドメイドバッグ作りが夢にあふれた製作でありますようにとそんな思いをこめながら、今後もこうしたご紹介をしてまいりたいと思います(^-^)。

トートバッグの伝統的な取っ手の固定の「四角とクロスのコンビステッチ」、一繋ぎで二重縫いで強度を高めたアレンジの縫い順【1256】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

こんなデザインのステッチを布バッグの取っ手の付け根部分でご覧になったことがあるかと思います↓。

ほとんどが1本ステッチなのですが、それでも、この形そのものが物理的な力のかかり具合をうまく利用した丈夫なステッチ。

ただの1本線とは違う角度を変えて均等に力のかかり具合を分散されたものだと見ることができます。

このたびは、1つ前の完成品の「トートバッグ」でこのデザインを引用させていただきました。

当然ながら、良い物を作って行きたいスタンスの製作では、1本だけのステッチが重い物を入れたバッグを支えるということのパワーの限界も感じていました。

ということで、このデザインを二重ステッチにアレンジ。

さらに、この向きを変えてひし形にすることで、表地にかけたダイヤキルトに足並みをそろえデザイン性を高めました。

このたびは、「四角とクロスのコンビステッチ」を二重で強度を更に高めるケースの一繋ぎでステッチできる順番をお伝えしたいと思います。

ダイヤキルトの形にリンクしたひし形向きのハギ目カバータブの二重ステッチのやり方、糸を途中で切らないことでスムーズかつコスパが良い

1つ前の【1255】の投稿で完成したバッグの取っ手の付け根部分。出来上がりはこれ。

馴染んでいて2重ステッチということが分かりにくいですが、ベルトの4本ステッチに比べて太いと見ていただけますのも二重であるから。

しっかりと重ねるとこうして20番のようなデニム用の糸レベルの丈夫な二重ステッチが美しく出来上がります。

では、紙とマジックでシミュレーションした写真と共にそのステッチの順番をお伝えしたいと思います。

①は1度目のステッチ、②は二度目のステッチです。:てっぺんから時計回りに進んでいきます。

まず、一番てっぺんのV印から外枠を時計回りにスタートしました。

斜め下へ降りて一番下へ、そして斜め左上へ上りてっぺんへ戻ります。

次に二周目にそのまま途切れずに外枠を、一度目の上をきちんとなぞりながら斜め下へ降りてきます。

そして、下から斜め左上へ登ります。

と、最後の1辺を残し、ここでいったん動きを止めます、くれぐれも針はそのまま刺さったままです。

そして、向きを変え十文字の横辺へ行きまして、そのまま戻ってきます。

次に、そこから、最後に残していた外枠を最初の位置のトップへ向かってステッチしながら戻ります。

そして、今度は、一番最後の縦の線を下へ行き上へ戻ります。

これですべての辺が二重縫いになったのでした。

最後の糸目は返し縫いをしないで先端で玉止めとしましたが、1-2針ほど返し縫いをした方が丈夫かもしれません。

これは、よく見る45度分傾きを戻した正方形でも同じ順路をたどればできます。

マジックを見てみると、①の黒色は十文字には存在しません。

内側の十文字は、二周目のタイミングでのみ行うステッチという見方ができます。

あとがき

こういった、一繋ぎで縫っていけるという工夫は、糸のコスパが高まります。

一度区切って縫いを止めてしまうことが、いかにロスが多くなるかということです。

それは、ミシンを止めることで、縫っていない最後に余る分が結構な長さであるからです。

ただ、このたび、ひし形にしてしまったことは力のかかり具合が変わるかもしれません。

やはり、四角の中にバイヤスの45度がクロスしていることこそが最高の強度だと、いにしえの考案者が物理的見地から閃いたことなのだと思います。

書き手:ピクチャレスク

布製バッグの接着芯選び、とりあえず手元においておくたった1種は、織物生地にもニット生地にも融通性を持って対応できるニット芯が正解【1112】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ作りには必ず全面パーツに接着芯を貼っています。

