デザインだけが同じで生地も柄も色も異なる3点のバッグ、同時進行して製作していく効率の一定の見込みはあるのか【302】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

新しいバッグの製作をしていく準備段階の場面なのですが、思い切って同時進行を試みたいと思います。

同じ素材で複数の別デザインを作るケースや、違う生地やデザインでも糸の色が共通で使用できるという効率的な同時進行につきましては過去の記事にアップ致しました。

このたびは、生地の柄やカラーも全くの別物の3種をデザインが同じという共通点のみで同時進行をすすめてまいります。

そして、さらに、その3種の中で1種のみ生地が多く3デザインに展開できそうな生地があるので、合計5点の作業をしてみます。

そうして生地をすべて消化していきたいと思います。

表地の色の展開も3種バラバラ、附属品である裏地とファスナーの色選び

今回の作業は、裏地の選定と接着芯を貼り、裁断までの部分です。

3種の生地とそれに伴う裏地の選定をご紹介します。

この3種をまず1点ずつ「かまぼこ」デザインで製作、真ん中のグリーン系の生地はあと2デザイン作れます。

2020年いっぱいは、こんな感じでマルチカラーでも色に偏りのある物を作ってきました。

こういった偏りのある色は裏地の色が絞られますので、裏地選びにどう影響するのかということですが、結果はやや難しめということになりました。

表地の色が偏っているのでいろいろな可能性が狭まります。

されど、物は考えようです、それも楽しいと考え、1時間程生地屋さんに入り浸り、この3種の裏地を決定。

難易度の高そうな一番下の紺色も偶然の出会いがありました(^-^)。

<表地:左>ジャカード、ポリエステル/70%、レーション/30%、イタリア製。<裏地:右>エルテルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。・・・この中の強い色を採用した裏地のオレンジを選定。
<表地:左>ジャカード、ポリエステル/100%、イタリア製。<裏地:右>エステルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。・・・ピンクでかわいらしさも出していくようにこの色を選定。
<表地:左>ジャカード、アセテート/53%、ポリエステル/27%、ナイロン/20%、イタリア製。<裏地:右>モンキーブリッジスラブ、ポリエステル/100%、日本製。・・・紺では物足りない、黒ではやや仏頂面だと、ゴールドに決定。

どれも、中をのぞいた時に明るめの色が広がり物を探しやすいです。

接着芯貼りと裁断

接着芯は、以前の記事でもご紹介させていただきましたが、大きなパーツのまま接着芯を貼って(粗裁ちのようなこと)、その次に細かくパーツの通りに型紙に当てて裁断していく方法をここ最近採用し始めました。

生地のゆがみを整え、パーツの左右対称を徹底することで、出来上がりのラインが整うというもの。

今回は、表地も裏地もすべての生地が織芯の接着芯で行いました。

そして、裁断へ。。

とここまでは順調。イタリア製の生地は美しく迫力があります。

左上のグリーン系は上述のように、あと2点のデザインの「おにぎり」と「餅巾着」が作れそうなので、裏地の追加調達作業などをして製作に取り掛かっていきます。

まだ、この時点では、効率ははっきりと分かりませんが、接着芯は共通なので、同時に3デザインを連続作業できることは、少しばかりの効率が見込めました。

次の縫製に入ると、糸が全部色が違い、糸交換の際に時間がかかるということの積み重なりが進捗度を減速させるかもしれません。

あとがき

この度の生地は、柄がどれも華やかで素材感がやや分かりにくいですが、オレンジ以外はそこそこ厚みがあります。

オレンジはそれほどン肉厚ではありません。

こうした違いが出来上がりに影響するのかどうかですが、特に区別なく同じ材料で同じように製作していきます。

同モデルは生地の研究にとてもなりますので、今後定番にしたい生地などの深堀りとしては有効です。

更に、抽象柄は、あと2デザイン更に作りますので、同じ生地で作ることで、その生地に見合うデザインというのが見えてくるかもしれません。

とにかく、高級生地の中でも華やかなマルチカラーのイタリア製中心の生地で製作の集大成のような物になります。

引き続きその行方をお楽しみにどうぞ(^-^)。

夜景のようなシーンのジャガード生地で作ったボストンリュックのフォルムがまるで「かまぼこ」のようだった【300】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

2020年は年間を通して、マルチカラーを含む色使いが豊富な素材に挑んでまいりました。

色使いが豊富ということは同時に糸が豊富でることが織り糸で紡がれるジャガードの事情、当然高級なものになっています。

この度の生地もイタリア製の華やかな色合いのもので高級生地の部類に入ると思います。

もっと腕が上がってから高級生地に行こうとぼんやり思っていたのですが、早めに一歩を踏み出してしまったためにもう予定よりかなり前倒しで技術アップとの同時進行を始めてしまいました。

良かったのか悪かったのか、それでも思い描いたことがあるなら早く着手するに越したことはないかと。

良い悪い関係なく手ごたえや結果は早く分かった方が、その後のスピーディーな前進や発展につながると思っております。

生地のおかげもあり合格ラインで完成できたミニボストンリュック

<サイズ>縦19cmx横29cmxマチ9cm・・・表地:ジャカード、ポリエステル/100%、イタリア製。

このフォルム通り、「かまぼこ」という名前を付けています。

カーブのラインも結構満足なものにできました。

心配した底の重なる部分もOK、無事縫えました。

本格的なゴブラン織は非常に厳しく、以前縫えなかったという結果があったのですが、今回の場合ゴブラン程の厚みではない厚み具合が程良く、丈夫さも感じられるようなジャカード生地だったのがとてもラッキーだったのです。

裏地:ラメツインクルサテン、ポリエステル/60%、ナイロン/40%、日本製。
ショルダーにもハード薄芯が入りハリコシのあるものになりました。このショルダーは裏地を使いました。

色の偏ったマルチカラーについて

今回の生地もそうなのですが、一応マルチカラーとなっています。

主に4色の色が入っていて、ロイヤルブルー、レモン色、薄ピンク、グリーン。

裏地やショルダーのグリーンは実は表地の中にわずかな面積で入っている部分。

こういった色というのはマルチカラーでも色が偏っているので、「青色系」ととらえられます。

なかなか色とりどりのマルチカラーというものを見つけることは困難で、〇〇系という色の偏りがあるものです。

マルチカラーの定義は3色以上ですので。。

あとがき

おそらく、この度の生地は、巾着などの形だと絞り切れない悩みもあると思います。

ボストンバッグのような硬めが向くデザインと巾着のような絞って融通の利く柔らかめが向くデザインとは対極にあり、それに伴いマッチする生地も対極にあるような生地同士ということになりそうです。

とはいえ、そんな条件など付かなくてもどんな素材でも当てはまるように作れるデザインこそが工夫のしどころなので、目指すゴールは、「生地を選ばない万能なデザインの考案」です。

製造もしやすく、完成品も満足のいくもの、この両方を考えながら工夫していく意味というのは、製造しやすいことが綺麗にできることにつながるからという理由以外ありません(^-^)。

出来上がりバッグでは決して目に映ることのない隠れたポケット裏の丁寧な作業が良質さにつながることの証明【298】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、どちらかというとコンパクトなサイズのハンドメイドバッグを作っております。

かつては、トート型の1泊できるようなもの、旅行用など大きなバッグも作ってきました。

そういう大きなバッグと比べ、コンパクトながら、ポケットつについては、めいいっぱいの容量を確保する所が特徴。

キーとか小さなものを入れるもよし、メモや手帳などのやや面積のある物も入ることもあるような器(うつわ)の広いポケットを設置していきます。

内側のフラップポケット:フラップが深く、セキュリティー性を高めています。スマホが横向きに入ります。

隠しポケットは、最初の当て芯が肝心、スーツの片玉縁の作り方を引用

今更ながら、隠しポケットに関して見直したことがあります。

それは一番最初の当て芯。

そもそもこの当て芯を適当なサイズに粗裁ちのまま行っていたのが今まででした。

これを、型紙にちゃんとあてはめた定形サイズに変更。

つまり、周りの余分も寸法通りのきちんとした余白にするということです。

その後作業がとてもしやすく傾きをチェックしたり、左右均等のサイズ感の確認も分かりやすくなりました。

作図自体もまっすぐ、待ち針の位置も正確に打ちやすいような定形サイズの型紙で裁断した当て芯。
そうすると、反対側に当てるラッピング布の位置も把握しやすくなりました。

当て芯1つで、その後の作業が劇的に行いやすくなりました。

このことは、とても重要で正確さが高まり、綺麗に仕上がるということにたどり着きます。

隠しポケット完成:まっすぐに真ん中に良い位置に取り付けることができました。当て芯の効果がここに。。

今更ながら、このことが分かり本当に良かったです。

今後もずっと「定番」として「フラップポケット」と共に作っていきたいもう1つのポケット、「隠しポケット」です。

あとがき

最後に組み立てがされていく時のもとの土台である左右が対称になっているということこそが、バッグに出来上がった時の整いを作り上げるのです。

それには、型紙を裁断する時点から左右対称にしやすいようなやり方があるということを学んでいます。

一番最初の場面は、サクサクッと通り過ぎてしまいそうですが、実は一番重要なのだと考えるようになりました。

こうした学びは、何度も自らの製作に落とし込み、その後は語り伝えることができるノウハウとして多くのハンドメイドバッグを作る方達へお届けしていきたいと思っています(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

美しいカーブを綺麗に出すための接着芯貼りは、カーブ裁断の前に粗裁ちをして貼っておくことが望ましい【297】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

新規の生地でのハンドメイドバッグ製作に入りました。

ゆがみやすい生地などは、普通に何も考えずに裁断するとパーツが左右対称にならずに不格好に出来上がってしまいます。

バッグは、左右対称というバランスがとても大切。

そこで、最初の裁断や芯貼りの段階こそが重要であり、芯貼りを裁断の前にやっておく「粗裁ち」という方法の効果をお伝えする回にさせていただきます。

カットしていない大きい面積の状態の生地に接着芯を貼り、その後型紙を当てて裁断の順番の徹底

「粗裁ち」というのは、何もカーブラインの通りカーブを大まかにカットしなくても、長方形の真っすぐのままで良いです。

接着芯を貼った後型紙に当て裁断すれば、それ以上触ることがないので、正確に裁断できると判明。

もともと縦の長さが35cmしかない横長の生地の状態。一気に接着芯を貼ってしまうやり方が可能。

写真では、両手の間の線が地の目の縦に当たります。

高級生地なので少しだけしか購入していません。

芯地をだいたいぴったりのサイズでカットして接着します。横などがはみ出しても問題なし。
接着後の裁断:カーブのラインがこのやり方だと非常に綺麗で、地の目がしっかり整ったものになっています。

一方、裏地は1mくらい縦があったため面積が大きすぎて、小さくカットしながらこのやり方を取り入れました。

裏地は、細かに1パーツずつ粗裁ちして、接着芯を貼ってから裁断しました。
接着芯貼り後の裁断:カーブラインも正確に裁断できました。裏地のみでの裁断はハサミがすべりいびつに。。

これで、接着芯を貼ってからの裁断は、劇的に上手く行くと確信しました。

あとがき

今回の接着芯貼り前の粗裁ちのやり方は、扱いにくいへなへなした生地があまりにも美しいからどうしても使いたい場合など、難しいと分かっていながら取り扱う場合にとても効果を発揮すると思いました。

ということで、まとめると、

1)アイロンで地の目を整える、2)接着芯を全体に貼る、3)パーツごとに裁断する。

このやり方でそもそもの土台を左右対称なきちんとしたものにしてから縫っていくということを徹底すると、出来上がりのフォルムもより美しくなるかと。

ラインは意外と出来上がりのぱっと見に影響するもの。

「わあっ綺麗♪」と感嘆があるようなゴールを目指したいものです(^-^)。

作ってはみたけれど改めて考えた、そもそもこの繊細な素材でボストンデバッグを作るべきではなかったのではないかという回顧【296】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回1点のミニボストンバッグが完成。

リュック仕様の付いたハンドバッグで名前は「かまぼこ」。

かまぼこと呼ぶ以上、カーブの美しさと対比した底のまっすぐさを綺麗に出したいです。

初期の「かまぼこ」縦13cmx横24cmxマチ7cm:2019年製作。

初期型は、ミニサイズでしたが、あまりに容量が足りずに改良。

そして、このたび、マルチカラーで作ったサイズへと大きくアップしたものになります。

それでも大きなボストンバッグに比べたらハンドバッグの領域を超えることはありませんので、ミニということに致しました。

さらに、リュック仕様にもなるという頼もしい機能を入れてみたのです。

作って完成品を見た上で思うこと、「巾着型の方が断然美しかったであろう」という思い

「かまぼこ」2020年版:<サイズ>縦19cmx横29cmxマチ9cm。

サイズのみ見てみると、2019年版が、縦13cmx横24cmxマチ7cm、2020年版が、縦19cmx横29cmxマチ9cmです。

縦も横もおよそ、5cmは広げているので、5cmという数字は、目に見えてサイズの変化が分かるくらいのものです。

サイズ感の点では大いに良き効果が感じられました。

しかしながら、2019年版の時にはあった良い雰囲気の整ったかまぼこ感が今回のものにはあまり感じられなかったのが残念。

選定の生地がはるかにこのたびがやわらかかったからです。

2019年のものは、強固な縦の織り方がとくにしっかりしたジャガードなのでびしっと仕上がっていました。

マルチカラーのこのたびの生地は、凹凸感があって美しいものの、緩い雰囲気になってしまったのです。

よって、そもそもこのデザインにはまる素材の選定を間違えたと思っております。

確かに、この素材は最初柔らかいからクシュッとなるような巾着タイプのデザインに当てはめようとしていたのですが、実は急にボストンバッグに変更していたのです。

率直な最初の考え方で行くべきでした。

リュックのショルダーの部分。
ファスナーの口布の部分。
スズランモチーフのファスナー飾り。
少しわかりにくいですが、底板は、どうしても内蔵できない作りなので、リムーバブル式で取り付け。

高級な生地でしたので、巾着型で成功していればそれはそれはエレガントに出来上がっていたと思います。

ボストンバッグ型だとややカジュアルテイストがありますね。

とにかく、繊細で柔らかい生地というのは、その柔軟性を活かして、しぼる動きがある「巾着型」に当てはめた方が特性が活きるようです。

あとがき

このたびも、ストレッチフクレジャガードはオレンジで色違いがあったと思います。

ただどちらかに良し悪しの比重が寄らないよう、色違いはよほどでなければ作らないです。

この記事も背景がカーキグリーンだからこそマルチカラーが美しく映えたという良いバランスが感じられる方のカラーでしたので、こちらが一番やはり今思い返しても一番です。

ただ、もう一度この生地があるならば巾着型でトライしてみたいと思う気持ちが残ります。

そもそも生地選定の時に、デザインをしっかりイメージして変な変更をしない、正直なイメージに従ったものが正解のようです。

製作に「らしさ」を込める、例えば「この人が製作のポケットだ」と分かるように【294】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、ハンドメイドバッグの各パーツについて、他のバッグとの差別化とか個性、あるいはブランディングにまでなるのかもしれない、なっていきたいというそのパーツ自体のデザインや作りについてのお話です。

手法を秘蔵するよりも伝えていくことの方が断然素晴らしいとお伝えする方向主流に舵を切っています。

よく、音楽に似ていると思うことがあるのですが、メロディーとか曲調で、この作曲家が作ったのではないかとか、「らしい」と思ったりすることに似る部分があります。

。。というのも、同じ芸術品を作り上げるということが共通しているからです。

円の一部の5cmの半径を利用したフラップ

内側のフラップポケットのフラップ:半径5cmの円の一部をコンパスで利用し型紙を作っています。

ゆったりとしたボリュームあるフラップです。

ポケットの袋を優しく覆う屋根のようなセキュリティー性を追求したデザイン。

以前に、ここにマジックテープを付けていたのですが、実際に自分で使ってみて、マジックテープを不要にした方がストレスフリーでした。

この安全性と使い勝手のバランスは悩むところですが、都度の細かな判断により決めていくのです。

入り口がファスナーなどで密閉されていれば、ここは、マジックテープ無しの方が開閉の時に余計なヒネリなどが必要なく、さっと物が取り出せるポケットになるだろうということに行き着いています。

フラップポケットの完成。
隠しポケット作りのラッピング布を固定した場面。

ポケットの袋は、ラッピング布をそのまま袋として大きいパーツで使う方法もありますが、別にしています。

理由としては、もともとファスナーが付いたバージョンからスタートしたので、それと同じ手法だとここで区切るのが同じ作りとなります。

ファスナーの場合、ポケットの中を覗いた時に、ファスナーの縁が見えない綺麗なやり方がこの分けるやり方です。

もう1つの理由は、直接だと、上の枠のラインにポケットの袋に物を入れたときの重さの比重の影響で、スクエアの枠の形が変形することの懸念です。

枠に袋を取り付けたという構造は枠が変形しないと見た考え方です。

隠しポケットの出来上がり。

この「片玉縁風」は、「ひさし」が中を見えにくくして、セキュリティー性を高めます。

ここ最近はファスナーを取り付けておらず、手を入れてすぐ取り出せる便利性も考えて行き着いたファスナー無しの隠しポケットです。

隠しポケットの裏側の構造。

袋にもちゃんと接着芯を貼ったので丈夫です。

出来上がったバッグではこういった部分は見ることができないので貴重な写真です。

取っ手の完成:取っ手は共布で作ることが多いです。既製品の本革レザーなどは利用しません。

ご要望に応じ本革も取っ手にしたことがありますが、元の方向性としましては、本革は使いません。

アイレットカンに細めの本革を通して結ぶというのも向きが不安定で廃止しています。

あれこれ考えると、現在は、取っ手も布で作るに至っています。

取っ手の付け根タブx4個完成。

このようにパーツのみで一度縁をぐるり1周にって、8角形のとんがりをしっかり出しておくことが綺麗にできるコツの1つ。

ストレッチフクレジャカードという生地は、薄手で折り目が付けやすくて、角がしっかり出てくれたので出来上がりは期待できます。

厚手すぎるとふんわりとなってしまい線があいまいで、あまり綺麗にできない傾向があります。

ショルダータブの5cm四方のパーツ。
接着芯である薄芯に加えて、ハード薄芯をボンドで貼ります。

このような小さなパーツでも、ハード薄芯まで貼ることで、うんと丈夫なタブになります。

タブは全体を支えるので大変重要な箇所。

ここを薄くあっさり作ってしまってあるのがレザー製品。

ブランドのスタイリッシュなバッグのショルダータブがちぎれることが起きていた過去があります。

スタイリッシュに映ることを重視して薄くしてあること、元々ハンドバッグに附随しただけのショルダーであった過去のバッグの流行の傾向があったと思います。

しかしながら、ここ近年は、ハンドバッグよりもショルダー、リュックと体に負担の少ないデザインに変化しつつあります。

よって、よりタブの存在は重要になってくるというわけです。

リュックなので3個のショルダータブが完成。

やはり、この生地にはゴールドのDカンが合いますね。

取っ手を真ん中線から、左右へ6.5cm、下へ6.5cmの位置が正8角形のタブの位置。

取っ手は2cm分中へ隠します。

縫い付けは、一番上の横のラインを返し縫3度、周囲を2度のステッチで固定。

なじんで見にくいですね。アップにしてみます。

更に寄ってみます。

この8角形のタブの目的は、取っ手の付け根を隠すこととデザイン性の2つを兼ねています。
ここも力がかかるところなので、このように8角形のタブの部分にハード厚芯で力布として補強します。

最初は粗裁ちで四角く裁断して、縫った後で余計な縁をカットする方法でこうなります。

このように作るととても安心できます。

以上がここまでの今回の進捗具合でした。

いろいろなパーツの裏側をご紹介致しました。

あとがき

今回の複数パーツについてそれぞれ、意味が込められていることがお分かりいただけたかと思います。

長く愛用されるようなものをどのデザインのバッグにも組み込んでいきたいと思っています。

こういった細かいパーツも、ちゃんと意味が入っていると、「深みのある品物」なれます。

なぜ、この形なのか、それが苦肉の策の末行き着いた形であればあるほど、はっきりとしっかりお伝えできる「哲学」になります。

こんな美しいファンシーツイードはレア、これこそバッグにしたい夢かなう時【290】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

いよいよ完成間近の段階のファンシーツイードバッグ。

今回は側面を無事に取り付けて完成した場面です。

急カーブを含む側面の取り付けのちょっとしたコツ、半分ずつをミシンを区切って二度にわたる縫いをするとやりやすい

側面をやり直しながらなんとか完成できた仕付け糸のやり方をここでご紹介したいと思います。

写真が見にくいですが、側面のパーツを取り付ける際のサイドの仕付け糸をしている場面です。

まず仕付け糸を3cm感覚ほどにこうして3重くらいに玉結び玉止めをせずに取り外しがスムーズなように留めます。
そして、仕付け糸でところどころ固定された完成イメージのまま、端から3mm程度の場所を縫っていきます。
底のカーブがずれやすい所。このようにいったんカーブで区切らざるを得ませんでした。

この後、最初の縫い位置の右上と反対側の左上の裏面からスタートして先ほどの途切れたところまで縫います。

その後、今一度続けて2度目の縫いをします。

二度目は完全に固定されたのでなぞるだけなのでそれほど難しいものではありません。

このように途中半分で区切り縫いを2度に分けるという方法を考えたのでした。

出来上がりを見た自主的な感想はかなり厳しいもの、まだまだ課題が残る中途作品でしかない

では、完成をいろんな角度から見てみますね。

<サイズ>縦19cmx横27cmxマチ7cm。

まず、タブの形がよろしくありません、フラップが偏っています。

側面の取り付け部分が写っています。
底部分、しっかり立つかというとやや不安定なのが今後の課題です。

ここからは内側の様子です。

ゴージャスに光るピンク色です。ここは隠しポケットの面。

あとがき

実は、以前に、もっと作りやすい素材の「ブロード」のプリントで作ったことがあった類似品があります↓。

この時は、本体に「ネジ式ヒネリ錠」を取り付けています。

ここからの型紙の変化は、もっと形に抑揚が出るようにと意識したつもりでしたが、それほどこちらとこの度のツイードのバッグの形が変わらないのが悔やまれます。

物理的なモデルをイメージすることがいかに難しいかが分かりますが、おそらくハイブランド様も血のにじむような努力ともいうべき、試行錯誤の末、試作品が発展していき、やっと正式なモデルになっていくのでしょう。

まだまだ今回のような二度目の型紙では到底完成品とは言えません。

それでもファンシーツイードのこのたびのバッグありがたくご購入いただいたのです。

本当に感謝申し上げます。

ありがとうございました(^-^)。

ファンシーツイード生地で作る組み立て式によるハンドバッグの側面パーツの縫い付けが二次元のミシンで可能なのか【289】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ドイツ製の高級ファンシーツイード生地で現在フラップ仕様のハンドバッグの製作を進行中。

マルチカラーのにぎやかさは、心躍るような楽しさがあります。

白ベースに原色含む綺麗な色が入っている生地なので、その多色がお洋服の無地にマッチし易かったりします。

このたびは、やや難関の場面になるだろうと身構える場所、「側面」パーツの縫い付け場面です。

この度の作り方というのは、表地と裏地をあらかじめ中表にして縫い合わせ、ひっくり返すことでプレート状のパーツを複数作り、それを合体してバッグに組み立てていくという作り方です。

側面にはカーブもありますし、なにしろミシンは二次元ですので、果たしてうまくできるのだろうかというところにやや不安がありました。

シミュレーションにより、側面パーツの形を今一度確認しながら型紙を作り直す

側面を取り付ける前の状態:ある意味貴重な場面です。ここへ、側面パーツをはめ込むイメージ。
マチは上側が狭い形なので、ストレートの場合上側が内側に折られるイメージ。

側面パーツをはめ込む時点で縫い代の始末が完全にされている状態にしますので、側面パーツ自体を1枚のプレートに完成しておきます。

表地と裏地を中表にして周囲1cmの縫い代で返し口を上辺として縫います。
ひっくり返します。
ひっくり返したらアイロンをかけて、返し口の上辺を1.5cmの縫い代で内側に折り込み縫い代を綺麗に隠します。
返し口である上辺を縫い閉じます。
本体への側面パーツの縫い付け:立体的なのでなかなか平面ミシンでは難しいです。
しっかり縫い合わさらずに裏地のピンクがはみ出したりしている部分がありまして、縫い直しを経ています。
例えばここ。カーブが急なので洗濯ばさみを外したとたんに位置が狂います。しつけ糸が必要でした。

ここからの学びは、①そもそも急カーブのデザインを避けること、そして、②急カーブ続行の場合は、仕付け糸で固定する必要ありというこの2つのポイントが挙げられます。

あとがき

側面を取り付けたら完成です。

もうほぼ完成に近いです。

今回はここまでです。

今回のようなデザインは、レザーではよくある形ですが、これを布で同じように作ろうとすると勝手が違います。

それに加えて扱いにくいファンシーツイード生地でやったことが最初にして非常にチャレンジあふれた製作になってしまったのでした(^_^;)。

一発で良い結果を出すということなど到底できることではないと実感。

もしかして、思い切って大きなサイズの方が、カーブも急にならずにゆるやかで行けるのかもしれません。

まだまだ課題は有りますが、とりあえず、側面取り付けは完了しました。

次回の記事【290】で完成のハンドバッグがご覧になれます。

是非【290】記事にもお立ち寄りどうぞ(^-^)。

影響力は絶大、しっかりと検討して決めたいバッグのヒネリ錠の付け位置【287】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドバッグの部類の蓋付きのバッグを製作し始めております。

初めての、硬めのバッグで、通常はレザーで作られるものを布で挑戦しようとしています。

これは挑戦ですし、長いこと夢見ていたデザインがいよいよ実現できそうで楽しみでもあります。

このたびの回は組み立てるまではまだ行きませんが、その直前の表地と裏地を1枚のプレートにしていく方法での製作となります。

残すところを組み立てるだけという手前までやっていきます。

表地単独でヒネリ錠の凸パーツを取り付ける

ヒネリ錠の凸パーツは裏側が芯をかませたりしてごちゃごちゃする隠したい部分ですので、表地にのみ取り付けます。

そこで、早速ながら大変重要なポイントがあるのです。

それは、取り付ける位置です。

実は、今回ちょっと変な場所(下の方)に付けてしまったのです(*_*)、

ここから見て、右の方が入り口の蓋の内側に当たる場所。そうするとここは下の方過ぎます。

向きが少し分かりにくいかと思いますが、この写真で右の方が「天」にあたります。

そうしますと、ヒネリ錠の位置は、もっと右(上)でなければバランスが悪いのです。

視野が狭いのかこんなところに決めてしまったことを後悔。。

こうした穴や切込みを入れる製作は、やり直しが利かないという厳しさがあります。

とりあえず、このままでマチなどを調整して完成していくことになりました。

ハード薄芯があるところにさらにカットしたハード厚芯をかませて動きにくく、丈夫く固定します。
こうしてみてみると、やはり、ヒネリ錠の付け位置が下の方過ぎたことが分かります。
ヒネリ錠を留めてシミュレーション:出来上がりのイメージが少し顔を見せます。
もう7-8cm上の位置が正解でした(涙)。こういうデザインもあるかもしれませんが。。

あとがき

今回の学びとしては、きちんと型紙に折る部分、マチの幅、ヒネリ錠の付け位置を記入して、その通りに取り付けていくということをするものであるということです。

適当では到底できない難易度のあるデザインだということを改めて実感しました。

この美しい生地のおかげで、そんなに大問題を起こしたというようにも見えないかもしれませんが、ヒネリ錠付きのハンドバッグのヒネリ錠の位置がおかしいなど、致命的にもほどがあるのでした(汗まみれ)。

ただ、ここまでで、布でもいろんなデザインが可能であるイメージがわいたと思います。

表地と裏地をあらかじめ縫い代を隠した板状のパーツをとにかく綺麗に重ねて組み立てることができるなら、バッグのデザインは「無限?」なのかもしれないというポテンシャルを感じますね(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

織りが複雑に絡んだツイード生地のハンドバッグ製作に設置のヒネリ錠は、ネジ式ではなくツメ式が作業の実感がわきやすい【286】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドバッグでは、マークのような存在感のヒネリ錠。

ここ最近いくつかヒネリ錠を取り扱いましたが、このたびは、複雑な繊維質のツイード生地に向いたヒネリ錠の種類を選んだ記録をお伝えしたいと思います。

ヒネリ錠には主に、「ネジ式」と「ツメ式」がありますが、そのかっこよさだけを見ると、「ネジ式」の方が粋(いき)です。

ただ、そうはいっていられないのも現実で、ヒネリ錠を生地に取り付けることができるだけでも本来のレザー向けパーツの発展的な使い方と言えるのです。

パーツは本来レザー向けのものなのだとパーツメーカー様がおっしゃっているのですから。。

ただ、布製のハンドメイドバッグの研究の一環として是非こうしたハンドバッグタイプにも一歩踏み出したかった夢がありました。

そうするとおのずと、留め具が必要になり、ヒネリ錠を選択。

そして、このたび、初めてのツメ式にトライしました。

ネジ式との比較や、今後見込める細部や隠れた部分の良質さを追求する上でもとても重要な箇所だと思いますので、よろしければ最後のまとめの部分までご一読いただければと思います。

厚手のツイードにはネジ式は位置が分かりにくいためツメ式へ変更の記録

まず、このように表地と裏地を重ねてタブを作ります。折り込んで、周囲をステッチしてあります。
こういった厚手の生地の場合、裏地側からステッチするのが秘訣。綺麗に縫えます。
タブを製作後ポンチでヒネリ錠用の穴をくり抜きます。穴のサイズは大きすぎても小さすぎてもいけないです。

最初、左側の写真のようなネジ式で挑んでしまいます。

ネジ式ヒネリ錠(前案):右上の物がネジ式のヒネリ錠1式です。
ネジを極細ドライバーのプラスで開けるとこうして2パーツとネジ2個に分解されます。
ネジの足の長さが短いので、厚みのあるツイードに及ばず、いつまでたってもネジが穴に入っていきません。

ということで、ネジ式を取りやめ、ツメ式に調達し直します↓。

ツメ式ヒネリ錠(後案):単純な2パーツのみで一式です。ツイード生地にはこちらの方が向くと思います。
爪は、開き枠の縁の内側に来るのでこの開き枠のまま取り付けました。
ツメは、後側で外側へ倒します。布を当てたマイナスドライバーなどを利用し、しっかり倒します。
当初のヒネリ錠よりも横が長いので、少しタブのスペースの部分が良くないですが、一応取り付けて進めました。

穴から少し生地が内側にはみ出しています(^_^;)。

あとがき

スタイリッシュなのはどうしても「ネジ式」。

ほんのちょっとしたことですが、遠目で見た時の「透かし」のかっこよさは、ネジ式が上回ります。

どちらかというとツメ式はごつい。

それでもこれらの2種以外にはヒネリ錠は見たことがありません。

とはいえ2種あるありがたさがあるとも考えられます。

この度の結論としては、どうしても布に使用したい場合は、どんな生地でも「ツメ式」が良いのではないかということです。

そして、さらに過去の製作でヒネリ錠を使用してきての結論としては、このたびのような「ツメ式」を使いながら、ポンチで打ち抜いたくり抜きを「玉縁」でラッピングして覆うという1作業も加えることをお勧めしたいです。

とてもくり抜きっぱなしの状態では、バッグを使用する中での動きからヒネリ錠がずれて、縫い代がむき出しにはみ出すリスクがあるからです。

この玉縁の1作業を追加することで、「丁寧な仕立て」「その後の使用シーンも考えた仕立て」が成された「付加価値」が高まるのです。

玉縁をヒネリ錠に引用する件に関しましては、過去の記事の【263】で図解と共にそのやり方をご紹介していますので、どうぞ、【263】にもお立ち寄りを(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク