ミシン針が通らなければ縫いとじが実現できない、厚手生地で入口完全密封のファスナーリュックをどのような工夫で作ったか【203】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ最近ずっと手を付けれずにいた手持ち生地の厚地タイプが結構あることに目を向けてみました。

なぜ、手をなかなか付けれずにいるのか。。

それは厚地が重なる部分が多くて縫えない可能性があって尻込みしているのです。

そこを克服していこうというのが今回の企画です。

厚物に向いたバッグのデザインをセキュリティー性も伴ったものとして考えてみた

厚地というのは、壁にぶち当たる場面が決まって重なってミシンが縫えない時です。

これが起こらないような作りにすれば、ゴブラン、インテリア地などの厚い生地もバッグにしていけると思います。

結構残っている生地の中には素敵な厚地がたくさんあるので何とかここをクリアしていきたいと思っています。

そこで、1点考えたデザインが、半月型のリュックにもなるハンドバッグ。

小さい物ですが、マチを10cmとそこそこのボリュームにして、容積をできるだけ増やします。

そして、このように出来上がりました。ライムイエローの爽やかなバッグです↓。

ミニ半月型リュック:縦16cmx横27cmxマチ10cm。

ミニとは言え、横はそこそこありマチもボリューミーです。

長財布、スマホだけでなく、他の小物も入れていただけるかと思います。

スペイン製のインテリア地で厚手のごわっとした生地、綿/100%です。

イメージとしてはソファーに貼る生地としての使われ方を見込んだ素材。

背の部分:取り外し式のリュックのショルダー付き。長めでたらりと下がるリュックの背負い方も可能。
入口の口布の作り:どこにもすき間がありません。安心して、背負って出歩くことができます。

やはりリュック仕様となると入口が視界から遠ざかるので、不安も付きもの。

そこで、フルに密閉することを考えまして、口布を設置しました。。

内側の様子:ちりめん生地を使い、にぎやかなマルチボーダーが広がった内側になりました。

表地のライム色がこのボーダーの中の色に入っていることでマルチカラーのにぎやかさを落ち着かせてくれます。

入り口の口布の設置部分が重なりが多くなり、困難を極めました。

口布もハード薄芯を入れて立派な物に作り直したら、貫禄があってその方がよかったのです。

悩みどころですね。薄くは作りたいけれど、貫禄も出した方が良い物になるのです。

ここが非常にもどかしい。

もっと厚手になるともう入り口の口布縫い付けが対応できないのです。

ということで、今回はたまたま何とか縫えたけど、次回は違うデザインを考えていかねばなりません。

厚手生地にオールマイティーに対応できる万能デザインは本当にあるのか

なかなかいろいろ欲を出すと、難しいものです。

それにリュック仕様に必ずするということもデザインがなかなか見つからない1つの要因。

けれどここはゆずれません。リュック仕様は必ず入れたいのです。

例えば、入り口の密閉を裏地の柔らかい布で巾着のように絞るというデザインは1つの手かもしれません。

あとは、一重仕立て使いをして袋のようなバッグにするとか、けれどリュックにもなるよというもので。。などです。

あとがき

厚手の生地といっても、このたびのインテリア生地は比較的目が粗かったものになります。

それで何とか針が通って完成まで至りました。

生地の厚みだけを見ずにその織密度をじっくり見て、スカスカなのかぎゅうぎゅうなのかで縫っていけるものとそうでないものに分かれていく岐路もあるかと思います。

とにかくこのたびは良い研究になりましたし、オシャレに仕上げる一定の成果も出ました。

ファスナー使いの隙間の解消は製造業者としても悩みどころ。

ただ、完全密封には他の対策が及ぶことはありません。

製作者の創造をはるかに超える荒々しい使いっぷりの現実、実際にバッグが使われるシーンを事細かに想定した強化箇所【202】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、製作にゆがみによる失敗があった1点のミニリュックを頻繁に自分で実際に使っていく中で気づいた驚くべき実態をお知らせして、製作のヒントになればとお話させていただきます。

結論からは、ハンドメイドバッグの作り手が、自分で使ってみることというのは新しい発見があるということです。

製作はあくまで使う手前までの事でしかありません。

その後の事は使っていかないと浮かび上がってこない事象なのです。

必ずしも上品に取っ手を持ちながら入り口を開閉するわけではないバッグ使用場面の現実あれこれ

ずっと同じものを使っていくと慣れて、ついつい荒々しく乱暴になります。

新しい頃は気を使っていますのでそれほどでもないですが、だんだん馴染んで慣れてきた頃というのは、何かしらの重要なヒントがある時期であると思いました。

実際に使わせていただいているのは、このニット素材のミニリュックです。

横向きに長財布がぎりぎり入るような小さなもの。中側にポケット2個。トップには取っ手の調節機能付き。
このように角の位置が対角線上に並ばず、歪みが起きてボツとなりましたことで自分で使うことにしたもの。

しかも、白黒というのは、まさに普段着としてコーデしている黒コーデにマッチしまして、大変使いやすいです。

何も考えず、このリュックを持って外へ出れば、自然に黒白コーデが成り立つので気楽です。

黒のバッグに少し柄が入っているといった感じを求める女性の何人かに過去のバッグの販売でご縁がありました。

黒白系はネット写真ではなかなか映えにくいものの、実際には多くのお洋服に使える色味だと見ています。

さて、このリュックを使っていく中で、意外と乱暴で荒々しい使い方をしてしまっているというのが、具体的にどういった場面なのかをショット写真で数点ご紹介。

なかなか興味深いものですねぇ。

もしかしたら、同じようなことを皆が気づかず無意識にやっているのかもしれません。

では、無意識な荒々しい使い方「あるある」まいります。

①ファスナーで持ち上げてしまう・・・ファスナーを開閉すると同時に思わずファスナーを持ち上げてしまう。

無意識というのは怖いものです。

気が付いたらこのようなすごいことをしておりました。

ファスナー開閉時にリュックを宙に浮かせながらファスナーを持ち上げることも。。

この時に、ファスナーで全体の重さを支えていることになります。

そうすると、対策として浮かぶのは、ファスナー取り付け時の縫いを強固にすることです。

二重縫いはその対策としてはなかなか良かったかと思いますので、今後このまま実行していきます。

②フラップポケットのフラップを宙に浮かせた状態で持ち上げる・・・これは①のファスナーに似た使い方。

なんと乱暴な。。しかしながら、実際私も使う中でこれを普通にやっていました。

そう考えると、こういう場面も大変荒々しいですが、実際には考慮せねばなりません。

ということで、これまで行ってきたフラップポケットの蓋の縫い付けを、裏側に「当て芯」をして、更に二重縫いして取り付けていますことを今後も続行です。

③ショルダータブの強固な取り付けが求められる・・・ショルダータブは縫い付け時に3度縫い。

ここは、支えとなる部分なので、やはり、多重縫いにより強固な縫い付けが必須です。

④片方のショルダーだけで肩に背負うことがある・・・不安定な状態の時、物を取り出そうとする時です。

そうするとこの対策としては、タブを強固に取り付ける具合というのも、目標をこの片方の1つのタブだけで全体を支える場面があることの想定のもとでなければなりません。

あまり深くそこまでは考えが及んではいませんでしたが、あの小さいタブ自体、そしてその縫い付けの両方にパワーがないといけないということですね。

接着芯は必須。強固にするための接着芯であるという目的に貼ります。

そして、縫い付けも今まで通り3重縫いです。

タブの幅もあまり狭いものではなく、ある程度広めの方が丈夫です。糸で縫う部分が広い程強固です。

ブランド物の高級バッグでポンとスタイリッシュなタブが外れてしまった過去を思い出します。

小さい物だと侮るなかれ、小さなショルダータブこそ主役のような取り付け方をする必要があるのです。

⑤カンが傾く・・・そもそもこの角カンがまずいということで、Dカンに徹底し直し。

角カンは向きが変わりやすいので不向き。Dカンの方が安定して使えます。

⑥糸の始末がほつれてくる・・・これでも玉結び玉止めを一度はしっかりやっての結果です。更なる対策は↓。。

その後、現在では、この結び目を隠れたところに出して、強固にコマ結びしています。

この写真の時は、見える位置で結び目を出してしまっていたのもこんな風にぼそぼそと見える原因になってしまいました。

テトロン糸はつるりとしてほぐれやすいので特にこうなりがちです。

よって玉止めを隠す場所の見つけ方も重要になります。

ポイントとしては、溝となっている箇所を近隣で探し、そこへ針を使って糸を移動して玉止めを行うということをこれ以降の製作に徹底しています。

⑦ファスナーのつまみで持ち上げることがある・・・最初の①に類似ですが、つまみ部分を持ち上げるケース。

対策としては、つまみをただの飾りではなく、丈夫な素材で強固に取り付けることです。

以上7点ですが、使っていく中で見つかった荒々しい使い方の場面とその対策でした。

では、使っていく中でとても良いと感じたところはあったのでしょうか?

次にそれを1点お伝えしたいと思います↓。

使っていく中での角の擦れの有無で分かる生地の良し悪し

バッグの角っこは傷み具合を測るには必ず見る箇所だと思います。

今回の素材というのは、「スポーツメッシュ」というニット生地です。

混率は、ポリエステル/94%、ポリウレタン/6%、日本製。

この素材で作ったミニリュックの角を見てみると。。全く傷みが見られませんでした。

傷みが出ていないスポーツメッシュという生地。・・・過度の擦れは直すのが難しいので素材は重要です。

今回のこの生地は、こういった結果からは、擦れにくい生地であると言ってよいかと思います。

良質の定義も様々かもしれませんが、長く持てるということになると、擦れが全く起こっていないということが「良質な素材」の1つの目安になるのではないでしょうか。

摩擦に対して柔軟性がある丈夫な生地だと言えます。

スポーツ着目的に製造されたこの素材の一番の「売り」でしょう。

あとがき

このスポーツメッシュという生地は、ユニークで面白みがありますが、決して高価な生地ではありません。

コストが高い生地こそが良い生地だと表面的な判断はするべきではないことを、今回の検証からも実感しています。

もし、高額生地=良いということにしてしまうと、製造のお品が「生地頼み」の作りとなってしまい、その製造者であるハンドメイド作家の役割がありません。

生地というのはあくまで「材料」であり、「製品」として仕上がるその間の「製作」には多くの「自分の考え方」を込めて表現していくのであり、その「表現」こそが実は一番伝えたいものが詰まっている重要な部分なのです。