接着芯は生地自体の風合いにハリコシを加えてくれ、出来上がりのバッグ自体が丈夫で長持ちになる「機能性」もあるのです。

特に、接着芯を貼った状態での生地の重なり部分などはより強固になります。

過去には、アイロンの熱に対応できなかった「不織布芯」もあり、溶けてしまうほどの質の悪さに使いにくかったことがありました。

それ以来常に布のような仕立てになった織芯やニット芯の「布帛:ふはく」タイプを原反ごと(通常50m巻)購入してストックしています。

「織」と「ニット」でも接着芯の性質には随分違いもありまして、このたびは実物写真もご提示しながらこの2種を比較します。

こうして分かれている以上はいずれにもメリットがあるわけです。

両方を使い分けていますので、最後に「使い分けの必要がなぜあるのか」までに迫りたいと思います。

とりあえず基本的に1種だけ持っておくなら断然「ニット芯」、織物生地にもニット生地にも対応できる融通性を兼ねた優れた性質

たった1種だけ接着芯を持つならば。。結論はニット芯です。

ニット芯は伸び縮みの融通が利き、ニット全般に加えて、織物の生地の一部であるナイロン/100%にも必須と言うほどのもの。

ナイロン/100%の撥水生地に織芯を貼っていた時に、どんどん皺が増えて、何が起こったのだろうと最初思っていましたが、原因は弾力性に優れたナイロン糸の性質が伸び縮みし、ニットに近い動きをしていたのでした。

織物とくっつけてしまっては、それは伸び縮みの動きのたびに気泡が生まれるに決まっているのです。

上のような体験から学べることは、織物生地に対してもニット芯を使わなければいけないケースもあるほどニット芯の需要の方が大きいということです。

そうしますと、とりあえずニット芯を持っていたら、すべてに対応できるということです。

伸びない通常のブロードなどにニット芯を貼っても不具合は何も起こりませんから、すべてをカバーできる性質がニット芯なのです。

ニット芯を貼ったことで、悪い方向へ行ってしまうような織物生地は今まで実際にも無かったです。

反対に、織芯を貼ったことで悪い方向へ行ってしまう織物生地が、ナイロン混や、ナイロン/100%なのです。

そうしますと、どちらか1つに絞って持っておくならば、ニット芯が正解であり安全なのです。

では、織芯など出番はないのではないか。。いやいやそんなことはないのです。

接着芯の入手の仕方は、古い在庫ストックの良質なままのものを反ごとに利用することで、同じものが二度とないような探し方で調達してまいりましたことから、結果様々な違いを体験させていただきました。

その中でとっても感激したような織芯がありました。

まるで生地みたいなしっかりと折り糸が見えていて、ごわっとした接着芯です。

これを織物の表地に接着すると見事に風合いがしっかりしてきます。

バッグ作りには最適だと思いました。

少ししか入手できなかったので、どちらかというとこういうタイプの接着芯はレアだと思います。

ニット芯では、このごわつきの良さが出ず、しなやかに仕上がってしまいますので、ハリコシを強調したい時などには織芯はかえって向いているのです。

そうしますと、時には「使い分けをする」ということがそれぞれに適した出来栄えになるかと思うのです。

あとがき

そもそも接着芯自体は表に見えるものではありませんが、接着芯を貼ってさらに折り曲げてステッチを何本か走らせたようなバッグの取っ手は、ツンとしっかりと立ちます。

長い目でみて、接着芯を貼ったか貼っていないかのお品を比べてみると、実は雲泥の差なのです。

「接着+ステッチ」というコンビは、伸び止めテープでも同じことです。

ただ貼るだけでは洗濯などで糊がはがれてくることもあり、ステッチの縫い付けも加わることでハイブリッド化するのです。

ぱっと見の最初の段階ではこのようなことは分からないことですが、出来上がった製作品も、その後の経年のユーザー様の使用で露わになってくるものです。

慣れない時代においては分かりやすいようにとニット芯をたった1つ持つ接着芯としてお勧めしたのですが、本当は「使い分け」が一番です(^-^)。

バッグの取っ手・ショルダー・支柱・共布紐に及ぶまで広範囲、美しい4本ステッチの均等な間隔が美しいベルト作りの技術の高め方【805】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「HMB教室:ハンドメイドバッグ教室」へようこそ♪、よろしくお願いします。

