取っ手付け根タブの八角形パーツも地の目を縦向きにそろえる、裏面に矢印を記しながら最後まで向きを見間違わない対策【870】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在製作中の「餅巾着」という名前のリュック、内蔵巾着袋→裏地→表地という順番で製作しておりまして、このたびは完成の一歩手前、表地のパーツ縫い付け場面です。

この場面では、取っ手の付け根を美しく隠す8角型のパーツを縫い付けていきます。

この目線が行く正面の中心部分のパーツは、地の目までそろえるということをしておりまして、向きに間違いが起き易い8角型に対して間違えないための工夫をしました。

では、この工夫の場面をご覧いただこうと思います。

パーツの裏側のハード薄芯上にペンで直接矢印を記載する方法

生地というのは、織物/ニット関係なく縦横の向きが存在しています。

原反でいうと、巻いてある棒を横向きに置いた時に横の長さは幅になりまして、両サイドが耳になり、その耳の位置に対しては垂直向きの人間の背丈に当たる向きが縦向き、つまり地の目の向きにイコールと覚えます。

細かく裁断してしまった時に縦横が分からなくなることが多角形や正方形などで起こりやすくなります。

そんな時に、手で引っ張ってみると伸び具合の違いに気づきます。

8角形のパーツを横に引っ張っている様子。よく伸びます。これが横向き。縦はここまで伸びない硬さがあります。

接着芯のみを貼っている段階では、こうして手で引っ張ってみて縦横の向きを確認できますのでその時点までは印は特に無し。

ハード薄芯を貼ってしまうと、ハード薄芯自体が不織布なので縦横の向きが基本的にありません。

この貼るという作業と同時に矢印を記載しておくのです↓。

「この矢印の方向が縦向き=地の目の向き」という意味。ボンドを貼る時もパーツを置いたままめくりながら。
そして、こんな風に貼り付いたら、周りを表地にぴったりにカット。

あとは、縫い付けるまでは、矢印の向きを確認しながら、縦向きを把握してゆけばよいのです。

ハード薄芯を貼った後は手で引っ張りにくいので、この印を記載するタイミング(ハード薄芯を貼る時)ということがとても重要です。

本体に八角形の取っ手の付け根パーツが正しい縦向きで縫い付けられました。

あとがき

このたびのラメ生地の縦横の向きは、生地の柄としては分かりにくいのですが、生地によっては、こんな落とし穴があるのです↓。

無地なのに、目の映りり具合に濃淡を感じるという見え方です。

こうした見え方は、生地に向きがあったことの裏付けです。

並毛・逆毛の上下の向きもあるのですが、その前にまずは、縦横の向きを縦向きに統一するところから先に徹底しています。

並毛・逆毛の違いの濃淡の映り方は、縦と横でも同じように起こることがありますので、それだけ「向き」の大切さがあるということです。

確かに美しい正ダイヤキルトなのだが、実は装飾目的じゃない、凹凸感のへこみの部分が接触を避け傷みから逃れる重要な役割【869】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在リュックを製作中でございまして、このたびは、全体の製作の中では最後の章のような「表地」の製作です。

表地は最初にキルトをかけ、キルトシートを製作するところから始めていくのです。

製作の順番が意外にも、内蔵巾着袋からスタート、裏地、表地というように表地が一番最後になるのです。

先に作っても保管になってしまうので、望ましい過程を工夫したところこんな順番になりました(^_^;)。

このたびは、表地にかける3cmの正ダイヤキルトについて深堀りしてお伝えしたいと思います。

キルトが「装飾」なのか「機能なのか」という以前のイメージがもしかして覆されるかもしれません。

装飾性に目が向きがちなキルトは丹念に仕立てた結果の美しさに過ぎない、外部とのまともな接触の回避の機能こそが真実の姿

まずは、キルトの中に挟み込む中綿とハード薄芯の様子をご紹介します。

中綿は、意外に薄め。5mmくらいはありますが、透けて向こう側が見えるほどの薄さ。これで良いのです。
前面から順番に、接着芯が貼ってある表地、中綿、ハード薄芯の順にサンドイッチします。3cmのダイヤキルト。
ダイヤキルトは、玉結び、玉止めを1ステッチずつ行います。ほつれ防止と丁寧なお仕立てを追求したものです。
キルトの構造:断面から見ると分かりやすいです。ステッチされたところはへこむこの構造こそが重要ポイント。
ダイヤキルト有り/無しの違い:かけた方が安定しますし、いかにも傷みにくい丈夫さも感じます。

まず、この左と右の見た感じの違いですが、全体に均一に散らばるような柄は、柄がつぶれるなどの悩みはないです。

ぱっと見は、華やかになった思われるかと思います。

ただ、その見栄えの装飾性の変化だけではないのです。

キルトをかけたことで、凹凸感が生まれ、この構造がリュックになって使用する中で、接触する面を少なくしているのです。

へこんだ部分は、触れにくくなっていますので、それが全体の構造であるとなおさら効果は大きいのです。

まとめますと、2つの影響で良質さが追求されまして、①ステッチの縫い付けによるしっかりさ、②出来上がった凹凸の構造は外傷から回避する働きです。

あとがき

このキルトは多くの方の記憶にあるハイブランド様のバッグが浮かんだと思います。

おそらくなのですが、某ハイブランド様もこの機能性を重視して、定番素材として長年バッグに引用されているのではないかと思うのです(想像に過ぎませんが)。

長く使う中での丈夫さをその時になってもいない今想像することの難しさ、そして同時に大切さが重要な学びです。

そういった製作は、ファスト的なその時だけ難なく通り過ぎ売れていけば良いという短期的な考え方と対極にあるものです。

この起こってもいないことを想像する製作は、この先もっと高めていきたい姿勢です(^-^)。

リュックの入り口の表地と裏地の縫い合わせ、裏地が薄手の場合に皺やタックが寄らないための伸び止め防止策の効果を得た感触【868】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「餅巾着」というリュックを製作中です。

このたびは、最終の段階で表地と裏地を入口で合体する入り口の縫い付けの場面。

この入り口1周にステッチを2度縫いで強固にかけていきますが、その時に裏地というのは一般的に表地よりも薄手にチョイスすることが多く、たるみがち。

同じパーツで裁断して同じサイズであっても、生地の横の伸び具合が織り方によって異なるからです。

ニットだけではなく、織物もある程度横に伸びるという性質をまずはここでお伝えしておきたいと思います。

待ち針で留める時にも力が加わり、伸びが生じることで生地が寄せられて他の部分が余るという現象にも気を付ける必要があります。

こういったことの解消に、初めての試みながら、伸び止めテープ(平)を入口1周に貼ることに決めました。

このたびは、伸び止めテープを貼ってステッチをするまでの過程をご紹介したいと思います。

完成品では決して見ることのない場面、貴重な記録としてお役立ていただければ光栄でございます。

裏地が薄手であったりとろみ素材の場合に有効な伸び止めテープ(平)を貼る場所は「ここ」です

では、入り口に伸び止めテープを貼るその位置などにポイントがありますので、ご紹介したいと思います。

伸び止めテープは9mmが使いやすくて定番。縫い代1.5cmの印の真上が下のラインに当たる位置に貼りました。

ここに貼った理由は、伸び止めテープを後の作業でミシンで縫い付け固定する必要があるから、ミシンのステッチがかかる場所に注視した貼り方であるべきなのです。

実際に赤色の点線がステッチの位置になる場所。

間違いがちなのは、ここで、生地の縫い代の先端に貼っててしまうこと。

そうしますと、ステッチの線が伸び止めテープにかからないので、「ステッチによる固定」が実現できないのです。

こうして縫い代1.5cmで折った時に、伸び止めテープの位置がトップの先端まで及んでいる必要があります。

そして、この後、トップから3mm程が表地と一緒に縫われることで伸び止めテープにもステッチが必ずかかります。

表地と縫い合わせた入口の裏地の様子:伸び止めテープを貼った効果は絶大でした。

あとがき

伸び止めテープにステッチがかかることに関しては、伸び止めテープど真ん中である必要は無いと思います。

可能な場合はその方が良いと思いますが、この度の場合ではど真ん中となると折り線をまたいだ真ん中ということ。

伸び止めテープが2重に重なりまた効果が変わってくると思いますし、余計な皺の出現を懸念してその方法はとっていません。

ただ、実験してみる価値はあると思いまして、伸び止めテープを2重にしたい場合には「わ」をまたいで使用するというのも有効な策かもしれないのです。

この裏地生地は、実際に作業してみて思ったことがあります。

とろみ生地と呼ぶようなものではあるけれど、もともとの織った作りが非常にしっかりとした素材だということです。

生地も、良し悪しがあると思います。

緻密に織られている生地は、薄手でもしっかりとしているということです。

伸び止めテープの今回の貼った感じのハリコシが上手く出たのも、もとの素材の良さもあってのことも大いに影響があると見ています(^-^)。

貼り付けポケットは柄合わせした方が良い、隠しポケットの比翼は柄合わせしなくても問題ない、目に映る美しさと整いを意識した必要手間【867】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在3種類の生地をそれぞれのパートで使い分け、「餅巾着」というリュックを製作中です。

このたびは、内蔵巾着袋が完成した様子、そして、裏地のポケット2種類の取り付けの際に柄合わせをどこまでしたのかということをお伝えしてまいります。

特に、ポケットの柄合わせに関しては、この度のネイティブ柄は大きく見ると「ボーダー状」という配置。

効率良く生地を使うためには、必要な部分のみ合わせていくという判断をポイントにしています。

無地の巾着袋には、コントラストの効いた柄を巾着ひもに選ぶと素敵になる

ポケットの柄合わせの前に、その柄と同じ生地を内蔵巾着袋の巾着ひもにも設置した素敵さをご紹介させていただきます↓。

二重仕立ての裏地付き巾着袋:内側に縫い付けはマチの部分で行いますので、縫い代のままのマチ。ひもが素敵。

巾着ひもは、裏地と同じ素材ですので、コントラストが効いた巾着袋が内部に設置されますが、それでもすっきりとおしゃれに仕上げることができます。

ひもの向き:ひも通しもひもがよじれないように統一の向きで通します。「わ」を上向きに「はぎ」を下向きに。

ひもの上下の向きが整う通し方などはまた別の記事で詳しくポイントとして解説したいと思います。

では、次に、このたびのポイントのポケットの柄合わせについて綴っていきます。

貼り付けタイプのポケット「フラップポケット」はボーダー状に柄を縦向きに合わせた

貼り付けポケットの柄合わせ:ポケットの縁をご覧いただくと柄がボーダー状の向きに合わせてあります。

ポケットの袋の部分も、フラップも柄の位置が良い具合にそろうように、裁断時にある程度柄の場所を指定して裁断します。

縫い代が1.5cm内側に消えることも見越し、出来上がりの位置がどうなるかと見積もります。

このポケットは、ポケットの入り口の縫い代が内側に始末された出来上がり線が上から13cmと決めています。

上から13cmの本体の柄をまず見てその位置より縫い代の1.5cm分まで含めた部分を切り取り裁断します。

フラップの縫い付け位置に関しては、ポケットの袋部分の入り口の線より2cm程空けた上の位置に出来上がり線を持ってくる仕様。

その位置から縫い代の1.5cmをプラスした分も含んだ部分を切り取り裁断というように見積もります。

それほど難しくはないことです。

ミリ単位で正確にと時間をかけて考えるよりも、少しのずれは、縫い付けの位置を調整すればよいので、こういったボーダータイプの柄は比較的やりやすいです。

難しい柄というのが、複雑な色がマルチカラーになったようなタータンチェックです。

そして、細かい柄であることが幸いして、ストライプ状の柄合わせはそれほど意識する必要は無く、ボーダー状だけしっかり合わせれば良いと思っております。

この条件は、柄の種類によって、また、柄の大きさによっても変わってくると思いますので、特に「大柄」は覚悟が必要ということになります。

切り込んで枠に比翼を当てはめる「隠しポケット」は柄合わせの必要は無い

隠しポケットの比翼の柄:むしろ一切何も考えずに違う柄が来るということで良いのではないでしょうか。

隠しポケットは、もともと1枚仕立てを切り込み、枠をくり抜くだけなので柄はつながったままです。

ただ、次の段階で別で裁断の比翼布を枠に当てはめる時の柄の繋がりだけ検討するわけですが、くり抜いた部分と同じ柄を比翼に該当させる必要は無いと判断。

確かに完全になじみますが、この度のように全く違う柄であったことがかえってマークになりデザイン性が生まれるかもしれないのです。

必要が無い箇所には労力は使う必要が無いという判断のもと、こうした考え方を採用したのでした。

あとがき

意外なのですが、とろみ生地の裏地のこのネイティブ柄、芯貼りの時などは形がずれやすくて緊張感のあるものでしたが、ポケット作りなどの時にはとても作りやすかったです。

このガサっとした風合いのせいでしょうか。すべりにくいのです。

こうしていろんな素材の性質もよく分かり、とても有意義です。

固定観念で難しそうな生地だと思って手を付けなかったものが意外と作りやすかったり、素敵に仕上がったりするのかもしれません。

かっこよくなる可能性がある雰囲気の生地を見つけたら、たとえそれがやや扱いにくい生地に思えても、予想外の良い結果になる可能性がある「挑戦」をお勧めをしたいと思います(^-^)。

ゆるゆるなとろみ生地に接着芯をまっすぐ貼る時のコツ、ストライプ柄を地の目の目印に使える織芯とアイロンを動かさない静止の意識【866】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在製作中のリュック「餅巾着」を新しい生地3種を表地・裏地・内蔵巾着袋の3配置に分配しながら製作し始めております。

この3種の生地の中では薄くてとろりとしたネイティブ柄の透け感ある生地を裏地に使います。

こうした崩れやすい生地は、接着芯貼りでは慎重にするべきポイントが含まれます。

せっかく意外性のある服地を選んだので、その選択の先にある活かし方も成功させたいと思います。

とろみ生地では、いかに地の目を崩さずに馴染むように接着芯を貼って行けるかということになるかと。

織物であるとろみ生地にこそ、ニット芯ではない織芯が有効だと考えます。

このたびは、その接着シーンをご紹介しながらポイントをまとめていきたいと思います。

とろみ生地のクセ、いかようにも形を変えられる変な融通、接着芯で正規のラインに固定したい

ネイティブ柄の生地です。黒の接着芯の上に置いてみまして、手でいったん整えました。

この時点では接着芯は粗裁ちで、周りを余分に残しておおざっぱに裁断。

マルチカラーが美しく、先染め。混率は、トリアセテート/55%、ポリエステル/55%。

とろみの生地ながら柄は左右対称な正配列な柄であると言えます。

ポイント①:接着芯はあえて伸びない織芯のストライプの織柄を活かす

こんな感じの織芯ですが、ストライプ状に柄が細かく入っています。地の目を合わせるには抜群のアイテムです。
縦向きの正しさをこの接着芯のストライプ柄で計り、案内していただきます。

ということで、これから芯地を調達していくというような場合に、こういった筋の入ったタイプの織芯は同じ織物生地と組み合わせ、地の目をそろえるのに有効だとお進めしたい種類です。

購入先は、「ヤフオク」出品の工場様のストック品のようなものでした。

お得に反ごといただけるのも「ヤフオク」様らしいです。

ポイント②:接着芯を貼る前に生地を手で整える

小さいパーツの場合は、クッキングシートを一番下に、生地の表面を下に、接着芯の糊部分を下にという3配置。

この時に指でよく整えます。柄の線が歪んでいないかなどを確認しながらです。

この表地は白ベースの面が本来の表ですが、あまりに白っぽいので、裏面の落ち着いた黒ベースを表面として使用することにここで決意。

接着芯を静かに置いていきます。

ポイント③:アイロンは決して動かさない、置くだけ

今一度、接着芯を置いた上からも、歪みをチェックして指でまっすぐに整えます。

そして、アイロン(中)程度で、決してこすらないように、5秒くらいずつ置くだけの当て方をします。

ポイント④:クッキングシートからはがす時に力を抜いて縁の芯地のみを触る

粗裁ちしてある接着芯のみの部分をまずはがして、できるだけ生地の部分に触れぬように。力を入れぬよう。
はがし終わりました。形がくずれずに確保できています。

パーツのサイズが大きい場合にも対応できるアイロン台めいっぱいのクッキングシート

これは本体のパーツ。本体は面積が大きいのでクッキングシートからはみ出します。
そこで、重ねる順番を変え、一番下には粗裁ちの接着芯を接着部分を上に、次に生地を表面を上にして置きます。
そして、一番上にクッキングシートを置きます。
クッキングシートの上から間接的にアイロンをかけます。ただ、このやり方は、熱が伝わりにくいのです。

そこで、その後は、こんな風に一律にクッキングシートをアイロン台以上のサイズに固定↓。

端っこに「表」の印を記入、常に「糊」の面をこの面に使うことを決めるとアイロン台カバーが汚れないです。

結局最初のやり方のシートの面積を広げたバージョンがその後もやり方を継続しています。

アイロン台カバーができるだけ汚れない方が良いですので、接着芯の糊がアイロン台カバーに付かない対策です。

さらに、アイロン自体も汚しにくいのは、写真の右上のように、端っこに「表」の記載をマジックでしておくこと。

この「表」というのは、もちろんクッキングシート自体の使う面という意味の「表」ですので。

接着し終わった状態がこちら。Lの字の角などががまっすぐで綺麗に貼れました。

つまり、この成果はマチの出来上がりのラインの整いに影響する可能性があるということになります。

特に本体パーツは重要なので、まっすぐに接着したいものです。

あとがき

以上、接着芯を貼る時のポイントをご紹介しました。

綿ブロードなどは、生地の織りが整って安定しているので比較的こういった歪みなどの悩みは少ないです。

それでも、いろんな生地を取り扱っていくことで製作のテイストの幅も広がります。

ポリエステル、レーヨン、キュプラなどのとろみがかった生地も、接着芯貼りはパーツが歪まないようなこうした接着時の工夫が必要です。

では、この製作を引き続き一緒に見守っていただければ光栄でございます(^-^)。

ラインがふんわりと感じる優しい黒ボアx赤タータンのキルトリュック、背中で感じるあったかさの中に入れ込んだ平和な気持ち【864】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

5日間の製作日数を要しましたリュックが1点完成しました。

表地の正ダイヤキルトのシート製作や内蔵巾着袋に地道な手間をじっくりと込めながらやっと完成に至りました。

ボア素材の特殊さを改めて実感したこのたびの製作、通常では難なく完成していくショルダーも横に伸びて広がり、附属品のサイズさえ大きくせざるを得ませんでした。

このたびの完成品をご覧いただきながら、この製作に込めた「気持ち」の面を綴りたいと思います。

背中があったかく感じるボア素材、ショルダー部分も同じような感触を得るためにあえて共布

いつもの4本ステッチは均等が難しく、ジグザグステッチにしました。こちらの方がボアには向いているのかなと。

ボア生地が横に広がり、面積の変化により、細かい幅の統一を要する等間隔が美しいストライプのステッチが有効ではないと判断。

問題の無い、難易度が高くない方のジグザグステッチで対応。

ジグザグステッチも固定でいうと、キルトのようなものなので、丈夫にする効果は大いにあります。

表地のダイヤキルトの形状と相性が良さそうです。

別布で行う方法もあったかと思いましたが、「あったかい感触」をこうしてショルダーの部分にも配置することで、肩や前身なども寒い季節に心地よく感じるのであればと思い切ってボアのままショルダーにしたのでした。

ジグザグステッチのミシンの様子:ボア生地は糸がはみ出しやすいのでやや手前で方向転換することです。
金属パーツ:やや無理がありましたが、線コキを通常21mm巾を40mmで代用。36mmが無かったです。
Dカンは、36mmというのがあったので、それで対応。ナスカンは36mmがなく、40mmで対応。

では、遠目でまずは見てみます。

<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。ころんとしてかわいいボア特有のラインが出ました。
入口を開けたときの様子です。赤のタータンチェックが黒によく映えます。
細かい部分ですが、入り口サイドの巾着ひもの先に表地ボアを取り付け。ボンボンみたい♪。
中はこんな構造。巾着袋を開けています。

ここに映る入口フラップに関しては、すでに現在では定着の改良版の広い面積の方です。

セキュリティー性の不足はじゅうじゅう承知ながらも、取っ手の間に最大限にあるフラップで覆い、最大限の隙間を埋める努力をした姿となります。

巾着袋内だけに収納でも良いですし、大切な物のみここへ入れ、その他は前後の隙間に入れることも可能。

この「内蔵巾着袋設置」の構造に関しては、今まで「何とか安全性を確保したい」ということがやっと実現できたものになったと思っております。

巾着タイプのバッグはどうしても隙間が出来てしまいます。

メインの入り口を絞るということが限界だったことをそこそこで諦め、内部で守るということへ発想を転じた変遷があります。

あとがき

ボア生地の難しさで工夫するべき点が多くありましたが、出来上がってみるととても素敵になるようです。

かわいいバッグを作りたい場合は、大変お勧めの素材だと思います。

このパイルボアは、希少な「日本製」であったことも特徴。

その季節の生地の出始めに一気に売れていくようですので、早めに目を付けると日本製が見つかることもあると思います。

大半は、ボア生地に関しては「中国製」の現在です。

この度のこの素材は、毛混ではなく、アクリル/100%なので真冬のみではなくキルトもかけてありますし、その周辺の季節も延長して、主に「秋・冬」としてお使いいただけると思います。

素材が横に伸び広がる性質をよく心得ながら、うまくボアの素材をバッグ製作に取り入れてみてくださいませ(^-^)。

縫い目が埋もれて見にくいボア生地の細かいパーツにかける二重ステッチ、2回戦に分け表面からと裏面からとで正確に重ねる方法の成功【863】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在製作中であります黒いボア素材の表地に正ダイヤキルトをかけ、裏地にはタータンチェックの内蔵巾着袋を設置のリュック。

いよいよ完成間近となった後半の最終局面に差し掛かりました。

ボア素材はこのたび初めて取り扱ったのですが、いやはや、他の生地との大きな違いをいろんな場面で実感しました。

そうして大変良き学びにもなりましたので、この製作も大変貴重な体験となりました。

このたびは、取っ手の付け根タブの8角形を含む細かいタブなどの細かいパーツを本体に縫い付ける時に、丈夫に二重ステッチをかける場面が多く登場します。

その時に、通常の生地とは違うボア素材の特徴が現れました。

それでも徹底した美しい二重ステッチを重ねるためにいつもと違う工夫をしましたのでご紹介したいと思います。

表面から二重ステッチをする時の2周目、黒地に黒糸の見にくさとボア地に1度目の糸が沈み込み視界を遮ることで、正確にステッチを重ねることが難しい状況があったのです。

連続で二重縫いが通用しなかった縫い糸が沈み込むボア素材へのステッチ、二度目の位置が分かりにくい悩みを裏面からのステッチで解決

二重ステッチの時は、表面から一度目ぐるり1周して、引き続き二度目を一度目に重ねて表面からなぞっていくやり方をしていました。

ところがこのたびのボア生地では、その二度目の位置がボアの中に一度目のステッチの跡が埋もれてよく分からないのです。

よく分からないままやった結果、裏側を見ると、とんでもなくずれていることが分かりました。

ここを解決しようとします。

まず、1周目は通常のように表側から見ながらステッチして、いったんそこで終わらせます。

その次に2周目をなんと、裏返しにしてステッチするという方法です。

裏面のハード薄芯に出ている1周目のステッチの糸目を見ながら、それをなぞっていくというやり方です。

二重ステッチの手順①:まず、一周目は表側からステッチします。
二重ステッチの手順②:二周目は、裏側のハード厚芯に出る見やすい1周目のステッチ通りになぞります。

そうすれば、二重ステッチが綺麗に重なることが確実に実現できます。

完成間近の様子:本体が完成しました。あとはリュックのショルダーを取り付けて完成です。

あとがき

細かいパーツは意外と重要で、目線が行くところです。

バッグの中ではアクセントの部分だと思っていますので、やはり綺麗に縫い付けたいもの。

このたびはボア生地なので、いつものやり方と変える場面もあり、素材によってやり方もそのように対応していくことが大きな学び。

次回は、いよいよ完成になりまして【864】の記事に投稿されます。

製作日数というのが全体で約5日。

生地の裁断、芯貼りで1日、巾着袋製作で1日、裏地製作で1日、ダイヤキルトがけで1日、表地製作で1日です。

なかなか手間のかかる製作ですが、こうした細かいところの徹底が「あっ!」と言わせる完成になればと追求しているところです(^-^)。

縫うとつぶれやすく変形しがちなボア生地、ハード薄芯を使い形をキープ、縫う位置を見失わずに成し遂げる小さなパーツの縫い付け【862】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在ボア素材に正ダイヤキルトをかけ、裏地に内蔵巾着袋を設置したリュックを製作しています。

いよいよ最後の表地を使った製作場面、いわゆる「最終章」となります。

内側設置の巾着袋製作→裏地製作→表地製作という順番の主に3章のストーリーのような製作でやってきております。

このたびは、表地製作の段階に入ったところ。

特徴としましては、結構小さなパーツが多いことです。

この小さなパーツはとても裁断がしにくく、ボアがニットのせいもあって途中正確さが失われそうな時があります。

その際に「ハード薄芯」を貼りながらラインをはっきりとキープする工夫を実際の体験記録からご紹介したいと思います。

ハード薄芯の粗裁ちの後に、再度型紙に当てて裁断調整をすることで得られる正確なラインの確認

通常の接着芯貼りは、生地のみをまず型紙通りに裁断→接着芯を粗裁ち→余分をカットが多いです。

次にハード薄芯を粗裁ち→ボンドで接着→余分をカットという順番です。

しかし、このたび利用のボア生地の場合、明らかに最初の生地の裁断後にゆがみとかへこみが生じていて、このまま作ってしまうと、左右が違ったサイズとかデザインのように見えてしまい綺麗ではありません。

そこで、ハード薄芯の粗裁ちの段階で、今一度、型紙に当て直すということをしました。

ハード薄芯の粗裁ち後の状態:外にはみ出したハード薄芯の部分をとりあえずそのままにしておきます。
そして、型紙を今一度当てます。
この型紙に対してはみ出した「ハード薄芯」のみを見ながら、型紙に忠実に整えます。
そうするとこんな感じになります。生地の周りにわずかにハード薄芯が残った状態が型紙通りということ。

余分カットの時に黒い生地が削除されたりもしています。

同じパーツであっても、飛び出し方が違ったり、逆に生地部分をカットしたパーツもあります。

このハード薄芯のラインこそが型紙通りの裁断ということになるのです。

ボア生地は、基布がニットであることがほとんどです。

よって、クセがあってくるんとカールしたりして、生地のみの裁断の場合だと正確さが不十分です。

よって、以上のやり方で最終的に型紙通りに整えていくというわけです。

もう1つやり方があるとすれば、最初から表地自体を粗裁ちしておくというもの。

そこへ接着芯を粗裁ちのまま貼るというもので、そこで初めて型紙を当てるというものです。

そうすると型紙による裁断が1度のみで良いということになります。

しかしながら、その次のハード薄芯の時にボンドを貼りますので、そこでも結局粗裁ちをします。

最終的に型紙とずれていなければこのやり方はゆがみが少ないかもしれません。

ただ、型紙とずれていないかという調べをする場合に再び型紙に当てるので、結局この場合も同じことです。

効果が大きい方のやり方を採用するとと良いと思います。

あとがき

細かいパーツというのはこのたびのデザインの場合、特に表地に集中します。

細かいパーツが最終的に目や鼻や口みたいに見えるものになるので、注目を集める場所に自然となるようです(^_^;)。

それだからこそちゃんと左右が対称で美しく出来上がっているのか、歪みが無いなどの事が重要なのです。

黒バッグの中で赤のタータンチェックが素敵に広がるリュック、内蔵巾着袋に大切な物を守ってくれる安心感を感じる内部構造の価値【861】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在「餅巾着:もちきんちゃく」という名前のリュックのデザインのみを集中的に製作しています。

このデザインを徹底的に製作し、「おしゃれ度」「優れた機能」を並行して高めていく研究も兼ねた製作となっています。

このたびは、裏地の完成場面のご紹介です。

まだまだリュック自体の完成に至らない途中ではありますが、内部全体としては、完成品に出来上がりましたのでいったんアップしてご紹介します。

ポケットも前後に2個設置しながら、真ん中に内蔵巾着袋も設置された、たくさんの入れ場所のある豊かな内部の構造を是非ご覧くださいませ。

ポケットx2個と袋とで3部屋が確保されたことで、自然に出来上がった隙間も更なるお部屋になった相乗効果

黒い部分は接着芯です。まだ裏地のみの状態。表地と合体する前の裏地の内部機能としてはこれで完成です。

内部に見えているのは、内蔵巾着袋を巾着ひもでしばった状態です。

整然と映るのが特徴で、いかにも整理整頓された内部という印象になります。

底周辺の部分。マチは、①巾着袋のマチの表地②その裏地③裏地本体のマチが重なって縫い付け。
実際は、この目線から中を見ることが多いです。裏地本体の両サイドのハギ目部分の柄が対称。

右の方のハギ目が少し段差ができてずれましたね(^_^;)。

ここで、空間にご注目いただきたいのですが、内部の①巾着袋②貼り付けポケット③隠しポケットの他にもお部屋が自然にできました。

④巾着袋の前後の隙間⑤巾着袋の左右の隙間⑥巾着袋の底の隙間、こんな風にいくつかの隙間が生まれましたのも、「内蔵巾着袋」あってのもの。

マチの左右の縫い代だけを縫い付けている構造がこうした新しい空間が生まれたことにもつながりました。

実際の使用の場面の想定をするにあたってお伝えできる新たな価値

少し、細かいご説明をさせていただきますと、写真では、随分内蔵巾着袋が控え目なサイズ感で感じられたかと思います。

しかし、これで裏地と全く同じサイズでやっています。

よって最大限でもこうして内側に沈むのだという特性が分かりました。

もっとめいっぱいにしたい場合は、縦の長さだけを余分に追加すると盛り上がった巾着袋になるのだと思います。

実際にユーザー側になった時を予測しながら使い方を考えてみますと、この巾着袋をまるで、「地下室」のような使い方ができるのではないかと。

地下には、大切な物を貯蔵しますので、その通りセキュリティー性を高めたいアイテムを入れ、その周りや隙間には、他の物を入れる容量があるのです。

場合によっては、巾着袋をペタンコにし、その上に積み重ねられるのです。

お弁当を入れる場所として巾着袋を使うアイデアもあります。

使い方次第で、この内部構造は可能性の広がりを見せてくれるのではないかと思います。

だからこそ融通が利いた接着芯のみにとどめておく柔らかさも正解だということになります。

あとがき

チェック柄は柄合わせの難易度が高いです。

全体に均一配置の小花柄、細かいストライプなどは結構やりやすいですが、先染チェックは何と言ってもクラシックで素敵です。

生地屋様にも先染めチェックの日本製は、定番品として豊富にあるようですので、コスパ良く裏地にご利用できるのではないかと思います。

次回からは、いよいよ完成に向かい、表地のパイルボアの部分を馴染む黒糸で縫っていきます。

是非完成までのその後の行く末を見守っていただければと思います(^-^)。

バッグのタータンチェックの裏地、柄合わせが必要な貼り付けポケットで「ほどほど」な柄合わせ、できれば隠しポケットの方が向いている【860】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在リュックを製作中でして、なかなか時間がかかるリュックでございます。

表地には3cmの正ダイヤキルト、裏地はタータンチェック、そして、内袋として裏地付きの巾着袋を内部に設置するという構造です。

このたびは、裏地のタータンチェックに特に何も考えずに企画してしまった貼り付けポケットを同じタータンチェックで重ねていく場面。

後になってからは、ポケット自体をこうした柄に重ねても特に影響がない、「隠しポケット」+「フラップ」のコンビへ仕様変更しました。

このたびは、貼り付けタイプでやったことの記録と、生地の分量が不足していることで「柄合わせ」が完璧にはできない場合に、「ほどほどに柄を違和感なく寄せる」という技術のようなものをご紹介したいと思います。

生地が余分にあったとしてももったいない生地の使い方になるので、内側なので影響がない場合には、それでもちゃんとした仕立てであると言えるようなバランスの仕様になるかもしれません。

タータンチェックの縦横は等しくないので縦横の向きを変えるとずれる、そのずれ方を視覚的に目立たなくする方法

今回の裏地であるタータンチェック、95cm巾という狭い面積のものでした。

通常50cmずつの調達を幅が少しだからと1mにしたところまでは想定、ただ、その後のこうした裏地も内蔵巾着袋も作るという仕様は購入当時は企画しておらず。

このたび、ポケットの袋布の本来の縦向きが余らなかったのは、裏地にも巾着袋にも同じタータンチェック生地を使用したためです。

よって、やむを得ず、ポケットの袋布を横向きで裁断しました。

タータンチェックの1マスは縦と横とで同じ柄でもなく、同じ寸法でもないのです。

当然どう重ねても柄同士が合わないことになります。

生地の余分が縦向きには足りず、ポケットの袋部分の「わ」のパーツが、横向きの裁断になりました。

生地が横取り裁断にならざるを得なかったことで、チェックの1マスが本来縦長の長方形なのに横長になったのでした。

当然本体の柄とポケットの表面の柄がぴったり重ならないですが、ずれているなりに近い位置であるというところがポイントです。

このフラップポケットのフラップパーツと袋パーツのみは柄が繋がるように合わせました。
内張りの柄とポケットのフラップの柄が横に少しずれていますが、パッと見た違和感をミニマムにしています。
フラップポケットのフラップを開けたポケット入口周辺。柄がだいたい合って繋がっているように映っています。
隠しポケットのみが付いている面。上のフラップポケットの面と反対側。比翼は柄が縦にそろうよ合わせました。
サイドのハギ目部分。左右対称に柄が分かれるような位置に型紙を置いて裁断していました成果がこれ。

以上が、ほどほどの柄合わせの例です。

見た目、視覚的な許容範囲、すっきり感の印象の範囲内でこうして、生地をコスパ良く使う工夫をしたのでした。

あとがき

このたびのやむを得なかった事情も含む貼り付けポケットは、裏地に設置のものだったから目立たないこと、そして、ほどほどに柄を近づけたことで目立たなくなったというちょっとした視覚的なまやかしのような工夫で完成に至りました。

これも、1つの経験ではあったのですが、上述のように、ポケットそもそものデザインを隠しポケットにすれば、柄合わせとは無縁。

そこに加わるフラップだけを柄合わせすればよいという「仕様変更」という手があったのでした。

フラップは細長いので面積が狭く、残布でぴったり合う部分を見つけることがそれほど困難ではないのです。

余計な回り道のようではありますが、「Q:良いポケットはどんなデザインのポケットですか?」の質問に対して、実体験からはっきりと述べることができ、しかもその理由もクリアにお伝えできるという「利益」を得たような気がします(^-^)。