これを多くが忘れられ、かわいい生地や素敵な生地さえあれば、その作りや考え方を深く見ることに目を背けられている現実を感じます。

「心を込めて」とか「精魂こめて」などという言葉がありますが、あの言葉は確かな文言であると考えます。

黙って物1つ作って売れることだけでも1つのコミュニケーションであり、人同士の対話だということになります(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ちょっとブレイクタイムにもハンドメイド、直線縫いしかできない職業用ミシンで「即興刺繍」トライしたうさぎさんがのんびりたたずむ風景画【200】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

少しリラックスした気分で、特に何かその先に目標があるわけでもないことを今回ミシンを使ってやってみました。

あまりそんな風に作業することがないので、時にはこんなことも良いのではと思いました、

それは、短い時間でやってみました刺繍です。

刺繍も奥が深いと思います。

ミシンなら、層を分厚くして、カチコチになるまでたくさんの糸を使って膨らんだ感じになるものが本来の刺繍とよばれるもの。

また、手縫いなら枠を張って、そこへ多重の糸でカラフルな色の組み合わせで針を刺していきます。

けれども今回は、いたってシンプルで「我流」です。

職業用ミシンで直線だけでシンプルに行う刺繍をしてみました。

刺繍のテクニックは持っていませんので、普段のミシン使いのみの技術そのままで行います。

刺繍のデザインは、うさぎさんのいる風景画を可愛らしく考えた

この際好きな場面を風景画にしていこう、そのように思いました。

特に下書きとか線を付けたりせず、突然浮かんだ風景そのままをミシン縫いで描いていきます。

ただし、やるからには綺麗な始末にします。

糸は、玉結び/玉止めの端っこ部分をすべてすっきりと裏側に隠します。

ではまずは、木からスタート。

木の幹。外側は茶色の糸、幹の部分はベージュ色。
木の葉の部分。アフロヘアーみたいにまあるく。
うさぎの顔。ぷっくりかわいいうさぎをイメージします。
うさぎがくつろいでいる様子を表現。
お花を刺繍します。
完成です。うさぎさんの目は黒糸なので目立ちませんが多重に1針目ずつの返し縫いで頑張りました(^_^;)。

まるで即興演奏のような「即興刺繍」を終えての感想

刺繍は、一流ブランドが行っても、どこかおぼこさが出るものです。

私の場合も思いっきり子供っぽくなりました。

風景画だからこうなりがちなのもありますけれど(^_^;)。

今までやってもみなかっとことをやり終えた不思議な気持ちがありました。

思ったより出来上がってしまうものだと。

ルールや縛りがないので自由だったからこそできたことだと思います。

ブレイクタイムに肩ひじ張らずにやった作業の中から何かを得たのかもしれません。

良い体験でした(^-^)。

一度やってみてください、完成すると何か特別な気持ちが味わえます。

あとがき

直線ミシンだと、線が細いので刺繍の立体感は出にくいですね、当然です。

けれど、普段の、カーブ縫い、角のステッチなどの訓練が活かされる場面でもありました。

いつもやっている作業や行動をふとした時に違った形で新しい何かを取り入れてみることでその後の元の作業の発展になるヒントが得られるかもしれません。

極端な例ではございましたが、新しいアイデアにお役に立てればと思います。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

装飾面よりも大切な事、ひらひらと人魚のように何段にも飾るフリルと、そこにどうしても必要だから設置されたシンプルなフリルとの機能面の違い【190】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

エレガントさを表現できるモチーフの1つに「フリル」があります。

今回、ある必要に迫られて、どうしてもフリルを付ける必要がある状況が出てきました。

このことをきっかけに、フリルにおける「装飾」と「機能」について考えてみました。

フリルは装飾性のあるモチーフなイメージが強いのですが、この度の発見は、「機能としてのフリル」だったところがポイントになります。

フリル使い引用の時のヒントになればと思います。

ハンドメイドバッグの製作手法の限界を感じた縁っこライン

ハンドメイドバッグをいろいろなデザインで展開していきたい場合、どうしてもある壁にぶち当たるような気がします。

それは物理的な無理です。

バッグは基本的には、表地と裏地の「袋同士の合体」です。

そのような典型的な作りがトートバッグとか巾着バッグに展開されることが多いです。

袋と袋をつなげて重ねて1つにする作りということですね。

ところが、もっといろいろなデザインを試みていきたい場合、ひっくり返しに無理が生じたり、綺麗に作れないことがあります。

特に立体的な形が少々複雑になったバッグは、大変おしゃれで魅力的なのだけれど、作るのが困難であったりするものです。

そうした中で、工業製品にとどまらず、布でも作れるためのある工夫をしました。

それが、組み立て式の作りをしたバッグです。

簡単にご説明しますと、トートバッグなどが、表地と裏地を別々で容器に作って最後に合体していた作業を根本的に変え、最初から表地と裏地をくっつけて板状のプレートパーツに作り最後に組み立てるのです。

この時点でひっくり返してあるので、縫い代がすべて隠されています。

よって、最後はそのまま端っこを頑丈に組み立てて縫いつなげるというやり方です。

この方法でこれまでいろんな過去に経験したことがないデザインが一応完成まで行くことができました。

バニティーとかケリーも作ってみたことがあります。

今後もこの組み立て式の作り方は取り入れていきたいとは思いました。

難しいデザインもこれが可能にしてくれるこのやり方は何か新たな道が開けたと思っていました。

ただしかし。。ここにもやはり壁がありました。

組み立て式の作りの壁

この組み立て式にも壁があります。

特に裏地を表地とかけ離れた色にする場合に目立つことですが、ひっくり返した隙間から裏地が見えてしまうのです。

これが、面白いととらえるか、裏地が見えてしまって縫い閉じられていないととらえるかなのです。

そして、カーブの部分などが、綺麗に組み立てるにはぴったりと重なることに限界を感じる時があるのです。

綺麗に重なるようには縫い付けますが、この重なりがいかにも手作り感が突出しているような気もします。

この写真の製作は、かなりうまくいった出来上がりの方なのですが、それでも後々もやもやしたものが残るものです。

よって、この製作手法にもある一種の壁と限界があるのだということを思い始めました。

そこで、考えました。この縁のラインを隠すことをしてみようではないかと。。

それがフリル使いです。

表地と裏地の真ん中にフリルを挟み込むと、ガラリと縁のラインの視線が変わるのではないかと考えました。

縁のハギ目カバーの役割をしながら、かわいく装飾してくれるフリルを付けた箇所

ということで、フリルを施したのですが、結局今回作った「おにぎり」というデザインの場合、その他のデザインの場合もほぼ全体の総フリルということになりました。

飾るフリルとは意味が違います。

必要な箇所すべてにフリルをするということをやった結果たくさんのフリルの付いた豪華に見えるデザインになっただけなのです。

こんな風に1mほどの長いフリルを2つつなげるくらいの量を1周分に用意。
そして、フリルを本体にミシンであらかじめ縫い付けしておきます。

ちなみに、おおよそフリルの生地の分量は、クシュクシュになるには3倍くらい使うので、1周x3倍分の長さの細長い生地が必要です。

今回の5mm巾がちょうどすっきりと品の良い幅のフリルに出来上がるかと思いました。

フリルの作業が増えたことで手間と時間はかかりますが、出来栄えに迫力が出ました。

以前と変わった縁のラインにご注目を。

フリルに視線が行くことと、そもそも問題の溝の部分がフリルで隠されました。

これこそが、「隠すという役割=機能」ということになりました。

「フリルリュック」:<サイズ>縦23cmx横31cmxマチ12cm。

完成した正面のハンドバッグとリュックの2WAYです。

このデザインががリュックになっているとは意外かもしれません。

けれども、リュックにもなることで、ぐんと使う場面が増えると見込めます。

リュックのショルダーはリムーバブル。ハンドバッグに使いたい時は外せます。

背の所にポケットも付けていますので、パスとか切符とかタオルなど、すぐに取り出したいものを入れておくには外側に1つポケットがあるとよいと、ここにお付けしました。

底面にもフリルが付いている徹底ぶり。ここにただの装飾ではないことも読み取れます。

あとがき

フリルが多い=エレガントなのかもしれませんが、そのつもりでフリルを付けていません。

あくまでもバッグのラインのどうしても美しさが実現しにくい部分を隠す役割として取り付けたところ、結果フリルにボリュームが出てエレガントになったということになります。

今回はたった1つの例。

これをいろんなアイテム、いろんなデザインに「アイデア」の1つとして引用していただけそうです。

今までのフリルに対する固定観念を見直す機会になるかもしれません。

「なぜ」の理由をそのデザインに落とし込んだ一例です(^-^)。

リュックの蓋のフリフリの可愛さを演出する目的ではない別の意味、厚みあるパイル地の重なりの歪みを隠す「機能」が目的【182】

アイキャッチ画像182

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ある1括りの共通点でまとめるシリーズ製作、現在は<タオルシリーズ>であり、このたびがそのラスト。

タオル地がすべて同じ織り方一辺倒ではないことを、このシリーズを通して知りました。

ループになった本来の日用品のタオルにそっくりなイメージのもの、一方でスタイリッシュに高級感ある毛並みのパイルカットがしてあるもの。

そのいずれもタオル地であるという1括りの中にある更なる展開なのです。

日用品のタオルのイメージを越えたお出かけテイストもタオル地によって演出することができるようなのです。

このたびは、当シリーズのこれまでの2点と違った大きめの入り口フラップを取り付けるアレンジを導入。

その中で生まれた悩み、厚みがあり伸びるニット地のパイル地が起こしてしまう重なりの「ずれ」「歪み」を極力起こらないよう努力しながらも、フリルを挟み込むことでクリアしていきました。

<タオルシリーズ③>フラップ2枚仕立ての間に挟んだ黒フリルの意味、縫い重なりの汚さをカバーする目くらませの役割り

使用生地:表地(濃ピンク)-パイルニット無地、綿/75%、ポリエステル/25%、日本製。裏地/リボンひも/フリル(黒)-生地名不明、ポリエステル/100%、日本製。

ここからは、フリルを設置するまでの過程をお伝えしていきます↓。

黒生地に三つ折り用に1.5cmの印を(7.5mmずつの三つ折り)、ギャザーの仕付け糸用に1cmの印を付けました。
三つ折りステッチ:先に三つ折りステッチを済ませ、フリルの先端の縫い代始末をしておくのです。
しつけと長さのシミュレーション:糸を通し引っ張りフリルを作成。余分な寸法分はここでカット。
フリルの固定ステッチ:均等配分のフリルのしつけの1cmの位置をフリル単独でミシンステッチ。
完成したフリルを入り口フラップにしフリル作りのステッチよりも1mm内側を縫い付けが仕上がりが綺麗。
フラップの「中表」縫い:もう1枚の方のフラップを合体して縫い代1cmでカーブ縫い。
フリル・マジックテープ付きのフラップを本体へ設置:最後の場面です。いろいろ混み合いますが、完成間近。

もし、フリルを設置しなければ、最も視線を集める入り口フラップのカーブラインが、パイル地でありニットである厚みによってごわつき美しいものには映らなかったと思います。

まさにこれが、フリルを設置する本当の意味、かわいさ溢れる装飾的な演出ではないということです。

とは言え、フリルをかわいいと見てもらうことで、本当の意味がより奥深く秘められ、どの道魅力はアップするわけです。

濃ピンクパイル地の簡易リュック完成:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ10cm。
リュックの背面:共布で作ったショルダーにジグザグステッチを施しベルトを強靭に固定。
お洋服とのコーデ例:抜け感あるテイストのデニムコーデと合わせました。黒フリルとタンクのフリルがリンク。

あとがき

タオル地は洗面シーンのみのものというのも固定観念、お出かけシーンでの可能性を発見できたことが大変有意義でした。

ところで、当ブログ記事は最初の投稿の2020.08.14からおよそ5年後の2025.07.03にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

この投稿をもって、ある分野で一括りにする製作の<シリーズ>という企画を終えたいと思います。

ずっと続けるつもりでしたが、いくつかのシリーズを行ってきて重要なことに気付いたからです。

それは、シリーズを行うことによる「縛り」。

このたびのデザインも、1点目で入り口のマジックテープの強度が弱すぎると気付き始めながら3点共作ってしまったことも「このシリーズをこの仕様で行く」という固定観念。

シリーズが無ければ、次の2点目から改良していたかもしれないからです。

ワクワク感いっぱいにスタートした2019年からの企画でしたが、だんだん「縛り」を感じてきたということを、決して悪い意味では捉えていません。

むしろ、「自由」を重んじる製作スタイルに気付いたということになります。

この発見は非常に大きなことで、後の製作スタイルの徹底にも繋がっていったと思います。

2025年で思うことは、「自由」こそ「1点物志向」であることに伴うものなのだということ。

「括り」というのは、確かに分かり易さ・色濃さに溢れ素晴らしい点もありますが、製作者本人が「縛り」を感じることこそ一番良くないこと。

2025年から見てもこの時のシリーズの終了は、時の流れと共に明らかになった、ピクチャレスクらしいハンドメイド活動のスタイルへ向かっていった節目だったのでした(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

ファッションと日用品の中間的ポジション、親しみあるパイルのベージュタオル地にカーキパーツがコントラストの巾着リュック【178】

アイキャッチ画像178

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在進めております<タオルシリーズ>は、ハンドメイドバッグ製作を共通事項が集まった一括りで色濃くお伝えしようというもの。

タオルというアイテムは伝統的な日用品アイテムです。

では、そのタオルがリュックになったらどんなポジションになるでしょうか。

日用品なのか、それともファッションアイテムなのか。。

このたびは、そのような探究の1つとして、全パイル構造のタオル地を使った巾着リュックを製作しました。

もしかしたら、日用品のイメージは固定観念であり、更なる新しいタオル地の可能性が開拓できたらと願いながら。。

<タオルシリーズ②>タオル素材で作る簡易リュック、ベージュに対してカーキミックスのコントラスト効果はタオル地の新しい可能性

使用生地:左-<表地:ベージュ>ベビータオル、綿/100%、日本製。真ん中-<配色:カーキ>パイルニット、綿/100%、日本製。右-<裏地:ベージュ>楊柳無地、綿/100%、日本製。
裁断:3種すべての生地に凹凸感があり立体感を高めてくれます。パーツに使用のカーキグリーンの役割りは大。
芯の幅調整:厚みあるパイルをショルダーにする場合膨らむので、内蔵の「ソフト厚芯」の端を削っておくのです。

このカットによって、ぴったり合わせることよりも内蔵スペースの融通性が生まれ、すっきりとした美しいラインに出来上がるという非常に重要なポイントとなります。

「ソフト厚芯」内蔵:コツは生地と芯とを別々に観音開きのアイロンをしっかりかけておくこと。ボンド不使用。
ショルダーの完成:洗濯ばさみを徐々に外しながらボックス状にステッチ。引き続きジグザグステッチをフルに。
パーツの挟み込みと入り口の縫い閉じ:仮縫い固定したパーツ複数を挟み込みながら入り口を2重縫いx2段で。
ベージュのタオル地(全面パイル)の簡易リュックの完成:<サイズ>サイズ27cmx27cmxマチ10cm。
巾着を解放した時のフォルム:トートバッグと同じ構造です。やや小ぶりながら容量はゆったりと確保可能。
背負う裏面:カーキグリーンミックスのショルダーのコントラストが美しいです。

完成して感じたことは、タオル素材らしく同じパイル同士ですっきりとまとめながらも、ベージュとカーキミックスのコントラスト効果がエレガントに寄っていたことです。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.08.10からおよそ5年後の2025.06.29にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