この「HMB教室」は、YouTubeの10のカテゴリーの中の<製作>とは別の<HMB教室>として専用に設置しています。

日々改良や試行錯誤で学びを得ている記録がYouTube・ブログ記事の姿ですので、その中でも技術としては堂々とお伝えできるほどの確定したようなものを<HMB教室>に充当して分類しております。

実店舗は確かにコミュニケーションが取りやすいのでしょうが、どうしても時間に縛られ、下準備などに時間を割き、あまりピンと来ていません。

特性もあると思いますが、こうして、完全無料の動画と記事でお得に学んでいただければと思ってアップしています。

一方で、じっくりと手順を学べる有料もデジタルコンテンツとして今後増やしていきます。

もし、共感いただくことができて、取り入れていただくことがあったなら、一緒にハンドメイド文化を、美しいお仕立てのお品物を作る人が大勢の世界にしていこうではありませんか。

現在ハンドメイドバッグで活動されている方、未来にハンドメイドバッグを商業利用してマーケットサイトや実店舗で販売したい方は是非♪。

決して簡単ではないが。。4本ステッチの等間隔の難しさと、その反面のうっとりするような美しさ

しょっちゅう縫っています4本ステッチですが、これは非常に難しいです。

一方で、等間隔に出来たときの美しさと言ったらこの上ありません。

こういったリュックのショルダーなどに決まって利用します。3本より4本の方が格段に美しいです。
大変上手くできたと思う時の4本ステッチ:特に左が綺麗です。間が等間隔で美しく映ります。

このように綺麗にできることもあればなかなかうまくいかない時もあるというのが長年やっているのにもかかわらず難しい点です。

生地によってもやりやすさなどが随分違うものです。

ちなみに、上手くいった時の上の写真はメッシュタイプの生地でアイロンで折ったりする時も非常にスムーズだったことからその影響か、ステッチも綺麗に整います。

技術を高める上で、まずは綺麗に出来上がりやすい生地からスタートする方が良いと思います。

ところで、技術を高めるステップとしましては、1ステップ間に入れてみました。

急に綺麗にといっても難しいものなので、もし、均等に揃わない場合にも見た目が美しい部類になる1ステップ段階を設置したのがこの後ご紹介しますやり方です↓。

目指すゴールの姿(3スペースが完全に均等):黒-取っ手の生地の端。赤-1周ステッチ。青-追加的ステッチ。
あらかじめ赤い1周ステッチを準備。線など引きません。実は青線の1本目、すでに偏って右の方過ぎます。

あまりにも偏り過ぎている時は、ほどいてやり直しですが、ほどくのも一苦労で、跡が付くので、あまりこのようなパーツでやり直しは良くないです。

そこで、このままで仕上げる、「許容範囲の美しさ」をまずは目指すのです。

次のステッチの位置を工夫し、バランスを良くしていきます。

右に寄り過ぎた1本目を受け入れ、真ん中の空間を少し余分に空け、左右の間隔を均等に仕上げます。

あまりに極端だと不格好ですが、少々であれば、こういった見た目のバランスや安定感を考えた配置になれば、ほどいてやり直しまでは時間がもったいないですし、やり直しによる生地を傷めることをせずこれまでの作業を活かせます。

均等になる技術を高めるまでの途中段階のステップとして、このことを是非思い出していただければと思います。

あとがき

青線の一番最初の線の位置が最終的な均等を決める重要なステッチという見方ができます。

あまりにも細い6mm程度の仕上がりのリボンひもには赤線の枠で十分ですが、12mm程度の幅のスリムなリボンひもにも4本ステッチを施しています。

12mm巾だと3本ステッチで良いと思うのでしょうが、実際にやってきて思うのは、3本の方がかえって幅を均等にするのが難しいのです。

なぜかというのが、粗いので、その分間隔の部分が目立ち、ちょっとのずれが分かりやすく目に映ってしまうのです。

4本のように密だと、実は細かい単位では均一ではないのかもしれませんが、目には均等に映るという視覚的効果なのです。

人間のやることなので、そこがハンドメイド、機械のように完璧な均等にはなっていないはずです。

それでも美しく見えるようになったということは誇れる成果だと思います(^-^)。

ミシンの糸目をそろえるために糸調子以外で気を付けること、両手でしっかり縫うものを押さえるという些細な事の重要度【614】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

久々のハンドメイドバッグ教室です。

間は空きましたが、カテゴリーに固めてありますので、ハンドメイドを綺麗に仕上げていく目標を設定した際には是非ご参考くださると光栄でございます。

実店舗の教室ではなく、好きな時に学べるWEB上の教室というのをカテゴリー<HMB教室>という括りにまとめています。

今後ご利用いただけることでお役に立てることがあればと思います。

縫い目をまっすぐに縫うということは大変奥深い、糸調子を整えたその後でもやることは生地をしっかり押さえること

では、今回のコツというものを1つ。

単純なのですが、三つ折りなどのステッチの場面です。

綺麗にまっすぐということを意識したいものです。

この綺麗にまっすぐというのは、右から左へ抜けていってしまうようなよく聞く文言ですが、結果は、あっち向いたりこっち向いたりのステッチの向きになることがあります。

縫いやすい生地であるとなおさらなのですが、油断して、このように縫い目が歪んだ箇所ができることが。。

かなり厳しいジャッジをしているので、これでも一応良しとなっていってしまうのかもしれません。

しかし、特に真ん中あたりが、糸目がぶれていますので、びしっと真っ直ぐに走った線ではないのが確かなのです。

ミシンも慣れというものが怖いもので、ミシンの扱い方を覚えると体が勝手に動いて、何となく、ただ生地を向こう側へ送ってしまうのです。

その結果が写真のようになりまして、ちゃんとした縫い目のイメージの意識が必要です。

それが、「横にぶれない意識」となります。

あのゆがみは横にブレがあった証拠と言えます。

横にぶれないようには、生地をしっかりと押さえ、集中して糸目をじっと見ながら1針1針丁寧に打ち込むということです。

まだ、上の生地は易しい方。

デニムや綾の折り目がしっかり入ったような生地は、その生地の折り目に動きが奪われ、ガタゴトと左右にふれがちです。

これをしっかり押さえ、前後の動きに集中するこということと、針が突き刺さっていく様子をしっかり目で確認しながらの1目1目にするということです。

これこそが、「真心を込めた製作」ということになりませんでしょうか。

あとがき

キャンパス地のステッチの成功例:この凹凸感の生地の折り目に負けず、まっすぐに縫えた状態。

↑これは、なかなか意識出来て上手くまっすぐになった縫い線です。

ここまでぶつぶつの凹凸感あるキャンパス地の織り目に翻弄されがちなところをいかにまっすぐにというのが挑戦ですが、そうして綺麗に出来上がったものはやはり美しいものでした。

糸調子ばかりを気にしてもしっかり生地を押さえることをしなければせっかくの設定が無駄になってしまいます。

些細な事の集まりが「美しさ」を生むのです(^-^)。

スタイリッシュな四角のフォルムを作ってくれることでバッグの価値を高めるピンタック仕立てのやり方【236】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを製作して、時々「creema:クリーマ」様のサイトにお世話になって販売もしています。

出来上がった1製品の中に入れ込むものの1つに「価値」があります。

これが目に映るものではないから少し理解されにくいのですが、実はこれこそが、今後とても大切なことになっていくだろうと思っています。

価値を感じるということは、なかなか目に見えることではないですが、作る側の私の時点では、価値を込めるにあたって、目で見た物理的な作業があります。

ただ、その物理的な作業が実際に価値として感じてもらえるかは未知であり、結果的なことになります。

よって、「価値あるものを作る意識でのぞむ」という心構えをまずは持って活動するということが根底にあります。

ピンタック仕立てをするタイミングは一番最後である

一重仕立てのバッグの場合は一番最後です。

しかし、裏地付きの2重仕立てのばあいは、表袋と裏袋を重ね合わせる1手前でそれぞれ作業します。

そして、凹凸が上手く合体してかさねてすっきりしたフォルムを作るという仕様を考えています。

このたびは一重仕立てなので、最後に行うピンタック作業ということになります。

裏地付き/裏無しに共通する注意事項:ピンタックをする前に入り口の始末を完了しておく。

ピンタック後に入り口を折っていては、ごわついてしまいずれます。

よって順番をきちんと意識します。

アイロンをかける時のポイント:マチが10cmなので、5cmずつに均等折ります。

一番下はマチの部分のとがりがありますので、このとがりをフルにきちんと出した状態で、一番上の点と、真ん中の点あたりの2か所を実際にものさしで測りながらアイロンします。

こんな風に4箇所ともアイロンで折り線を入れ「とぎっとぎ」にしておきます。
ステッチは、こんな向きで入り口側からスタートがやりやすいかと思います。
縫い終わりはこのハギ目の線まできちんと行います。玉止めはハギ目の溝などに隠します。
こんな感じでステッチをかけ終わりました。
では、ここから玉止めを隠す作業のショットが続きます。

まず、縫い始めであるバッグの上部分です。こちらは上が開いているので、内側に針に糸の余りを通して、内側へ貫通させ、内側で結びます。

もう1本の糸も同じ位置の内側のへこんだところへ貫通。

なぜ2本同時にやらないのかは、2本の位置が離れているので、変なステッチが新たに入ってしまって汚くなるからなです。

入り口は互いに違う地点から同じ出口へという通し方になります。

2本共糸が通ったら、コマ結びを2回します。
そして、プチっと糸をまとめてカット。
こんな感じで溝に埋まるように隠れます。
では、次に縫い終わりの底の糸の方を隠していきます。こちらは、内側へ貫通させるのが至難の業。

無茶をせず、「近くにある」ハギ目の溝へ目立たないように隠します。

もちろん、前者の入り口のやり方と違って完全には隠れきれませんが、すっきりとはさせておきたいです。
溝の中に少し隠れています。少し目には入ってきますが、おおわくすっきりとします。

以上、ピンタック仕様の方法でした。

あとがき

ピンタックがあるとないとの差というのはかなりのものです。下の写真を見比べてみてください。

裏地付きのトートバッグの場合のピンタックの有無:左-ピンタック無し、右-ピンタックあり。

こんな風にピンタックの有り無しでうんと印象が変わります。

その効果の感じ方はいろいろあるのかもしれませんので良い悪いはジャッジはできかねます。

ピンタックの良さは、ラインが分かりやすいとか、きちんとした印象が得たい場合には効果のある仕立て。

柄のつながりはピンタックがない方が感じられますので、いずれの仕様もそれぞれ味わいとして定番デザインです。

ただ一重仕立ての平凡な四角いタイプであると、ピンタックの効果は絶大です。

ある無しではルーズに見えてしまう無しタイプに対して、くったりしていてもピンタックがあるとスタイリッシュなエコバッグであると理解してもらえる可能性があります。

裏地付きと裏地無しとでは、ピンタックの有り/無しも随分その印象が違ってきますので、公式に当てはめたような考え方は少し危ないです。

これも、とことん手間をかけて作って分かることかもしれません。

裏地付きのトートバッグが裏地付きであっても接着芯や別芯を全く使わない者であれば、一重仕立てとあまり変わらないこともあります。

「手抜き」や「楽ちん製作」では分からなかったであろう究極の比較です。

マチ付きバッグの視線が集まる場所はここです、底のハギ目がぴったりと十文字になった美しさの追求のための技術【184】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

以前に、「シャネル」様のキルティングがかかったバッグについて、柄合わせの徹底さから、目に映る細かなラインの細部まで美しく整ったものを作っていく「姿勢」というものがとても素晴らしいというお話をブログの記事の中でさせていただいたことがあります。

あのキルトの柄のつながりを見て、チェックやストライプ、ボーダーのバッグを作る時に柄合わせを意識するようになりました。

見た側もとても心地が良い、柄がぴたりと合っていることの美しさと、そこに込められた強い熱意や徹底した方針も見られます。

今回は、<ハンドメイドバッグ教室>でマチ付きバッグのマチの綺麗な出し方をご紹介します。

マチの十文字ピタリと綺麗に出すコツ

マチは、長方形で縫っておいて、つまんで、ハサミでカットという方法もあります。

ハサミでカットしてはいけないような裏無しの場合は仕方がありませんが、間違いなく、マチ付きのバッグの型紙は、最初から角を削った形で用意し、裁断しておいた方が綺麗にできます。

このようにマチ部分を最初から削った型紙で裁断したやり方の方がマチが綺麗に作りやすいです。

それは、目に映りやすい位置にマチの重なりの十文字が来るので、整えやすい状況にまずはあるというのが、その理由。

そして、その環境が上手く整えられた状況で、マチを作りますが、その時に、マチの先端周辺だけを見るのではなく、奥3cm程入った部分までのハギ目の線のつながりを見るのです。

まずは、きちんと両割れしている必要がありますので、事前のアイロンも重要です。

こんな風に3cmほど奥までハギ目部分の線を見ながら十文字を合わせるということをします。
上の方だけを表面的に見ているよりもはるかにぴったり合ってきます。
そして、十文字にぴったり合った位置を指で固定し、真ん中のハギ目に待ち針を打ちます。
決して動かしてはいけません。固定した位置を確実にキープします。
左右もそのままぴたりと合った状態で待ち針を留めます。

コツを実行した結果のマチの出来具合

やることはやったということで、マチを縫った後ひっくり返します。

とりあえず、合格ライン。十文字が綺麗に出ているハギ目は美しく、気持ちが良いです。
これ1つでも良い仕事ができた証(あかし)と言えるのではないかと思います。

あとがき

良い仕事ができたことが分かる商品はやはり価値が上がります。

マチの十文字もいわゆる柄のようなもの。

「シャネル」バッグが徹底して柄を合わせてあるように、左右1つずつのシンプルなものではあるけれど、マチの十文字柄も同様のこと。

ここは重点を置きたい場所です。

マチ部分は、バッグを一目見た時に、視線のいく場所の1つであるかと思います。

びしっと綺麗な十文字にするまてにこのコツを取り入れていただくと、「ハンドメイドバッグ道」のワザが増え、1つステップアップできるのではないかと思います。

ボストンバッグなどに有効、ゆったりと後付けする無駄がそぎ落とされた8角形の底板【140】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、元のバッグの底に不満があり、安定したバッグ底にと希望する場合にも有効な後から設置可能なくるみ底板の作り方をご紹介したいと思います。

1つ前の番号の【139】の記事では、内蔵して製作の途中で「ベルポーレン」というプラスチック板をそのまま挟み込むやり方で、今回とは違う状況の場合でした。

いずれもバッグ製造者にとっては有効ですので、それぞれのメリットやバッグ構造との相性も考えながら使い分けがお勧めです。

もっとも、リフォームなどでは、今回の【140】の後付けタイプがよく活躍できるようですので、是非ご注目下さいませ。

後付けでしか作りようがないボストンバッグの構造の事情

底板の取り付け方法としては、大きく2種あります。

1)途中段階で底板を裸のまま挟み込んで縫い付ける

2)バッグ出来上がりの最終段階で生地でくるんで設置(リムーバブル)

1)の方法はすっきりとしていて、どのみち底板無しの使い方はしないわけですから一番望ましい取り付け方法かなと思っています。

ところが、バッグのデザインによっては、そうもいかないことがあるのです。

例えば、下の写真のようなファスナー入り口から底まで1パーツが一続きになったようなボストンバッグのようなデザイン。

こんなような形の場合、底部分がハギ合わせなので、底板を入れるタイミングがなかなかありません。

底板を入れなければ結構融通が利いてスムーズに出来上がります。

そうしますと、その作りやすさというメリットを活かし、底板の設置は諦めることを選択。

このことから、底板は後付けでリムーバブルなタイプになるということになりました。

後付けの底板は、リフォームではなく新規の製作でも必要なことがあるということですね。

こんな感じで底でハギ合わせをする作りのバッグだと、底板を入れ込むタイミングがありません。
よって、底板は生地でくるんで底面へポンと置くように設置しています。

生地の中に入れ込むことが不可能とは言いませんが、かなり底板の幅を狭くして縫い易く気を使わねばなりません。

さらに、ただでさえ縫う難易度があるカーブの多いデザインなので、底板に気をとられて綺麗に縫うことができないのです。

こういった場合、あっさりと中に入れ込む方法をあきらめ、リムーバブル式に生地でくるんだくるみ底板を作るのが良いという選択をします。

一番きれいに仕上がるデザインを3種の中から選出してみました

今回は、3種の底板のデザインを比較実験した製作をしてみました。

黒い生地にあえて白糸でそのステッチの出方やラインの綺麗さを比べてみたのです。

この底板をくるみ込む3種のくるみ生地の角のデザインを比較実験してゆきます。

もう、迷うことはない分かりやすい結果でした(;'∀')。

この中で一番きれいな出来なのは、真ん中です。左右は、ひっくり返すやり方。
真ん中だけがひっくり返さないやり方です。
この黒地に白のステッチというかなり厳しい環境で綺麗さを厳しく調べました。
その結果、2枚仕立ての生地を縫い代1.5cmで中側に折り込んで縫い合わせる方法の真ん中が綺麗です。
ちなみに左は長方形、右は楕円形。楕円形は角が全く綺麗に出ませんでした(+_+)。

今回のこの研究の前までは、ずっと長い間一番左の長方形で製作してきました。

一番左が最初に思いつくデザインですが、実際に角ばったトートバッグに設置しても、四つ角がくしゃっとつぶれるのが現実です。

狭い部分に厚みのボリュームが収まりきらないのです。

よって、その見かけの野暮ったさのあるくしゃっと変形する角部分を取り除いたものが今回一番きれいに出来上がった真ん中の8角形だったということです。

一番綺麗にくるみ底板が出来上がった8角形のデザイン
:縫い代1.5cmをすべての辺を中折りして2枚を縫い合わせる作り方です。
ひっくり返さないので角のとがりがシャープに表れます。

8角形は逆にひっくり返しはあまりよくありません。

ラインがここまで複雑だとひっくり返し方法では曖昧に出来上がってしまい、結果綺麗ではないのです。

リムーバルなくるみ底板に関しては、この8角形で行こうと決めた瞬間でした。

あとがき

ひっくり返しを採用しなかったこのたびの底板のくるみ生地の製作でしたが、逆にひっくり返しが綺麗なフォルムを形作ることもあるのです。

それは、マチ付きのバッグの底のラインなどに言えることです。

マチ付きのバッグの美しさは、ふんわりと少し膨らんだように佇むあのラインです。

トートバッグをサイドから見た様子
:マチ周辺があいまいでふんわりしているからこそ美しい、ひっくり返しの効果がよく出ています。

時と場合によって、ひっくり返すのか、折り込みなのかを切り替えています。

まず言えることは、多角形のデザインは、ひっくり返しよりも折り込み式がラインがシャープに出るのだと確信しました。

目指すべきゴールは「美しいライン/フォルム」です。

そのために、製造者がその手法を使い分け、時には苦労もいとわないということです。

製造者の手間の省略や効率を重視することは、量産品の弱点であることも多いです。

そこへ良き勝負を挑む時に、このポイントを思い出してみてください(^-^)。