プレート組み立て式の作り方のバッグにおける角の歪みを起こさないようにする対策【172】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回製作したバッグは、かつて経理の仕事の外回りで使ってきた経験から考えた使い勝手を追求した、表地も裏地も撥水の効いたブリーフケース型。

内側に小花柄が広がるエレガントな「テリーヌ」と名付けたバッグです。

一度ベージュで製作しましたが、出来はグッド、ご購入もしていただきました<m(__)m>。

ということで、今回は2度目のグレーで製作しました。

その中で、改めて徹底したい重要な部分があり、この記事でお伝えしたいと思います。

外はビジネスライク、内側はお花が広がる別世界のギャップの面白さ

素材の組み合わせにギャップがあり面白味を加えています。

表地がよくあるナイロンのビジネスシーンになじむ生地、裏地にはピンクベースの優しい小花柄がぎっしりのエレガントな生地を組み合わせました。

左-表地:ナイロンオックスはっ水コーティング、ナイロン/100%、日本製。 
右-裏地:コーティングプリント目止め加工、ナイロン/100%、日本製。

とても残念なのが、この裏地の小花柄の生地の展開が2色までしか見つけられていないこと。

もしかしてもっと存在するのかもしれませんが、まだ発見できておりません。

ネットを見ても同じものを見たことがないので貴重です。

そして、この生地の使い方の効果がこちら↓。

ファスナーをオープンすると中にはピンクの小花柄がぎっしりと映えています。
ビジネスシーンに思わず微笑みがこぼれます。

洗濯ばさみでクリップして縫い合わせた結果の失敗と仕付け糸での改善

今回、1度目上手く出来上がったやり方と違うやり方で行ってしまった場面が。。

一番最後の合体です。

このタイプはボストンバッグと同じ。

長いファスナー付きの口布兼マチのロングプレート1枚と前後の本体プレート2枚を縫い合わせて出来上がるのです。

1枚というのは、表地と裏地が中表に合体した板状のパーツ。

その縫い合わせに仕付け糸を使って四つ角部分の位置を合わせなければいけないことを忘れ、洗濯ばさみで何も意識せずに留めるだけでやってしまいました。

その結果、見事にゆがむことに。。

仕付け糸をせずに、洗濯ばさみで留めるだけで縫った結果のゆがみ。
カーブの先端の位置が5mm程度ずれています。

こうして一度は、出来上がらせてしまいましたが、やはり納得できる出来ではありませんでした。

そして、縫い直しをしていきました。

このカーブの真ん中の位置が「並行にそろう」ということが綺麗な安定感あるバッグのフォルムを作ります。

こうして、腑に落ちたところで完成したこのビジネスバッグ「テリーヌ」のグレー。

その後ご購入いただきました、ありがとうございました<m(__)m>。

あとがき

このデザインは、ハンドメイドバッグを作り始めた最初の頃から挑戦してきたデザインです。

決して簡単ではないですが、当時はもっと作りにくい失敗確率の高い製作手法だったので、作るたびに困難を伴いました。

それを作りやすいように改善したのが現在の作り方です。

あらかじめ表地と裏地を中表にひっくり返して縫い代を隠したプレートを縁を縫い合わせながら組み立てていくだけです。

ざっくりと見るとそういった作りなのです。

このデザインに関しては、ナイロン/100%が一番綺麗にできるようです。

ナイロン/100%特有の薄手ながらハリコシが十分にあるという性質がこのきちんとしたシーンで持ちたいデザインにマッチするのだと思っています。

そして、ここからが私の価値観。

数少ないナイロン/100%の無地はビジネスシーンに合った追いついたカラーがそれほど豊富ではありません。

何度か同じカラーをリピートせねばたくさんは作っていけないであろうからと、その点はやむを得ないのですが、裏地をその都度変えて結果1点物ばかりの製作にしていきたいのです。

それなのに、この度のように、撥水の効いた美しい裏地がまだまだ豊富ではないのが現状です。

ナイロン/100%はっ水加工の花柄生地、今後に期待したいです(^-^)、

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

コロナ禍のマスク製作で出てきた、上糸と下糸の色が極端に違う場合の悩みの解決策【167】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク))です。

今回、マスク製作のご依頼を受けまして、9点の同時製作を行いました。

その内、6点が表地も裏地も白、残る3点が表地が紺で裏地が白です。

今回は、後者の3点の表地と裏地の色が極端に違う場合の悩みについてお話したいと思います。

果たして、この悩みが解決可能なのか。。そんなことも考えてみました。

糸の色を生地に忠実に合わせる方針

ハンドメイドバッグでもそうですが、やはり、生地の色になじむ糸の色を基本的には選びます。

そうすると、今回の場合表地の紺色の麻素材には紺色の糸、裏地のガーゼの白には白色の糸という合わせ方をします。

やはり、この「なじむ糸の色」というのが、プロが作るような品物になれると、そして綺麗にすっきり見えるということでこの方針で行っています。

表地の裏地の色が極端に違う場合の悩み

生地の色に糸の色を合わせると、こんな風になることが↓。。

糸調子を幾度か調整してもこのように紺のステッチの中に白い糸が入り込みます。

最初下糸のが飛び出したと思っていたのですが、どうやら、裏地のガーゼの織り糸が飛び出しているようです。

以前にもこのような麻の紺やブルーで同じことがありました。

裏地はその時はガーゼではなくテレコニットの白でしたが、その時も表地と裏地の色が極端に違っていました。

出来上がりの見栄えがあまりよくないので、可能なものはその白い飛び出た糸を取り除く作業をして消えたものも一部あります。

普段のハンドメイドバッグ用の番手のままの#30糸、針は#16で行っていることにも原因があるかもしれません。

もっと#14くらいの針で糸番手を#50-60あたりに対応するのが小物であるマスクでは良いのかもしれません。

表地と裏地の色がほぼ同じ場合が糸目のカラーの出方が一番美しい

表地のボイル水玉も白、裏地のガーゼも白の場合は今回のような問題は目には映りません。

表地と裏地の色を変えるからこそ面白みや立体感があるのですが、全く同じ色というのは糸目の出方だけで見ると一番美しいです。

麻などの織り糸の飛び出しが起こりやすい節のある素材の注意点

9点完成です。内訳は、白x6点、紺x3点。

極端に色の違う生地の組み合わせは、上糸と下糸の色をそれぞれの生地にせっかく合わせても糸が飛び出すことがあるということがよく分かりました。

今回のように、糸調子が原因でもなく、生地の織り糸が飛び出してきたというのは、「麻」などの節のある素材では起こりやすく、避けにくい現象です。

しかし、上述のように、麻の中の節が飛び出しにくくするには、糸の番手を細身に、そして、針の番号も細身にすることで、ガツンと強く針を刺さないと節も飛び出しにくいということになるかもしれません。

このことはまだ実験しておりませんので予想ですが、マスクのような華奢で柔らかいお品物に対して、バッグ作りのような太い糸や太い針を使用していてはこういったことも起きやすいのではないかと予想しました。

では、対策をまとめます。

①針を#12-14で、意図は#50-60で。

②糸調子を徹底することで下糸が上糸側に出てくることがないようにする。

③そもそも生地の色の選択において、表地と裏地に極端に差をつけすぎないこと。

あとがき

コロナ禍の2019年の春4月-5月はマスク製作をたくさんしてきました。

ほんの2か月位で、2019年の5月末くらいから量産で大手企業が製造を開始することでもう私達の出番は皆無に。。

とはいえ、この経験での学びは貴重な「宝」となり、こうしてお伝えすることができます。

マスクも、コロナ過の最初の頃はとにかくマスクというアイテムであれば受け入れられたのが、だんだんデザインとか機能の追加などにニーズが求められるようになりました。

このたびの学びは、節のある「麻」のような素材の性質とかカラーが出来上がりに及ぼす影響などです。

マスクを製造したことは貴重な体験でしたし、ミシンで物を作ることをしていたからすぐに着手できたことでした。

そして、「マスク製造をしよう」と友人が声をかけてくれたことも大きく、自分だけだったら思いもよらなかったことでした。

コロナという「不幸」の中から「幸い」も間違いなく見つけられたと言えます。(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

断言させてほしい、リントンツイードはカジュアルテイスト、これをエレガントに仕上げられる製造者はもはや怪物と言えよう【150】

まえがき

こんにちは。pictuuresque(ピクチャレスク)です。

お洋服やバッグにまで作られる「リントンツイード」。

リントンツイードはもとはイギリス生まれです。

生地メーカー「リントン社」様の創業者「リントン」様の名前をファンシーツイードに名付けたブランド名です。

この「リントン」という名前のツイード生地を女性のスーツに取り入れたのは、「ココ・シャネル」が最初です。

もともとツイードというのはその昔はメンズのお洋服に対して専用に使われていた素材。

「メンズテイストを女性のアイテムへ引用」という発想は今後も大いに注目したい考え方です。

反対のことももうすでに起こり始めており、男性がかつては女性ならではのアクセサリーであったアイテム「真珠ネックレス」を付け始めた例にもジェンダーの垣根が崩壊し、溶け合ったと見ることができます。

もとは、「ファンシーツイード」という糸がカラフルに織り込まれた生地に興味があり、イタリア製・日本製・ドイツ製などを実際にバッグに製作してまいりました。

不思議なのが、ラメのようなツヤのある糸が織り込まれても出来上がった生地はカジュアルテイストに寄るということ。

どうしてなのでしょう、カラフルな糸がランダムでポップな感じに見えるからでしょうか、これこそがツイード特有のテイストなのです。

そしてこのたび、全くご縁のなかった「リントンツイード」ですが、友人の勧めで購入してみたのでした。

リントンツイードを実際に初めて手にしてみた印象や特徴は写真のイメージを遥かに超えたガサガサ感、カジュアル以外の引用が考えられない

このたびリントン生地を初めて手にしてみて思った感想です。

このような高級な生地は手にしたことが無かったのでとても新鮮。

とりあえず最低限の分量をできるだけお得購入。

柄は特に選びません、とにかくエコノミーな生地を探して納得した色合いであればと思ったのがこの度のチャコールグレーベースです。

高級なのに、カジュアル感が高めというこのバランスがすごいと思います。

ガサッとしているというか、今まで見たことのあるイタリア製などのファンシーツイードとは違ったものでした。

そして、リントンツイードは、ほとんど四角い柄のような織模様が入っていて、角々したイメージだから、四角い形のデザインのバッグが合いそうだと思いました。

これはカジュアルの極みとも言うべきテイストの偏りだと思ったのです。

このテイストを作るものは、まさにこのガサガサ感と四角く浮き出る柄にあると思いました。

リントンツイード、混率不明、イギリス製。濃グレー色。

「リントン」生地について混率のみに焦点を当てて調査してみると、主に綿を多く使ったもの、毛を多く使ったものに大別の傾向を見ます。

使う金具は断然シルバーを選びたいと思いました。

キューブ型のデザインのバッグを製作した感想、キューブ型は体への沿いが悪いのでリュックではなくハンドバッグ向き

今回のキューブ型は、仕事仲間からの提案のデザイン。

へえこんな形のバッグもあるのだと新鮮ですが、キューブ型はあまり見かけません。

だからこそ際立って個性的になるのだというところです。

構造の類似品としてはバニティーバッグが一番近いものがあります。

まずは、手で持つハンドバッグの使い方が1つあり、ショルダーにもなって、リュック仕様の3wayで製作したのでした。

3wayのキューブ型バッグ:<サイズ>縦17cmx横17xmxマチ17cm。

ところで、中側の構造が問題です。

こういった口が広いままのバッグは、セキュリティー性に甘い点があり、物がこぼれ落ちる確率が高まります。

持ち歩く中でいろいろな動きをする場面があるかと思いますので、安心な作りにせねばなりません。

そこで考えたのが、いったん立方体のバッグを作っておいて、内袋をはめ込む形はどうかということ。

そして、このような内袋が生まれました。

ひと回り小さく容積が作ってあるピンクとブルーのバイカラーの内袋(マチ付き)を設置。
リュックで背負う場合、背中に入り口が配置による心配あり、セキュリティー性を高めドットボタンで閉じます。
次に左右の共布ひもをリボン結びをして口を更に閉じます。
底に取り付けた2個の上下のドットボタン。これを本体の裏地の底に取り付けセキュリティー性を高めます。

そうすると、オープンなイメージの容器が中でしっかりと守ってくれる役割を果たしてくれます。

製作したその後考えたことは、サイドの隙間を埋めるべく、キャラメル箱みたいなタブを両サイドに縫い付ける設置。

これと同じデザインではなくても、直方体などの立体的なバッグの場合には「キャラメルタブ」の存在はセキュリティー性を高める上では役立つパーツではないかと。

あとがき

「ファンシーツイード」の「ファンシー」の部分の意味は、「装飾的」というような意味で、「ファンシーヤーン」というモール糸やラメ糸のような個性的な糸を織り交ぜてあります。

それによって柄のような生地に仕上がり、ファンシーヤーンが織り交ぜられたツイードということで「ファンシーツイード」という名前になっています。

「ファンシーツイード」のジャケットには、ボトムがすっきりとしたデニムやつるりとした扁平な素材が合うのもこの素材が柄的な織り方だからなのです。

このたびの「リントンツイード」を手にした驚きはその素朴さ。

今まで見てきたイタリア製やドイツ製、日本製のファンシーツイードにはないンメンズテイストがたっぷりでした。

やはりもとはイギリスで紳士用のジャケットやスーツなどに使われる目的であったことがうなづけます。

この生地が随分以前のものだったこともあると思うのですが、そのメンズアイテム用の名残をこの生地に強く感じました。

今一度シャネル様のお話に戻りますが、かの有名な「チェーンバッグ」をこのファンシーツイードでコンビにしてあるバッグに、更にゴールドの金具が使われているお品が絶品です。

こんなカジュアルテイストをエレガントに提示した「シャネル」様のバランスに脱帽、そしてさらには、「挑戦状」のような意味も感じなくもないのです(^-^)。

生地のアムンゼン織が美しい、口布によってマチを形作るタイプのショルダーバッグ【4】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

パッチワーク仕立てのバッグに注目しています。

以前からパッチワーク仕立てはその途中の製作も楽しく出来上がった美しさに思わずうっとりしてしまう魅力を感じています。

このたびは、マチ無しなのですがマチがあるバッグみたいに膨らみ容量が自然に出来上がったショルダーバッグを製作した記録をご紹介したいと思います。

遠出などにペットボトルを入れてお使いいただける機能を考えました。

そして、無彩色のパッチワークの美しさなども味わっていただけたらと思います。

入口付近に取り付ける口布の効果とは?

マチ無しですが、ファスナーの入り口サイドに口布を付けました。

そうするとふんわりと膨らみ、マチがあるバッグみたいな容積が生まれます。

ひっくり返しの作り方のこういったタイプは、ひっくり返すだけである程度膨らむものです。

それだけで容積が広がるのです。

その隙間のサイズに合うような控えめな気持ち程度の口布があるだけで、結構な効果が出ました。

こんな風にひっくり返しによって膨らんだ入口をその自然に膨らんだ容量に合うような巾で口布を取り付け。

口布は片方で2cm程です。

役に立つ機能を持ったお部屋、ペットボトルホルダー

ペットボトルの底があたる底面を取り付けたこのような形のパーツを作ります。

バイヤスのキルトステッチをかけて、丈夫で強固なものにします。

通常のペットボトルサイズで少し頭が出るような深さが取り出しやすいかな。

サイドはこんな風になっています。手で持っている部分を縦にミシンで縫い付けて固定します。
出来上がりがこの写真しかなくてすみません。意外に結構大きくてA4強のサイズ。1泊旅行も不可能ではないかと。

あとがき

このアムンゼンの生地に出会ったのは、個人事業主を始める2018年2月以前の半年前くらいのこと。

会社勤務の傍らでバッグを製作している中で個人事業主になると決めてまずはこの生地でハンドメイドバッグを作って行くと決めたものです。

このぶつぶつが凹凸感があって肉厚でとても美しい生地。

無地なのだけれど色違いと一緒に使いながらこれまで得意としてきたパッチワークで、より自分なりのアレンジができるとイメージしたものを実行した製作です。

事業主以前のパッチワークはカラフルな衣装生地などを組み合わせて作ったものが多く、このたびのような3色だけの全く同じ生地の展開の無彩色は渋めテイストで差別化です。

不思議なのですが、色によって少し質感が違います。

オフやモカはごわっとしていて、チャコールはややしんなりとしています。

染色の違いが出ているのでしょうかね、そこは謎です。

その後、3兄弟のようないろいろなパッチワークの種類を展開しまして、また後日の記事に投稿する予定ですが、こんな3種です↓。

3種の同じモデル:左からこのたびのストライプ・ボーダー・市松とそれぞれの柄特有の味わい。

パッチワークも、それぞれの生地の色になじんだ同色の糸使いがやはり一番美しいと思います。

糸交換が頻繁にあり、時間を要する作業ではありますが、手間をじっくりかけた、後の価値のようなものになって行けば。。と思っています(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ご依頼者様から指示書をいただいて製作した多機能のハンドメイドバッグ製作記録、生地をお任せいただいた以外は、ほぼフルオーダーでした【3】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

当記事は、実際に製作したオーダーメイドバッグが2018年10月の製作でしたが、その時にブログ記事にしておらず、その後の2020年7月7日に、YouTube動画を振り返りながら最初に投稿し致しました。

更には、過去のブログ総投稿数1,400あまりのすべてを、その後の2024年1年間で「手直し」する期間としまして、現在2024.08.09に当記事の順番になってまさにこの部分を追記しています。

今思えば、この時のオーダーメイドは、間違いなくその後のハンドメイドバッグ製作において、機能を重要視した製作に大きく影響を与えたことだったと思っておりまして、貴重な経験をさせていただきました<m(__)m>。

ある一人の人物の希望する作りそのものを受け入れ、その通りに製作をした生地以外「フルオーダーメイド」である記録の2wayバッグ(ショルダーとリュック兼用)をご紹介したいと思います。

生地のみおまかせ、それ以外のサイズや仕様はすべて指示書ご提示によるご依頼者様の希望通りの2wayバッグの製作

この時のオーダーメイド内容は、ショルダーにもなる、リュックにもなる、そして、ドラムのスティック入れも設置されている。。などいくつかの機能が明確でした。

指示書も書いていただき、ご依頼主様の頭の中が理解しやすいものでした。

友人が習う、ドラムの先生で学生の方(男性)、年齢が20歳前後。

学生様らしい緻密な指示書は、希望が伝わりやすい具体的なものでした。

では、指示書をいただいてから出来上がるまでの特に機能の部分にスポットを当てながらご紹介したいと思います。

ショルダーとリュックを兼ねたデザイン:指示書は1枚。写真に納まりきらなかったので、2枚で上下に
仕切りがしっかり決められた多数のポケット:小部屋をいくつか設ける設計のバッグになる見込みです。

生地は、綿/100%の日本製で黒、ダイヤキルトのような織柄が高級感があり、素敵です。

小物入れの充実:先程の指示書の一番下あたりが実際この作り。ペン・ケーブル・モニター・タバコ・ライター。
取り外し可能なリュックショルダー:2WAYでリュックとショルダーに使い分けたいとのご要望。

フラップ付きのショルダーバッグとリュックとの2wayというのは、当時では結構特殊だったと思います。

ペットボトル巾着:ペットボトル入れも設置。リュックではサイドの下の方、ショルダーではてっぺんに配置。
かっこよさも追求の赤いライン:デザイン的に赤の十字ラインを付けたいとのこと。この水滴は撥水施工中。
市販のイメージも取り入れたく、メッシュ素材の利用:メッシュのケースをポケットとして取り付け。
内側の様子:バッグをショルダー使いにした時にフラップを開けたときのすぐ内側。
ドラムスティック入れの機能:ドラムスティック(40cm用)ポケット(グレー)。黒は底板。

写真が横向きですが、左の方はドラムスティックの入り口で、スティックの上部(左側)を共布ベルトが支えます。

強力撥水加工:リュック仕様の上部はショルダーの片サイド。左側の手前はショルダー(車のシートベルト)。

あとがき

完成したしっかりしたフラップを閉めた時の正面の写真が残っていなかったのが非常に残念(+_+)。

本当は十字の赤いラインの表面を残しておきたかったです(^_^;)。

いろいろ学びの多かった全仕様お客様のオーダーというほぼ「フルオーダー」だったのでした。

この経験をいただきました、ご依頼者様そして直接の友人に感謝したいです<m(__)m>。

時代はその後、ショルダー使いが減っていった流れがあります。

健康志向の高まりや使い心地のレビューからか、左右に均等に圧力が配分されるリュックが体の歪み防止には最適で急激にリュック1wayが増えていきました。

2024年現在ではショルダーは製作しておらず、もっぱらリュック型ばかりです。

当時の2018年では、ここまで大半の人がリュックを背負う時代になるとは思いもしなかったので、いよいよ時が流れたことを感じます。

ただ、当時ならではの貴重さもあると思いますので、こうしてオーダー通りの記録に残しましてバッグ製作のヒントになればと、時が流れた2024年から振り返る形でお伝えしました(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ビッグサイズのトートバッグは大量の重い荷物を両側面から「よいしょ」と持ち上げる「支柱」が必ずあるべき、取っ手のみの1点集中の過去の反省【1】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

メンズアイテムの中で誰もがイメージしやすい、典型的な「ビジネスバッグ」があります。

こうして、バンドが左右2列に貼ってあるあの線が総柄を遮るのではないかと思っていた今まで。。

事業としてハンドメイドバッグ製作に携わり始めた頃の2018年製のバッグは、柄をたっぷり映し出すことばかりを考えた機能軽視の部分が見られた製作であったと後で振り返りました。

柄を見せるあまり忘れていたこと、それは「機能」です。

これこそ最も最優先に重視することであったかと。。長い間その柄の美しさだけにとらわれていたと反省します。

表面だけを見ていた製作者が、その後「機能」に対する考え方を根本から改めることになった重要な記録です。

2018年当時の製作の記録を振り返りながら、2020.07.07にブログ記事の書き直しで新たに綴った当記事を、さらにそのおよそ3年後の2024.08.07に「手直し」しています。

よって、過去の製作バッグに関しましては、その後良くない点を見直しした、改良の内容を付け加えることで更新していくスタイルの記事になります。

このたびご紹介の大きなバッグは、持ち上げる時の力のかかり具合がバッグの表面の一部分に集中するので傷みやすいものでした。

製作直後はそんなことは起こっていないのですが、先を見越した使用のその後をイメージしていきますと寿命の短いバッグだったと言えます。

小さいバッグであれば重さもそれほど無いので問題ないのですが、大きなバッグは勝手が違うのです。

冒頭のイラストのような「支柱」が底のハギ目に頑丈に挟み込まれ固定されていなければ、長持ちであったり丈夫なバッグにはならないとその後の見直しで考えるようになりました。

ここに至るまでの軌跡としては紛れもない事実であり、特殊サイズの大容量バッグ、もっと言い換えれば「多くの方があまり作らないサイズのバッグ」に注目したからこそ分かったことなのです。

この学びを非常に大切にしていきたいと思いましたので、このように、過去の悪かった部分を実直に、そしてその後の改善の記録も交えたスタイルでお話していきたいと思います。

2018年製は「柄頼み」、持ち上げる時の力のかかり具合を全く考慮していなかった取っ手の付け方のその後の見直し

どれも大きなバッグなのに、取っ手だけを取り付けているところに、機能に対する考えが未熟であったことを反省しております。

芸能人様のステージのお衣装と同じ生地だそう。パイソン柄に膨らんだ加工がしてある高級生地です。

レーヨン/ポリエステルの混率の生地で、@¥2,400/mというような価格のなかなかの高級生地です。

カーテン地。ブルーグレー色の濃淡のぼかしのボーダーがお洒落。ポリエステル/100%、日本製。
メモリーツイード(形状記憶)。ポリエステル/54%、綿/33%、アクリル/11%、麻/2%、日本製

目に映る感じが黒ではなくて、ミックスされた糸がぼやけてグレーに映る点がマイルドです。

ちりめん、ポリエステル/100%、日本製。ちりめんに、このようなうずら柄。
ブルー系の薔薇柄のジャカード。綿/85%、指定外繊維(ビスコース)/15%、日本製。

ゴブラン織りにも似たように見えますが、もっとやわらかで薄手で使いやすい生地です。

ポケットの薔薇の花柄を合わせています。

上の柄と色違い。ブルー系と同様でベースがモカグレーのような色なので、とても落ち着いていて渋いです。

「1泊旅行に出かけられるたっぷりの容量がある」と謳うならば、物をたくさん入れた時の「丈夫さ」とか「安心感」も同時に謳う必要があるのです。

貼り付けポケットの柄を表地の柄と合わせようとした判断は確かに正解であったものの、ポケットはその後正面には滅多に付けることはしなくなりました。

そして、貼り付けポケット自体も廃止、隠しポケットの方が実際には同じ面積でも広く使えるものです。

まずはこちらを例に。支柱がしっかりと全体を持ち上げます。一重仕立てでも随分力強さがあるバッグです。

確かに柄は遮っていますが、それよりも重視するべきは「強度」。

「おしゃれ度」と「機能」のバランスを常にジャッジするようになりました。

こちらはヘルメットバッグとして作ったもの。ヘルメットは重くはないのですが、それでも支柱型にしています。

ヘルメットがそれほど重くはないのに支柱を付けたことの理由、使い道の広い可能性を考慮したからなのです。

ヘルメットバッグと言っているのはもしかして製作者だけなのかもしれないのですから。。

そうしますとおのずと未知の可能性にかけ、「支柱」を付けることになるのです。

こう考えたら良いと思います、とにかく大容量のビッグサイズのバッグは、フルに物を入れた時の重さに耐え得るよう、必ず「支柱デザイン」にするべきであると。

こうして、ビッグサイズのトートバッグのデザインを作る時は支柱を必ず付けるようにすれば、後になって価値が出てくる品物になるという考えにまとまったのでした。

あとがき

素材の良さは元の生地屋様のお手柄です。

素敵な柄を引用させてはいただくものの、反省点としてはちゃんと自分の中から生み出されたアウトプットが大きく欠けていました。

とにかくバッグらしき容器を作ったに過ぎなかったかと。

実際にここに多くの物を入れて持ち上げた時に取っ手の付け根部分だけに負担が集中することを考えると本当にいたたまれません。

物が溢れ過ぎていると、「なぜ」ということを考えずに、「そういうものなのだ」と表面的に受け止めがち、スタンス自体が「受け身」になってしまいがちなのです。

しかし、本当にあるべき姿は何なのかを冷静に、鋭く、能動的に考える必要があります。

随分年月がかかってしまいましたが、過去のつたない製作からの成長を2024年の今振り返ることができました。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

その後二度と出会うことのなかった2017年のある時期だけの貴重な生地肉厚アムンゼンにロマンを感じるボストンバッグ【105】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、過去に私が作った2種のボストンバッグをご紹介。

無彩色のマルチボーダーやストライプを楽しんでいただけること、そして、こういったパッチワーク仕立てをして柄を生地のハギ合わせで出していく作業のまめさと、出来上がりの美しさ、こんな辺りを見ていただけたらと思います。

そして、今回の2種のバッグの作り方は、あまりにも困難が伴う(笑)ラッピングを施していますので、バッグの縁のかがり部分の幻のラッピングにもご注目どうぞ。

こちらは、記事は現在の2020.07.07に書いていますが、この製作をした頃、2018年の頃を遡った記録となります。

当時2018年は、製作過程のブログは書いていなかったと思います。

動画のYOUTUBEは、今ではブログと全く並行して投稿していますので、必ず1ブログ記事に1YOUTUBEが存在していますが、過去はバラバラでした。

動画は、10回くらいのシリーズで細かく分けてアップされていたのが当初です。

2018年の7月だったかと思いますので、かれこれ2年前ですね。

パッチワークに目覚めて、たくさん調達したアムンゼンという織り方のポリエステル/100%、日本製の生地3色使いで作ったものです。

過程となる部分は、その後1つの動画にまとめて集約してしまいました。

よって、動画から引っ張り出した写真数枚くらいしかショットが得られなかったです。

ただ、内容としてはなかなかダイナミックな製作だったと思います。

ファスナーの付け方が異なる2デザインの比較が興味深いと思いますし、片方がストライプ、片方がボーダーという比較も面白いと思います。

ちゃんと「なぜ」を考えた結果その形に決まった「デザイン」のゆくえ

外側にラッピングをほどこす場面:出来上がった縫い代始末は無しで外にラッピングするタイプです。
ひっくり返しをすることで無理な圧力がかからない優しい手法。
こラッピング布の幅4.5cmというのが、一番しっくりとおさまる布巾。後の製作にも継承。
布でカバーされた高級感ある底板:コードレーンという生地名。モカベージュ色。綿/100%、日本製。
ボストンバッグは、どうしても底板を後付けになるケースが多いです。
よって、底板そのままでは味気ないことをくるみ底板で裏地になじませ、高級感を出しました。
くり抜き型のファスナー:ストライプの方の入り口は、ファスナーをど真ん中に付けました。
このように隙間一切無しの完全に口が閉じたトートバッグを実現したデザインです。
こちらのボーダーパッチワークの方は、裏地が無地の黒のちりめん生地。ポリエステル/100%、日本製。
底板はストライプを横向きにボーダー使い。アセテート/100%、日本製。
ショルダータブ:Dカンはニフコ社の黒色のプラスチック製の黒。
こんな上寄りの位置に取り付けることで思い荷物が安定すると考えました。
ショルダーの作取り外し機能:ここへ、ショルダーのナスカンを取り付けます。
ナスカンも、ニフコ社製。結構硬いので、取り外しはやや硬めの感触。
アーチ型のファスナー付け:ボーダーの方を上から見た写真です。
入口は両開き使いのシングルファスナーx2本、真ん中で留まる作りになります。
取っ手の前後の色も変えて、マルチカラーを楽しみます。
段差をつけたスタイリッシュなポケット:隠しポケットにも挑戦し始めた頃でした。
斜め配置の2個付。隠しポケットの良さは、重なっても場所が有効に使えます。
一部重なっても、内側では1つずつ袋になってお部屋が分かれ、もう1つの方を邪魔しないことがメリット。
貼り付けポケットではできないことです。
ショルダーパッドの製作:ショルダーパッドもハンドメイドしました。
ふんわりするよう、中にソフト厚芯を入れ込んでいます。
取り外しはできませんが、付いたままでもOKとなりました。
完成です。左のストライプは、トート型、右のボーダーはボストン型。

あとがき

動画内では途中の細かい部分は、後の編集でほとんどカットしてしまいましたが、パッチワークシートから始まる組み立ての2点のバッグの大まかな製作過程を少し覗いていただけたかと思います。

もとは、パッチワークシート作りから始めていく手間のかかる時間をかけた製作です。

ただ、作ってみた後で思うことは、まずそもそも3色の生地の分量の在庫がバランスが悪くて、この製作を最後に、オフ白が完了してしまいました。

同じ生地を同時に使っていくことの配分の難しさがそこにありました。

もとは、個人事業主でハンドメイドバッグを作って行く前の年の2017年に調達していた生地です。

生地もその時でないとなくなってしまうということで、随分黒(正式にはチャコールグレー)を多く購入し過ぎました。

25mくらいあったと思います。

その次にモカが4-5m、オフ白は2m程でした。

じゃあ黒だけで作るのかというと、華の無いものになってしまいます。

「鉄」とか「石」をイメージさせる濃グレーがどう美しくなれるというのか。。

そんなことも随分考え、行き着いた結果は綺麗な色や柄の裏地に使用することでした。

じゃあその後この生地に出会えたのか。。

二度と出会うことはありませんでした。

その2017年限りの貴重な生地であったと言えるのでした。

<マチ>ハンドメイドで作るトートバッグのマチの計算に縫い代分が含まれていない謎を解き明かします【137】【138】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回の記事は、2つの分かれたYOUTUBE動画に対応の1記事でございますので、番号が2つ並びます<m(__)m>。

ある日、ネットでハンドメイドのマチの計算の確認をしていました。

一応、発信するにもちゃんとしたことを。。と思い、ネットでの確認が時々出てきます。

今回、マチの計算式の確認のため、ググっていたところ。。。

マチ付きのバッグを作るにあたって、「元の必要寸法が分からない」、「割り出し方教えて。。」の声が溢れんばかりであることに驚きました。

確かに。。いろいろ謎がありますね。

マチ付きというのは、3次元の世界。

やはりこうなるとちょっと想像しづらかったりして混乱してしまうのでしょう。

とても分かります。私も以前は知りませんでした。

しかし、その疑問のあまりの多さには驚きました。

おそらく、ミシン縫いをスタートし、ハンドメイドバッグを自作し始めた時期にマチ付きにしたくて、ここでいったん悩むことがいかに多いことなのかということでしょう。

そして、マチ付きトートバッグがいかに自作したくなるアイテムであることも。。

さて、今回マチ付きトートバッグのマチを含めた必要m数の計算方法の確認をまず致します。

これは、もうその溢れんばかりの悩みに答えるべく、マチの計算方法としてのアンサーをこれまた、溢れんばかり数の方が回答している様子と同じですが、私バージョンでおもお伝えします。

私バージョンの計算式は後で記述致しますが、むしろ、計算式の中に含まれるマチの部分が出来上がり寸法だけ組み込めばよいという「謎」に迫りたいと思います。

これを理解すると、計算式が腑に落ちて今後胸を張って、誰もが先生になれる、そしてまた他の困っている人に教えていける。。

そんな素晴らしいことになって行けばという思いを込めています。

まずは、多くのQ&Aを拝見した、マチ付きトートバッグの必要m数の割り出し方の確認

さて、まずは、図を見ながら、確認のためマチ付きトートバッグの縦横の必要m数を含んだ型紙をどう作ればよいかを私も多くの人と同じようにお伝えしたいと思います。

むしろ、その後の後半部分が本当に大切なことですので、後半こそどうぞご覧くださいね。

「算出方法」などよりも「なぜ、どうして」こそが一番大切だと私は、思っています。

マチ付きトートバッグの寸法の割り出し方のこの図では、出来上がりが最初に決まっています。
オーダーメイドなどでよくある場面です。
【Q】:縦30cmx横37.5cmxマチ15cmの出来上がりのトートバッグにしたい場合
2枚仕立てバージョンでは、縦の長さ、横の長さ、マチの長さをどのようにしたらよいか???
・・・【A】:縦40.5cmx横55.5cmの長方形を描き、下両サイドを7.5cmの正方形分カットする。

手順は、まず最初に縦の出来上がりの長さ30cmをそのまま、30と置く。

そして、2枚仕立てなので、この図が1枚分なので、マチ出来上がりの15cmの半分の7.5cmを足す。

そして、上部の縫い代は1.5cm、底の縫い代も1.5cmで私は作っているので、上の1.5cm、下の1.5cmをそれぞれ加える。

この積み算の値が40.5cmなので、縦は40.5cmの長さで型紙を作れば正解。

次は、横の長さ。出来上がりが、37.5cmなので、まずは37.5と置く。

そして、横は縦と違い、マチが2つできるので、出来上がりの半分の7.5を2回足す。

そして、左右も縫い代は1.5cmとするので左の1.5と右の1.5をそれぞれ足す。

この積み算の合計は55.5cmになります。

そして、下の角部分を15cmの半分の7.5cmずつの正方形でカット。

これで型紙出来上がりです。

注意点は、2枚仕立てバージョンなので、出来上がりマチの15cmの半分である7.5cmだけを足す点、そして、横の長さはマチが2つあるから7.5cmという半分の寸法をを2度足すという点ですね。

この計算式に当てはめれば、2枚仕立てのマチ付きトートバッグが作れるスタート地点にちゃんと立てます。

式には当てはめるものの、マチの計算が縫い代無視のような実寸で成り立つその謎とは?

何でも、理論的に証明したいもの。

ふと思うことがあると思うんです。あれれ?マチにだって間違いなく縫い代1.5cmが必要なはず、それなのに、なぜ、出来上がりの長さだけを計算式に入れているだけなのだろう。

これです。これが謎なんですねー。

しかし、これで間違いなく15cmにマチが出来上がるのです。

その謎を解き明かすべく、こんなことをしてみました。

まず、このように型紙でマチをつまむ場面をシュミレーション。
真ん中の1.5cmずつの縫い代部分がここからは最終的に奥に引っ込んでなくなります。
つまり横の長さが短く出来上がります
謎を解くカギは、実際の縫い線の位置と長さです。半分で考えてみます。
ここに実際に縫っている端から縫い代1.5cm位置に赤いマジックで縫い線を引きます。
先ほど描いた縫い線の赤は型紙を広げるとこのように縦にマチを削ったラインから1.5cm内側を走ります。
そして、何やら、少しマチを削った角よりも少し上に突き出しています。
2枚目の赤い線の後側は、実際下糸が走りますので、
ここで点線で表した位置が下糸がミシンで縫われる部分。
いよいよ分かってきました(^-^)。
このミシンで縫われた部分は当たり前ですが、縫い代1.5cm空けて縫ったので、
この直線とマチを削った部分のラインとの間は当然1.5cmです。
つまり、ここで赤で描かれたLの字は、7.5+1.5=9cmの正方形だということが導けます。
そして、再びマチを作った状態の片面だけに戻ります。
そうすると、先ほど9cmだったラインから、底部分を縫う時の縫い代1.5cmが引かれ、
9-1.5=7.5cmが本当のマチの出来上がりの長さだというところにたどり着くのです。
これで腑に落ちたかもしれません。
底の縫い代1.5cmであらかじめ切り取った7.5cmが7.5-1.5=6cmに短くなってしまっているから、
右側に1.5cm突き出して、6+1.5=7.5になると。
7.5cmというカットラインが縫い代1.5cmを必要とするせいで、
右側に平行移動したかのよう。そんなとらえ方も良いでしょう。

この赤い線が、計算式に7.5cmちょうどでよいことをちゃんと証明してくれました。

ということで、勘違いしがちな、縫い代分入れねば、ということで7.5+1.5=9cmマチのくり抜きに型紙を作ったりしては結果、サイズ間違いの大きなマチができてしまうわけですね。

縫い代部分が1.5cm引かれることは何となくわかっても、その分1.5cm上に突き出すということがなかなかすぐには分からない部分でした(;'∀')。

しかし、今回のこの赤いマジックの線で、間違いなくそういう結果になることが分かったので、計算式も上述の通り間違いないものであると安心して、今後は公式に数字を当てはめるだけでよいのです。

今回は、この謎を解くためのYOUTUBE動画が2本ございます。

前編ではマチの計算式に当てはめる部分がメイン、その後最後の方でもやもやして終わっています。

後編では、赤マジック作業がメインで、この縫い代分を含まないのが正解である謎の解明を証明する場面がメインです。

あとがき

マチ付きのバッグは使いやすく、親しみあるデザインです。

このしっかりと容量を確保された「マチ」こそが多くの人に好まれる価値の1つでもあると思います。

2次元が3次元になる時の分かりにくさを研究して理解し、その後の展開として独自のデザインを立体的に作っていけるきっかけになればと思います。

こんな図形から立体へのイメージの体験は貴重です。

今回の「なぜ、どうして」を解明することの例は、他の事項でも結局一番大切なのではないかとさえ考えます。

その理由を追求していくことで、「哲学の入ったバッグ」になっていくからです。

長年老舗として愛され続けるハイブランドバッグにはこれがあるのです。

ただ、意味もなく表面的に飾り立てたバッグではなく、シンプルであってもその機能の意味が理解され、受け入れられるお品になりますように(^-^)。

簡単に作れるリュックのショルダーのハの字部分の本体への丈夫で綺麗な縫い付け方法【136】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ最近ショルダーに調節機能のない単純な作りのリュックを作っています。

その名は「簡易リュック」。

去年の2019年後半辺りから始めたハンドメイドバッグのシリーズものです。

素材調達をいったん終了し、たくさん集まった生地でシリーズを組み、20シリーズ程計画を立てました。

1つのシリーズで製作は3点ずつというのがだいたいのラインナップです。

リュックのショルダーの付け根にDカンを使わない、直接本体への縫い付け方式の十字ステッチ

さて、今回の簡易リュックでは初の作業が1点あります。

それは、リュックのショルダーの縫い付け部分の付け根の製作手法です。

簡易リュックは、その名の通り、最低限の簡単なもの。

もしかして、結構手が込んでいる部分もあると感じていただく箇所もあるかもしれませんが、表から見る時に簡素な作りのシンプルさが特徴のリュックです。

簡素な作りがどういう点なのかの1つは、ショルダーの調節機能が無しであるという点です。

様々な長さをお好みの人が中間的な位置でお使いいただける長さに設定。

ある一定の流行も取り入れてやや長めかな。

そして、線コキ、Dカンなどを付けずに、ショルダーは本体に挟み込んで縫い付けとなります。

この縫い付けの時の端っこ部分の「ハの字」にスポットを当てています。

まずは、作ったショルダーのハギ合わせの方を外側に向けてハの字にします。
互いに90度で重ねるということです。
アップで見てみるとこんな感じ。ぴったりと端っこを重ね合わせます。
そして、とりあえずショルダーのみで十字にステッチを入れます。印は必要ありません。
とんがった先端からまっすぐ「へ」の字のへこんだポイントまで縦にステッチを返し縫いをしてかけていきます。
十字の横線に関しても目印となる先端部分があるので、印など付けなくても大丈夫。

そして、その後いったん他の作業が入ります。

ショルダーの足の部分から先に挟み込んで縫い付けます。

本体を前後縫い合わせの時に、同時に底部分に挟み込んで縫い付けるということをします。

次に表地の本体の内側に当て芯をし、入り口部分の真ん中の位置にまたもや十字でステッチをかけます。
この十字のステッチは必ず表面に出ますので、先ほどの十字をなぞるように、そして綺麗に。。
ステッチをかける側は、裏からがよいです。2重ステッチで丈夫にかけます。
重なり部分などを見ながらが、どこを縫っているのかが分かりやすいです。
出来上がった十字ステッチを表側から見た感じ。すっきりしていますよね。
このステッチの方法がいろいろなやり方と比べてみて群を抜いて簡単で綺麗でした。

また、これが、縦1本だけの線だと何かしら不安定。横の線も忘れずに。

やはりこの十字の意味というのはダメ押しの頑丈な固定の秘訣なんですね。

よく取っ手の付け根に施される「四角+X印」のステッチを彷彿とさせます。

完成した簡易リュックを見ながらお伝えしたいこと

簡易リュック(薔薇柄xデニム)・・・筋柄同士のマッチが生地のチョイスの偶然の巡り合わせというもの。
こういうミラクルが大好きな私。
洋服のコーデでもそうですが、良い相手が見つかることの喜びがあります(^-^)。
茶と紺のコンビは、お茶碗などの陶器の基本的な色使いを思い出します。
薔薇の中にある紺色部分が茶色に映え、そしてデニム生地の紺とカラーがマッチしてスッキリとします。

取っ手のジグザグステッチも象徴的なデザインの1つとなります。

そして、入り口タブがほんの少しだけ登場するところに、控え目な感じを見ます。

思いっきり広い面積に柄が出るという、柄の出番を尊重したデザインなのでした。

あとがき

こんな風に、その時々で素材を組み合わせたりなどしてちょっとした工夫をしながら元のデザインは変わらない、という方式で製作していきます。

生地同士の組み合わせもコーデなのです。

クローゼットの中からお洋服を選んで組み合わせるかのようにワクワク楽しめる瞬間です。

同じデザインで製作するにしても、生地の色違いではないくて、全く違ったテイストを感じるような3種にラインナップしていくのが1点物風となる秘訣。

シリーズではそんな3点であると見ていただければと思います(^-^)。

黒xネオンカラーのコンビで作ったポジティブバッグの製作、前向きで明るい気持ちになればとの思いを込めて。。【134】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

生地にも季節ごとに相応しい生地である理由があり、この記事アップの時期の夏場では、涼し気な心地良さを感じる生地が多く出回ります。

クーラーが無かった時代には、着ている洋服の素材自体の感触にさえ敏感であったのでしょう。

そんな伝統的な夏専用の生地というのはどんな構造をしていてどのような名前の生地なのか。。興味がわくところですね。

その中で、私がお気に入りの凹凸感ある生地も生地屋さんに入荷してきたようです。

夏場特有の生地の構造がなぜ凹凸感があるのかの答え

夏らしいとなぜその生地で感じるのでしょうか。それは、見かけだけではないのです。

今回のリュックを作った生地は、「リップル」という織り方の生地。

夏らしい生地の1つ(黒):リップル無地、綿/100%、日本製。

このぷっくりとした凹凸感にはヒミツが。。

それは、夏場特に肌に当たるとじめっとしてべたべた感が不快であることの解消目的で作られた構造にあります。

肌に触れる面積が凹凸によりおよそ半分ほどに減るという構造により、快適な心地よさが得られる爽やか素材なのです。

この生地の構造は、べたつかないということの深堀が成された結果の賜物だと言えます。

リップルは伝統ある生地で、よく夏用のパジャマに利用されていることがイメージにあります。

その他、類似素材として「サッカー」、「楊柳:ようりゅう」なども凹凸感の種類が違う形で映りますが機能としては同じです。

これらの伝統生地は、特に夏らしい素材の身近な素材と言えます。

夏の素材とされている生地でも季節感なく取り入れるコツとして黒を利用

さて、夏らしいと言われる生地の今回のようなリップル、サッカー、楊柳は夏場は、暑い季節ではたくさん出回るので調達はしやすいものの、私の使い方としては、夏っぽいアイテムを作るということはしていません。

バッグが夏専用であるということで季節を限定することも新鮮ではあるのですが、黒を選ぶことで、いかにも夏という感じはしないという見方もあります。

リップル、サッカー、楊柳は季節問わず存在している定番素材ではあるのです。

なので、多く出回る夏場にあえて、黒とかダークな色とかベーシックな色を調達しておいて、そして秋や冬にも使うということもできます。

そうするとオールシーズン使用も可能なので季節ごとに使い分ける悩みは無くなります。

あくまで、「凹凸感のある生地の1つ」という括りで考え、季節ごとの括りの垣根を打ち破って考えていくのです。

黒xネオンカラーのコンビのリュックのどの部分をネオンカラーにするのかのアイデア

今回の企画では、配色としてネオンカラーを使い、黒に映える綺麗な感じを表していきます。

ネオンカラーの配色をどの位置、どのパーツにするのか、この点だけでも違う人が作れば違うものになっていくかと思いますのでアイデアは無限です。

シンプルなリュックながら、そのシンプルな中の1つ1つのパーツにじっくりと注目。

本体を切り替えるというような発想はせず、取り付けるパーツ1点1点を4色のマルチカラーのネオン色を使いながら作っていくという案です。

黒のリップル生地はこれはこれでどーんとフルにその良さを見せたいのです。

よって、脇役的にネオンカラーを配置するというアイデアでいきます。

脇役といえども、カラーが目立ちますので映えますし、同じく黒自体も強調されることになります。

まずは、なんといってもリュックなので背中を向けた部分が正面。

その正面の中でポイントとなる箇所は「入り口フラップ」です。

このフラップを4色の明るいカラーでマルチカラーのパッチワークにしてみました。

パッチワークストライプのフラップ製作:できるだけ類似色を隣に並ばぬよう工夫。
オレンジとピンク、オレンジとイエローは隣り合わせはぼーっと映ってしまいます。
その類似的なカラー同士の配置を避けたのがこの結果です。
左から、フラップ、ショルダー、巾着ひも。
左右対称のパーツは色を変えて躍動感を出してみました。

リップルのストライプと蓋のストライプがリンクしたデザインの評価と今後の課題となるパッチワークの巾の出来上がりの統一について

簡易リュック(黒xネオンカラー)・・・サイズ:縦27cmx横27cmxマチ10cm。

横の長さを型紙変更以前よりも5cmプラスしています。

以前は出来上がりが縦長でしたが、今回からやや正方形気味になります。

しかし、巾着ひもでしぼるので、目に映る見かけは縦長に映ります。

この方が横向きにどっしりと物が入り、余裕が生まれますので、もっと使いやすくなると考えたからです。

大きすぎるのも野暮ったいのですが、気軽にさっくりと背中に背負える大きさというのが、このサイズ感。27cmx27cmxマチ10cmです。

ちなみに、フラップの裏側はこうなっています。

フラップの裏側:裏側を本体と同じリップルの黒で、先端にマジックテープを黒で付けています。
ちなみに、ひっくり返す作り方だと角がどうしてもうまく出ません。
1cmの縫い代ですべての辺を折り込み縫い合わせるひっくり返しをしない作り方です。

例えばフラップがカーブを描いたものであれば、ひっくり返すやり方こそが有効です。

カーブラインはやはり折り込み方式では綺麗に作ることがほぼ不可能だからです。

こういった角ばったデザインは、折り込み式が1つの角をはっきりとしたラインで出す策としては有効だということです。

糸の色も上糸と下糸を違う色にして、先端の横ラインはその都度上糸のカラーの色を変えていきます。

そうした手間をかけると、出来上がりは変な色のステッチが入っていなくてとてもすっきりしていて美しいのです。

ただ、とても惜しかった(^_^;)、ネオンカラーのストライプはすべて同じ幅であるべきでした。

型紙をすべて統一で裁断してしまい、両端が縫い代に取られて細くなってしまいました。

この点が1つどうしても悔やまれます、次回に活かしたいですね。

あとがき

複雑すぎる構造は、そこに収納時にほこりがたまりやすかったりという悩みも後々出てきます。

なぜそのタックが必要なのか、必要ないのではないかをしっかりと見つめ、必要最低限な形に出来上がったものは、スッキリと垢抜けます。

いわゆる、「粋:いき」が実現できていくのです。

好きなブランドバッグのヴィンテージ物をコレクションしていますが、どれもこの「粋」が感じられるシンプルなデザインです。

そういったものは、10年、20年と経過するとよりその良さが味わえます。

ファッションアイテムは、どうしてもその短い期間の「流行」に踊らされることも多いです。

しかし、その後ずっと飽きずに気に入ったままでいられるかというとそこは保証のないものです。

そうした時に、結果的には「コスパが悪かった」バッグになってしまうこともあるのです。

長い目で見た、長持ち出来るような「丈夫な作り」ともう1つ大切なことは、「ずっと使い続けていきたいのかどうか」という気持ちの面です。

この気持ちというのがなかなか表現しにくく、目に映りにくいものですが実はこれこそが一番大切であると考えています。