この製作で実感したのは、日用品の素材のタオル地であってもエレガントに寄せることができるということです。

その後は、特に素材自体のイメージがカジュアルであろうがエレガントであろうが、その時点で良いと心から思った生地を一番に優先するようになりました。

素材選択後の続きが製作の裁量に委ねられ、「エレガントな方向」へ寄せていくことが出来るのだという喜ばしい可能性をしかと感じたのでした。

この可能性はやがて、技術を高め確かな「自信」に繋がっていったのでした(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

タオル地の中の更なる特化、ふんわりとした毛羽立ち感とループの混合構造が高級感を高めてくれるオールシーズンリュック【176】

アイキャッチ画像176

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

季節感ある素材の1つとして、「タオル地」があります。

夏の寝具のタオルケットや海辺のマストアイテムのバスタオルなどに使われ、夏のイメージが色濃く刻まれます。

しかし、タオルという素材を更に深掘りしてみると、構造の違いによって、夏だけにとどまらないオールシーズン可能な素材もあったのでした。

そのような素晴らしい生地との出会いを、リュックの製作に活かしていきます。

題して<タオルシリーズ>、3回に渡り種類の違うタオル地を連続製作していきます。

まず最初は、オールシーズン可能だと見込める「シャーリングタオル」という素材で裏地付きの簡易リュックが完成致です。

<タオルシリーズ①>季節限定のイメージ無し、高級感溢れるパイルとパイルカットの混合構造のシャーリングタオルリュック

<左:表地>シャーリングタオル、綿/100%、日本製。<右:裏地>ガーゼプリント、綿/100%、日本製。

タオル素材でありながら、タオルっぽくない。。まるで高級感ある贈答品のイメージです。

こちらの少しの色展開の中から、ブルーを選択、裏地のガーゼ素材の小花柄と素敵に調和。

表地の「シャーリングタオル」地のズーム:パイルが残る部分とパイルカットされた毛羽立ちの部分の混合。
ポケットのフラップ付け:先に袋の部分を2重でコの字ステッチ、続いてフラップの二重ステッチという順番。
ポケットの当て芯のカット:最初は全面的に当てますが、最終的にはステッチ周りだけを残して余分をカット。

余計なごわつき防止として軽く仕上げる方がバッグ全体がすっきりします。

挟み込んで縫い付けるパーツ:サイドひも・入り口フラップ・ショルダーはすべて挟み込んで縫い付け。

簡易リュックなので、途中の中継的な役割のカンを付けないのです。

そうした複数のパーツが挟み込まれた上部、更に強度を高める工夫として入り口の縫い閉じを2重x2列に。

簡易リュック(ブルーのシャーリングタオル地):<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ10cm。
背負う部分:シンプルなデザインの中にシャーリングタオルの綾やショルダーのジグザグしテッチが映えます。
内側に広がる美しい柄:優しくかわいい小花柄は内部を明るく照らし、覗き見た瞬間の心地良さを押し上げ。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.08.08からおよそ5年後の2025.06.27にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

ミニマムで金具を使わないリュックとしては特徴あるスタイルだったのですが、実際に入り口開閉のマジックテープは全体の重さを支えるパワーは有りませんでした。

せめて、この場所をDカンとナスカンというコンビで大きな圧力が働いても対応できるようにするべきでした。

随分な未熟さを思い知らされた過去製作、その反省からどの金属パーツがどうしても必要なのかが分かってきました。

ミニマムというのはある意味長年の様々なフィードバックを含む要・不要の正しい判断の元に生まれるものであり、「手を抜く」とか「むやみな省略」とは異なるものであるということです。

「ミニマム」というワードも実に奥深い言葉、表面的にただ素朴に仕立て上げるということではないということを、こうした課題が教えてくれたのでした(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

「外表」で組み立てたナイロンビジネスバッグ、シーンへの配慮で控えめな表地グレーと引き換えに内部に広がるピンクの花園【172】

アイキャッチ画像172

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

かつては、経理部としてある時間帯のみ外回りのお仕事がありました。

書類の授受のお仕事は、貿易の輸入品のお品物に対して支払いの手続きのスタート場面であり、数か月後に実際に会社の口座から引き落としがあります。

淡々と流れに沿ったお仕事ではありますが非常に重要な場面であると言えます。

当然天候には無関係に期日が来ますので、雨の日も雪の日もその書類の到着のタイミングに合わせて必ず銀行様へ出向かねばなりません。

ということで、悪い天候の際にも対応できるようにと、幾度か書類バッグを自作したものでした。

そのような経験をハンドメイド事業活動で役立てたのです。

このたびのバッグ製作に引用するスタイル、「外表」の作り方は、未知のファスナー付きデザインに挑戦する際には、イメージを実現しやすい方法です。

「外表」式で製作したナイロンビジネスバッグをご紹介したいと思います。

堅いシーンに利用のグレーのナイロンビジネスバッグ、一方で内部の小花柄の華やかさがお仕事時間を楽しく盛り立てる

使用生地:表地(グレー)-ナイロンオックスはっ水加工、ナイロン/100%、日本製。裏地(ピンク小花柄)-コーティングプリント目止め加工、ナイロン/100%、日本製。

表地も裏地もはっ水効果のある生地同士で雨対策を最強にしていきます。

はっ水加工生地の花柄は豊富ではありませんので、この生地との出会いが貴重でした。

支柱ベルト:内蔵の「ソフト厚芯」は、その後は入手できなくなりましたが在庫がある限り使っていきました。

内蔵する作業は比較的簡単、コツは観音開き折りのアイロンを生地の方と「ソフト厚芯」とを別々でしっかりかけることです。

ボンドは必要無し、比較的挟み込みやすくスムーズに進めることができます。

4本ステッチ:3パーツ連結仕立ての長い支柱ですが、存分に複数のステッチで固め、丈夫さと貫禄が高まります。
縁にはソフト厚芯を入れない:先程の内蔵の場面に戻りますが、支柱の両縁1.5cm程度の部分は除外。

理由は、一番右のように縫い代部分で混み合う出来上がりのラインのすっきりさを考慮したもの。

出来上がりのラインを優先した判断ではあるのですが、元の接着芯が貼ってあることは重要になります。

課題点の底ラインの位置:カーブの角同士が前面と後ろ面で同じ位置に対角線上に配置が正解。この出来は✕。
内部の花柄の広がり:非常に華やかで、表地とのコントラストが美しいです。奥にはファスナーポケットを配置。
外面のスマホポケット:かつてはここをファスナー使いにしていましたが、キズ防止にファスナーを廃止。

実際の、外回り中の電話はたくさんありましたのでこうした外ポケットにスマホを入れて持ち歩くことは正解です。

しかし、取り出しやすさとしてはこのたびのファスナーの廃止の方が現実的でした。

ファスナー2本使い:真ん中で止まるという構造になります。1本で両開きファスナーの方が設置はしやすいです。

ファスナーの在庫を使用したくてあえて2本使いにしただけですので、お勧めは「両開きファスナー」です。

ナイロンビジネスバッグの完成(ナイロンオックスグレー):<サイズ>縦29cmx横36cmxマチ10cm。
斜めの角度から:人から目に映る姿としてはこのような感じです。
その他の角度から:上から時計回りに、底面→右サイド→左サイド。すっきりとしたデザインです。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.08.04からおよそ5年後の2025.06.23にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

この後、黒2点を製作したのが2021年1月と3月。

このデザインは、ナイロンオックスのみに特化した製作をしたことがより伝わり易かったかと。。

世の中の流れはおそらく、書類を持ち歩く外回りという仕事スタイルが廃止の方向に向かうのではないかと考えております。

よって、このデザインはその後廃版へ。

ボックス枠をくり抜いてファスナーを当てはめる設置の仕方は引き続きどこかに引用したいと考えております。

デザインの廃止もかえって前向きなもの、未来へ時が流れるに伴いバッグの製作も変遷があって当然の事ではないかと(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

<糸調子>表地と裏地のカラーコントラストが激しい場合のステッチの出方、各面にすっきりと同色のみが出る美しさの追求【167】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク))です。

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.07.30からおよそ5年後の2025.06.18にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

時はコロナ禍、2020年4月-2020年6月くらいの3か月間マスク製造・販売企画を友人と行ってきました。

この「手直し」も2020年6月付けの投稿の分で最後として締めくくっていたのですが、まだ1投稿あったようで、この時期にはもうハンドメイドマスク作りは下火になっていた頃です。

大手製造会社様が大量生産に乗り出し、歯車が活発に動き出してきたタイミングをもってこの企画を終了していたのでした。

ただ、当投稿の時の動画は、まだ手作りマスクを求めるニーズがあり、生地をご提供いただいての製作であったことがこれまでと違った体験でしたので非常に有意義だったのです。

ということで、この時に含まれたコントラストの強い2色の紺とオフの組み合わせの中のステッチ糸の出方に注目しました。

マスク製作の例ではありますが、バッグ作りや小物作りすべてのミシン製作に引用できる事柄であり、是非記録に残しておきたいと思います。

極端な色違いの表地の紺と裏地の白、ステッチがそれぞれの面で美しく馴染みコントラスト効果の完成へ

マスクのステッチ糸の例:表地の紺には青味のグレー糸(紺糸は強過ぎ)、裏地の白には白糸を使用したケース。
生地に馴染む糸の色の選択:まずは美しくお品物を仕上げるコツ。生地に馴染ませると上糸と下糸の色が相違です。
ミシンステッチ:裏地側を上糸にステッチする場合、表地側を上糸にステッチする場合が混在するものです。
表地が紺で裏地が白のマスクの完成:ステッチの糸の出方にご注目。時々紺のステッチの中に白糸が出ています。

この出方は、糸調子の不十分にも原因があったかと思います。

麻素材の生地なので節が糸に引っかかって飛び出したのだろうと最初は思っていましたが、この場合は糸調子の悪さが大きく占めていたと思います。

全体的に糸調子がやや強すぎたのではないかと振り返ります。

最後に、糸調子の整え方をまとめてみました↓。

<糸調子の整え方>

●下糸の調整:下糸は一度その糸で調整したらあとは触りません。

巻いたボビンをボビンごとクレーンのように上に吊り上げた時に鈍くゆっくりと下に下がっていく感覚が正解。

この時に全く動かない場合はネジをミニマイナスドライバーで緩めまして、反対にスルスルと下がり過ぎる場合は絞めます。

●上糸の調整:基本的にスパン糸は「糸案内」には真ん中飛ばしで、テトロンはフルに通す。

「糸調子ダイヤル」は、1.5-2.0くらいの間が安定だと感じますが、デニムや帆布はまた特殊で極端ですので、別の投稿のタイトルの<糸調子>で検索してご参考にどうぞ。

***

マスクの場合は、普通の厚みの生地もしくは薄手です、厚みが重なるバッグ用に設定してあった糸調子が全体的にきつかったのかもしれません。

あとがき

そもそも、表地と裏地にコントラスト効果が激しいことを避けるというのも1つの策です。

ただ、それは「条件」とか「縛り」になってしまい、選ぶ生地の可能性を狭めるということで、私が最も嫌う不自由さがあります。

やはり、そこは自由に心の赴くままに選択し、あとはしっかりと糸調子の整えにより解決していくという方が良いと考えております(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

リントンツイードを同じバッグに引用して分かる、エレガントなハイブランド様が示したカジュアルテイストへの挑戦状【150】

アイキャッチ画像150

まえがき

こんにちは。pictuuresque(ピクチャレスク)です。

2020年に初めて「リントンツイード」という生地を手にしました(友人からの勧め)。

まずは試作品用にとやや大きめのはぎれで入手。

もとはイギリス生まれ、生地メーカー「リントン社」様の創業者「リントン」様の名前をファンシーツイードに名付けたブランド名です。

この「リントン」という名前のツイード生地を女性のスーツに取り入れたのは、「ココ(ガブリエル)・シャネル」が最初。

ツイードというのはその昔はメンズのお洋服に対して専用に使われていた素材。

「メンズテイストを女性のアイテムへ引用」というシャネル様の斬新な発想が、新しい女性スタイルを作ったとも言えるのです。

もともと「ファンシーツイード」という糸がカラフルに織り込まれた生地に興味があり、イタリア製・日本製・ドイツ製などをこれまでバッグ製作に使わせていただきました。

不思議なのが、ラメのようなツヤのある糸が織り込まれても、出来上がった生地はカジュアルテイストに寄るということ。

カラフルな糸がランダムでポップな感じに見えるからでしょうか、これこそがツイード特有のテイストだと言えます。

そしてこのたび、更に素材がウールや綿というより一層カジュアルテイスト溢れる「リントンツイード」を入手し、キューブ型バッグを製作。

実際に「リントンツイード」を使わせていただいた驚きを含めた感想をこのたび綴ってまいりたいと思います。

イメージを遥かに超えたガサガサ感、「リントンツイード」生地をエレガントに仕上げたハイブランド様のバッグへの感服

表地(グレー):リントンツイード、混率不明(ウール混と予想)、イギリス製。
全体柄:ざっくりと市松格子のような柄になっていることに注目。製作するキューブ型バッグとの相性は◎。
裏地(ブルーとピンクのバイカラー配分):いずれもエステルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。
バイカラーの活かし方:楽しみながら製作、コントラスト効果を利用し、色を配分していきました。
キューブ型の形成:「ベルポーレン」というプラ底板の2mm厚。角をカーブにカットし控えたサイズで内蔵。
「外表」組み立て式で製作:キューブのフォルムをしっかりと出すためと作り易さで、縫い代始末済みを組立て。
セキュリティー性の強化:内蔵巾着袋を裏地とは別に設け、ドットボタンで底同士を合体しぐらつきを固定。
内蔵巾着袋のひも:蝶々結びで絞ります。内蔵巾着袋にもポケットが設置してあり、多重構造なのです。
「ヒネリ錠」の設置:入口はヒネリ錠。ハンドバッグらしさを示すような象徴的なパーツです。
キューブ型バッグ:<サイズ>縦17cmx横17cmx高さ17cm。ショルダーやリュックは【187】で設置します。

あとがき

更なるチェーンショルダー付けの姿は、後の記事【187】でご紹介しました。

「シャネル」様は、チェーンバッグに引用したリントンツイード生地がここまでカジュアルテイストであることをよくご承知だったかと。

あえて、そのカジュアル感に対して、自社のエレガントの「ブランドイメージ」をもって挑んだのではないかと思えてなりません。

このたびの試作品は、とてもエレガントには程遠い物でした。

この素材だったら、カジュアルなふんわりしたサックなどを作った方が合うなどと作り終わって思ったほどです。

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.07.13にブログ記事の「手直し」の順番で、およそ5年後の2025.06.01にタイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

この製作にあたって、リントン生地のバッグへの使われ方を「シャネル」様以外で拝見しましたが、ありましたよ、模倣品が。。

我々の頭の中には、「リントンツイードのハンドバッグ」が「シャネルのもの」というブランディングが占めています。

そのままの模倣は全く意味を成しません、少なくとも「シャネル」様への降伏宣言のようなものです。

おそらく苦労して製作したのでしょうから、その時間を独自の「リントン生地」との向き合い方の「考案」に費やすべきだと思います。

もとは友人の勧めで手を付けてみたこの生地、キューブ型に落とし込んだことも良くなかったと考えます。

ピクチャレスクの製作スタイルの「エレガント寄せ」に対しては随分真逆の生地なのです。

とはいえ、デニムなどのカジュアル感満載の素材もエレガントに寄せ、生地に区別を付けないというフラットなスタイルの2025年現在。

いつか再び「リントン生地」に挑む機会があるかもしれません。

その時は、ちゃんと独自の解釈でリントンツイードとの向き合い方をしたいと思います(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク